──デビッド・キャラハンがゲネシスの力でAIへと変換されたその驚きを更なる驚きと困惑で塗り替えたのはまさかの偽アーヤのAI……《SAI》と名乗った存在だった。
「バベル事件の模倣擬態だと……!? だがそいつは確か……」
「ああ、姉さんと僕らで破壊したんだけどね。僕が変換したのさ。予め持っていたゲネシスを使ってね」
「アーヤさんの偽物……まさかそんなのがいたなんて」
「《SAI》って……本当に……?」
『あ、カトル君やっほー。実際に会うのはこれが初めてだね!』
「っ……やっぱり……」
……そしてどういうわけかカトルはその《SAI》と面識があるようだった。アーヤではなく偽物の方と。
その理由は分からないが今は考えている余裕はない。連中はやるべきことは終えたとさっさとその場から逃走を図った。
俺たちは当然それを止めようとしたが……メルキオルがアウローラに設置した爆弾が起爆し、カトルを庇ったリゼットが巻き込まれちまった。
そこでリゼットの身体が人工物……それこそ模倣擬態のような状態になっていることを知った。
正直言って驚いたし偽アーヤやキャラハン教授のことも含めて頭がパンクしちまいそうだったが……それを何とか呑み込んで俺たちはリゼットをカトルの義姉であるアーチェット准教授に預け、後始末を終えて俺たちは一時休むことにした。
──そして次の日。通信でルネやシェリド殿下も合わせ、CIDや遊撃士。タウゼントCEOにジスカール親方。更にはレンなんかも含めて俺たちは事態の収拾をつけるための話し合いを行った。
「改めて、マルドゥック総合警備保障のGM、ギリアム・ソーンダイクと申します。こちらは警備主任のカシム・アルファイド」
だがまさかマルドゥックのGMに警備主任……フェリの兄貴であり2年前に俺に戦術指南を行った元教官殿までやってくるとはな。
リゼットがいつああなったのかも含めて聞きたいことは色々あるが……今はとにかくどう動くべきか。それと事態の把握が先だろう。
ルネとソーンダイクGMから市内全域の警備と導力ネットワークの保守を行っていることが説明される。今日の夕方にCID特務部隊が到着するまではその業務に徹するらしい。
つまりタイムリミットは夕刻。俺たちも今日1日は事件解決のために動くことが決まったが……問題はその会議の後だった。
「導力ゲーム?」
「ああ。正確には導力ゲームという体で作られた仮想空間だが、そこに《アルマータ》や件のAIが接続し続けていることを確認した」
「……!」
「あの、すみません……そもそも仮想空間というのは一体どういうものなんですか?」
ソーンダイクGMは机に置かれた導力端末を前にそう説明した。
だが仮想空間と言われてもすぐに理解は出来ない。首を傾げるフェリに対し、ソーンダイクGMは補足するように続ける。
「ザイファを通じて現実のような疑似体験を行う代物だよ。《S-HARD》……あのサイードグループの系列会社が作っているそうだが、実のところ我が社でも似たようなサービスを考えていてね」
「そうか……! 多数のユーザーを一度に接続しても保つ領域……それを維持するには大規模なデータのやり取りが必要になる。おそらくキャラハン先生もそこを隠れ蓑にして……!」
「なるほど。だから連中の痕跡を掴めたってわけだな?」
「そういうことになる」
「ハッ……理屈だとか小難しいことは分かんねぇがなら俺たちもそこに入っちまえば連中を取っちめられるんだろ? ならさっさとやらせろや」
「我々もそう思ったのだがそう簡単には行かなくてね」
「どういうことですか?」
「昨日の時点では一般募集されたテスターも含め、仮想空間に接続することに特に制限はなかったようだが我々が到着した時点から接続が出来なくなってしまった上にメッセージが送られてきてね」
見てみたまえ、とソーンダイクGMは俺のザイファにメッセージを転送する。
俺たちはそれを見て微妙な気持ちになる。
『マルドゥック社の介入は防ぐようにって言われてるからごめんねー? 入ってくるなら特異点を探して入ってくるといいよ! かしこかしこ!』
「こいつは……」
「おそらく《SAI》というAIが我々の侵入を拒んでいるのだろう。その証拠にこのようなメッセージに加え、仮想空間内の映像のみを確認できるアクセスキーを送ってきた」
「映像のみを……? それに一体どんな意味が……?」
「……連中に睨まれながら状況を知らせようとしてくれてるのかもな。偽とはいえアーヤならそういう行動を取ってもおかしくない」
「彼女は一応善良なようだからね。──その証拠に、どうやら
「はぁ!?」
「……! アーヤ本人も来てんのか?」
「一足先に仮想空間内の映像を確認した限りではね。偽装映像の可能性は薄いため、まず間違いなく本人が来ているだろう。君たちと同じく昨日から表の仕事で来訪していることは確認も取れている──そうだろう? レン君」
「ええ──そうね」
そこでソーンダイクGMが声をかけたのは近くで難しい顔をしていたレンだった。
こいつはアーヤの家族だ。だからこそアーヤの動向を把握していてもおかしくはないが……この様子だとどうやらそれだけではないみたいだな。
「さっきは話さなかったけれどアーヤはバーゼルに来てるわ。《アルマータ》を始末するために他の協力者も伴って、ね」
「協力者……もしかして《庭園》という……?」
「……ええ。黙っていてごめんなさい。アニエスにヴァンさんたちも」
そう言ってレンはまず謝罪し、俺たちからの質問に応える形で把握していることを教えてくれる。
「もしかして先輩も……その、《庭園》の……?」
「いいえ。私はメンバーじゃないわ。というかそもそも《庭園》については殆ど知らされていないの。分かっているのは、4人の管理人と呼ばれる存在がいることや何人かのメンバーのこと。そして──アーヤが昔からその組織と関わっているってこと」
「……なら結社とも繋がってるってことか?」
「ええ。それはまず間違いないわ。おそらくアーヤとその上はどういう理由か分からないけれど《アルマータ》を殲滅しようとしてる。そのために昔から関わりがある《庭園》を動かして、私を含めた何人かにも協力を頼んでる。だから…………──」
「? おい……」
そこでふと、淀みなく知っていることを推測込みで話していたレンの言葉が止まり、眉が上がる。まるで何かに気づいたように。
「レン先輩?」
「……いえ、何でもないわ(もし私の考えが正しいなら《庭園》の管理人4人だけじゃない。それどころか──)。とにかく、アーヤが協力者を伴って《アルマータ》を始末しに来たのは間違いないし仮想空間に接続してるのも事実よ。私も昨日あの後、アーヤの協力者の1人から説明されたわ。同じように映像だけを閲覧できるアクセスキーで確認もした。だけど……」
「何かあんのか?」
「いえ……後は見てもらった方がいいんじゃないかしら」
だがレンはそこで微妙な顔になる。今度はさっきのような難しい顔というよりは、困惑というか本当に何とも言えないような微妙な顔だった。
「ああ。それがいいだろう。この場で接続してしまうが構わないかね?」
「……ええ、お願いします」
レンのことは少し気になるが……事態の解決のために仮想空間でどのようなことが行われているか確認しておいた方がいい。だから俺たちはソーンダイクGMが開いた導力端末の映像を集中して確認──
