1543年、宇宙人によって種子島にビームライフルが伝来した。すごい。
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※だいたい家康が生まれたぐらいの時代です


1543年、種子島にビームライフルが伝来したことは知っているな?(PR)

 

 

 時は室町時代、天文12年(1543年)──

 

 種子島の南に位置する前之浜沖に、奇妙な物体が漂着してきた。

 その知らせを受けた村の領主である西村(にしむら)織部丞(おりべのじょう)は自ら確認のために浜辺へと急行すると、そこには見たことがないものが存在していた。

 

 全体の形は茶碗に似ていただろうか。銀色で大きさは屋敷ほどもあり、周囲に金属をすり合わせるような嫌な音を立てている。

 

 そしてなにより、その物体は砂浜から数メートルほど浮いていた。

 

「ヤバい」

 

 織部丞は率直にそう呟いた。

 眼前にあるのがなんなのか分からない。まったく見たことがないし、どうやって浮いているのかも不明だ。

 ただ全身に鳥肌が立つ、凄く不味い気配を感じた。未知の恐怖だ。

 空飛ぶ茶碗……いやもう円盤でいいか。UFOの一部分が赤く光ったかと思うと、中からゆっくりと宇宙人が降り立ってきた。

 今どきこんなの居ないだろってぐらい、コテコテのグレイタイプな宇宙人だ。それでも16世紀では最新スタイルなのだ。

 全身輝く継ぎ目のない銀色の皮膚か、宇宙服を身にまとっている。巨大に見える頭部は実のところそういうデザインのヘルメットなのかもしれない。

 

「縺薙s縺ォ縺。縺ッ縲∝慍逅??譁ケ縲ゅo縺溘@縺ッ繝昴Ν繝医ぎ繝ォ莠コ縺ァ縺」

「は?」

 

 全く聞き取れない言葉に織部丞は小刻みに震えながらも聞き返した。

 

「縺翫▲縺ィ縲√%縺ョ縺セ縺セ縺ァ縺ッ險?闡峨′騾壹§縺セ縺帙s縺ュ縲る?夊ィウ陬?スョ繧偵う繝ウ繝励Λ繝ウ繝医☆繧玖ィア蜿ッ繧偵¥縺?縺輔>」

「わ、わかった! わかったから!」

 

 こうなっては自分の手に負えない。島主である種子島(たねがしま)時尭(ときたか)公や、その家老に任せる他はない。織部丞がそう判断したのも仕方あるまい。

 だが、そのわかった、という返事がよくなかった。

 この現地人は通訳装置をインプラントすることを許可したのだと、宇宙人は判断したのである。

 

「縺ゅj縺後→縺??∵眠縺溘↑蜿九h」

「なに!? なんなの!? 怖い!」

 

 宇宙人は手のひらサイズのパラボラアンテナめいた装置を何処からか転送して──無造作に織部丞の頭頂部へ突き刺した。

 

「ぐあああああ!?」

「縺薙l縺ァ繧医@」

「はっ!? 通じる!? 今、『これでよし』って言った!?」

 

 織部丞は信じられないような顔で、人間離れした銀色の宇宙人を見た。頭に生えたアンテナのお陰で言葉が通じるようになったのだ。ついでに、アンテナから精神安定剤が頭蓋骨を貫通して脳に直接注射されて恐慌状態も落ち着いていく。凄く便利だ。

 

「ええと、貴殿の素性と目的は……?」

 

 そう尋ねると脳内に響くように、彼の言葉が理解できる。

 彼は異なる国(国と言ったか星と言ったか曖昧であったが)からやってきた商人である。その国は発音が非常に難しく、日本人が口にするとポノレトガノレという言葉に近い。ということで、織部丞は仮に「ポノレトガノレ人」だと言うことにした。

 その外国製の浮かぶ船で偶然ここに立ち寄ったということで、土地の権利を持つ領主相手に商売がしたいという話であった。

 そうなれば織部丞も話が早い。とりあえず上役である種子島のお殿様へと話を持っていけばいいのだ。何故か瞳孔がやや開き気味になってきた織部丞は言われるがままに、赤尾木(現在の西之表市)にいる種子島時尭と家老へと報告に馬を飛ばした。

 

 

 

 *****

 

 

 

 頭に妙なアンテナを刺して、なんか耳が尖ってきた気がする織部丞から「異国人の商人が漂着し、商売を求めている」という報告が届いた種子島の当主、時尭は目を輝かせた。

 御年16歳。若き当主はとにかく行動的で、決断力が高かった。元々種子島という南の果て(当時の日本では)にある孤島は思ったよりも辺境ではなく、鹿児島どころか大阪、堺、琉球などの船が立ち寄る港であり、島の特産品である砂鉄や鉄器の販売もあって貿易は盛んだった。

 しかしそれまで来たことがない異国の商人、というものは時尭の興味を強く刺激しただろう。

 すぐさま織部丞に命じて、その異国の船を赤尾木の港へ連れて来るようにと指示した。

 

