お空に八獄組をぶち込む話……が、没になったのでその供養に書いたセフィーのフェイトエピソード。

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あらすじ通り没になった話の供養
没になった話を前提としているのに没になったせいでその話が読めないのは目を瞑って
一応冒頭に何があったかはざっくり書いたから
過去回想わかりやすいようにぼかし入れてるけど読みにくかったら外す


[耽溺の咎人]セフィー フェイトエピソード

 空に浮かぶ監獄塔“アズヴォルト”。その第五層において、グランたちは仲間であったはずの囚人を悍ましき実験体(キマイラ)に変えた白衣の女性と対峙していた

 

 

「そいつ等は仲間だったんじゃねえのかよ!!」

 

 

「仲間?私には仲間なんていない。あれらは私の後ろを勝手についてきただけだ。であれば、こうして私の理論実証の下敷になれるのだから本望に違いない。忘我し、熱中するほど入れ込んだ没頭の実験体と化したのだから」

 

 

「何を言って──」

 

 

「……星晶獣の気配!来ます!!」

 

 

「執行者か!仕方ねえ、今はとにかく戦うしかねえぞ!!!」

 

 

 現れた執行者を前に、武器を構えるグラン。だが、囚人であるはずの白衣の女性───セフィーの反応は違っていた

 

 

「………あれは、妹だ。間違いない。肌の色も、腕の数も、顔の形も違っているが、間違いない。あれは私の…妹だ」

 

 

『汚い指で私を差すな。汚い口で私を呼ぶな。穢い心で私を思うな。私は貴様と血の繋がりすらない』

 

 

「おい、白衣のねーちゃん!!その妹は死んでんのか!!他の囚人みたいに、死んじまった家族なのか!!!」

 

 

「いや、私が知る限りでは生きていた。少なくとも、ここに入れられるまでは」

 

 

「だったら呼んであげてください!!!もしかしたら、目が覚めるかもしれません!!」

 

 

“妹の名前は?”

 

 

「名前……ああ、なんだったか。すまない、覚えていないんだ」

 

 

 *

 

 

「………私は、何を間違えたのか。それを知りたい。だから頼む。私を船に乗せてくれ」

 

 

「って言ってるけどよ、どうするんだグラン。正直この白衣のねーちゃん危なくねえか」

 

 

“大丈夫だよ、ビィ”

 

“よろしく、セフィー”

 

 

「いいのか?自分で言うのもなんだが相当な危険人物だぞ私は。また、何かを間違えることになるかもしれない」

 

 

「こいつがいいって言うなら大丈夫だろ。なっ、グラン!」

 

 

“うん。間違えそうな時は教えてくれる仲間がいるよ”

 

 

 こうしてアズヴォルトでの一件を経てグランサイファーに乗り込んだ魔術医セフィー。しかしアズヴォルトに入る前の自身を顧みてからか、中々馴染めずにいた。

 

 

(ほう、中々面白い症例だ。この病は呪いによるものらしいが、応用すれば別の病の治療に使えそうだ。呪いは専門外だが試してみればなにかわかるか………いや、駄目だ。そういう考えがあの───)

 

 

「見ない顔だね☆新入りさんかな?」

 

 

「っ…!」

 

 

(ええっと、誰だ)

 

 

 書庫の片隅で読書に耽るセフィーに声を掛けた少女。人との付き合いを避けてきた彼女は当然、面識はない。

 

 

「カリオストロだよ☆よろしくね?」

 

 

「セフィーという。よろしく」

 

 

「それで、セフィーちゃんは何を読んでいたのかな?」

 

 

「この船の診察記録書だ。見たことない症例がいくつかあって面白い。個人名が伏せられていて直接聞きにいけないのが残念だが」

 

 

「ああ~、ティコ先の☆そんなに気になるならそっちに聞きにいけばいいんじゃない?」

 

 

「そのティコセンとやらが誰なのかがわからない」

 

 

「案内してあげる☆」

 

 

「済まない。ところで一つ質問なんだが、何故そんな姿をしている?」

 

 

「うーん?質問の意図がわからないな☆」

 

 

「男だろう。何故女の身体に入っている」

 

 

「………へぇ、気付いてたのかよ」

 

 

(雰囲気が変わった?)