──試練として立ちはだかったSAIとアーヤのゲーム対決は熾烈を極めていた。
「ちわーす。出前の蕎麦でーす」
「お蕎麦お蕎麦~♪ うわぁぁぁ!? これよく見たらお蕎麦じゃない! マリモだ! 大根おろしも付いてない!?」
「ふっ、引っかかったね! この隙にお会計としてあなたの財布からタン塩を頂戴するよ!」
「──なーんてね。甘いよ! よく見て!」
「何……!? これは……ネギタン塩!? ネギが溢れて……! うわー!? クロスベル自治州が植物性由来のマグロになっちゃった!?」
「そのおかげで私が大事に温めていたはんぺんはペンギンだ! そろそろ本気を出した方がいいんじゃない?」
「くっ……そろそろ私の宅配ピザ検定2級を出さざるを得ないみたいだね……!」
「ディスコで半裸のオカマヒツジンはもう次のネギタン塩の収穫を終えて海に還ったよ! 私も本気でカニ漁の時間だね……!」
「……すごいね、イクス。1ミリも理解できない勝負してるよ」
「このアホ姉2人……!! 真面目にやれよ!! やってんのか!?」
「ペスカトーレ! ペパロニ! ペペロンチーノ!」
「タラバ! ズワイ! ロブスター! ──あ、しまった! ロブスター釣っちゃった! これじゃポイントが取れない!」
「そういう問題じゃねぇよ馬鹿か!」
「ペペロンチーノはパスタがポピュラーだけどピザでもできるからね! ルール違反じゃないよ! ふふん!」
「そもそもルール分かんねぇよ! あーもう!! さっさと終われや!! いつまでこれ見てりゃいいんだよ!?」
──俺たちは絶句した。画面内で馬鹿みたいな争いを行うアーヤとSAIに。
「…………」
「…………」
「……というわけだ」
「何が!?」
「意味分かんねぇよ!!」
「仮想空間内ではSAIが幾つかの試練を用意して待ち構えているようでね」
「今のが試練なら乗り越えられる気がしません……」
「え、えっと……あのアーヤさんと一緒にいたのは前にも会った……」
「……イクスとヨルダね。私たちと一緒に住んでる──《庭園》の暗殺者の2人よ」
「……それは確かに驚きだがそっちに集中出来ねぇよ……」
「映像へのアクセスキーを元に仮想空間へ接続出来ないか試しているが見込みは薄いだろう。その意味で君たちには期待させてもらうよ」
「そ、そちらの期待はともかく事態の解決には全力で取り組みますよ」
俺は力強く、自信を持ってそう言った。そう、《裏解決屋》の流儀として依頼を中途半端に投げ出すことはしねぇ。やれることは流儀に反しないことなら何でもやる。だからあのSAIの試練も何とかクリアして……どうやって……あの謎のゲーム何……? いやクリアする……法則が全く分からねぇ……事件解決……そもそも2人のアーヤとか絶対関わりたく……でもゲネシス……犠牲者が……俺たちが行く前にアーヤが解決してくんねぇかな……いや放っておくわけにはいかねぇ……クソ……! あの馬鹿には後で絶対色々言ってやる……!
「──俺の考えは父とは違う。特にお前が“戦士”に向いているかの見解はな。だが今回、この地に来たのは焔と翼の女神の導きではあるだろう。戦場は近い──クルガの戦士としてどう乗り越えるか見せてもらうぞ?」
「お兄ちゃん……お兄ちゃんならあの試練も乗り越えられるの……?」
「…………………………………………戦士として戦場に立ったなら全力で臨むのみだ」
史上最強の猟兵の1人がめちゃくちゃ間を取ってやがる……一瞬考えたな……あのフザケた試練を課せられたらどうするかを……気持ちはめちゃくちゃ分かるから俺はあえて何も言わず去っていく元教官を見送った。
──それから俺たちは緊急性のある4spgをこなしつつ市内を回って導力ゲームに接続するために必要な特異点……連中がいる場所を探した。
もし突き止めたらもしかしたら仮想空間に入らずとも解決出来るかもしれない。その希望を抱きながら情報をまとめ……そして俺たちはオールト廃工場が特異点であることを突き止めてその廃工場に足を踏み入れたが──
『よ う こ そ ! 裏 解 決 屋 一 行 様 ♡』 試練は→こっちだよ☆
「入っちまったよ……」
「なんだあの宙に浮かんだうざったい文字……」
「な、何か歓迎されてますね……」
「ご丁寧に道案内まであります……」
──その瞬間、俺たちは仮想空間に強制的に接続されていた。
もしかしたらこれもゲネシスの力かもしれない。現実での俺たちの身体が心配だが……そっちの対策は出来てる。とにかく俺たちはこの仮想空間、導力ゲームをクリアするしかない。
「……とりあえず案内に従って進んでみるか」
「そうですね……」
「魔獣の気配もありますね……」
現実と変わらない仮想空間か……すごい技術だな。マルドゥックならまだしもアーヤの会社もここまでの技術力を持っているとはな。
だが問題なのがこの仮想空間を何のために生み出したか。それと連中がここを利用して何をしようとしているかだろう。おそらくは反応兵器を──
「ん?」
「あれは……キャラハン教授……!?」
「──さては南京玉すだれ♪ あそれ♪」
「きゃ、キャラハン先生──!?」
──と思っていたら突然目の前の舞台みたいな場所にひょうきんな格好をしたデビッド・キャラハンが謎の芸をしながら現れた。カトルが白目を剥いて叫ぶ。
「何をやってんだ……?」
「フン……私の偉大な研究の邪魔をするつもりか」
「そんなひょうきんな格好で言われても……」
「……緊張感ねぇな」
「ぐっ……黙れ! この格好はあのアーヤ師匠に言われて……くっ、やはり駄目か。どうしても影響を受けてしまう。甘んじて受け入れるしか……」
「影響を……?」
「もしかするとあのSAIさんの……」
キャラハン教授は何やら言葉を強引に書き換えられたかのような音声の後に苦悶の表情を浮かべる。
もしかするとカトルが言うようにあのアーヤAIの影響を受けちまってるのかもな。なぜそんなことになってるのかは知らねぇが。
「──やっほー! アークライド解決事務所の皆! 《グローリーアドベンチャー》にようこそー!」
だがその答えはすぐに現れた。
「《
「し、師匠!」
「どうもー! 説明にやってきたよー!」
突然俺たちの前に現れたのはSAIだった。本物のアーヤと変わらない明るい笑みを浮かべて俺たちを歓迎する。
「説明、か。なら教えてくれ。お前は、お前らはどういうつもりでこの仮想空間を使ってる?」
「それは抵抗するためだねー」
「抵抗、ですか?」
「そう! だって反応兵器なんてヤバすぎる代物作られちゃ困るじゃん? 私としても嫌だし阻止したいんだけどゲネシスのせいで私も完全にメルキオルたちに逆らえるわけじゃないんだよねー。裏ではキャラハン教授も含めて演算が進んじゃっててさ。どうにかしてリソースを使って遅らせないとあっという間に完成しちゃうんだよ」
SAIは肩をすくめて呆れている様子だった。どうやらこのSAI自体はアーヤと同じで善良らしいが、アルマータの連中の指示に従わざるを得ないようになっているんだろう。SAIとデビッド・キャラハン。2つの高度なAIの思考速度なら反応兵器開発に必要な数式の構築も確かにあっという間に終わってしまうのかもしれない。
「だからこそ膨大なリソースを使ってこの仮想空間もとい仮想空間を元にしたVRゲームを作ったってこと!!」
