無双ゲーの無双される側に転生したので、ネームド達を避けつつ生きていき…たかったなぁ?   作:ムクロウ

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お久しぶりです!
旅行から帰ったので投稿再開です!
ただこのシリーズとは別に書きたい主人公が出来たので、
多分二次創作として出すかもしれません。


没案 Aルート
剣技完成への一歩目は、俺自身を認めさせることらしい


 

タケミカヅチ流剣術

 

開祖はこの剣術を

「翼無き者が天に手を伸ばすための技」

と言っていたらしい。

 

雷魔法が必要なはずなのに不完全ながら使えたり、

そもそも"鳴神"含めた三つの剣技は

言葉と大雑把な型が伝わってるだけで

()()()()()()()()だったりする辺り、

本人達で最適化していくこと前提の剣術だ。

 

つまりはタケミカヅチ流は、

「習得するのは死ぬほど大変だが

 死ぬ気で努力すればどんな人間でも

 強くなることができる」

剣術なのだ。

 

まぁそれでも、雷魔法を持っていれば

さらに高みに登れることに違いはない。

 

この世界の頂きであるシオン()を目指すのだ。

雷魔法は必須と言って良かった。

 

だからこそ俺は必死に努力していたわけだが、

成果は落雷の魔法のみ。まさに茨の道だ。

 

それでも諦めなかったのは、

きっと諦め(それ)の意味の無さを

魂が知っていたからだろう。

 

そうして俺の雷は窮地にて完成した。

なんとも俺らしい解決方法だ。

 

…まさか自分同士の喧嘩をすることになるとは

思ってもみなかったが。

 

 

………………

 

 

氷雷が迸る。

2人の人影が掻き消え、

出現しては火花を散らす。

 

「"雷切"」

 

飛斬

高速で振るわれた刀から、

氷雷で形造られた斬撃が無数に飛び出す。

 

距離を詰めようとした空亡の足が止まる。

 

「シッ!」

 

咬撃

その全てを顎で噛み砕き、

瞬時に顎を切り離すことで凍結を防ぐ空亡。

 

「遅い!」

 

そこに気が逸れている隙に

脇腹を切り裂き、半身を凍てつかせる。

 

「グォッ!?」

 

周囲を空を足場に跳び回る。

速度は雷速に匹敵し、

空亡が目を向けた時には稲妻の残滓が残るのみ。

そうして高速で三次元機動をしながら

無数に斬撃を飛ばす。

 

万象一切我が身を捉えず

 

その文言の通り、

空亡は俺を視界に捉えるのも厳しい。

 

怨呪光射(カース)!」

 

黒光

反撃に真っ黒な光線を無差別に連射する。

これは指向性のエネルギー攻撃で、

当たった相手を呪いで蝕む。

 

「…"雷雲"」

 

切る ()る 斬る

 

死を雷光で打ち払い

運命(さだめ)を太刀筋で捻じ曲げ

因果を剣撃で切り伏せる

 

宙を舞う氷雷が近づくものを感知し、

黒い光線の悉くを剣閃が切り裂く。

その後、切り捨てられた残骸は雪へ変わる。

 

「っ…」

 

地中から無数の光線が飛び出し

 

「知ってるよ」

 

その全てが粉雪へ変わる。

 

背後に回ったとしても、

地中から迫ったとしても、

氷雷の射程に入った瞬間感知し、

その全てを斬り、凍てつかせる。

 

万象一切我が身に触れず

 

今の俺の防御は

見えない城塞を纏っていると言っていい。

 

「クソ硬ぇ上にバカスカ撃ってきやがって!

 お前のソレはホントに剣術か!?

 どう考えてもその戦い方は

 重機関砲付き戦闘機だろ!」

 

「テメェこそどうした!

 なんでさっきから同じ技ばかり使う!

 他の技引っ張り出して使えば良いだろ!」

 

「っ…!?ゴフッ!?」

 

動揺した隙に斬撃を叩き込みながら言葉を続ける。

 

「触れたもの全てを腐らせる薔薇はどうした!?

 見た者の精神を狂わせる霧は!?

 原罪の炎だって本当の姿は呪血炎という呪病だ!

 本来なら空気感染した者の血を炎に変えてしまう

 対応不能のクソ技だろうが!