 

 

「お前、何者だ?怪しい風貌……については今更だな。グランがそんなことを気にするはずがねえ。だが、オレ様が男だったことを気付いたのはなんだ」

 

 

「……?見たらわかるだろう?それよりそちらが素なのか」

 

 

「………いや、こっちが素のカリオストロだよ?」

 

 

「…………」

 

 

「…………」

 

 

(意図が読めない……なぜ口調を誤魔化す必要が?)

 

 

(こいつ……団に送り込まれたヘルメス錬金術学会の奴かと思ったが違うようだな。まさか、素で魂を知覚できるとかか?なら早とちりでカワイイを崩しちまった)

 

 

 両者それぞれの困惑から、その場を沈黙が支配する。気まずい空気に耐えかねたのか、カリオストロが口を開いた。

 

 

「あー、とりあえずティコ先生のところ行こっか☆」

 

 

「あ、ああ、頼む」

 

 

 一隻の船とはいえ、数百人の仲間が乗り込んでいるグランサイファー。別行動であったり、自分の船を持っている者を除いたとしても百人はゆうに超える規模の騎空団であるがゆえに、その内部は広い。

 書庫からティコの部屋までの道中では、先ほどの空気に耐えかねたカリオストロによる質問が投げかけられていた。

 

 

「それで、セフィーちゃんはどんな事情があってこの船に乗ったのかな?」

 

 

「事情…?」

 

 

「そう、事情。例えば前世の記憶云々だったり死んだヤツを復活させるだったり。あ、もちろん言いたくなかったら言わなくてもいいよ?」

 

 

「……事情か。そうだな。私は、間違えたんだ」

 

 

「間違えた?」

 

 

「そうだ。一つ、昔話をしよう」

 

 

 *

 

 

「私は昔院にいた。ある時臓腑の構造を実証したくて院で飼われていた鶏を解体したんだ。手順は完璧だった。服も汚れなかった。それなのに院長は怒って言ったんだ。『人道を外れるな』と」

 

 

「私には妹がいた。唯一の血縁者だ。私も彼女も同じ医の道を進み、そして決定的に違っていた。私は落ちこぼれ、彼女は凄まじい功績を上げた。学術に携わるならわかるだろう。研究には予測のち実証がいる。私は後者を避けていた」

 

 

「久方ぶりにあった彼女は不治の病にかかり死の間際にいた。『姉なら妹を助けてよ』彼女はそう言ったんだ。成程、それは人らしい事だとして私は避けていた実証を行うことにした」

 

 

「実証を行うには検体が必要だ。だから村を焼いた。意図的に魔力事故を引き起こした。そうして出来た検体で実証を行った。『狂ってる』『人でなし』なんて言われたよ。その時は意味がわからなかった。最愛の家族の為に尽くすのは人らしい事のはずだろうと」

 

 

「けれど私は妹の命しか救えなかった。肌の色は変わり、後遺症も残った。妹には散々罵倒された。しまいには『やめてほしい』なんて言われた。当時は当然だと受け入れた。完璧な処置が施せなかったのだから。だから実証を続けた。やがて妹はなにも言わなくなった。なにも、言えなくなった」

 

 

 *

 

 

(グ〜ラ〜ン〜!!思った万倍ヤバいやつじゃねえか!!なんで船に乗せた……って今更か)

 

 

「それで、妹の名前は?ずっと他人行儀な呼び方だが」

 

 

「わからない」

 

 

「……テメエ」

 

 

「あのときあの監獄で、ゼラエルの手によって変わり果てた姿になった妹と対峙したときに団長に言われて初めて気付いたんだ。人であれば、最愛の家族の名前は覚えているものだって。そう言われるまでは妹の名前がわからないことにすら気付いてなかった。私は、最初から間違えていた。今ならあの言葉の意味がわかる。私は、人でなかったのだ」