「おまかせくだサイ!」

 

 そこはかとなく声が固くなってきた織部丞は承知し、また馬で前之浜へと戻る。

 

「鬆倅クサ讒倥?縺ィ縺薙m縺ク譚・縺ヲ縺?>縺昴≧縺ァ縺」

「繧上°繧翫∪縺励◆縲∬。後″縺セ縺吶?ゆク?邱偵↓譚・縺ヲ縺上□縺輔>」

 

 織部丞とポノレトガノレ人が日本人には不可能で耳障りな発音で会話しているのを、前之浜西村の住人たちは不気味そうな顔で見ていた。

 そうするとポノレトガノレ人は一旦エイリアン・ビークルへと戻り、それを動かした。重力を感じさせない動きで空中を移動する飛行物体はまず織部丞の上空に止まり、彼をトラクター・ビームで宙に浮かせ、そのまま織部丞の指示で赤尾木へと飛んでいく。もはや言葉を交わさずとも、脳内で会話が可能になっていった。

 赤尾木の港へと辿り着いた異星人の船は空に浮かんだまま停止し、再び内部からポノレトガノレ人が降り立った。

 若き領主である種子島時尭は、

 

「もうついたの!?」

 

 と、驚いた。前之浜から赤尾木までは50キロメートルは離れているというのに。家臣数十名を引き連れて港へと見に行き、宙へ浮かぶ乗り物に腰を抜かした。

 種子島は実のところただの田舎ではない。古くから製鉄、造船、航海技術を持った一つの国、『種子島藩』なのだ。およそ30年前には幕府の命令で乗員が100名以上になる遣明船を作るほどの技術があった。種子島家では文武両道を尊び、一介の武士でも漢文を嗜み勉学に励む気質があったという。

 そんな彼らでも理解が地平線の彼方まで離れて追いつかないレベルのエイリアン・ビークル、即ち異星人の乗り物があるのだ。

 もはや神仙の乗り物とでも思ったほうがまだ知識の範疇内であっただろう。

 

 なんか白目のあたりが黒くなってきたように見える織部丞がポノレトガノレ人を連れて時尭のもとへ向かう。

 

「殿! こちらがポノレトガノレ国より来られた商人でゴザル!」

「縺ッ縺倥a縺セ縺励※鬆倅クサ縺ゥ縺ョ縲ゅ%縺ョ蠎ヲ縺ッ萓ソ蛻ゥ縺ェ驕灘?繧堤エケ莉九&縺帙※縺?◆縺?縺阪∪縺」

「挨拶と、便利な道具を是非見て欲しいとのことでゴザル!」

 

 耳鳴りがするような異星人の声を織部丞がやけに元気に通訳した。

 

「お、おお……ええと、では慈遠寺へ向かわせよう」

 

 慈遠寺は9世紀頃に建立した古い寺で、その宿坊は赤尾木へとやってきた船乗りの宿として使われていた。

 時には商人らの取り引きもそこで行われていたのである。ちょうどこの頃、堺の絵師である珠幸が逗留していたのでこのときに来たポノレトガノレ人の姿も似絵として記録されている。(PR:種子島開発総合センター『ビームライフル館』に所蔵)

 銀色の光る異国人の姿にやや遠巻きになりながらも一行は向かい、寺の一室を借りてそこに座る。

 ポノレトガノレ人は寺の床を見てやや逡巡した様子で、手元の端末を操作すると透明のシートを手元に転送してそれを敷いた。

 そしてやおら、そのシートの上にまた別の道具が複数転送されて置かれる。

 いきなり現れた様々な道具に「おおお!?」と種子島家の主従は怯えた。一方で脳内改造されている織部丞は怯むこともなく通訳をして道具の説明をした。

 

 

・『万能翻訳機』一定以上の言語能力を持つ生物と意思疎通ができるようになる。使うと脳と肉体が不可逆に変化する。

 

・『医療用ナノマシン』不老長寿になり、欠損や病気を防ぐ。使うと脳と肉体が不可逆に変化する。

 

・『食料プラント』太陽光と空気から食料を生み出す。食べると脳と肉体が不可逆に変化する。

 

・『エキゾチック物質発電機』半永久的にエネルギーを生み出す。稼働させると周辺生物の脳と肉体が不可逆に変化する。

 

・『マイクロ縮退ゴミ箱』なんでも廃棄できる。不可逆に変化してしまった生物が周囲を汚染しないように完全に処分できる装置。徐々に成長する。

 

 

 皮膚がボロボロと崩れながらもそんなことを説明してくる織部丞の言葉は、半分も理解できなかったのだが本能的な危機感だけはビンビンと感じる種子島家中の武士たちであった。

 彼らは決して知識のない田舎者ではない。交易によって漢籍を嗜むし、僧侶が訪れることもある。日本、中国、天竺などの古い話を知ることもあった。

 その中には不老長寿の薬だと思ったものが毒であったり、食っても減らぬ肉を食い続けた者が化け物になったりといった昔話にも心当たりがある。

 織部丞の説明は完全には理解できないものの、そういった一見魅力的な道具なのだが危険な副作用があるものなのでは、と警戒するのも当然である。なにせ銀色のグレイタイプ・エイリアンなのだから。