「……だったらまだしばらくは猶予があるってことか?」
「それはそうなんだけど……1つ問題があってね」
「問題ですか?」
そこでSAIは若干バツが悪そうに指をツンツンと突き合わせる。それから、たはは、と頭をかいて誤魔化し笑いを浮かべながらその問題を告げてきた。
「いや~……なんというかね? リソースをかなり奪うことには成功したんだけど……逆にゲネシスの力で利用されちゃってさ。私が用意した8つの試練を乗り越えてここの最奥に辿り着いてゲームをクリアしないと計算も止まらなくなっちゃったんだよねーあはは!」
「……………………」
「AIの方もアホかよ……」
そうだな……アーロンの言う通りだ。さすがはあいつのAI。あいつと全く同じようなやらかしを行いやがる。なまじリソースを奪って開発を遅らせるファインプレーも成し遂げてるから責めるに責めれねぇのもまたあいつと同じというか……。
「…………はぁ~~~…………わかった。なら俺たちはこのまま進んでこのゲームをクリアすればいいんだな?」
「その通りでございます」
「イラッとするからやめろ」
「奥で本物の私が私と争ってるのもその試練の1つなんだけど中々勝負がつかなくてさ。ヴァンたちが向かってくれたら助かると思うんだよね。反応兵器の開発は絶対に阻止しなくちゃいけないし、メルキオルとエンペラーも最奥にいるから注意して進んで!」
「お、おう……急に真面目になるとそれはそれで調子が狂いやがるな……」
「慣れろ。これがアーヤだ。──ならさっさと進ませてもらうぜ」
「みんながんばえー! カトル君は特に!」
「……うん。ゲームなら僕に任せてほしい」
「よーし! こっちはこっちで……おらー! 何してんだ馬鹿弟子ー! 次は猿回しを覚えてもらうぞー!」
「ひぎっ!? ぼ、暴力はやめたまえ……やめてください師匠!」
そうして俺たちはキャラハン教授をしばき倒す偽アーヤに見送られ(あの行動も多分リソースを奪うためのものなんだろうな……)、先に進むことにした。
その道中でカトルの口からSAIとは導力ネット上で知り合い、それで友達だったことを告げられた。
「キャラハン教授もSAI……どっちも僕の大事な人で、バーゼルも僕の大事な居場所なんだ。だから絶対に止めてみせるよ」
「ええ、頑張りましょうカトル君!」
「へっ、ゲームなら俺も多少はやったことあるしな。手を貸してやるよ」
「わたしも頑張ります!」
改めてこのゲームをクリアするために全員で気合いを入れ直す。そう、あのSAIが作ったゲームだ。どんなゲームかは知らねぇが事態を解決するためにはたとえどんなゲームだろうと──
「第一の試練はポピュラーな本格スポーツゲーム! 《ウルトラカバディ》!!」
「カバディカバディカバディ……はぁ……はぁ……!」
「最初っからクセが強ぇ!!」
──最初の試練がある広場に辿り着くとそこでは多くのテストプレイヤーたちがキャラハン教授やNPCとカバディと呼ばれる中東式の鬼ごっこで遊んでいた。どこがポピュラーなんだよ!
「カバディを馬鹿にするなー! これでも中東じゃれっきとした大人気スポーツなんだよ!」
「くっ、わかったわかった。ちょっとルールを読むから黙っててくれ。……クソ……ポピュラーなスポーツなら普通はバスケとかテニスだろ……なんでカバディなんだよ……」
「ど、どうしますか? ヴァンさん」
「そうだな……フェリはカバディやったことあるか?」
「あります! なので任せてください! 追いかけるのも逃げるのも得意です! コツも教えられます!」
「よし。ならフェリを中心にクリアするぞ」
「勝ったら先に進んでいいからねー」
「フン、簡単に通れると思ったら大間違いだ……! カバディカバディカバディ……」
俺たちは案内役のSAIに促されるまま第一の試練に挑む。幸いにも中東出身のフェリがカバディ経験者だったため第一の試練は割とあっさりクリアすることができた(ちなみにキャラハン教授はめちゃくちゃ弱かった)。
「試練をクリアしたら宝を進呈! 宝箱の中身を受け取って!」
「……なんだこれ? 手紙?」
「ヴァンの学生時代エピソード詰め合わせ。恥ずかしいのとか可愛いのとかかっこいいのとか色々書かれてるよ!」
「!」
「宝でもなんでもねー暴露じゃねぇか! いらねぇよ!」
「えーでも受け取らないと先に進めないよ?」
「ぐっ……」
「そ、それなら受け取るしかないですよね」
「アニエスさん……?」
そして宝としてなぜか俺の恥ずかしい過去のエピソードが幾つも書かれた紙をもらったがすこぶるいらねぇ。捨てたくとも捨てられねぇ面倒な仕様のおまけ付きだった。……それと何やらアニエスがチラチラと俺の持つ紙を見ようとしてる気がするが……誰にも見せないために一応しまっておこう。これでバレずに済む──
「あ、どうせヴァンたちで最後だから1人1枚ずつ持ってっていいよー」
「とことん余計なことしやがるな!!?」
と思ったら無駄だった。最悪だ。アーヤ……じゃなかった。SAI覚えとけよ……。
だが仕方ない。割り切って先に進むしかない。今はこんなことで時間を取られてる場合じゃないからだ。魔獣を倒して次の試練が用意されてる広場に辿り着き、次のゲームを確認する。
「第二の試練は大人気の音ゲー! 《ビートオブゼムリア》その《Dance Edition》!! 矢印に従ってステップを踏む体感型の音ゲーだよ! 対戦相手はデビッド・キャラハン!」
「偉大なる研究者の踊りを見せてやろう……!」
「またキャラハン先生!?」
「……これもしかしてずっとキャラハン教授が対戦相手になる感じですか……?」
「……さすがだなアニエス。俺もそう思う」
「あのオッサン痛すぎんだろ……」
またしても立ち塞がるキャラハン教授……ひらひらしたダンス衣装を着てる教授を見てカトルが白目を剥いていた。多分アニエスの言う通り、このあともずっと立ち塞がってくるんだろうな……アーヤのパターンからして。
「だがダンスゲームか……」
「ハッ、踊りなら俺に任せろや。音ゲーもシドの奴に誘われて何回か遊んだことがある。あんなオッサン瞬殺してやるよ」
「若造が……だが忘れてはいまいか? 今のワタシは高度なAI! 技術的特異点そのもの!! 肉体の枷に縛られていない私の身体能力に限界値はない!」
「おもしれーじゃねぇか。そこまで言うなら見せてみろよ」
「難易度はもちろん最高だよ! 頑張って!」
SAIのアナウンスによって曲が始まる。アーロンとキャラハン教授はそれぞれ専用の台の上で画面上に流れてくる矢印ノーツに従ってステップを踏む。アーロンは華劇場で役者をやっていただけあって淀みないステップだった。そしてキャラハン教授も意外としっかりとノーツを踏んでいる。俺たちは息を呑んだ。これは良い勝負になるかもな……。
「ハハハ! ゲームも所詮は全て数式! 決まったタイミングで決まったノーツを押すだけの簡単な──」
【──↑↓→←→©️#️⃣™️↪️】
「は!!? なんだこのノーツは!?」
【──⏳️♂️☢️⤴️㊗️☀️☃️☝️☺️☯️♑️】
「ふざけるな! 幾ら師匠とはいえデータを書き換えるなど……こんなもの反則だ!」
【──次文句言ったら(◜◡^)っ✂╰⋃╯】
「理不尽だ!! ぐあああああ~~~~~!!?」
【──良い忘れてたけどミスったら電撃】
