試験日の天気は晴れ後パンジャンドラム
一人の少女が生まれた。名は
「危ない!!」
ドガアアァァーーーン!!!
そこで事件は起きた。燃料が入ったドラム缶に火が引火し、大爆発が起きたのだ。幸い近くにいた者は軽傷で済み、引火した原因も突き止められ事件は事なきを得た。しかし、その爆発を目の当たりにしたお茶子。怖がらせてしまったなと両親は思っていた………のだが、
「うわあぁー………!!」
彼女が感じたのは、一種の様式美であった。
_______________________
ここは国立雄英高校。現代社会、ヒーローになりたいという夢を叶える為に多くの者がここを受験する。だが、その門を開くことが出来るのは偏差値70以上、倍率300という壁を越えた者にしかいない。
「…ここが…雄英高校…!」
校門の前に立つ緑髪の青年、
「どけクソデク。」
「!か、かっちゃん!?」
緑谷が進もうとしたその瞬間、後ろから苛ついた声が聞こえてきた。金髪のツンツンヘアーをしてる彼の名は
「俺の前を歩くんじゃねぇよクソが。」
「……お、おはよ。お互いに頑張ろうね…」
緑谷がそういう前に爆豪はそう言ってズカズカと緑谷を追い越していった。周りが爆豪を見てざわざわしていたのはまた別の話。離れていく爆豪を観ながらぼけーっとしていた緑谷だが、首を横にぶんぶん振って気分を紛らわす。
(弱気になるなー…見せてやるんだこの1年間の特訓の成果を…踏み出せ!目標への第一歩を!!)
そう思い足を動かしたが、左足が右脚に引っ掛かりバランスを崩してしまった。
(これだよ……)
自分のドジぶりに自分に呆れた緑谷。そのまま彼は顔を先頭に、地面に向かって落下していく………
ビヨォーン
諦めたように反射で目を閉じた緑谷。だがいつまで経っても顔に激痛は来ず。恐る恐る目を開けると、地面が少しだけ離れた位置に見えた。
「やあ、大丈夫か?」
声が後ろから聞こえてきた。それもトーンの高い声。視線を向けるとそこには、ピンク髪のロングヘアの女の子が立っていた。手には何かこう、円柱状の何かがあって、それから縄が伸びて緑谷を引っ張っていた。
「あ、え、あ、はい↑!大丈夫で→す↑!」
「そかそか、そろそろ離すで。小さいから壊れやすいんやこれ。」
爆豪からクソナードと称される緑谷、イントネーションが可笑しくなりつつも助けてもらった女子に感謝を伝える。すると女子はすぐさまその物体が飛ばしている縄を元に戻した。
「ちょちょちょちょ?!!」
いきなりだった為、緑谷は今度こそ顔面からコケそうになるが、なんとか両腕で踏ん張って衝撃を緩和した。ふーっと緑谷が安心したところで、女の子は歩き始めた。
「よかったよかった、ここで転ぶなんて縁起悪いもんな。それじゃうちは行くで、さいなら〜」
「あ、ちょっと待っ………?!」
女子はそう言って去っていく。緑谷はせめて名前でも聞こうと思い女子の方を見るがそこには信じれない光景が。その時風が吹いていたのだが、その風はいたずらにもその女子のスカートを浮かせていた。クソナードの緑谷にとって
(え…え、え?え、ええ?!ええええええ?!!)
だが、そこにはそれが無かった。緑谷が見てしまったのは、そう、女性の……
「……………」
緑谷、そのままの体勢で更にそこで1分も固まる。やがてピョーンと起き上がり、頬を十数回引っ叩いて正気を戻す。
「…よし!なななな何も、僕は、見ていない。」
目はやべーよやべーよ、と見れば分かるほどガンギまり、歯も清潔さの固さを示すように食いしばり、頬は桃のように赤くなっていた。そのことを気にせず、いや気づいていないふりをして緑谷は雄英の建物に入っていった。
_______________________
「……大きい!」
筆記試験、そして実技試験を終えた緑谷は、実技試験を行う会場に到着した。その大きさに受験者達の多くが固唾を呑んで見ていた。緑谷も口が変な風に強張っていたが、ペチンと頬を叩いて気を取り直した。
(う、うわぁ…!皆んな凄い自信ありそうな表情をしてる!緊張しないのかな?…個性に合わせた装備も持ってて……え?)