 

 そして最後に見せた道具は比較的わかりやすいものであった。

 

「これは『レーザービームライフル』……この棒の先から強力な光を放ち、物質を蒸発させる兵器デス。コノ惑星の大気での拡散率は一町あたり0.03。有効射程は十三里。連続照射時間87ポノレトガノレ標準秒。バッテリーは電力でチャージ可能。今ならチャージ用変電コネクタもツキマス」

「お、おい。織部丞、しっかりしろ!?」

「大丈夫」

「でもお前……皮膚が光って!」

「螟ァ荳亥、ォ」

 

 硬質な声を出す織部丞。なんでこんなことになってしまったんだ。

 それはさておき、レーザービームライフルの形状は名前の通り長銃型で、渋い鉛色の素材に電源を起動させるとゲーミング発光する派手さも備えている。

 元来、男の子というものは銃が好きだ。

 まったく知識がない幼児でも性別が男ならば、銃型のおもちゃを持たせたときに脳波が大きく揺れるという研究はご存知の通りだろう。

 むしろある程度の大人になれば銃が危険だとか、近接武器に比べて男らしくないだとか、全米ライフル協会は頭がおかしいだとか不必要な知恵を得て好き嫌いが分かれてくるのだが、人類の男は本能的、遺伝的に銃を好むのだという説が現代では支配的である。

 

 そして種子島の領主である種子島時尭は男の子であった。

 元服済であっても、まだ16歳の少年ハート。ビームライフルに魅了されてすっかり脳を不可逆に変化させられてしまったのだ。

 

「それを使って見せることはできるか?」

「繝槭せ繧ソ繝シ縲∝スシ縺瑚ゥヲ蟆?r隕∵アゅ@縺ヲ縺?∪縺」

 

 織部丞は感情を感じさせない声で時尭の要求をポノレトガノレ人に伝えると、それは許可された。

 一同はビームライフルを持って近くの砂浜へと出向き、家来らがそこにある岩を背に胴巻きを着せた巻藁を設置。試射を行うこととなった。

 誰にでも使える、というところを見せるために織部丞がビームライフルを構える。興味深そうに時尭は近づいて眺めるのを、織部丞が制止した。

 

「殿! 銃口から数歩は離レテ下サイ! 僅かな距離で消滅シマスが危険な放射線が発生シマス!」

「お、おお? なんか知らんが」

 

 注意されて彼が後ろに下がったのを確認すると、誰からも教わっていないのに脳にインストールされたような狙撃姿勢で織部丞はビームライフルを発射した。

 

 ジャ、とか、ビ、とかいった音が聞こえた。

 射線上の大気成分を一瞬で崩壊させ、爆風の如き圧力がレーザービームの発射跡に発生、プラズマ化した気体が白い痕跡を一瞬だけ残し、吹き散った。見ていた種子島家の者たちは、白い光を飛ばすのかと思ったがそれは光そのものではなく変質した大気の色だ。

 一瞬遅れて天地を揺るがすように響き、ポノレトガノレ人と織部丞以外は腰を抜かして転げた。ビームが巻藁と岩を貫通してその背後にある海に突き刺さり、水蒸気爆発を起こしたのだ。

 着弾した巻藁は拳二つ分ほどの大きな穴が空いており、更には大気の消滅と吹き戻しにより衝撃波が発生し全体が崩壊寸前に。岩は着弾部が貫通しながら蒸発して膨張、ひび割れだらけになっている。二つの目標を破壊して海に突き刺さった地点では魚が腹を見せて浮かんできていた。

 

 時代錯誤の高威力である。この武器が防げる鎧、城はこの時代にそうない。連続照射をすれば山にすら穴を空けてしまう力を持っていた。

 家臣らはドン引きであるが、時尭は目を輝かせて喜んだ。

 

「凄い! なんという力強さだ!」

 

 16歳の少年は強力な力に弱い。そうでなくとも、このときの種子島家は武力の増強を求めていたのだ。

 というのも遡ること僅か半年前、大隅国の国人である禰寝(ねじめ)氏が種子島に強襲を仕掛け、時尭の父親で前当主の種子島恵時はこれに敗北。講和の条件として種子島家が所領していた屋久島を禰寝氏に譲渡する羽目になってしまったのだ。

 屋久島は米こそ殆ど取れないが、腐りにくい屋久島特有の性質を持つ木材は船を出してでも買い手がつくことが知られていた。すぐにでも奪い返さねばどんどん禰寝氏が屋久島内で戦力を充実させ、奪還は困難になっていくだろう。

 そこでこの度肝を抜く新兵器を活用してはどうか、と時尭は思ったのだ。

 

「すぐに買おう! 織部丞、できれば複数欲しいことを伝えてくれ!」

 

 織部丞が頭からピピッと電波を飛ばしてポノレトガノレ人と交渉し、内容を伝える。

 

