まぁ……飯炊きに専念しとけば大丈夫かなって 作:スターク(元:はぎほぎ)
「
「良いなぁ兄ちゃん、もう動ける体になってるなんてよぉ」
ベジータとの戦いは苛烈を極めた。犠牲は大きく、地球から神とドラゴンボールが喪われた程に。
遅れて途中参戦した悟空も全身を骨折し、本来なら二度と満足に歩けない重傷。ラディッツも片足を捥がれ……しかし他の部位はまだマシな部類だったので、2週間が経つ頃には病床で腕立て伏せしていた。
「そりゃお前、悟飯達は
「
「そんなこと分かっているッアイタタタタ」
流石に無理が祟ったか、骨の軋みに耐えかねて倒れ伏す。気遣わしげな周囲の視線を浴びながら悶えていた所で、彼らに見舞客が訪れた。それを目にした二人の顔色が変わる。
「亀仙人のじっちゃん!」
「老師か!」
「そうじゃワシじゃ。悟空もラディッツも無理するものではない、急いては体を損じるぞ」
出てきた正論に、それぞれ苦笑と渋面で応じる兄弟。その兄の方へ向いて亀仙人は、憂うように眉間に皴を寄せて言った。
「それほどまでに宇宙に出た者達を不安に思うのは……前にお主が語った“フリーザ”なる者が原因か?」
「そうだ。宇宙中に勢力を伸ばしている奴の懐に入るような行い、俺が健在だったなら体を張ってでも止めていた」
「でも地球に閉じこもってたって同じだろ?現に兄ちゃんだってこの星に来たじゃねぇかよ」
「ぐぬ……」
「……初めて会った時は、お主がこうなるだなんて思わんかったわい」
論破されるラディッツを眺め、感慨深げに呟く仙人。地球に来襲した謎の宇宙人、悟飯を誘拐しようとした悟空の実兄。それがまさか、
「ゴハンという逸材を損切りし損ねただけだ。ピッコロだけで育てられるとは思えんかったし」
「素直じゃねぇなぁ。遺言をあそこまで守ってくれてただなんて、オラ感動したんだぜ」
「一々茶々を入れるなカカロットォ!変なとこで母さんに似やがってッ」
「良い良い。家族を守りたいという気概は既に分かっとる……そんな主らに
ほれ、と道を譲れば、仙人の背後から現れたのは武将極まる格好をした肥満男性。ヤジロベーである。
そしてその手に握られた袋が三つ。ジャラリと鳴る音は、その中身に粒状の物がタンマリ詰まっている事を意味している。
──本来、その袋は
そしてそもそも、袋がもたらされるのはあと二週間は先の筈だった。
「え……仙豆かぁ!?すげぇ量だな!!」
「ゴハンとクリリンを回復させた例の特効薬か、待ってたぞ!!」
「挨拶も無しかぃ。カリン様もたまげてたぜ、こんな豊作初めてだってよ」
「それはそれは……お主にも感謝せねばならんの」
全員の視線が一斉に向いた先には、隣のベッドで我関せずとばかりにそっぽを向いていた巨漢。彼もまた本来の歴史では、ここにいない人物だ。
何故なら、ベジータに殺されている筈で。
「礼を言うぞ
「……勘違いはすんじゃねぇぞラディッツ。別にお前に助けられたからじゃねぇ」
何よりそもそも、立ち位置としては敵の筈の存在だった。そんな彼が満身創痍ながら生を繋いだのはまさしくバタフライエフェクト、奇跡的な連鎖の賜物と言えるだろう。
その一助を担った、どころか主因ですらあるラディッツからの感謝にむしろ機嫌を悪くする包帯ミイラなナッパ。彼は続いて、自身がそうした動機を語り始める。
「オレはただ、オレを見捨てやがったベジータへ目にモノ見せてやりたいだけだ。また
「意地が悪過ぎんだろ……」
「正直育ててくれた恩を差っ引いてもドン引く」
「そら見捨てられりゃあよ」
「お主はラディッツと違って改心の見込みは無さそうじゃのう……」
「うるせぇそれが協力者への態度かテメeヴゥウゥッ」
声を荒げた反動か、呻き声とともに沈黙するナッパ。彼のその様を見届けてから、悟空とラディッツは仙豆を口に投じた。
鳴り響く破砕音。手足のギプスが内側から砕かれた、復活の福音だ。
「よぉーし、早速着替えるかぁ!!そうだ兄ちゃん、ナッパに仙豆あげて良いか?」
「やめとけ、プライドを傷つけるだけだ。それと老師!悪いがまた道着を借りていくぞッ」
「それは良いんじゃが、お主ら一体何するつもりじゃ?」
「「特訓
瞬く間に着替え終えた兄弟二人は、そのまま流れるように窓を飛び抱し空へ。その後を追うように薄黄色の雲が飛び、空に軌跡を残す。
残された亀仙人たちは、唖然としたままそれを見上げていた。
「……フン。あの弱虫ラディッツが、姐さん以外の前であんな活き活きとするとはなぁ……」
