「どうも、宇宙人だよ」
「はぁ、どうも」
突然現れたその人は、僕の初恋の子と今恋の子を良いとこ取りしたかのような顔をしていた。
だから僕はなんとなく、この人は本当に宇宙人なのだ、とわかった。
「少しお時間、いいかな?」
「ええっと……そちらの感覚では、少しってどのくらいですか?」
本当に宇宙人だとすると、寿命は違うのが自然だろう。寿命が違うとすると、少しという感覚にも差があるのが自然だ。そもそも、寿命が同じな
「ああ、気にしなくていいよ。時間はちゃんとお返しする」
「……? それはタイムトラベルで……とかですか?」
「いやぁ、その資格は勉強中。今回は若返らせるほうで」
「なるほど……」
宇宙のどこにいても勉強は必要らしい。やれやれ。
「あの、僕は今、受験勉強中でして……あんまり面白い話をされると困るんですけど……」
そもそもここは学校の図書室だ。たまたま他に誰もいないといっても、雑談は……ってあれ? この時期に僕だけってことある?
「なんか、人がいなくなってるんですけど……」
「どちらかというと、私たちがいなくなったほうかな。ちょっと"相状"をズラして、時間軸から外れたのさ」
なんだかわからないけど、そうらしい。
「それで……宇宙人さんは僕に何か……?」
「うん。実は内緒なんだけどさ。地球って今日破壊されるんだよね。隕石が落ちてきて」
「ええっ? 大変じゃないですか」
「そうそう。助かりたい?」
「う~ん……どっちかというと、みんなを助けたいです」
「あら、いい子だねぇ。助ける方法は……あるよ」
「どうすればいいんですか?」
「いっぱい勉強することだ」
「ええ~……」
「そこで嫌そうな顔をしない」
「でも、勉強でなんとかなります?」
「さあね。少なくとも、何もしなければなんとも」
「はぁ……あなたがなんとかしてくれたりしません?」
「手助けはしよう。でも、直接助けるのはルール違反でね」
「そこをなんとか」
「ワガママ言わないの」
「ニンジン食べるから……」
「苦いよね……」
僕はそこで宇宙人さんが大好きになった。
「じゃ、やってみます」
「おっ、いいね」
ということで、僕は勉強してみることにした。
学校の図書室で、800年と少し。
「なんか、意外と短めでいけましたね」
「いけたねぇ」
まさか学校にあるもので隕石を防げるとは思わなかった。勉強は大切だなぁ。
「それじゃ、私はこれで」
「はい。ちゃんと、合格祝いに来てくださいね」
「もちろん。極上の酒……はまだ早いか。極上のニンジンを持ってくるよ」
「いや、それはいいです」
「同感だ」
宇宙人さんは去っていった。二人で改良した"相状"遊離式で。
僕たちはほとんどずっと時間軸を外れて行動していたので、隕石をどうにかするまでにかかった"実相"時間は1時間とちょっとだけだった。そう考えると、なんだか得をした気分だ。
「なんだか……面白かったなぁ」
僕はつぶやいた。
それから、受験勉強に戻っ「ただいま。……あっごめん、ちょっと戻りすぎた。これ新車でさ。かっこいいだろ? じゃ、また来るね」
「ああ。おめでとうございます」
さ、勉強勉強。