「販売可能数は2本と言っております」

「代金は?」

「種子島周辺の海から、海水を1割ほど貰えればそれで良い、とのことです」

「か、海水……?」

 

 謎の要求に時尭のみならず、家臣らは首を傾げた。そんなものが代金になるなんて聞いたことがない。

 だいたい、海の水など勝手に汲んでいけばいいではないか、とも思った。

 だが普遍的にどこの星であっても、大量の水というのはあればなんにでも活用できる万能の資源なのだ。鉄や金や石油よりも大量の水は宇宙において貴重で、利用価値が高い。

 そしてポノレトガノレ人が所属している銀河系の商法に関わることなのだが、「知的生命体が存在している未開惑星で資源の採取をする際には、現地人から許可を得なくてはならない。また、不当な搾取をしてはならない」というものがあったのだ。

 アメリカで牛を攫っていく連中も実はアメリカ政府に許可を得て取り引きしていることは有名だろう。

 ちょっとしたお土産程度の物品ならばともかく、大規模に採取する際には後から問題にならないようルールは守らねばならない。

  

 宇宙人の事情はさておき、代金が水というのは意味不明であったが、そこらの海水を適当に持って行くことが対価になるならば別に断る理由もない。

 織部丞が作成した契約書も家臣らと回し読みして確認したが、確かに「海水一割」以外は要求されていないので、妙な不安を感じたが時尭は日本語で書かれたものとポノレトガノレ語で書かれた契約書にサインと血判を押した。

 ただし、取り引き内容に関しては門外不出と家臣らに厳命した。海の水を売り払って超兵器が買えるのならば誰だって売りたがるに違いないからだ。

 

 なお海水はポノレトガノレ人が海中にワープポータルを置いて自動で母星近くの水資源保管用スペースコロニーへと転送するらしい。

 

 こうして、種子島家は超科学力の産物であるレーザービームライフルを2丁手に入れ、地球の海水は10%(1.4億立方キロメートル、1.4兆☓140万トン)ほど減少した。

 

 

 

 ******

 

 

 

 ビームライフルを手に入れた種子島時尭は数度の試射を部下と共に行い、早速実戦へと用いることを決めた。

 屋久島の奪還作戦である。

 これにはもう一つの理由があり、ビームライフルは電力充電式であるため、発電設備が必要だった。異星の知識をある程度得た織部丞がアフターサービスとしてそう説明し、比較的低い文明力で作れる発電設備として水力発電を提案した。これは、雨が多く急峻な山からの激流、滝が多く存在している屋久島が発電施設の条件として相応しい。種子島は平坦で高い山はまったく無いのだ。

 後の量産も視野に入れている時尭は是が非でも禰寝氏から屋久島を奪い返さなくてはならない。

 

 種子島家の家臣、肥後時典が百名余りを連れて屋久島の西、楠川へと上陸した。楠川は種子島を目視できる位置にあり、種子島家はここに城を建てて狼煙などで合図を送れるようにしている。

 一方で禰寝氏は種子島家の上陸を知ると手勢を楠川の北、宮之浦に集めてそちらに築かれた城ヶ平城へと立て籠もる。こちらも急坂にある山城で宮之浦を一望でき、攻め込むには困難な位置である。

 以前よりの予定として、大隅本国にある禰寝氏は坊津(ぼうのつ)から屋久島支配の援軍を送ることになっていた。暫く籠城して耐えれば援軍により数を増した屋久島勢だけで種子島軍を撃破できるだろう。

 

 そう考えていた禰寝軍が籠もっていた城ヶ平城に、光条が突き刺さった。

 木々はレーザー光により熱されプラズマ化した大気の余波で一瞬にして燃え上がり、城のある山に突き刺さったレーザービームは地面を貫通して湧き水の水脈に直撃、これが大爆発を起こして山崩れを発生させた。レーザー光に直接触れた禰寝兵は火を付けたマッチのように燃え尽きて消し炭となり、レーザーの周囲にいた者らも体液が沸騰して絶命した。

 山の裾野へと連続照射したことで大規模な山火事が発生して作りかけの城ヶ平城を包み込み、誰一人として逃げ出すことができずに禰寝兵は死滅する。それ故に城ヶ平城のあった山は「皆倒(なたお)れ山」と呼ばれるようになったという。

 地獄絵図を作り出したあまりにも一方的すぎる勝利であった。

 

 これが歴史に残る、最初にビームライフルを使用した合戦である。いや、一瞬で終わってしまったので合戦とは言わないという説もあるのだが。

 

 

「よし! 次はビームライフルの量産だ! 総指揮を取るのは刀鍛冶の八坂金兵衛(やさかきんべえ)! お前に任せる! 人員も予算もいくらでも使え!」

「ハハーッ!」

 

 時尭の命を受けた種子島でも1、2を争う名工は頭を下げて引き受けた。

 僅か2丁しかないビームライフル。その一つを分解して構造を理解し、一から作り上げなくてはならない。

 大きな責任が伴い、非常に困難な仕事だ。だが種子島でハサミなどを作って腕を上げてきた金兵衛は全身全霊をかけて取り組んだ!

