そこで出会ったものとは?
ある、人気の無い場所にある廃神社。
さほど大きな規模ではなく、こじんまりとした大きさで、いつから人の手により管理されなくなったのか背の高い雑草が覆い繁っており、灰色の鳥居は傾き、本殿は朽ち果てている。
かつては神聖で人々の憩いの場であったのだろうが、その面影を全く残す事なく、昼間でも暗く不気味な雰囲気に包まれていた。
そのため、人気がまったくない。
そもそも、信仰する者がいなくなり手入れをされなくなった神社は不吉な気で満たされているため、安易に近づくのは危険だとされている。
しかし。
なぜかその廃神社に、一人佇んでいる少女がいた。
その気の弱そうなごくごく普通の少女の名は、仲村あかり。
今年高校生になったばかりである。
彼女がなぜここにいるのかというと、勿論好きで来た訳ではなかった。
それは数時間前の事。
「ねえ、あかり。ちょっと頼みたい事があんだけど良いよね?」
あかりに声を掛けてきた派手な見た目をしたクラスメイトの女子の原田は、一言で言ってしまえばいじめっ子である。
気の弱いあかりは、彼女に逆らえなかった。
その為、入学早々いじめのターゲットにされていたのである。
「...え?な、なに?」
「そんなビビんなくてもいいじゃん?あたしちょっと落とし物しちゃってさー。探してきて欲しーんだよねー。」
気だるげな口調だが、確かな圧を感じた。
「どうして私が...」
「あ!?なんか文句あんの?!あたしにたてつくってワケ?」
そう強く啖呵を切られてしまい、気の弱いあかりは渋々承諾してしまったのだ。
そして連れて来られたのが、この廃神社だったのである。
「ここって...神社?」
「そーなのよー。ここで友達と喋ってたらさー、お気に入りのイヤリング落としちゃったみたいでさー。悪いけど探して見つけといてくんない?」
「でもここ...」
「いーから探せってんだよ!それともあたしの言う事が聞けないって言うのかよ!?」
「わ、分かったから」
「おーサンキュー!ちなみに星の付いたヤツだから。じゃ、よろしく。」
原田はそのまま、あかりを一人残し帰って行ったのだ。
本当にここで落としたのかは分からないが、仕方なくそのイヤリングを探す事にする。
「そんなもの、 見つからないよ...」
だが、何も持たずに帰れば絶対に酷い仕打ちが待っているだろう。
どうしてこんな事になるのだろう。
楽しみにしていた高校生活。だが全然楽しくない。
毎日からかわれ、いじめられ。
感情が積もりに積もったあかりは座り込み、静かに泣き出す。
「もういやだ...」
「どうかなさったの?」
「!!?」
うずくまっていたあかりは突然声を掛けられ、驚きながらも顔を上げる。
すると、そこには巫女装束を着た同じ年くらいの少女がいたのだ。
どことなくボロボロの姿であるが、整った美しい顔立ち。
あかりはなぜか、ほっと安堵した気持ちに包まれ更に涙が溢れ出てきてしまった。
「大丈夫?」
だが巫女の少女は優しくあかりを撫でたのであった。
しばらくすると。
「ごめんなさい、私...」
泣き止み落ち着きを取り戻したあかりは、少女に謝る。
「いいのよ。気にしないで。あの派手な変な女のせいでしょう?でももう大丈夫よ。」
「?」
もう大丈夫。の意味が分からなかった。
「とにかく。もう暗いからここからお帰りなさい。」
「でも!私探している物があって!それを見つけないと...」
原田に怯えるあかりに、巫女の少女は優しく言う。
「もう大丈夫と言ったでしょう。さあ、もう行きなさい。」
そう促され、帰るしかないあかりだった。
そして翌日の事。
朝のホームルームにて、教師から衝撃的な事を言われたのだ。
「皆さんに悲しいお知らせがあります。クラスメイトの原田さんが、昨日お亡くなりになりました。」
「...!!!」
ガヤガヤする教室。
その後の教師の口からは彼女は階段から落ちてしまい、打ちどころが悪かった、と告げられる。
驚きを隠せないあかり。
だが同時に、もういじめられなくて済むんだ。という安堵感が彼女を満たした。