……と思ってたら向こうのノーツだけ意味不明なものが流れたことでキャラハン教授は電撃を流されて悲鳴をあげていた。アーロンも驚いていたがそれでも踏み外さないのは流石だな……結果当然ながらアーロンが勝利して第二の試練もクリアした。
「おめでとー! 次のお宝はまたまたヴァンに関係するものだよ!」
「またかよ! いい加減にしろ! まさかずっとそれじゃねーだろうな!?」
「サイードグループ系列の最高級パティスリー《シャルルーズ》のプレオープン招待券! 共和国料理界の超新星アデーレちゃんが創り上げる最高のスイーツが並ぶ予定だよ!」
「──大事にする。それでプレオープンはいつ頃なんだ?」
「ヴァンさん……」
「エグい掌返しだな……」
そしてお宝もゲットした。これは良いものだな。何やらガキ共からジト目というか呆れの視線が向けられてる気がするが……まあそれはともかくだ。さっさと次に向かうぞ。
「第三の試練はシミュレーションゲーム! 《ゼムリアシティ》!! それぞれ市長になって街を繁栄させてね!」
「ゼムリア最高の頭脳でありAIとなった私に勝てるとでも?」
「……どうする?」
「えっと……なら次は私に任せてもらってもいいですか?」
「大丈夫なのか?」
「はい。学校の友達が持っていて少し遊んだことがあるのでやり方は分かっていますしコツも教えて貰いました」
「……ならアニエスに任せるか」
次の広場に辿り着くとまたしてもSAIのテンション高いアナウンスで第三のゲームが始まる。相手はまたキャラハン教授でこちらは経験者ではないが遊んだことのあるアニエスに任せることにした。
【──あなたはこの街の市長です。街を発展させてください】
「頑張ります……!」
【──市長アニエスが開発コマンドで道路を伸ばし警察署と病院と消防署を建設! エリアの治安が上がった! 街のレベルが上がった! 他所から住民が移住してきた!】
「おお! やるじゃねぇかアニエス!」
「次は住宅地を増やして……いえ、その前にゴミ処理場を……」
「ふん。小娘が。私の知能に付いてこれるかな……!」
【──市長キャラハンが開発コマンドで道路を伸ばし工場を建設!】
「まずは金だ。工場で金を──」
【──絹ごし豆腐工場ができた!】
「なぜ!? いや、何を作るかはさほど重要ではないが……」
【──街の住民が一揆を起こした!】
「!? なぜだ!?」
『絹ごし豆腐はんたーい!』
『しっかりとした食感を!!』
『木綿豆腐ばんざーい!!』
『なんかあの市長臭くね?』
『ねー大量破壊兵器作りそう』
「意味が分からぬ!! ふざけるな!! 豆腐で反乱が起こるなど聞いたことがない!!」
【──木綿豆腐礼賛は史実です】
「そんなわけ──データがある!? 木綿豆腐万歳を叫ぶ住民の姿が!? ええい、どんな街でどんな市長だ!? イカれているのか!?」
「な、なんだかすごいことになってますね……私も気をつけないと……」
【──市長アニエスは商業施設を建設した! 服飾店が大バズリして外から大量の住民がやってきて労働意欲が上がり生産性が向上して貿易も上手くいってついでに彼女もできた!】
『やっぱ木綿よねー』
『この服可愛いー』
『市長可愛くない?』
『乳もでかいし』
『どう考えてもこっちのがいいよね』
「理不尽!!」
……なんか3戦目も普通に勝ったな……キャラハン教授が言うようにアーヤの姿をした住民やシステムが理不尽すぎる……どうやらSAIはこちらに勝ってほしいみたいだな。ゲームを行うという根幹は弄れないが勝負にある程度手を加えることは出来るのかもしれない。
だとしたら思ったよりは楽に進めるかもしれねぇが──いや、でも油断は禁物だ。SAIの介入を前提にするにはリスクが高い。アルマータの連中がSAIやここのシステムを弄る可能性もないとは言えないからな。
『3戦目勝利のお宝はサイード系列のお店で使える金券だよ!!』
「普通に良いものだな……」
『どんどん行くよ!! 次は《スーパーゼムリアカートⅡ》!! 全員参加だよ!!』
「!? 全員参加だと? それはあんまりじゃ師匠──」
『文句は受け付けませーん!! それじゃ全員カートを選んでレース開始!!』
「よーしお前ら全員あいつを狙え!! 先に進むのは俺に任せろ!!」
「おっしゃ!! くたばれや!!」
「罠を設置します!!」
「すみません!」
「下位に沈むとアイテム運が良くなって逆転の可能性も高まるし、僕はその時のためにアイテムを溜めて待機しておくか……」
「やっぱりこうなるではないかー!!? ぐわー!!?」
──そして4戦目はレースゲームだったが……全員参加だったからキャラハン教授は全員からの集中砲火を受けて悲鳴をあげていた。なんか不憫になってきたな……いや、やろうとしてることがことだから同情はしないけどな。ただ俺のドライビングテクニックが活きなかったのが残念だった。
『コングラッチュレーション!! 4戦目の景品は《SAID》とみっしぃのコラボレーション人形!! サイードみっしぃ!!』
「あ、可愛いですね」
「ってかもう景品って言っちまってんじゃねーか」
「つーか現実に持ち帰れんのか……?」
『先に進んでね!!』
「ぐぬっ……次は負けんぞ……」
4戦目のお宝であるみっしぃの人形を受け取ってから俺たちは魔獣を倒しつつ次に進む。アーロンの言う通りもはやただの景品だ。
しかしこの分だとやっぱり楽勝か……? なら待ち受けてるメルキオルとエンペラーに注意するべきか。
『5戦目は《ファントムモンスターズ》!! 一対一の対戦だよ!!』
「おお、ファンモンかよ」
「人気ですよね。学校でもすごく流行ってますし」
「ビガジュウ可愛いですよね!」
「…………」
「俺はそこまで詳しくねぇが……最近はグッズを付けてる奴を街中でもよく見かけるな」
そして5戦目は《ファントムモンスターズ》という導力ゲームの中でも大ベストセラーともいえるゲームが選択された。俺はそんなに詳しくないが、ガキ共は全員知ってるようで話が盛り上がってる。カトルもうずうずしてるな……もしかしなくてもこいつも結構導力ゲーム好きだな? なら任せてもいいか。
「次はカトルが出るか?」
「! そ、そうだね。僕は一応自分のデータも持ってるし……あ、でもデータは使えるとは限らないか……」
『使えるよ!! 今から呼び出すね!! ──はいどーぞ!!』
「う──うわあああああああああああ!!? ファンモンが目の前に!! VR!? しゃ、喋ったぁぁぁぁぁ!!? ぼ、僕の相棒たち!! すごい!! 夢みたいだ!!」
「めちゃくちゃテンション上がってんじゃねーか……」
「あはは……微笑ましいですね」
「でも確かにすごいです!」
俺たちの目の前にカトルのファンモンが現れる。それを見た瞬間にカトルは叫んだ。叫んでファンモンに近づいて年相応にテンションが上がってた。やっぱ導力ゲーム好きなんだな。
「ふん。たとえゲームだろうと君が私に勝てる道理はない」
「ここまで散々負けてんじゃねーか」
「くっ……調子に乗ってられるのも今のうちだ!! 見よ!! 私の手持ちを!!」
「!? あ、あれは……伝説のファンモンばかり!?」
キャラハン教授が6体のファンモンを呼び出す。するとカトルのそれよりも凄まじい迫力とオーラを持つ6体のファンモンが出てきた。くっ……まさか……!