 

 そんな彼の挑戦に大きな壁が立ちはだかる。

 

「できねぇー!」

 

 でしょうね。

 室町時代の刀鍛冶ではビームライフルの製造は大変だった。まず継ぎ目を見つけて分解するまでに3日かかった。内部構造はやたらゴチャゴチャしている。一度なにかを取り外したら二度と戻らなそうだ。

 それでも堺の絵師に全ての構造を絵に描かせたり、木製で削って模型を作ってみたりと努力をしたのだが当然ながら機械部分は理解ができない。

 しかし彼にも種子島家に仕える武士として、殿から直々に命じられた意地がある。

 種子島沖で海水転送用ワープポータル設置の作業をしているポノレトガノレ人のところまで小舟を出して貰い、彼に教えを受けることしたのだ。

 

「異国の方! 我が娘、若狭(わかさ)を差し出します故、ビームライフルの製法を教えてくだされ……!」

 

 金兵衛の娘は家中でも美少女で有名であり姫と呼ばれるほどであったが、その娘を異国人の妻なり愛妾なりにして製法を聞き出そうとしたのだ。

 年の頃14の若狭姫(巨乳)はかなり怯えていた。いきなり嫁に行かされるのは武家の娘としての務め、父親の仕事を手伝う礎になるのもやむを得なしな覚悟はあるのだが、異国人どころか見た目グレイタイプの異星人へと嫁がされることになったのだ。

 まず人間には見えない。体からオゾンみたいな臭いのする銀色のポノレトガノレ人は通訳の織部丞と会話して事情を飲み込む。

 織部丞が頷いた。

 

「大丈夫ダソウデス」

「いいんだ……!」

 

 断ってくれないかなあと内心思っていた若狭姫は泣きそうな目頭を抑えた。

 勿論、金兵衛だって娘が可愛くないわけではない。大事にしたいと思う。だが、殿からビームライフルを作れという命令を達成するためなら、娘だろうが親兄弟だろうが犠牲にしてでもやらねばならないのだ。

 ポノレトガノレ人は織部丞に、針のついたゴルフボールのような道具を渡した。指先の爪がいつの間にか消失している織部丞はそれをおもむろに、金兵衛の鼻へと突き刺した。

 

「ぐああああ!?」

「お父さま!?」

「あっあっあっっっ……知識が……製法がわかる、わかるぞっ! 若狭!」

「こわ」

 

 宇宙人が使わせた道具は生体用のメモリースティックで、脳に差し込むことで必要な情報を直接インストールすることができる便利なものだ。差し込む際に起こる脳の損傷も接続部からナノマシンを送り込んで修復されるので安心である。

 

「今すぐっ! 今すぐ制作に取り掛からなくては! 若狭! 後は任せヒャッハー!」

「ああっ! お父さまが舟から飛び降りて泳いで帰ったわ!」

 

 異星の高度な科学知識が溢れ出さんばかりに脳へと注がれた金兵衛は勢いのまま海に飛び込んだ。情報量が多すぎて脳が焼けそうになり水冷却が必要だったので本能的な行動だ。

 血走った目をして鍛冶場へ戻る金兵衛を若狭姫は見送って、そして背筋が凍るような気持ちでポノレトガノレ人の方へ振り向いた。

 異星人と並んでまばたきをしない瞳でじっとこちらを見ていた織部丞が、

 

「螟ァ荳亥、ォ」

 

 と、呟くと彼の頭頂部に突き刺さっているアンテナが虹色に発光し、ユンユンとした脳を揺らす音と共に電波を若狭姫に向けて放つ。

 痛みはなかった。

 恐怖も消えた。

 苦しまなかったはずである。

 少なくとも、そう信じていたい。

 

 

 

 数日後……

 

 金兵衛の鍛冶場から再びの叫びが聞こえた。

 

「できねぇー!」

 

 でしょうね。

 ビームライフル製造のため、原始的な状態から一つ一つ発展させて作り出すための基礎技術を脳に埋め込まれた金兵衛だったが、基礎段階の部品すら作るための素材やエネルギーがまるで足りない。

 知識もある。腕もある。なのに種子島という狭い孤島内では絶望的に足りない。宇宙人が電波を当てて観測した種子島周辺に分布する鉱物のリストも脳内に入っているため、その悔やむ思いも強かった。

 こうなれば殿の嫁(島津家の姫である)もポノレトガノレ人に売りつけるか……金兵衛が物騒なことを考えていた時だった。

 カシャ、カシャと妙な足音が鍛冶場に響いた。

 金兵衛が振り向くと、そこには手足の生えたドラム缶に黒い垂髪がついている。顔のようになっている丸や四角いパーツがピカピカと点滅した。

 

『オトウサマ、帰ッテキマシタワ』

「若狭! お前……体が……!」

 

