真は魔族の都にある地と火の上位精霊であるベヒモスとフェニックスがいる神殿が、歪んだ力場の影響で下位精霊から上位精霊まで酔ってしまったそれを鎮圧した。
そうして、歪んだ力場の原因は魔王ゼフに対する反対勢力が空気に溶ける触媒を利用した数日間程度の効力を見込んだ儀式魔術によるものであったと真は解析したのである。
つまり、真は魔族間の事情に巻き込まれたのだ。察するところ、客人として招かれた真を怒らせ、ゼフとの仲に亀裂を生ませると逆にゼフに対する反抗勢力が擦り寄り、仲間にしながらクーデターを起こそうとしたのだろう。
まあ、そんな者達の思い通りになる真ではないが……。
ゼフに対して原因について報告するとこの件の礼としてゼフより、一部機密により未記入のものがあるし、北の未開地域は書かれていない以外は全て示された魔族の国の地図と魔族の領内にある全ての街と関を自由に通行できる通行証を贈られた。
その後、真はゼフと夕食を共にして交流を楽しんだのである。
そうして、一日が過ぎるともう、魔族の都にいるのも僅かとなった。
今日は親善試合を行う日である。
なので親善試合の会場となる大きなホールへと城の地下通路を延々と歩いて到着した。
「へぇ、こいつは中々だな。良いねぇ、戦い甲斐がある」
親善試合の会場を見渡すとかなり高いドーム状の天井が続き、天辺にある開口部から常夜の空が見える。そしてホール自体も派手に動きやすい広さであった。
親善試合で真側で戦うのは真一人であり、従者である澪と識は観客席にいた。
そうしてアナウンスで親善試合の開会を伝えられ、観客席にいる魔族達から視線を注がれた。
「これはこれは……魔将全員とは恐れ入る」
真の方へと歩いてくる者達――それは魔将の四人であった。
イオとロナにそして、一度ケリュネオンで亜空の者達と戦って負けた事で捕虜になったレフトも勿論いる。レフトは彼の部下と共に解放され、記憶も消されていた。
そうして最後の一人はぼさぼさ頭の男で白衣を着ており、研究者のような雰囲気も醸し出しており、魔族特有の角に青い肌も無かった。
一見、ヒューマンのようにも見えた。
「言っておくが、俺はヒューマンじゃないぞ。マコト殿」
「なら、ハーフという事か」
「十六分の一ほど亜人の血が入っているらしい。その種族の名も俺は知らん」
「まあ、大事なのは血筋じゃなく、自分がどうあるべきかだもんな」
「ふふ、話に聞いた通りの男だな。流石は勇者と同じ異界から来ただけはある。俺はモクレン=カズサだ」
「これはご丁寧にどうも……一応改めて名乗らせてもらおう。僕はミスミ=マコトだ」
真はモクレンに対して名乗り返した。
「今日こそは渡り合ってみせるぞ、マコト殿」
「……」
「私は魔将レフトだ。陛下が認められる貴殿の力を見られる事を嬉しく思う」
イオも真に戦意高く告げ、ロナは集中して幾つもの魔術を展開して忍ばせ、レフトは真に槍を持ちながら名乗った。
真と魔将四人はこれより、親善試合を行うために会場に揃ったのであった……。