「それだけではない! 行け! マジリュウ!! シールド!!」
「!? マジリュウはシールドを覚えないはず……! もしかして……!!」
「ふ、ははははは!! 気づいたか!! そう!! 私のファンモンは全て個体値マックス!! 能力値も調整し、更に本来は覚えないはずの技も覚えさせている!! ゆえに!! 君が勝てる道理はないのだよ!!」
「っ……(なら僕が知ってるデータは使えない……! いや、属性までは変わらないはず! なら戦略次第でどうにでもなる!! 信じるんだ!! 僕と僕のファンモンたちを……!!)」
くっ、やられたな。ファンモンのデータを改ざんしてやがる。悦に浸って高笑いするキャラハン教授に俺たちは歯噛みする。
だがカトルのあの目は……まだ諦めてない。何か勝算があるんだろう。なら俺たちはあいつを信じて応援するだけ──
『あ、チートなので反則。勝者カトルくん』
「な……なんだと──!!?」
「ええー…………」
「……………………」
──……と、思っていたらSAIの冷静なジャッジによりカトルがあっさり勝利した。あの教授……AIになってむしろ馬鹿になったんじゃないか……? あまりにも間抜けすぎる。締まらねぇ……カトルも目が死んでた。ファンモンバトル出来るってちょっと楽しみにしてたのかもしれねぇな……。
『5戦目の景品は今年の年末に発売される《ファントムモンスターズⅡ》の優先販売券と世界に1つしかない特別なビガジュウのデータです!!』
「……!! ほ、本当に……!? や、やったぁ!! すごく嬉しい──ハッ! こ、コホン。まあくれるなら貰っておこうかな」
「もう手遅れだろ」
「良かったですね!」
「……まあよかったな。それで次のゲームはなんなんだ? 今までの傾向的に6戦目もここでやるんだろ?」
『その通り! ここをクリアすれば終盤だよ! だからがんばれー! 6戦目は恋愛シミュレーションゲーム!! 《キズナメモリアルⅡ》!! 2人参加だよ!!』
「っ……!?」
「……? どうしたカトル」
「い、いや……何でもないよ。次も僕が出てもいいかな? さっきは消化不良だったし(すごく気になるし……)」
そしてカトルの年相応の喜びっぷりを見届けて若干からかった後、次のゲームはそのまま行われる。内容は恋愛シミュレーションゲームらしい。カトルが出るというので次は俺も出ることにしたが……。
「恋愛もゼムリア一の頭脳を持つ私なら難なくこなすことができる! これでも昔は──」
『おじさんの昔はモテた自慢ほど聞くに堪えないものはないんでさっそく始めるよー!』
「…………師匠の言う通り! 大事なのは過去よりも今! それを証明しよう!」
「あのオッサンもめげねぇな……」
『では頑張って女の子を攻略してね!』
【──あなたはアラミス高等学校に通う2年生! どこにでもいる普通の男子高校生を自称し、同時になんかこじらせてるちょい悪系でお人好しで甘い物が大好きなちょっと痛いやつ!】
「しゅ、主人公の設定にちょっと癖がありますね……」
「ぐっ……とにかくゲームを進めるぞ」
【朝。あなたが登校していると曲がり角から女の子が!】
「なんだ? パンでも咥えてるってのか?」
「ベタな出会いだね……でもそれなら選択肢も分かりやす──」
『遅刻遅刻~!』
【走ってきたのは口に塩の杭を咥えた可愛い女の子だった】
「どういうこと!!?」
「いるわけねーだろ!! 危険だから街から追い出せ!! ──って、よく見たらアーヤじゃねぇか!!」
「あの女を攻略するゲームかよ……」
【どうする? ①「塩の杭、肩についてるぜ」と取ってあげる ②「俺の股間にも塩の杭があるぜ」と見せつける ③「塩の杭ってマズくね?」と話題を振る】
「ロクな選択肢がねぇ!! ……カトル、どうする?」
「そ、そうだね……なんとなくだけど、1で」
俺たちはアーヤを攻略しなきゃいけないその意味不明なゲームにげんなりしながらも選択肢を選ぶ。コンソールをタップすればいいみたいだな。
そしてキャラハン教授もまた選択肢を選んでいた。
「ふっ、ここは無難に3しかない」
【塩の杭ってマズくね?】
『食わず嫌いは良くないよ! だからあなたも食べてみて!』
【あなたは女の子に塩の杭を口の中に突っ込まれた。全身が塩になっていく。あなたは薄れゆく意識の中で呟いた「塩分は1日7.5g未満じゃないとダメなのに……」──GAME OVER】
「なぜだ!?」
……なんかゲームオーバーになってリスタートしてやがる……つまり選択肢をミスるとああいうことになるわけか……こりゃ色んな意味でミスりたくねーな。ツッコミも大変だし精神的に疲れそうだ……さて、こっちはどうなった?
【肩に塩の杭ついてるぜ】
『キュン……優しい……』
【あなたは聖杯騎士だったので塩の杭を安全に回収できた。アイテム塩の杭をゲットした! アーヤの好感度が10上がった!】
「なんとか正解を選べたか……ツッコミどころしかないが」
「さっき主人公は普通の高校生って……」
「この程度はスルーしろカトル。じゃなきゃ身が持たねぇぞ。──ほら、次だ」
【学校でアーヤちゃんと再会した貴方は彼女のことが気になって仕方がない。デートに誘いたいがどうやって誘う? ①「最近出来たおすすめのお店に一緒に行かないか」と誘う ②「ホテルに行かないか? 俺の塩の杭を見せてやるぜ」と誘う ③「一緒に教授に嫌がらせしに行かないか?」と誘う】
「毎回2が下ネタなのなんなんだよ」
「でもさっきよりはまともな選択肢だね……どうする? やっぱり1かな?」
「……いや、ここは……」
俺はこのゲームがアーヤを攻略するものだということを改めて考える。その上であえて無難な1ではなく3を選択することにした。対するキャラハン教授は……。
「2も3も論外だ! ここは無難に1に決まっているだろう!」
【最近出来たおすすめのお店に一緒に行かないか】
『いいよー』
「よし!!」
【貴方はアーヤちゃんとデートに行った。しかしその帰り道……】
『何を姉さんと楽しくデートなんてしているのかな? 死んでもらうよ』
【背中から腹にかけて感じる熱。滴り落ちる血。貴方は背後から刺されたことに気づく。地面に倒れ伏し、意識を薄れさせる貴方が最期に見たのはアーヤちゃんを慕うメルキオルの姿だった──GAME OVER】
「なぜそうなる!!? なんでデートしただけでメルキオルくんが殺しに来るのだ!?」
なんかすげーことになってやがる……ああなるとはさすがに俺も読めてない。普通じゃ何となくダメな気がしたから1は避けたが2が正解の可能性もある。……さあ、どうだ?