 若狭姫はメカサ姫になっていた。

 丸いやっとこ鋏(種子島名産)のようになった手をガチガチと鳴らしてメカは言う。

 

宇宙物質製造部門(コスモライン)・プリンセス・ワカサ──オトウサマノビームライフル製造ヲ補助イタシマスワ』 

「若狭ぁー! でかしたぁー!」

 

 アフターサービスの一環、ビームライフル製造の手助けとして宇宙人に改造されたプリンセス・ワカサを抱きしめて金兵衛は叫んだ。感動的な父娘の愛である。

 

 

 プリンセス・ワカサはエキゾチック物質炉を搭載した原子変換精製マシンである。簡単にいえばそこらの辺の砂を飲み込んで、好きな金属へと変換できる。また、エキゾチック物質炉から生み出される熱を利用することで金属加工も可能だ。

 これを手に入れたことにより金兵衛は素材の問題が解決され、更には生体メモリースティックを複数人に使用して知識を共有することで作業を効率的に行った。幸いなことに犠牲者は少数で済んだ。

 同時に知識を植え込んだ者たちを屋久島開発に向かわせる。水力発電設備を作ると同時に、屋久島では耐熱金属を作るための鉱物であるタングステンが産出される。プリンセス・ワカサが鉱物を生み出せるとはいえエネルギーや変換効率には限度があるので、現地で取れるものは利用したほうが良い。

 

 

 

 ******

 

 

 やはりハサミ造りで鍛えた鍛冶の腕が良かったのか、種子島人の意地によりやがて国産ビームライフル(及び屋久島発電所によるモジュールバッテリー)が完成した。すごい。

 試作品だけあって性能は本来のビームライフルよりも2割ほど劣化したが一丁あれば砦を焼き払うには十分な能力を持つ。また、改善の意欲も生体工場となった八坂金兵衛たちにも見られた。

 種子島時尭は狂喜した。

 

「これで戦の形は変わるぞ!」

 

 でしょうね。 

 とはいえ、種子島家は種子島、屋久島、口永良部島をあわせた多禰国(たねのくに)を領地にしている(他に口之島も含むが)。種子島は平坦で温暖故に作物はよく取れ、交易も盛んだ。孤島だけあって攻め込まれることも稀なため戦乱も少ない。屋久島は農耕地が少ない分、税が殆どなくて(離島で少ない税を取り立てても運搬コストのほうが高い)島民は呑気に魚釣りをして暮らしていた。

 この前に禰寝氏に攻め込まれたのがイレギュラーではあるが、戦国乱世とは縁が遠い立地なのだ。取り立てて領地を広げる野心が少ないとも言える。

 ビームライフルの製造も三島の資源とプリンセス・ワカサでどうにか賄える。

 

「……とりあえずビームライフルを売ってみようか」

 

 戦で儲けるのはなにも勝利して領地を増やすことばかりではない。むしろ領地を増やせば管理は大変だし他の大名に狙われる土地が増えるし、戦で手柄を立てた家臣に褒美を与えねばならない。

 一番はやはり戦に巻き込まれない第三国の立場から、物資を高値で売りつけることだろう。

 万が一こちらに攻め込まれても大丈夫な量のビームライフルを確保しつつ、これを売る。それにビームライフルを一度購入した相手も使い続けるにはモジュールバッテリーを追加で買い続けなくてはならないので継続した儲けが期待できる。

 

「まずは島津家に送るか。使ってもらわないと買い手もつかないからな」

 

 時尭はそう思った。彼の正室であるにし姫は島津忠良(日新斎という号で有名な島津家中興の祖)の娘であるのだが、その島津家は現在鹿児島全土で大規模な家督争い中なのだ。

 島津家同士で分かれてそれぞれ国人を味方に付けつつ宗家の座を奪い合っており、鹿児島の統一もできていない。異星人の侵略以外は呑気な種子島とは打って変わって地獄の戦国時代であった。

 どの島津を支援するか、という問題もあるのだがとりあえず嫁の実家なので島津忠良にビームライフルと使い手の家来を送ることにした。

 

 

 

 

 1549年、島津貴久(島津忠良の子、15代当主)は肝付(きもつき)氏を屈服させるために加治木へ攻め込む。

 島津側は黒川崎、肝付勢は日木山川を挟んで陣を張り、互いは激突。

 半年あまりも戦い続けて決着がつかない泥沼の戦いになっていた。

 決め手がないまま歯噛みしていた島津軍の大将、伊集院忠朗に報告が届く。

 

「伊集院どの! 種子島より援軍がやってまいりました!」

「なんと! 離島からわざわざとは感心な……して、どれほどだ?」

「それが僅か数名でして……新兵器のビームライフルとやらを持ってきておりますが……」

「数人?」

 

 訝しがりながらも援軍としてやってきた種子島家の家来を通すと、ビームライフルを手にした武士がやってきた。

 島津家に送ったのは2丁。後は実戦での使用データを記録するチームと武器の説明、交渉を行う家老である。 

 全員が色眼鏡をかけていて(ビームライフルの光が目に有害なので)異様な雰囲気を見せている種子島勢から説得され、そこまで言うのならばと戦場で使ってみることにした。

 

