再転生した元神は転スラの世界へ   作:さすらいの旅人

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今回は短いです。


人間(リューセー)魔物(リムル)の旅路③

「ったく、この三馬鹿共が……!」

 

 場所は変わって、フューズの執務室。

 

 正座して座るカバルとエレンとギドは三馬鹿の呼び名が決定となるも、何の反論もせずに気まずい顔をしている。

 

 そうなった理由は一応ある。彼等はリムルと隆誠をブルムンドに入国後、一切寄り道せずフューズのところまでお連れしろと念押しされたにも拘わらず、それを忘れて二人に試験を受けるよう促してしまった。

 

 フューズが激怒するのは無理もない。小国を簡単に滅ぼせる力を持つ魔国連邦(テンペスト)の盟主と補佐の機嫌を損ねれば大問題なのに、三馬鹿があちこち連れ回した挙句に試験を受けさせたとなれば、危うくブルムンドが滅びてしまうところだったと肝が冷えるどころではなかったのだから。

 

 因みに試験を受けずとも、フューズが支部長(ギルマス)権限でBランクまで取り立て出来ると言っていた。よってリムルだけでなく、隆誠も自動的にBランク冒険者決定となったのは言うまでもない。

 

 リムルとしてはAランクまで受けたがっていたが、それは無理だった。Bまでならば飛び級で試験を受けられるが、Aランクに挑戦するには地道な活動が必須かつ、自由組合(ギルド)本部があるイングラシア王国でしか行えない決まりになっている。

 

 一緒に聞いている隆誠は安心していた。彼としてはあくまで他国に入る為の身分証が欲しいだけなので、Aランクになって有名な冒険者になる気など微塵もないのだから。

 

「まぁまぁ、もうそれ位にして――」

 

「ですがリムル殿、貴方も目立ちすぎですよ」

 

「へ?」

 

 カバル達を擁護しようとする(仮面を外して素顔を晒している)リムルだが、フューズが途端に指摘をした事で眼が点になった。

 

 レッサーデーモンを剣で倒したのが一番の要因みたいだ。魔法そのものを剣に纏う技術は滅多になく、Aランク冒険者の中にも使用者は限られている。けど対悪魔の切り札的な技である為、使い手だと判明した瞬間に勧誘が酷いので、今後は気を付けた方が良いとフューズが丁寧に教えてくれた。

 

「悪かった。俺も気を付けるよ」

 

聖書の神(わたし)も同様に、な)

 

 周囲に自分の手の内は晒さない方がいいと理解したのか、素直に礼を述べるリムル。

 

 試験に参加しなかった隆誠としても、今後は人前で神の能力(ちから)を不用意に使わないよう心掛ける事にしている。

 

「ところでフューズさん。自分達を真っ先に貴方の元へ連れてくるよう三馬……三人に命じた理由を伺ってもいいですか?」

 

「ちょっとぉ! いま三馬鹿って言おうとしたよねぇ!?」

 

「酷いですよ!」

 

「出来れば普通に呼んで欲しいでやんす!」

 

 呼び方を訂正する隆誠だったが、エレン達は聞き捨てならないと言わんばかりに反応して猛抗議していた。

 

「黙ってろ三馬鹿!」

 

「「「ひぃっ!」」」

 

 しかし、一瞬で恐い顔になった支部長(ギルマス)の一喝によって怯んだ三人は口を閉ざしてしまう。

 

 五月蠅いのが静かになったのか、フューズは嘆息しながらも表情を切り替え、隆誠にこう言った。

 

「実はブルムンド王より、極秘会談を希望されています。お二人がイングラシアへ急ぐと聞いておりますが、何卒お会いして頂けないでしょうか?」

 

 人間の国へ訪れて早々、どうやら国王と会談する事になってしまった。

 

 

 

 

「はぁっ。まさか三日後に国王と会談とはなぁ」

 

「向こうからすれば是非ともやりたいんだろう。魔国連邦(テンペスト)の盟主とその補佐がブルムンド(ここ)へ来たのであれば猶更に、な」

 

 フューズと一通りの話を終えたリムルと隆誠は、組合支部の客室で世話になる事になった。

 

 本当ならそれぞれに一人部屋を充てられる予定だったが、二人から一緒の部屋で構わないとの事で少々狭い二人部屋にしてもらっている。

 

 因みに二人が同じ部屋で寝泊まりすると聞いた三馬鹿(特にエレン)が反応するも、リムルと隆誠は全く気にしていない。

 

 閑話休題(それはそうと)

 

 三日後に行われる極秘会談の内容としては、今後の魔国連邦(テンペスト)とブルムンドの国家間の付き合い方についてだった。王との会談は、その内容を確認する形という事になる。

 

 だが会談を行う前に、翌日にはフューズの知り合いの貴族と面会する予定で、実務的な協議をしなければならない。

 

 事前に検討もしないで国家の重鎮との面会が出来ないだけでなく、内容も決まってなければ会っても時間の無駄になるだけだ。

 

 国家間の協議となれば相応の時間を要するのだが、人間の国から承認が得られるかもしれないと思ったリムルは即了承している。その決断の早さに隆誠は苦笑するも、一先ずは様子を見ようと一切口出しをせず見守る事にした。

 

「実務的な協議をやるとは言ってたけど、どんな内容になると思う?」

 

「向こうが提示してくれなければ分からん。だが決して油断はするなよ。いくらブルムンドが敵対しないとは言え、自分達に有利な状況へ運ぶ交渉をするかもしれないと警戒した方が良い」

 

「そこまでする必要があるかなぁ……」

 

 リムルは元人間でも思考が若干魔物寄りになっているから、隆誠が警戒を緩めないよう釘を刺しておいた。

 

 人間は魔物と違って力が劣っても、それを補うための知恵がある。明日に会う予定となってる貴族は間違いなく頭が切れる交渉人で、お人好しな性格のリムルが相手なら上手く誘導されるかもしれない。

 

「先に言っておくがリムル、俺は今回の協議に口出しする気は無いぞ」

 

「おいおい、少しくらい助けてくれても良いじゃないか」

 

「こう言った事は魔物の貴方が決断すべきだよ」

 

 隆誠はいずれ元の世界へ帰還する予定だから、リムルに一人で決断するだけの度胸を身に付いて欲しいと願っている。

 

「その代わり、貴方が食べたい料理やデザートを用意するからさ。今日は何が食べたい?」

 

「……ハンバーガー」

 

 この場で簡単に作れないジャンクフードをリクエストするリムルだったが――

 

「――ほい、どうぞ」

 

「って、いつの間に!?」

 

「貴方が食べるだろうと思って事前に作り置きしておいた」

 

 保存可能な『収納用異空間』からハンバーガーを取り出して渡す隆誠に驚いてしまう。

 

 リムルは夜食のハンバーガーを美味しく頂いた後、明日の協議に備えて隆誠と一緒に就寝するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 一方、魔国連邦(テンペスト)では――

 

「はっ! リムル様が隆誠さんと同じ部屋で寝泊まりしてる気がします……!」

 

「……シュナ、お前は何を言ってるんだ?」

 

 とある鬼兄妹が住んでる家で、危機感を抱く妹に兄が突っ込みを入れていた。




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