 

 

「………そうかよ。ついたぜ。ティコ先生、いるか?」

 

 

「どうぞ~」

 

 

「邪魔するぜ」

 

 

「邪魔するなら帰れし………そっちの人は?見たところ新しい医者っぽいけど」

 

 

「こいつはセフィー。グランが新しく入れた仲間だ」

 

 

「セフィー………セフィー?」

 

 

「知り合いか?」

 

 

「いや、知らないし。ただ医学…それも外科医の中では有名な話があって……“外道医”セフィー。自身の理論実証の為に大勢を犠牲にし、ついには唯一血の繋がった肉親すらもその手に───」

 

 

違う!私は……いや、すまない」

 

 

 それだけ言うと飛び出すようにティコの部屋をあとにしたセフィー。

 

 

「いや、400年前の人物だし……まさか本物?」

 

 

「1000年前に封印された錬金術師がいんだぞ。そうでなくてもこの船にはそういうやつが多いだろうが。追うぞ!!」

 

 

 *

 

 

(外道……か。やはり私は人の道を外れていたのだな)

 

 

 グランサイファーから飛び出したセフィーは、依頼のため停留していた島の街を歩いていた。

 

 

「………どこだ、ここは」

 

 

(まずいな、道に迷った。来た道も覚えていない。出発は今日の昼のはずだからもう時間はないか)

 

 

「キャーッ!!!」

 

 

(悲鳴……?いや、私には関係ない)

 

 

 踵を返しその場を去ろうとするセフィーのうちに、ある疑問が浮かび上がる。

 

 

(待て、団長ならどうしている?あれは紛れもない善人だ。彼のすること、しそうなことは間違いなく人道的だろう)

 

 

「理論を立てたら、次は実証だ」

 

 

 この場にグランがいたらすぐにでもそうしたように、セフィーも声のした方へ駆け出してゆく。

 

 

「へへっ、追い詰めたぜガキィ」

 

 

「テメエを連れて行けば大金が貰えるんだ。悪く思うなよ」

 

 

「───腑分けろ“()(クロツチ)”」

 

 

 裏路地に響く声と共に男の体が真っ二つに裂かれた。

 

 

「ヒッ、ヒィイイイイイ!!!!」

 

 

「しまった。殺すのは人道的ではなかったな。では、そちらのお前は()()()()無力化しよう。漬けろ“烏ノ涅”」

 

 

「ギィヤァアアアア!!!!」

 

 

「騒ぐな。腕は悪いが私は医者だ。落ちた両手足は戻らないが命だけは繋げてみせよう。私の質問に答えてくれれば、だが」

 

 

「い、いう、言うから助けてくれ!血、血がっ!!」

 

 

「なぜあの少女を攫おうとした」

 

 

「金をくれるって言われたんだ!!!」

 

 

「興奮するな。誰に言われた」

 

 

「い、医者だ!!実証学派とかい…う………」

 

 

「だから興奮するなと言ったのに」

 

 

(大量出血によるショックで気絶したか。すぐにでも輸血しないと間に合わないが……)

 

 

「約束は守る。それが人道というものらしいから」

 

 

 *

 

 

「見つけたぜぇ。ここで何して……おい、どういう状況だこれは」

 

 

「見ての通りだ。この子が男二人に襲われていたから助けた。彼女は気を失っているが命に別状はない」

 

 

「男二人……?もう一人はどこ行った」

 

 

 地面に転がるのは真っ二つになった男の死体が一つのみ。もうひとりの姿は見当たらない。

 

 

「何を言っている?ここにいるだろう?」

 

 

「ァ…テァ……」

 

 

「テメエ………まさかそれが人だとでも言うのか」

 

 

「人、だろう?中身は変わっていないし、何より人の命を繋いだ結果だ」

 

 

「コロ…シテクレェ……」

 

 

「チッ」

 

 

 カリオストロの一撃により異形と化した男が消し飛ばされる。それをセフィーはなんの感慨もなく見つめていた。《/color》

 

 

「なんでこんなことをした」

 

 