緑谷は後ろの方から他の受験者達の様子を見ていたが、その中に一人、異質を放っている者がいた。その異質さに周りの受験者達はその者から一定の距離を保っていた。だが、その均衡状態を破る者が二人。
「な、何をやってるの?!」
「机に椅子にティーポットにティーカップ…!一体君は何をやっているんだー!?」
緑谷 出久、そして
「ん?ああ君らか。これはな、精神統一のためにティータイムを設けていた所や。勿論、こういう時だけでなく、一日5回はティータイムを挟んでいるんや。英国紳士淑女は皆んなこうやって精神統一してきたんや。」
「な!?そうだったのか…!文化を重んじるその姿勢、見誤っていた!詫びとして何か出来ないか?!」
「詫びとかええよ、落ち着きぃ。お茶でも飲んで。」
「そうか、失礼!………美味だ!さあ君も!」
「え?!僕もなの?!」
「当たり前だ!君も彼女の精神統一の妨害をしたんだ!さあ飲むんだ!さあ!」
「ああ、はい!いただきます!」
疑問にシンプルかつ詳しく回答したノーパソ女子、意図に気づけなかった飯田は手を強く握って後悔した。そしてその詫びとして、ノーパソ女子の紅茶をいただくことに。スッーと飲んでカシャンと音を立てて感想を言った後、緑谷にも紅茶を飲めと腕を振るジェスチャー込みで命令した。
「はいスタァートォー!!」
「「「?!!」」」
「どぉーしたぁーー?!実戦にカウントなんざねぇんだよ!走れ走れ!!賽は投げられてんぞ!!」
「え…?」
突然の開始宣言。緑谷が固まって振り向いた時には、既に受験者達は会場に走って中に入って行っていた。
「で…出遅れたぁーー!?」
緑谷は驚きと後悔によって叫びながら後を追う。他の受験者の群衆が霞みかけていながらも必死に走る。
(大丈夫大丈夫!落ち着け落ち着け!!僕にはオールマイトがついている!!)
それでも緑谷は自分を落ち着かせる。この日までに費やしてきた時間、努力。それらが彼を合格に導いてくれる、ヒーローへの第一歩を踏み出させてくれる。そう自分に言い聞かせいた、その時であった。
「ッ!!」
『標的補足…ブッ殺ス!!』
右前の建物を破壊して仮想敵のロボットがやって来た。ポイントは1。打撃を中心とした一輪車型のロボットだ。
(来た!来た来た!……!?)
上等だ、と思っていた緑谷だが、自分の異変に気づく。動かない。足も手も口も、身体の隅々が動かない。
(何で動かない?!馬鹿野郎何で!?)
緑谷はただそう思うのみ。彼への疑問の解答はそう、恐怖である。彼はそう思っていないにしろ、身体は反射的に恐怖を感じ取ってしまい動けないのだ。その間に仮想敵の拳が緑谷の目の前までやって来る。
___嗚呼、終わった。緑谷は完全にそう思った。彼を応援、指導していたオールマイトに申し訳なさを感じた後、彼はそっと目を閉じる。
(……嗚呼、そういえば、あの変な人どうなったかな…あれを履かずに、紅茶を飲んでた人……)
不意にその一瞬に緑谷はそう思った。
ドガアアァァーーーン!!!