 貪る群体(イーターズ)飢餓軍勢(レギオン)しか使わねぇ!

 記憶喰らい(メモリーイーター)どころか幸運喰らい(ラックイーター)すら

 顔を出さないのはどういうことだよ!」

 

「テメェにはこれで充分」

 

「嘘つけ」

 

懐に潜り込む。

 

「っ"玲ろ「"雷切"!」ブッ!?」

 

拳を放つ前に直接斬撃を決める。

体の大部分が凍りつき、

後ろに吹き飛ぶ空亡。

 

「勝つ気がねぇんだよ、テメェは

 戦い自体を楽しんでんのは一緒だが、

 どう考えても手を抜きすぎだ。

 テメェはもう分かってんだよ」

 

「何が」

 

「自分が既に、

 俺の主張に納得しちまってるってな」

 

「…」

 

黙り込む空亡に続ける。

 

「それでも心配だからお前は拳を振るってる。

 安心させて欲しいから、

 力を示せと言いたいんだろ?」

 

「…オレがお前の親のような思考をすると?」

 

「似たようなもんだろ。

 どちらかというと兄弟に近いが」

 

俺は別に空亡が嫌いなわけじゃない。

これは喧嘩だ。

お互いがお互いに意見をぶつけ合って、

納得いく結末を迎える為の戦いだ。

 

「今からお前に俺の今の最大をぶち込む。

 しっかり受け止めろよ」

 

納刀

足を後ろに引き、構えを取る。

 

「心配性のバカ兄貴」

 

瞬動

氷雷を纏った俺は、雷速で空亡に迫る。

氷雷を一点に収束し、柄を握る。

 

空亡もまた構えをとり、足を踏み出す。

 

「"一歩…」

 

抜刀 踏込

 

「"鳴神"」 「…灰燼"!」

 

一閃  劫撃 

刃は空亡の認識できる範囲を超えて、

焼き滅ぼす一撃を両断する。

既に振り切られた刃が雪白色の稲妻を

収束させた影響で青白く輝くのが視界の端に映る。

 

空亡の体中を氷雷が駆け巡る。

それら全てが"鳴神"だ。

体のあらゆる部位を"斬った"という概念が

縦横無尽に暴れ回り粉微塵に切り刻まれる。

 

「…見事」

 

万象一切斬れぬもの無し

 

凍結し、粉雪となって地面に広がる空亡。

 

「…虚構の身体に貰い物の刀。

 極めつけはここは俺の世界。

 この魔法だって現実ならもっと難しいだろう。

 それでも…」

 

俺は真正面から告げる。

 

「俺は示したぞ。お前を上回る意思を。

 ちったぁ安心できたかよ?長兄」

 

霜がひとりでに浮き上がり、収束する。

それは段々と人型を作り、空亡に戻る。

 

「…変わらないんだな?考えは」

 

「あぁ、俺は俺の道を行くよ。

 紛れもない俺の力で」

 

「…ハァ、相も変わらず頑固者だ。お前達は」

 

脱力したように肩を落とす空亡。

 

「兄貴としては心配かよ?」

 

「家庭も持たないまま死ぬ弟妹達を見て

 不安がないわけないだろう」

 

「兄貴だって家庭ないじゃん」

 

「俺はそもそも人間じゃねぇ」

 

「そらそうか、ハハハッ!」

 

「カカカッ!」

 

笑い合う。

なんとなく、分かり合えた気がする。

結局空亡(オレ)は心配性なだけだ。

不幸になる可能性があったら潰したくなる。

俺の物語に横槍を入れてでも、

俺に幸せになって欲しい。

そんな願いで動いてる。

それだけしか考えてないし、他に興味もない。

 

それでも俺は

やっぱり俺であることを止められない。

救われることに期待はしたくないし、

救わないという選択は取りたくない。

 

もしかしたら、

俺は何も変わってないかもしれない。

たけどそれでいいんだ。

まだスタートラインに立っただけだ。

これから変わるっていくのかは分からないが、

少なくとも前に進む限り、俺の物語は続く。

だから…

 

「俺は」 「お前なら」

 

「「きっと、大丈夫だ」」

 

そう言った時の空亡の顔は、

魔物の顔に似合わない、優しい笑顔だった。

 

そうして、俺の体は透けていって…

 

 

………………

 