 島津軍が見守る中、川向かいに布陣している敵へと向かってビームライフル2丁の射撃が行われた。

 薙ぎ払うようにして打ち込まれた光熱の刃は要塞化されていた陣地の壁をたやすく切断、同時に発火炎上させる。地平線まで射程があるビームライフルは射線にある全てを貫通しながらプラズマの嵐を巻き起こして破壊していった。

 折しも暴風が吹き荒れている時合であり、高温の爆発に伴って大気が乱れ短時間の火炎旋風が発生。肺を焦がす熱波の奔流によって直撃を免れた兵士らも即死。かろうじて川に飛び込んだ者たちは半数が溺れ死に、ビームライフルにより川を狙った射撃によって瞬間的に沸騰した川で茹でられて死んだ。

 数十秒の攻撃で、これまでさんざん手こずってきた肝付氏率いる軍勢は哀れなほどに壊滅してしまったのだ。

 

「……」

「こわ」

 

 島津軍はあまりの威力にドン引きした。その間も淡々と種子島ビームライフル部隊の者たちは性能評価のデータを記録していたが。

 

 

 その後、一方的過ぎる武器とはいえ戦に勝利できることは明らかなので島津忠良、貴久親子は種子島家より贈呈されたビームライフルを使って鹿児島を平定していった。ビームライフルは無料だったがモジュールバッテリーの代金で種子島家は馬鹿みたいに儲けた。

 そして戦国大名が合戦で使用している新兵器、ということでビームライフルは他の大名からも注目されたのだが生産数を絞っているために正体が掴めない。

 形状となにかを発射する、ということから情報を集めた豊後の大友義鑑は交易していた倭寇などから話を聞き、恐らく西洋人の持つ『鉄砲』ではないかと掴んだ。

 薩摩と大隅を統一し、日向を攻め立てている島津に対抗するために大友家は急ぎポルトガル人と交易を始め、火縄銃を手に入れることに成功。

 豊後といえば古来より刀鍛冶で有名であり、火縄銃の生産も大急ぎで行った。

 

 やがて圧倒的な火力で九州統一を目論む島津軍と大友軍がぶつかり──障子紙のように大友軍は壊滅させられた。運用している島津軍も「武士ってなんなんだろう」とか疑問に思うぐらい、ビームライフルで遠距離からバスバス打ち込めば敵が死ぬのである。

 

「もうビームライフルだけでいいんじゃないかな」

 

 そんな気分だった。

 

 

 ******

 

 

 

 また、征夷大将軍足利義輝にもビームライフルが送られた。

 この頃、まだ少年であった足利義輝。前述した通り少年は銃が好きだ。おまけに一丁あれば軍を壊滅させられる超兵器である。力に飢えて鬱屈としていた足利家の事情もあって義輝は大喜びした。

 とりあえず試してみようと三好長慶や細川晴元に撃ってみたところ、スカッとした。

 征夷大将軍のビームライフルによる恐怖政治が始まる。

 

 

 勿論、九州の大名らもバカではないので島津軍の持つビームライフルを奪取せんと少数で夜襲を仕掛けたり、調略によって持ち出させようとした。

 一度は成功したもののビームライフルには生体認証セーフティが掛かっており、奪い取った相手は使用方法がわからず破棄することしかできなかった。そしてビームライフルは一品物ではないので失くなればまた島津家は種子島から購入した。

 

 種子島に直接買い付けようという動きも当然起きた。

 島津家からは「自分たち以外に売るな」と命じられたものの種子島家はその命令を聞くメリットがないのでこれを拒否。堺、国友、根来衆などが買い付けていった。

 中には種子島に住んで技術を学ぼう、という者も居たのだが彼らは種子島でビームライフル工場の生体パーツとなり、二度と島の外へ出ることはなかった。

 一方で購入した者たちが自分たちでも生産しようと分解、研究を行ったのであるが、

 

「できねぇー!」

 

 でしょうね。

 そうなった。

 

 

 そして島津家以外にビームライフルをばら撒いたことに危機感を覚えた島津は種子島を成敗せんと軍を進めた。

 ここにビームライフル同士の合戦が初めて行われることになったのである。

 まずは屋久島を制圧し橋頭堡を築こうとした島津軍は北部一湊に上陸。3丁のビームライフルを持って戦に挑んだ。

 彼らが陸に降り立つと改造された島民が機械音を鳴らしながら現れる。

 

「警告! 警告! 決メラレタ港以外カラノ上陸ハ禁止サレテイマス! 今スグ退去ヲ勧告イタシマス!」

「撃て!」

 

 使者は殺すのが戦国の習わし。そういう感じでビームライフルで撃ち抜いた。

 同時に一湊集落から殺害された島民を座標ビーコンに、大量のビーム光が投射されて上陸地点で島津軍は壊滅することになった。

 所有しているビームライフルの数が圧倒的に違うのだ。勝てるはずもなかった。

 