「襲われていたからと言ったはずだが」

 

 

「さっきの男のことだよ」

 

 

「ああ、命を助けてほしいと頼まれたからだ。死にゆく命を繋ぐのは人道的、だろう?」

 

 

「そうかよ。よくわかったぜ。テメエの間違いと、テメエがそれを理解してねえってことがな」

 

 

「………ああ、そうか。私はまた間違えたのか。何を間違えたか教えてくれないか」

 

 

「テメエはことある毎に人道だなんだと口にする。そこまで拘るのは、人になりたいからだろ」

 

 

「私は人だ」

 

 

「ああそうだ。お前は人だ。魔物でも怪物でもねえ。人が、人になろうとしたらそりゃ不都合が出んだろ。まずは認めろ。テメエは人で、テメエは外道だ」

 

 

「そんなことはわかっている」

 

 

「いや、わかってねえ。テメエは自分が人の道を外れたから人でなしだとでも思ってんだろ。ちげえよ。テメエは自分でも理解してない人道に拘った。何が人の道か理解しないまま外れた道を歩んだ。テメエの間違いはな、人の道が何かを聞かなかったその怠惰だ」

 

 

「…………怠惰。そう、怠惰か。妹にも言われたな。私は怠惰だと。皆が口を揃えて言うのであればそうなのだろう」

 

 

「今度グランにでも聞くんだな。人の道とはなにかって。戻るぞ」

 

 

「わかった」

 

 

「おい、そいつも連れてこい。こんなところで寝かせるわけにはいかねえだろ」

 

 

「いいのか?目覚めるまで待っていたら出発が遅れてしまうが」

 

 

「一日二日遅れても問題ないように予定は立ててある。というか人助けで遅れるなんてこの団では普通だ。そいつが目覚めてから親元に送り返すくらいの余裕はあるぜ」

 

 

「そうか」

 

 

 *

 

 

「んっ…あぁ……」

 

 

「あっ、目が覚めましたよ!!」

 

 

“おはよう”

 

“いきなりだけど名前は言えるかな?”

 

 

「ニナ…ニナだよ、セフィー様!!」

 

 

 ニナ、と名乗った少女は目覚めるなり初対面であるはずのセフィーの名前を呼んだ。まるで子が親に駆け寄るような声で。

 

 

「なんだぁ、知り合いだったのかよ」

 

 

「あの監獄で過ごした時間は400年だ。知り合いなどとっくの昔に死んでいる。そもそも、私には知り合いと呼べる人間はいなかったが」

 

 

「酷い!セフィー様ニナのこと忘れちゃったの!?」

 

 

「ああ、知らない」

 

 

《opacity:70》(ニナ───私によく似たセフィーという人物が存在しない限りは、少なくとも400年は前の私を知る人物で実証学派とかいう連中に追われている少女。………心当たりはないな。いや待て、実証学派という名前には聞き覚えが───)

 

 

「あっ」

 

 

「思い出した?思い出したのセフィー様!!」

 

 

(そうだ実証学派。400年前に私の後を勝手に着いてきた、自称私の学派───)

 

 

「いや、すまない。思い出せない。ただ私の撒いた種であることはわかった」

 

 

「えー、そんなぁー」

 

 

 少女ニナを保護したグラン達一行。彼女とセフィーとの関係を知るべく、また実証学派の企みを暴くべく旅は続く。




お空に八獄組をぶち込む話のラスボスは“輪廻”の星晶獣ゼラエルでした
執行者=血縁、看守=ゼラエルの転生体という説を採用していたのでゼラエルは輪廻でないと話が成り立たないのですが、書いている途中でパンデモニウムが輪廻の星晶獣だったことが判明したので没です
最後意味深なオリキャラ出てきたけど続きとかは特に考えてないです
一応設定としてはセフィーがその昔実験で作った死ぬと魂を引き継いだ自分のクローンを産み落とす疑似的な不死の少女。産み直す度魂が変質し別人になるのでセフィーは失敗と判断。特に活かせるものもなかった為に忘れ去っているって感じです

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