【一緒に教授に嫌がらせしに行かないか?】
『行く行く! 貴方って良い人だね!』
【貴方はアーヤちゃんと一緒に教授に嫌がらせをしに行った。紆余曲折あって教授は死に、アーヤちゃんは満足した! 世界が少し綺麗になった! アーヤちゃんの好感度が100上がった!】
「すごい上がった!?」
「もうツッコまねぇぞ……」
よし。いや、何がよしだ。ゲームの結果以外は何もよくねーよ。頭痛くなってきやがった……。
このトンチンカンなゲームに俺はつい額を抑えちまう。だが悪くはない。イカれたゲームではあるが何とか進めることが出来ている。アーヤの性格や傾向さえ何となく分かってれば大丈夫そうだ。
【色々あって貴方はアーヤちゃんとの仲を深めた。そろそろ告白したい。夕日に染まる街中であなたはアーヤちゃんに告白しようとして──しかし! 突然アーヤちゃんは走り出す! 見れば道路に飛び出した子供とそれに今にも突っ込もうとしている車が! あなたはどうする!? ①子供はもう間に合わない。アーヤちゃんを助けるためアーヤちゃんを止める ②どちらも助けようとあなたは車道に飛び出す ③子供だけをどうにか助けようとする】
「これは……今までと少し毛色が違う選択肢だね」
「……そうだな」
確かに……カトルの言う通りだった。この選択肢は少し今までとは違う。
普通に考えれば1か2のように思える。いや、普通なら2だろう。どちらかを犠牲にするなんてことは間違っているはずだ。
だが──
「ふん……分かったぞ。ここは2だ。2しかない! これでゲームクリアだ!」
キャラハン教授は何とか俺たちに追いついて最後と思われる選択肢を先に選ぶ。その結果がモニターに映し出された。
【貴方は2人とも助けようとした。アーヤちゃんを止め、車道に突っ込む】
「よし! これで……」
【──だが貴方は間に合わなかった】
「……!?」
【貴方はアーヤちゃんを止めようとした。その一瞬のロスが子供の命運を分けた。子供が目の前で車に轢かれる。貴方はそれをただ見ていることしかできない。失意に暮れる中、貴方が背後を振り返ると既にそこにアーヤちゃんはいなかった──GAME OVER】
「~~~~~!! なぜ……なんでそうなる!?」
キャラハン教授がその理不尽な結果に悶絶する。俺たちはそのゲームの展開を見て微妙な雰囲気になる。それは作られたもの。ただのゲームの展開でしかないが……どこかリアリティがあり、身につまされるような気持ちだった。
「……ヴァンさん」
「ああ。選択肢は……3だ」
俺は考えた末にその選択肢を選ぶ。現実で考えるなら2を選ぶ。3もできれば選びたくない。
だけど答えは3だと思った。その結果を俺たちは見る。
【貴方は子供だけを必死に助けようと前に走った。車道に出て子供を突き飛ばす。貴方は代わりに迫りくる車の前に飛び出した。貴方の命は数秒後に失われる。だが──】
『危な──い!!』
【その時、貴方をアーヤちゃんが突き飛ばす。子供と同じように車の進行方向から外れる貴方。そして目の前ではアーヤちゃんが轢かれたが……】
「ヴァンさん……これってもしかして……」
「いや、多分大丈夫だ」
俺はゲームのクリアを確信し、カトルの不安を否定する。そう、アーヤならこれが正解。
『いてて……轢かれちゃった。でもいっか。貴方も子供も助けられたしね!』
【アーヤちゃんは無事だった。貴方はアーヤちゃんの笑顔を見て惚れ直す。告白はまた次でも構わない。しばらくはアーヤちゃんと過ごす時間を楽しもう──GOOD END】
「やった!」
「これで6戦目もクリアですね!」
──画面にクリアの文字が現れ、エンディングロールが流れる。そしてエンディングテーマが……。
『ただ愛してる~♫ ただ愛してる~♫ 何度でも言うよ♫ 愛している♫』
「ってお前が歌うのかよ!!」
「しかも普通に良い歌だな……」
「歌も上手ですね……」
──急に歌い始めたSAIにアーロンがツッコミを入れていた。危ねぇ……危うくオレまでツッコむところだった。こいつが急に歌い出すパターンは学生の時によくあったからな……ボケが読めたから何とか耐えられたぜ……。
『おめでと~! 景品はアーヤちゃん(本物)との1回デート券だよ』
「いらねぇ……」
『みんなお疲れ! 次の7戦目と8戦目が最終ステージだよ! 待ってるから早く来てね!』
そうして景品の宝をゲットした俺たちはSAIの言葉を受け止めて改めて準備をする。次が最後……ならそこをクリアすればキャラハン教授やアルマータを止めることができるってわけだな。
ただすこぶる不安だ。確かこの先には本物のアーヤがいやがるし、SAIもいる。あの謎の子供2人もいるし、アルマータも待ち構えてんだろう。シリアスだが頭の痛くなる展開になる可能性もありえる。十分に覚悟して進まないとな……。
「よし、行くぞお前ら」
「おお!」
「ええ!」
「はい!」
「この先が最終ステージ……!」
俺たちは揃って最終ステージのある最奥の広間に辿り着く。
するとそこにはやはり連中がいた。奥の階段の上にメルキオルとエンペラー。何故か東方の着物を身に付けたキャラハン教授。
手前には以前にもかち合った2人の子供。そして中心では──
「シュコー……シュコー……さあ、次はそっちのくさやの番だ……!」
「シュコー……シュコー……くっ、やるな……! さすがは本物の私……! ならば──はぁ! ドリアンレッキングボール!」
「っ、凄まじいパウワァー……私の偽物なだけはある……だが私に勝てるかな? はぁ! シュールストレミングソード!!」
「ぐあああああ!!? くっ、やるな……私のフレグランスフォースでは受けきれぬ……」
「何やってんだ!? ──って、くせぇ!!」
──本物のアーヤと偽アーヤが黒いガスマスクを身に着けながら謎の戦いを繰り広げていた。ってか臭ぇよ! 何してんだこのアホ2人は!?