 その後、種子島家のビームライフル軍は島津忠良が隠居している加世田へ船で向かい、圧倒的に有利な条件で講和の交渉をした。

 一瞬で町を焼き払える部隊を引き連れての交渉というだけでなく、そもそも報復として以後島津にはビームライフルを売らないという条件だけでも、もはや島津家としては全面降伏する他はなかった。

 征夷大将軍にビームライフルを送った功績から種子島家は正式に多禰国守護として、小さい島(とはいっても屋久島と種子島は奄美・琉球を除けば日本で5番目と6番目に大きい島だが)ながらも一国の主と認められることになったのである。

 

 そうして主筋のちょっかいもなくなり、安定して種子島は戦国乱世の世へとビームライフルを供給していった。 

 非常に高価ながら、個人が携行できる火器で町一つ破壊できる時代の突入である。

 射程は地平線の彼方から届き、城も砦も用を成さない。

 強すぎる火力に対して防御の力はあまりに無力であった。

 戦で勝とうが、官位を得ようが、豪華絢爛な暮らしをしていようが遠距離からのビーム攻撃で即死する可能性が常にある世界。

 

 島津や足利、更に幾人もの戦国の覇者となり得た者が現れてはビームライフルによって倒れていった。

 

 やがて「ビームライフルはあんまりにも酷いので戦に使わないようにしよう」という条約が発生したが、当然ながら負けそうになった方は容赦なく使った。

 そのうち農民同士の争いでも使われるようになり、ビームによる被害は田畑や集落を容赦なく破壊した。

 

 そして彼らは「お互いにビームライフルが怖いから戦を止めよう」という平和条約を締結することとなった。

 

 不作による貧しさ、水利権による諍い、お家騒動、過去の土地問題。戦を起こす理由は多々あれども、こじれてビーム撃たれるのは誰も望まない。

 その意思が、戦国の世を終わらせて話し合いや種子島幕府の調停により解決しようと人々を対話の道へ歩ませたのである。

 血の気の多い連中が尽くビームに焼かれたおかげもあっただろう。あとさすがにビームライフルによる戦乱がヤバいと見た種子島幕府がバッテリーモジュールの販売を差し止めしたので使用不能になっていったのだ。早くしろよそういうことは。

 

 

 

 日本はしばし、平和な時代を過ごすことになる。

 

 西欧から日本に来た宣教師はこれを「パクス・ビームライフルァーナ(ビームライフルによる平和)」と呼んだ。呼びにくいだろ。

 

 

 

 

 

 ******

 

 

 

 

「──はい、という風に皆さん、種子島の歴史はわかったかなー?」

「はーい!」

 

 鹿児島本土から種子島へ向かうフェリー『プリンセスわかさ』(コスモライン社)の船内で、修学旅行に向かう小学生たちが先生の声掛けに対し元気に返事をした。

 時は現代。日本は高度経済成長期を迎え豊かになり、国内旅行も盛んになっている。

 そんな中、鹿児島県全体の観光客で8割ほどが行くのが種子島屋久島旅行である。ビームライフル特区となったこの2つの離島は特に男子小学生憧れの土地であった。

 

「おれ、種子島行ったらぜってービームライフル撃つんだー!」

「わたし種子島名物の種子鋏お土産に買うー!(PR)」

「おれは安納芋を使った芋焼酎を父ちゃんに買ってきてって頼まれてるー(PR)」

 

 などと小学生児童は盛り上がっている。なお作者のオススメ芋焼酎は『甘露』だ。

 

「せんせー! このフェリーの名前『プリンセスわかさ』だけど、さっきのお話に出てきたプリンセス・ワカサと関係あるのー?」

「いい質問ですね。その歴史の生き証人である、プリンセス・ワカサの人格AIをコピーして船に搭載しているんですよ」

「すげー!」

「天気が良ければロケットの発射も見られますからね。種子島、見どころが多いですよー(PR)」

「そういえばせんせー、ロケットってなんで打ち上げるんですかー?」

 

 子供の無邪気な質問に、予め勉強していた教師はニッコリと笑って答える。

 

「いい質問ですね。近年、ビームライフルを伝来したポノレトガノレ人とは別の宇宙人の方と交流を持つようになった種子島家ですけれど、そちらから『ビームライフル数丁と生産設備程度で、海水の10%を売るのは禁止されるぐらいにシャークトレードすぎる。ポノレトガノレ人に抗議するべきだ』と忠告を受けまして、ロケットでポノレトガノレ星へ向かい再交渉を行う目的です」

「へー!」

「交渉次第ではビームライフルみたいに便利な道具が譲られるかもしれないから楽しみですねえ。ああ、ほら! 西之表港が見えましたよ。降りたらまず、種子島宇宙センター宇宙科学技術館へ行きましょう!」

「わーい!」

 

 種子島良いところ、一度はおいで!

 

 




種子島のPRとして頼まれて書きましたがボツでした
でしょうね

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