 

「っ…!?皆さん!見てください!」

 

レギンの驚愕の声に全員が反応する。

 

「ヒリュウさんの髪が!」

 

見れば、黒氷の中のヒリュウの髪色が変わっていく。

 

赤色のグラデーションはそのままに、白髪の部分が

夜霜丸の刃と同じ濃紺色へと染まっていく。

 

それと同時に左半分の空亡の部分も崩れ、

ヒリュウの肉体のみが残る。

 

「何が…?」

 

全員が固唾を飲む中、黒氷の中のヒリュウが

閉じていた瞳をゆっくり開ける。

 

右目は金色のままだが、

左目は紫紺に染まっている。

 

そして口を少し開き

 

「…氷雷(カザハナノイカヅチ)

 

凍撃

雪白色の稲妻が黒氷を粉砕する。

 

「…っあぁ〜!…疲れた」

 

思いっきり背伸びをし、

肩をゴキゴキと鳴らすヒリュウに

誰もがポカンとしている。

 

「…んぁ?どうしたお前ら、揃いも揃って。

 何か用でもあったかよ?」

 

そこに居たのは、

あまりにも見知ったままの彼で

 

「ブフッ!」

 

「アッハッハッハッ!」

 

思わずツバキと一緒に笑ってしまった。

あんなことがあったのに、

何一つ変わらない態度で話しかけてきたのだ。

もう笑うしかない。

 

「ん〜まぁとりあえず、ただいま」

 

「えぇ、おかえりなさい」

 

 

………………

 

 

色々聞きたいことがあるからと

場所をシオンの家に移すことになった。

移動はシオンの刀を目印にゲートを開いて

空間転移を行った。

 

「さて、何から話そうかね?」

 

色々あったもんだから、

どれから話したら良いものか

 

「…じゃあまず私から。空亡はどうしたの?」

 

シオンの質問に答える。

 

「喧嘩して俺が勝ったから

 俺の言うこと聞いてもらった」

 

「お前アレに勝ったのか!?」

 

「精神世界でな。現実じゃ到底無理だ」

 

…なんか呆れられてる。

 

「よくもまぁ戦う気が起きるな…

 あれを前にしたら全ての生物は怖気付くぞ」

 

「自分にビビるのは馬鹿すぎるだろ…」

 

空亡(アレ)だって俺だ。

自分自身を鏡で見てビビるのは

流石にマヌケ過ぎる。

 

「じゃあ次の質問ね。その髪色と左目は何?」

 

「これは俺の本質を抜き出した色だ。

 魂の色と言い換えてもいいかもな」

 

ちなみに左目が紫なのはシオンの魔力の影響もある。

シオンが口元を隠す。

…嬉しそうだなアイツ。

そんなに目の色が一緒なのが嬉しいかよ。

 

「で、では次は私から!

 さっきの魔法は一体なんですか?」

 

シオンが黙ったので、今度はレギンが質問してくる。

 

「あれは氷雷(カザハナノイカヅチ)、俺の創り出した氷魔法だ」

 

「…氷なのに、雷?」

 

「あぁ、俺は雷が使えないからな。

 お前らも見た"鳴神"は

 雷魔法がないと完成しないんだ。

 だが俺は氷魔法しか使えない。

 だから氷魔法で雷を再現したんだ」

 

「また突拍子もないことしましたね…」

 

「氷って雷になるんだっけ…」

 

「…よく分からないけど、

 ヒリュウが凄いことは分かる」

 

「やることなすこと特異じゃなきゃ

 気が済まないのかよお前は」

 

「雪白色の稲妻、素敵な魔法ね」

 

うーんなんか色々感想あるみたいだが、

とりあえず次でいいだろう。

 

「んじゃ次はアタシな。

 結局ヒリュウの種族はなんなんだ?」

 

これがツバキの質問だ。

 

「俺の種族は鬼人のままだよ。

 空亡になれば話は変わるけどな」

 

空亡になった俺は邪神とかそっちに近くなる。

空亡は神格とか概念とかの側の存在なので、

肉体ごと人格が切り替わるのだ。

 

「…私からも一つ」

 

今度はウィルカらしい、一体何を

 

「子供は作れるの?」

 

「何を聞いてるの!?」

 

「ははは、ハレンチです!」

 

