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「…はー、色々あったけど何とか出られたわねー…」
「そうねー…これで後は予定地で予定通り除隊認められて船を下りられればいいんだけどー…」
ザフトのモラシム艦隊が上層部からの指示に困惑と不審を生じさせてから数時間後、その対象であるアークエンジェルの艦内公園では同艦の少女クルー達がお喋りをしていた。
「さすがに降りられるわよー。ていうかそのために
「あ、それならセレーナさんも弟さんと久々に会えるわねー」
「いやいやー、ミリちゃんそれはないからー。まーあの中二病親父に愚痴を言いたくなってるあの皮肉屋気取り根暗弟がさーたまに金かかる超遠距離時差極小化電話をしてくるだけでー…」
「でもさー、セレーナって両さんと酒飲んでる時に何だかんだその弟さんの写真を見せながら心配してる話ばっかしてたじゃないのー。確かー、そのディアッ何とかって子をー…」
「あーもーフレイちゃんそんな関係のない話はしないのー。それよりもさーあの勧誘の話はどうしてる?」
その話は概ね惚気主体で和気あいあいとしていたものだったが、それでも翳をさしてくる話題を無視しきれは出来なかった。
「…あーうん、リュール達と一緒にいる時はーなんか嫌そうな顔をしてすぐ離れてくるけどー、こっちが一人とかの時はーバジルール少佐やキルケが軍に残らないかって何度も話しかけてきてー…何でだろ?」
そうして上がる不審の中心にいるキラは不安と困惑を見せる。
「…あーそれー、この中で一番おどおどしてる君が一番引き抜きやすそうってのとー、君を自分達の所に引っこ抜けばー芋づる式に他にも何人かも自分達のテリトリーに引きぬけるって考えよねー」
「…え、引き抜きってー…?」
「アークエンジェルに乗る羽目になってからー、特にあのオーブの技術開発協力で見せた働きからすればー銀連にとっては喉から手が出るほど欲しい人材でしょー」
「…え、だったらリュールの方が凄いと思うけどー…?」
「いやね、プライベートでは割と雑だけど仕事絡みでリュール君にレスバで勝てる人が今のこの船にいると思う?」
「…まー、両さんくらいしかいないと思うけどあの人もかなり無茶苦茶だしー…けれどーだったらなんでなおさら私を―――?」
「“将を射んと欲すればまず馬を射よ”という言葉があるでしょう」
女子達のおしゃべりがキラを中心に硬くなろうとしたところで、シリアスな感じで天の助が加わってきた。
「―――お…て、天の助さん?」
「正面から理屈で彼を説き伏せられるものなどバジルール少佐やシュタインホフ少尉には出来ません。けれど、彼と違って政経には疎いが人は良い君の方から抱き込みやすいと考えたのでしょう」
「…それがどうリュールと関係がー…?」
「君が艦に残るとなれば、リュール君は君を放っておけずに同じように残るでしょう」
「…!!??」
それには始めキラはまだ理解が追いつかないという感じだったが、天の助が口にしたその可能性を知るとショックを覚えて嫌悪感を覚えた。
「…そして、君たち二人が残れば放っておけないというものたちも連鎖して出るでしょう。ザフトもこのままジャブローまで大人しくしてはくれないでしょうから…」
天の助のその懸念を警戒するようにアークエンジェル艦内を緊急警報が鳴り響いた。
「…全く、凶報に限って狙ったように来るものですね。いつも…」
それを受けて天の助は普段見せないシリアスモードなままで艦内公園を去った。
(((((…何故か天の助が嬉しくない意味でかっこよく話を進めてしめた!!!!!)))))
取り残された少女達は表向き無言無表情でその背を見送るが、されど内心では天の助にもっともな感じで話を終えられたことの方にショックを覚えていた。
「ウィダール隊、ヘルドール隊ともに出撃しました!」
「カサンド隊もあと10分後に出撃します!」
一方その頃、アークエンジェルを発見したモラシム艦隊は、隠れ潜んでいる液体性衛星や液体主体小惑星帯から続々とMSを発進させていっていた。
「…やっと出撃か。これまで地上をあちこち走りまわされるか艦内にすし詰めだったからなぁ…」
「あぁイザーク、この鬱憤も込めて…今度こそ足付きを!」
そうして出撃が迫っているMS隊の中に、クルーゼ隊に所属していた赤服の者達も混じっていた。
「…皆がやる気十分だな。本部から例の妙な指示もあるという状況で…」
そんな中でメアリはベヒモスガンダムの中から困惑とどこか冷めている感じの表情を向けていた。
「…だからと言って例のバルバトスは迂闊には落とせないだろう」
「この前にどっかの馬鹿女に引き起こされた怪獣騒ぎを押し付けられて犠牲を強いられた者達は納得しないだろうがなー…」
それに対し親友に対する思いが故にアスランの方はまだ気持ちを割り切れてはいない様子だった。
「…メアリ、バルバトスにはリュール…リュースが…」
「…私達の所属はザフトだ。ザフトである以上は
「……………」
「…まあ、指示としては重要性を説かれても…
「…!」
そして、割り切ろうとしているがゆえに保っている冷静さが示したその可能性に、アスランは表情をこわばらせた。
「…しかし、足付き一隻を落すだけならともかく、こちらに度々損害をあれだけ与えてきた
一方、艦隊の司令室では本国から今回の戦いの指揮官の一人として派遣されていたラウ・ル・クルーゼが難しげな表情を浮かべていた。
「…
それをまだ同室にいるマルコ・モラシムは忌々しそうな顔をクルーゼに向けるが、すぐにその顔は頭を捻らせた表情で画面上に映し出されている、青系統の色を中心とした軍艦の大軍の同星系を進んでいる姿に向けられた。
「…ザフト側艦隊ですが、我が艦隊に干渉をしてくる動きは今現在見受けられません…」
そのザフト側に迂闊に接触できない存在と見受けられる青系統中心の色が多い
「当たり前だ
その報告に同艦隊の
「…と、言いたいところだけどよー…。
だが、ギーズラのその顔はすぐに苦虫を噛んだ鳥のようなしかめっ面となり、背後に立つ帝国式の黒スーツに身を包んだその男に向けられる。
「“命の価値の本質”は同等であっても“人材の価値と方向性”は違うということだ」
「…ふん、今のあの
その男ルッチの感情が感じ取れない声が静かにだが獰猛な笑みより発せられ、ギーズラがそれで鼻息を荒くしたところで、ザフト艦隊とアークエンジェルが交戦を開始した光が画面上に映し出された。
次回、今回にて始まった戦闘での本作主人公とSEED系を中心としたキャラ達の様子が中心になります。