その刹那、緑谷は大きな音を聞いた。余りの音量に耳がキーンと鳴る。
そして衝撃が身体を襲う。一体何が、と緑谷は思ってゆっくり目を開ける。その目線の先には、粉々になった仮想敵の姿があった。よく見るとその残骸に、その仮想敵ロボットとは違う残骸が混ざっている。
「何が…どうして?」
次に緑谷を襲ったのは、大きな疑問だった。彼が目を瞑っている間に一体何が、と思っていると近くに人影が見えた。整った金髪が特徴の青年に緑谷は疑問を共有する。
「ね、ねぇ今のは?君がやったのか?」
「……ウ、ウィ、僕じゃないよ。僕は君を襲ったロボットを漁夫の利しようとしたら
ドガアアァァーーーン!!!
青年が話している最中に、また同じような爆発音。二人は一緒にびっくりして爆発した方を見ると、黒い煙が上がっていた。緑谷と青年は自然と二人でその爆発の方へと向かい、そして現場を発見した。
「「……………!!!??」」
そして二人は絶句する。大量の仮想敵ロボットの残骸。その残骸の山に分け入って迫り来る仮想敵ロボットの群れ。そして………
シュルルルッ!
緑谷と青年の前を横切ったのは、まるで列車のような大きい車輪。車輪の内側にはロケットが付けられていて、その推進力で車輪は回転していた。それが少し通り過ぎると、全体が露わになる。先ほどの車輪がもう1つ、反対側に付けられていて、そしてその二つの車輪に挟まれるように、それらよりも細い円柱状の何かが取り付けられていた。やがてそれは回転してロボットに衝突し……
ドガアアァァーーーン!!!
爆ぜた。これが爆発の正体、緑谷と青年が求めていた答えだった。
「あ…あれが爆発の正体…!」
「み、misérable…」
「何と、哀れと申すか?」
「「?!!」」
緑谷と青年がその光景に呟くと、いつの間にか彼らの背後にノーパソ女子がいた。しかも紅茶を飲みながら。
「…これ、君の個性なの?」
「せやで。どうや、この一瞬一瞬に変わる風景。たとえロボット達が立ち向かおうとも、白く光り、黄色に燃え上がり、橙色に爆発し、そして黒い煙と共に打ち取られる。彼らに抗う選択肢は無い。そう……」
ザッ
「"パンジャン"の前ではな。」
表へ歩み出た彼女に、黒煙が薄れて太陽の光が差し込み、決めポーズをする彼女の後ろを照らす。更にその後ろからスピーカーを乗せたタイプが現れ、音楽、『勇敢なるスコットランド行進曲』が流れる。その姿を見た緑谷は、先ほどまでの変人のイメージが吹っ飛び、不覚にも彼女が美しく見えてしまった。
ドゴオオォォーーーン!!!
「「「!!」」」
だが、その感傷はいつまでも続かなかった。先ほどまで轟いていた爆発とは違う衝撃音。3人が向けた先にいるのは、周りの建物を優々と越す背丈を持つ巨大なロボット、0ポイントだった。
「デッ……?!」
「お先に失礼!」
その余りの大きさに緑谷は立ち尽くし、青年も逃げないとと思い二人から離れた。ハッとした緑谷も早く逃げようとするが、あることに気づく。それは試験が始まってから、緑谷はまだポイントを取れてない事だ。付近の仮想敵はノーパソ女子が一掃してしまい、残るは目の前の0ポイント。そう考えていた緑谷は偶然にもノーパソ女子の方を見た。
「かなりでかいな、うちのパンジャンなら余裕で倒せるけど、いかんせん大きさがな…」
ノーパソ女子は少し青白い顔をしていたが、0ポイントを倒せる自信があるようだ。だが、それでも大きさが大きさなので少々愚痴を言っていた。それを聞いた緑谷は、すぐに行動に移った。相手が困っていたなら助ける、緑谷はそれを考えるより先に行えることができるのだ。
これが緑谷 出久が、オールマイトから"受け継いだ"個性。周囲に凄まじい風圧を付与させる脅威的な跳躍力。0ポイントの顔面を容易に陥没させるほどの凄まじいパワー。それらが発揮されたのはほんの数秒間のことであった。
「……ッ!?うわ!?」
そして、落下していく。緑谷は何とか足掻こうとするが、右腕と両足共に青く腫れ上がり、バキバキに折れている。個性の出したパワーに体が耐え切れなかったのだ。個性を液体とし体を器に例えるなら、満タンまで注がれていたグラスにさらに液体を足したようなものだ。彼は師にそう言われたことを思い出し後悔する。
「まだ……!!」
だがそんな猶予はない。彼に今出来ることは、残った左腕で落下時の衝撃を緩和することだ。これしか生き残る道はないのだ。
「ウオオオォォォーーー!!」
悲鳴とも雄叫びとも聞こえる声を上げながら、緑谷に死の地面が迫る。
パシュッ!