ウィルカの言葉に

顔を真っ赤にするレギンとサーシャ。

 

「まぁ大体の種族とは作れるな」

 

別に隠す事でもないので答えてやる。

 

「ヒリュウさんまで!?」

 

「…キュゥ」

 

サーシャが気絶しやがった…

 

「おや、赤髪の子には刺激が強かったかな?」

 

「…大事なこと」

 

「はいはい、もういいだろこの話は。

 んで?他にはないのか?」

 

「じゃあ、最後に一つだけ」

 

またまたシオンだ。

 

「私達は、貴方と一緒に居ていいの?」

 

…何を馬鹿な事言ってんだか。

んな心配しなくとも

 

「ここにいる時点で、答えは決まってんだろ。

 お前らの好きにしたらいいさ。

 第一、ここはお前の家だろうが」

 

「…ふふっ、そうね。

 我ながら情けないことを言ってしまったわ」

 

「そーだぞ、お前らしくない」

 

「ツバキ、お前も不安そうにしてたろ」

 

「なっ!あ、アタシはだなぁ…」

 

「言い訳は見苦しいわよ?」

 

「ぐぬぬ…」

 

…そうだ。俺はこの日常が好きだ。

だから救いを突っぱねてでも戻ってきた。

それに…

 

「…まだ救いたいやつがいるしな」

 

彼女を救わずして俺の物語は終わらないだろう。

ただなぁ…

 

「緊張したりするのかね?」

 

何しろ前世での推しだ。

例え俺が何千回繰り返してようが、

記憶の中では二度目の人生だ。

一度目の記憶の中で特に鮮明な記憶は

流石に忘れようがない。

 

「また今度侵入しなきゃな」

 

シオンの故郷、極東の島。

そこの歓楽街の最奥にある建物。

高級娼館 遊郭

その最上階にいる花魁である彼女を

攫いに行こう。

 

俺の、エゴが故に

 

 

………………

 

 

「…今宵は月が赤い」

 

不吉な空です。

なのに、

どこか安心してしまうのは何故でしょうか?

 

「瑞雲花魁、お見せしたいものが」

 

「入ってください」

 

そういうと、側仕えの遊女が部屋に入ってくる。

 

「ありがとうございます。

 こちらの映像の人物が貴方様の探し人と

 よく似た特徴を持っているのですが…」

 

「見せてください」

 

もし仮にあの子達なら、一目見れば分かる。

そので流れていたのは、

つい先程まで撮影していたららしい動画だった。

そこに、懐かしい2人が映っていた。

 

「あぁ…!シオン!ツバキ!」

 

声が震える。やっと見つけた。

別れてもう何年が経っただろうか。

2人ともあの頃とは見違える程成長したが

私が2人を分からないなんてことはない。

ただ…

 

「どうして2人が戦ってるの…?」

 

2人はお互いを殺すつもりで

攻撃しているように見える。

 

「あっ…!」

 

ツバキが拘束され、シオンが頭に手を置く。

映像だからよく分からない部分もあるが、

魔力を使って何かしている。

頭ということは、

ツバキは何かに操られているのだろうか?

そう思いながら見ていると

 

「っシオン!」

 

ツバキが突如動き、シオンに貫手を放つ。

それが突き刺さるのを私は見ているしか…

 

「ぇ」

 

次の瞬間、

横から現れた焔がシオンを攫った。

 

カメラが動き、シオンが映される。

お姫様抱っこされ、呆然としているようだ。

 

焔だと思ったのは人だった。

いや、正確には鬼であった。

紅炎と蒼炎を纏い、金色の瞳を輝かせ、

楽しそうな笑みを浮かべてツバキと対峙する。

紅髪の青年だった。

 

記憶が罅割れる音がする。

 

ーーお前なんで泣いてんだよ

 

頭が痛い。

 

ーーあのなぁ、その歳で諦めてどうすんだよ

 

この記憶は、一体

 

ーーばーか、お前が助からない?そんなの…

 

「…ぁ」

 

ーー私が変えてやるよ

 

「ザクロ…?」

 

ここに、輪廻と因果は収束する。

魂が覚えていた、いつかあった救い。

清算の時間がやってきた。




次は平穏という名前の恋愛回!
次回 ヒリュウ、喰われる!?
デュエルスタンバイ!
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