「宇宙船が出来るまではあと2週間だったか。完成と同時にゴハン達がナメック星に到着している、といった具合だな」
「ああ。んでベジータがいつ来るか分かんねぇと」
特訓の目的は二つ。ベジータと、そしてラディッツの知る更なる宇宙の脅威──フリーザへの対抗である。
町から遠く離れた荒野に降り立った彼ら兄弟は、少ない荷物を置いて向かい合った。
「すげぇな、ざっと数えただけでも20粒はあっぞ。何も心配せずに思いっきり身体をいじめられそうだ」
「何よりだ。これからどれだけ悲鳴を上げても上げ足り無くなるだろう、お互いに」
「……
悟空の問いに頷きで返すラディッツ。その瞳には、とっくの昔に灯された決意が今も燃え盛っていた。
「カカロットよ。俺はな、腐りかけてたんだ」
「………」
「唯一支えになってくれた
「滅多な事言うなよ。オラの目の前にいる兄ちゃんは“そうならなかった”兄ちゃんだろ」
「ああそうだ。お前が、ゴハンが、そうならないよう
不器用な父の想いと、心の強さを伴った母の愛。それが弟から甥に継がれていたのを見て、自分にも同じ血が流れている事を思い出せた。
だからラディッツはここにいるのだ。この地球で生まれ変われたんだと、その感謝を発露して。
「行くぞ弟よ。お前が俺を超えたように、俺もまたお前を超え返してみせる……父がそう在り続けたように!!」
「オラはカカロットじゃねぇ…だなんて野暮な事、今だけは言わねぇよ。オラも気持ちは同じだぜ、兄ちゃんッ!!!」
それがサイヤ人の絆の形だと。そう示すように、分かり合えた運命の兄弟は真正面から激突したのだった。
「ふっ、ハァ!!───ところでだがカカロット。お前、初めて出会った
「んだよ急に。オラ以外に尻尾がある人間はいなかったぞ」
「そうか……さっき支えになってくれた女性がいたと言ったが、彼女の作る料理は地球のそれとよく似ていてな。もしかしたら故郷なんじゃないかと思ったんだ」
「へぇ~。オラが地球育ちのサイヤ人なように、ソイツは“宇宙育ちの地球人”なんかもな」
「そうかもなんだが、彼女曰く元居た星では尻尾の生えた子供と暮らしていたらしい。もし彼女の故郷が地球なら、お前以外にもその子供がいるんじゃないかと思って……隙ありィ!!」
「ぉわっ!?兄ちゃんズリィぞぉ!!」
「着陸成功、装置に異常はありましぇん。コンピュータは全く正常ですじゃ」
───時を同じくして、ナメック星。その大地に降り立った宇宙船が一隻。
悟飯達ではない。
「さんきゅータコさん。アンタの腕も鈍らないねぇ」
「キャコタですじゃ、と返すのもこれで3339回目ですな。全く呆れるわい」
「律儀に数えてたのかい……」
そしてベジータでもなく……しかし彼女はまさしくサイヤ人だった。腰に巻かれた尻尾が動かぬ証拠、いや上機嫌を表すように揺れ始めたので動いてはいるのだが。
タコに似た宇宙人を引き連れた彼女が、この辺鄙な星へ降り立った目的はただ一つ。
「……で。この星に本当にあるんだね、
「あとはナメック星人が絶滅していない事を祈るのみですじゃ」
「だね。待っててよ皆……!」
集めし者の祈りを聞き届ける願い玉。その力で、バラバラになった家族・師匠・故郷を今一度一つに。
その一心で彼女───ギネは、紆余曲折を経てきたのだ。数多の苦難を乗り越えてここに来たのだ。
その成就まであとわずか。いよいよ悲願を目前に、彼女は高揚を抑えきれない。
が、ここで気付いた。
「あれっ。
「先に降りてましたぞ」
「えっ空気とか大丈夫なのかい!?」
「大気組成の解析が終わるまで待って欲しいと言ったのですが聞いてくれず……」
先程まで隣にいた
彼もまたサイヤ人。癖強く逆立つ黒髪、揺らめく尻尾、しかし来ているのは戦闘服ではない。ただの偶然か、纏うは亀仙流の道着に酷く似通った衣装。
赤と黄、二色の衣をそよ風に靡かせて、導かれるように歩いていく。
「……あ!すみませんギネさん、ちょっと何かこう、惹かれちゃって」
《毒ガスを吸った可能性がありますじゃ。早く戻って除染ですじゃ!!》
「除染!?勘弁してくださいよタコさんっ」
「キャコタですじゃ!3340回目ですじゃぁ!!」
呼び声にようやく我に返ったようで、慌てて引き返す少年。ビートと呼ばれた彼はしかし、途上でまたも立ち止まり振り返った。
その視線が射貫く物とは、果たして。
今更DBHアルティメットミッションX買ったんですけど、やっぱヒーローズは神ゲーだってハッキリわかんだね(時折飛び出してくるとんでもねぇ原作無視から目を逸らしながら)
……終わるんだなぁ