パシュッ!
パシュッ!
その瞬間、慣性によって緑谷の腹の辺りに負荷が掛かる。何事だと構えていた緑谷が振り向くと、仮想敵ロボットを倒していた物体が三つ、空中浮遊していてそれから発射されたアームが緑谷をキャッチしていた。
(てことは…!)
「無事でなによりやな。うちより早く飛び出してアイツをワンパンするなんて…惚れてまうやろ…」
ノーパソ女子は視線をちょっと逸らしながらボソッと言った。緑谷はそのまま低速落下で地面にふんわり着陸する。助かった、とノーパソ女子に礼を言おうと彼女を見た瞬間。
「オロロロロ〜〜……」
「えぇ?!大丈夫?!」
「うっぷ、個性使い過ぎてもうた…気にせんでええで…」
テレビ番組なら虹色に輝いているだろう。ノーパソ女子は盛大に先ほど飲んでいた紅茶を外へカムバックさせた。余りにも唐突だったので緑谷もこれには大きく驚いた。そしてノーパソ女子はその場にパタリと倒れた。
「……ハッ!そうだポイント、まだ…!」
「終ぅ〜了ォォ〜〜!!
「カハァッ………!?」
ここで緑谷、ハッと我に帰りノーパソ女子そっちのけで、ロボットを探したが、実技試験の説明会をやってくれたプレゼントマイクが試験の終わりを告げる。やってしまった。究極的に完全にそう考えてしまった緑谷、余りの絶望感に枯れたような喘ぎ声を出して気絶してしまった。身体的にも気絶してもおかしくない状態なのに、精神的にもなってようやく気絶したのだから、彼もヒーローに鳴る器があった、ということだけはよく分かっただろう。
『な…何だったんださっきの…』
『さぁ?急ににギミックに飛び出していって…』
『目立ちたかったりして…ははは』
試験終了を聞いて、ゾロゾロと二人の周りに集まった受験者たち。隠れていたのも、ノーパソ女子の個性が大暴れてしていたため、迂闊に動けば巻き添えを喰らってしまうからだった。何名かが緑谷に対し思う所があったようなのか、それぞれ感想を述べている。だが、その中にいた飯田はこう考えていた。
(見ていなかったのか!?奴はあの少女を救わんと飛び出だしたんだ!!残り時間、己の身の安全、合格に必要な要素を天秤にかけ…それでも尚、一切の躊躇なく…試験という場でなかったら、当然僕もそのようにしたさ!!)
飯田は緑谷の行動の原因を見抜いていたようで、彼は緑谷の余りの誠実さにぐうの音も出なかった。それと同時に、この実技試験の構造を完全に理解して、驚愕と共にそれを見抜いた緑谷に敬意を払ったのは、また別の話。
如何でしたでしょうか。好評だったら続くかも。他の作品も頑張って構想練ってますので応援宜しくお願いします。感想もドシドシどうぞ。では改めて、ご愛読ありがとうございパンジャンドラム。
ついでに今回登場したパンジャンの紹介をば。
〜パンジャンドラム〜
現実に実際に存在した、
〜フックショット搭載飛行型小型パンジャンドラム〜
元ネタは例の人の航空パンジャンと大砲付きパンジャンドラム。ロープは小さな爆発で吹っ飛ぶため、精度が著しく低い。ので緑谷にヒットしたのは偶然の偶然。ロープは最長50m飛び出るが、強度が低い。ので数で何とか物を運べる。へ?特攻?勿論可能だが?