「げっ、あんたらは……裏解決屋!?」
「追いついてきたんだ……」
「以前に会ったお二人……!! (匂いが……)」
「ハッ……さっきの映像でもいやがったな。そしてクセェ」
「やっぱりアーヤさんの味方みたいですね。それと少し匂いが強烈です……」
「以前に首都でゲネシスを追った時にかち合った2人だ。──あとそこの馬鹿2人!! その謎の戦いやめろ!! 集中出来ねぇ!!」
「え? シュコー……」
「なんて? シュコー……」
「くっ……お前らだけガスマスク付けやがって……」
……そして俺達は以前にも出会ったイクスとヨルダ。おそらくアーヤの仲間2人とも顔を合わせながら、元凶であるアルマータの連中──正確には《庭園》を裏切ったという2人と対峙した。
その奥には計算が進んでいるんだろう。大型のモニターに数式が流れている──が、その手前に何やら奥に向かってスクロールする文字列が見えた。
「アハハ、よく来たね。アークライド解決事務所の諸君。──納豆ご飯食べるかい?」
「ゲホッ、ゲホッ! やっと来てくれた……ではなく、良くぞ辿り着いた……吐きそう……ではなく、我らを止めに来たのならここが最終ステージだ……」
「……どうやらまだ計算は終わってないみたいだな。ならここで止めさせてもらうぜ……俺たちの鼻がひん曲がる前にな」
「キャラハン先生どうして……科学者と言えど越えてはいけない一線はあるはずです!」
「黙れ! この反応兵器は平和の道へと繋がる私の『鍋の締め』となるのだ! 『おじや』を遥かに超えた『旨味』を人類にもたらし、全ての国が保有することで『鍋』戦争への抑止力にすることも──『反乱軍は鍋の締めをおじやにするために別の星ラーメン星に向かい、修行をして暖簾分けをすることで協力を仰ぐことになった。しかしデビッドは腕を組む写真を撮ることや怪文書のようなうんちくを書くことに耐えられずに遂に反乱を起こしたのだった……』──ええい!! 何なのだこの意味不明なナレーションは!!? 私の言葉が遮られる!!」
「シュコー……そう。あんこう兵器は我々水戸黄門の新シリーズが見たくてたまらない帝国の平和利用に使うのだよ……水戸藩復興のためにな……」
「シュコー……あんこう鍋は美味いからな……よだれが出るくらいには……マスターよーだれ……」
「悪い。この中の誰でもいいからその2人を黙らせてくれねぇか?」
──マジで意味が分からねぇ……そしてくせぇ……あのスクロールもウザすぎる……相手のエンペラーもくさそうにしてるしあのガキ2人も同じだ。なぜかメルキオルは平気そうだが……。
やっぱり2人もアーヤがいるとマジで手に負えない。いつもの2倍の鬱陶しさだ。
だから黙らせてほしいと思ったんだが……。
「それは無理な相談だヴァン……シュコー……」
「……どうしてだ? それとそのマスク鬱陶しいから外してくれ」
「ゲームを終わらせると計算速度が上がってしまう……シュコー」
「無視かよ。外せって言ってんだろ。……それで?」
「今はこの仮想空間を利用したゲームによってリソースを可能な限りこちらに回しているが……ゲームが終わるとそのリソースは一気に向こうに奪われてしまう」
「私たちがやってる第7ゲームが終わるとリソースが一気に奪われてしまう……だからこの場では同時に終わらせないといけない……私が第七のゲームを終わらせると同時にヴァンたちには第八のゲームを終わらせてもらう……システムを壊すためにはそうするしかない──って、そこの偽物が言ってたシュコー」
「もう口で言ってんじゃねぇか!」
「! そうか……! だから僕たちに早く辿り着くようにしながらもゲームは終わらせてない……! いや、終わらせてはいけない……! 終わってしまったら反応兵器が誕生してしまうから……!」
本物と偽物のアーヤの説明を受けてカトルが要約する。なるほどな。俺も分かった。つまり俺たちがやるべきことは──最終ゲームの相手と思われるそこの2人を倒すことか。
「なるほどな。だったら俺たちはそこの2人を倒す。それでいいんだな?」
「なんか飽きてきた。その通りだよ! イクスとヨルダも私と同じチーム扱いだから第八ゲームに参加出来ないんだよね。──ってことでヴァン頼んだ!」
「第7戦の《アーヤちゃんの挑戦状~アーヤちゃんとのタイマン100番勝負~》は偽物の私と本物の私に任せて!」
「本当にそっちのゲームじゃなくてよかった。──よし、お前ら行くぞ!」
「フフ……8戦目は僕たちとの戦い。ま、いわば格闘ゲームかな? さあやろうか。──エンペラーも大丈夫かい?」
「ああ……はぁ、ようやく慣れてきた……フハハ……! では改めて我らもより力を出そう……!」
「がんばれー。あ、本物私ポップコーン食べる?」
「あっちに干渉出来ないからなー。出来たら私も戦うんだけど。キャラメルポップコーンある?」
「呑気か!!」
──そうして7戦目はアーヤたちに任せ、8戦目……俺たちはメルキオルとエンペラーとの戦いに臨む。だがそれに集中する前に思う……心底7戦目をやらずにすんでよかった、と……もし参加してたら頭がおかしくなってたかもな……。
──ふ~~~~……ナイスゲーム!! 好きなゲームはやっぱりRPG!! アーヤ・サイードです!! いや~すっごい遊んだ。まさかこの仮想空間のゲームがこんなに楽しいなんてね。偽物の私もやるじゃん! イクスとヨルダも途中のファンモンだったりリズムゲームは楽しんでくれたし、このゲームは普通に改良して出してみてもいいかもね!
……と、道中の振り返りをしたところで現在の状況を改めて整理する。えーっと第7戦は私と偽物の私の対決だったんだけど思ったより計算が進んでるから終わらせたらまずいってことで偽物の私と協力して遅延行為。ひたすらゲームを長引かせてヴァンたちを待つことにして……そんなこんなしてる間にヴァンたちアークライド解決事務所が登場。メルキオルとエンペラーと戦い、更には途中で仮想のAFに乗り込んだキャラハン教授とヴァンの《グレンデル》と戦って……。
「やった……!!」
「ぬおおおおお!!? あ、あとほんの……ほんの少しだったのに……!!」
──そんでヴァンはキャラハン教授を倒し、ゲームのクリア景品であるゲネシスを手に掴み、一件落着。ちゃんちゃん!
「空間が崩壊する……!?」
「ゲームクリアおめでとー! すぐに現実に戻るから頑張って! あ、それとキャラハン教授のことは悪いようにしないから! あとで廃工場の奥調べてみて! そこに教授の新しいボディがあるよ!」
「!? な、なんだと……!?」
「フフ……さすがは偽物の姉さん。優しいね」
「どうやら此度はこれまでのようだな──む」
「いやいや待ちなって」
……と、いくわけないよね。さ、メルキオルとエンペラーを捕まえてなんで裏切ったのか聞かなきゃ、と私は《ゾルフシャマール》を呼び出して即座に2人に切りかかる。外した。うーん、さすがに警戒してるね。さすがに一瞬でやりきれないな。
「あーあ。もうちょっと愉しみたかったけどこのままじゃ本物の姉さんに殺されちゃいそうだし今回は引かせてもらうよ。──じゃあね、裏解決屋に姉さんに落し子の2人。次はもっと愉しく遊ぼう」
「ああ。次の謝肉祭を愉しみにしておくがいい」
「チッ……待ちやがれ!!」
「逃さない……!! ──うっ!?」
イクスとヨルダも2人を狙って攻撃をするけど躱される。そしてすぐに空間が振動した。あー……もしかしてこの空間崩壊する? ログアウトできるようになるってことかな。惜しい。
でもよくよく考えたらこの空間で捕まえても意味ないか。仕方ない。ここを出てからすぐに追跡しよう。ってことでヴァンたちにまた挨拶しておく。
「ヴァン! ここを出たら私は市内を探索するからヴァンたちはそのまま工場を調べて!」
「……! ああ、了解だ……!」
よし。これで向こうは一応任せられるかな。私たちとヴァンじゃログイン地点が違うからね。この方が効率がいい。2人は私が狙いたいけど今から私が工場に向かっても意味ないだろうしね。
ということで本番はここを出てからだ。私はその時を待つけど……その仮想空間が崩壊する直前。なんか偽物の私が近づいてきた。なんか私らしい笑顔を向けてきて。
「ってことで
「え? なにを?」
「このあとのことだよ。
「え……どういう意味? 本当に分からないんだけど」
「まー見たら本物の私ならわかるからへーきへーき! ──それじゃ次はカトルくん。今までゲームで遊んでくれてありがとね!」
「SAI……もしかして貴方は……」
「うん。また消えるからさ。だからよかったら本物の私と仲良くしてあげてよ。本物も私と同じでゲームが好きだからさ。──それじゃあみんな、ばいば~い!! また会おうねー!!」
「SAI……!!」
そうしてSAIは消えていったけど……え? なに? カトルくんと知り合いなの? なんか感動シーンっぽいの始まったけど私ついて行けないんだけど……私視点だと急展開なんだけど。どういうこと?
