暴食の精霊 《グラトニー》   作:赫夜叉

57 / 57
56話

「よう、待ってたぞ本条」

 

「あ、お待たせグラっち。ちょっと来るの遅くなっちゃったかな?」

 

「いんや、むしろちょうど良いと思うぜ」

 

部屋全体が恐怖に包まれる中、グラトニーが声を掛けると二亜は先程とは変わり、まるで待ち合わせに合流したようなフランクな感じで話し始める。

 

「ここに来るまで随分暴れ回ったらしいな、モニターでコイツらと見てたぜ」

 

「ホントならグラっちと一緒に直接ココに来ても良かったんだけど、我儘言ってゴメンね?けどさぁ、やっとこの日が来たんだよ。あたしから全てを奪ったクソッタレ共、どうせならあたし自身の手でぶち壊してやりたかったんだよ」

 

「そんで、満足はしたか?」

 

「けっこうね。特に自分は力があると思ってイキってた魔術師のアホ共があたしの火に焼かれて灰になってくのには、正直……興奮しちゃったよ……!!」

 

頬をほんのり赤く染め恍惚とした笑みでとんでもないことを宣う二亜。復讐を続ける内に随分と人格面も変貌したようで、復讐とはいえ大量殺人をしたというのに、その顔には罪悪感や苦しさなどといったものは欠片も見られなかった

 

「さーてと、話しはこれくらいにして……まずはアイツ以外の奴らを片付けよっか」

 

そう言うとグラトニーと話していた時とは打って変わり、冷淡な目つきでウェストコット以外の役員達の殺害宣言と取れる発言をする二亜。

 

「そうかそうか。じゃあ、コイツらはオレが好きにして良いな?」

 

「うん、構わず殺っちゃってよ。こんなクズ共長く見てると、心底反吐が出るから」

 

「そうか」

 

二亜の了承を得たグラトニーは《悪食之腕》を顕現し背中から捕食手を出現させる。そして顔を役員達の方へ向けることもなく、捕食手に付いた口で彼等を食い尽くしていく。

 

「うわあああぁぁぁ!!」

 

「嫌だあぁぁぁぁぁ!!」

 

醜い断末魔を上げながら1人、また1人と喰われていく。しかも一思いにではなく骨を噛み砕かれながら生きたまま苦しみ抜いた末に喰われていくので、後に残った者程絶望は大きくなっていった。

 

「ふふ……すっごい良い声出してくれるねぇ……!」

 

その様子を煙草で一服しながら見物している二亜。グラトニーの側に居続けたことで捕食する場面を見ても何とも思わなくなった彼女は、もはや後戻りできない所まできてしまっていた。

 

「う、嘘だ……こんなの、あってたまるか……!」

 

役員達が悉く喰い尽くされていく中、役員の1人、マードックは窓際にへたり込んでいた。今目の前で起こっている光景が信じられないと言った様子だ。

 

ここにいれば自分も殺される。しかも喰われて死ぬという尊厳の欠片もない死に方で。

 

ゴロンッ

 

「ひっ……」

 

そんな彼の前にグラトニーに喰い殺され首だけとなった役員の死体が転がってくる。

 

「ひえぇぇぇ……!」

 

それを見て彼の頭の中は何もかも吹き飛び、ただここから逃げることだけしか考えられなくなった。情けなく床を這いずりながらこの場から少しでも離れようとする。

 

「どこ行くの、クズ」

 

ザクッ

 

「あ、があ"っ……!?」

 

しかしそんなことを見逃す筈がなく、二亜が杖を彼の背中に突き刺したことで阻止される。

 

「誰1人として逃がさないよ」

 

杖を突き立て完全なる無の表情でマードックを見下ろす二亜。それを見て彼の恐怖心は更に増大する。

 

「た、助けてくれ……なんでもするから、殺さないでくれぇ……」

 

「……あ"?」

 

みっともなく命乞いをするが、その瞬間二亜の顔が憤怒の表情に様変わりした。

 

グシャ

 

「ぎゃあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」

 

そしてそのまま彼の急所を踏み砕く。その激痛にマードックは思わず汚らしい絶叫を張り上げる。それを聞き二亜の表情が狂気的な笑みに変わる。

 

「あー汚ったない声。こういうクズの悲鳴聞くと煙草の煙が美味しくなるよ」

 

そう言いながら咥えてる煙草の煙を吸い込み気持ち良さそうに吐き出す。

 

「そんじゃ……グラっちパースっ!」

 

二亜はマードックを突き刺さしたまま杖を振り上げると、そのままグラトニーのいる方へ放り投げた。

 

「ん?なんだまだいたのか」

 

グラトニーはそれに気づくと捕食手の一つを構え受け止める姿勢を取る。そしてそのまま彼はガッシリと手に掴まれた。

 

バリグチャボリバリ

 

直後に肉や骨が咀嚼される音が部屋に響き渡る。

 

「(あ"ぁ……もう……ダメ……だ……)」

 

喰われていく間、マードックはまだ意識が残っていた。そして身体の半分を喰われた所で、彼は死んだ。最大級の恐怖と絶望の中、あらゆる尊厳を破壊し尽くされて。

 

そしてマードックを最後に、ウェストコットを除く役員達は残らずグラトニーの餌食となった。

 

「これで最後か。で、あとはアイツだけか」

 

最後の役員を喰い終えたグラトニーはただ1人、椅子に座ったままのウェストコットに視線を向ける。

 

「………」

 

役員達が喰われていく中逃げもせずそれを見ていた彼は、笑みを浮かべていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

デート・ア・ライブ―精霊喰いは精霊に恋する―(作者:ホスパッチ)(原作:デート・ア・ライブ)

精霊に対してほぼ絶対的な牙を持ってしまった少年、月明夕騎はDEM社からの出向としてとある国で精霊と幾度となく相対していた。だが、それでも迷いはあった。他の隊員と違って夕騎は精霊に対して恨みなど一切ない。あまりにも夕騎の精霊に対する戦意の無さ故にDEM社の実質的トップから日本のASTへの出向を命じられる。そして、ようやく普通の高校生ライフを堪能できるかと思えば…


総合評価:3110/評価:7.51/完結:110話/更新日時:2017年04月22日(土) 10:00 小説情報

ヒロインは七罪(作者:羽国)(原作:デート・ア・ライブ)

──七罪を、絶対に幸せにする。▼気づけば僕は「デート・ア・ライブ」の世界に転生していた。▼鳶一折紙の弟として──原作にはいない、異物として。▼この世界には精霊と呼ばれる少女たちがいる。▼その力は世界を揺るがすほどに強大で、同時に命を狙われる理由にもなる。▼僕の最も大切な存在、七罪もまた、そんな危うい世界に生きていた。▼だから決めた。▼彼女を守り、救い、そして…


総合評価:802/評価:8.75/連載:159話/更新日時:2026年07月31日(金) 20:00 小説情報

寶月夜宵(偽)による、人外マスターの道(作者:ホーンベアーmk-lll)(原作:ハイスクールD×D)

世界にはあらゆる人外が蔓延っている。▼そんな人外共をゲットし、いつかは転生を行った神を▼どつき回す為に奔走する寶月夜宵(偽)の物語である


総合評価:1649/評価:8/連載:49話/更新日時:2024年02月13日(火) 22:33 小説情報

魂を満たす物語(作者:よヨ余)(原作:僕のヒーローアカデミア)

中国の軽慶市での「発光する赤子」の報道以来世界各地で超常現象が報告され、世界総人口の約8割が超常能力“個性”を持つに至った超人社会。“個性”を悪用する敵(ヴィラン)を“個性”を発揮して取り締まるヒーローは人々に讃えられる存在であり、憧れであり、目標だった。▼ある少女、「夜月 静江」もヒーローを志す人間の一人である。▼幼少期の数多の経験を活かし、ヒーローを目指…


総合評価:310/評価:6.62/連載:63話/更新日時:2026年07月30日(木) 23:24 小説情報

目が覚めたら難易度ナイトメアの世界です(作者:寝る練る錬るね)(原作:Re:ゼロから始める異世界生活)

ラムレムの弟に生まれたリゼロ原作知識持ちの愉悦部が、推しに罪悪感マシマシな生活を送らせる為に全力を尽そう………として苦難する話。▼ 主人公はチートだから全部がうまく行く─────と思ったら大間違いだよ馬鹿野郎。チート能力持ってようがリゼロ世界では問答無用で死にますねぇ!!▼ あ゛^〜心(臓)がぴょんぴょんするんじゃぁ〜▼※タグの認識には個人差があります。▼…


総合評価:34762/評価:8.79/連載:99話/更新日時:2021年07月22日(木) 00:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>