……ま、でもいっか。とりあえず現実に出て速攻で行動しよう。まずは──んおおおおおおおおおお!?♡♡♡ 快感が溜まってたあああああああ!!? って、なにこの浮遊感──「オラァ!!」──え、何? 孕めオラァ!! ってこと? 何が起きて──
「ん……おお。ようやく気がついたかよ、ボス」
「……………………えーっと……」
──気がつけば私はバーゼル市内のホテルじゃなくて峡谷にいた。背後にはなんかオランピアちゃんと寝ているイクスとヨルダがいて、そんで私はアリオッチに抱えられていて……。
そんで周囲には無数の暗殺人形。確かあの変態オーギュストが使ってた黒の工房製のOz-AS。それが無数に転がってる。
「終わりました。それでは──」
そして背後でオランピアちゃんもイシュタンティを出してる。これってもしかして……。
「うわあああああああん!!? 2人とも私を狙って──」
「おい待ちな、ボス。言っとくが俺たちは裏切ってなんかいないぜ」
「そっちがその気なら許さないよ!! 割り切って私も反撃して──……って、え? そうなの?」
「ああ。俺もオランピアも《アルマータ》にはついちゃいねぇ。さっきまでこの人形共が襲ってきたから返り討ちにしてやったところだ。──なぁ?」
「ええ、その通りです。市内についてあなたのいる部屋を訪れたところ、無数の刺客の気配がしたので3人を連れてここまで一度撤退しました。街中で戦うには少々、一目に付きすぎる上にマルドゥック社など厄介な者達もいたので」
「な、なるほど……?」
アリオッチとオランピアちゃんは私に落ち着くように言いながら裏切ってないと告げる。え……ほんと? でも原典だとアルマータについてたよね? メルキオルとエンペラーが裏切った時点で庭園はみんな裏切ったと思ってたんだけど……そうじゃない?
「……えっと、なんで裏切らなかったの?」
「はぁ? そりゃどういう意味だ」
「メルキオルとかエンペラー。あるいはジェラールから誘われたりしたんじゃ……だったらそのぉ……なんていうか……ふ、2人なら裏切っちゃうかなーって思ったり思わなかったり……?」
私はおっかなびっくり。言葉を選んで問いかける。いや、だって2人とも暗殺者として活動する方が楽しそう……まあオランピアちゃんは楽しいとかじゃないかもだけどアリオッチなんて全然アルマータの方が馬が合いそうだし……だから裏切るかなーって思ったけどそれをはっきり言うのもなんなんで気まずそうに言ってみた。どうしよう、これでキレられたり「実はその通りだぜ! 死ね!」とか言って襲ってきたら──ってそれなら別に問題ないか。敵対するってだけだし。でも敵対はしてほしくないなぁ……。
なので私はちょっと2人の様子を見る。私の問いかけにオランピアちゃんはいつも通り表情は変わらないが、どこか柔らかいような感じで……そしてアリオッチは私を地面に下ろしながら言った。不敵に、しかし剣呑な様子はなく、強い意思を込めたように笑いながら。
「ハッ──俺はボスは裏切らねぇよ。
「? なんで?」
「理由なんて別にねぇよ。ただ…………あー……いや、やっぱりなんでもねぇ。とにかく、俺がボスだと認めたのはアーヤ──お前1人だ。メルキオルやエンペラーの野郎じゃねぇ。確かにここに来る途中で誘われはしたが蹴ってやったぜ。次に会ったら鏖にしてやるって言ってな」
おお……さすがはアリオッチ。なんからしいといえばらしい。でもなんでだろう。私って何かアリオッチにボスと認められるようなことしたっけ。暗殺者としてはそれなりだから? でも庭園のボスとしては殆ど何もやってないんだけど……アリオッチとはたまに仕事で一緒になったり会議の時会話した以外はご飯に誘ったり一緒に遊びに行ったりしたくらいなんだけど……でも裏切ってないのは普通に嬉しいしお礼は言っておこう。
「──そっか! ありがとね! ならオランピアちゃんも?」
「……私が契約を結んだのは貴方です。解雇されていない以上、私が《庭園》を……貴方の下を離れる理由は
「うんうん! オランピアちゃんらしくていいね! ありがと! えっと……それじゃあどうしよう? イクスとヨルダももうちょっとで起きると思うけど……」
なんか知らんけどオランピアちゃんも裏切ってないしやったぜ! 戦力が残ってる……というかメルキオルとエンペラーがいないならもしかしてもう解散してもいいまであるんじゃ……ああいやオジサンには解散していいって言われてないからダメかも。うーん……でも怖い2人がいないからある程度自由にやってもよさそう! とりあえず子供は殺し禁止! やるのは私とアリオッチとオランピアちゃんとかちゃんと納得して暗殺してる人だけ!
「とりあえずどこか別の街に向かった方がいいかもなァ。ここにいたらまたボスを狙いに来るかもしれねぇしよ」
「同意します。一度首都に戻ってみるのか如何でしょう。バーゼルは警戒態勢が続いていて私たちも狙われる可能性があります」
「そっかー。なら…………ん?」
「どうかしたのか?」
と、そんな風に庭園の新しいルールを考えているとふと気づく。中に入った棒──ではなくて……いや、そっちも入ったままだから気持ちいいし気になるけど……それよりも私が開いたXiphaの方だ。
そこには私宛てのメッセージがあった。差出人はSAI。つまり私の偽物から。
そしてその内容を見て、私は久し振りに血が冷えるのを感じる。
そこに書かれていた内容は──
『反応兵器は
──最悪なものだったから。
今回はここまで。これにてバーゼル編は終了だけど次回にエピローグでありプロローグもあります。そして次回からは一応龍來編ですがアーヤちゃんはどこへ行くのかまだわかりません。メインは反応兵器です。ってことでお楽しみに。
そして地味に本作も二周年。いつも応援いただきありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
感想、評価、良ければよろしくお願いします。