投稿して早一年……さて、これが今作本当に最後のお話です。
アンケートで最も投票数の多い、キメツ学園のお話となります。キメツ学園とはこんな感じで良いのかという疑問……というか学園全然出ませんし……なお話ではありますが、以前から要望あったお話という事で、どうか一つ。
最後に、楽しんでくだされば幸いです。
注意!情景描写がなく、会話のみのお話となります。
「悪徳政治家、鬼舞辻無惨の朝は早い。
朝6時起床、そのまま動きやすいジャージに着替え、30分のランニング。
似合っていないサングラスをかけて「余計なお世話だ」町民に挨拶を欠かさない。
その足で出資している道場の一つに顔を出し、見学及び差し入れをした後帰宅し、朝食となる。
朝食の好みは洋風が多く、トーストにバターやジャム等のシンプルな物を好む。
今日はそれに加えて新鮮なサラダとふわふわのスクランブルエッグとベーコン。
彼の持つ資産からすればあまりにも質素と……「ならば食うな」……いや、シンプルながら趣向の凝らされた料理達は絶品、これを朝から食べれるなんて最高の贅沢だろう。
……鳴女さん、私にも貰えるかな? 「ふふ……勿論です、少々お待ちくださいね」ありがとう!
もぐもぐ……。
コホン、鬼舞辻無惨の朝に欠かせないのは一杯のコーヒー。
豆から挽いてじっくり焙煎したコーヒーは、そのガツンとくる苦味がたまらない。
ボンヤリとした頭がスッキリする、朝にピッタリの一杯……たまらないね。「もう一杯如何ですか?」おっと、いただこうかな、ありがとう雄月君。
ズズズ……。
んんっ……優雅に朝食を食べ終えた鬼舞辻無惨は、そのままテレビをつけ、朝刊片手に世界情勢を頭に入れていく。
テレビと新聞を行き来する視線は鋭く、あらゆる情報を逃すまいと貪欲に知識を取り入れていく。
勤勉とは、まさに彼の為にあるような言葉で……」
「…………おい、耀哉。いつまでそのくだらない遊びを続けるつもりだ? こんな所で油を売っていないで、さっさと学園に行ったらどうだ」
「いやぁ、
「……何故貴様にわざわざ――」
「はい、本日午前中は書類作業となります。判断していただかなければならない事案がいくつかございますので。午後からは出資なさっている各施設を視察するご予定です。夜のご予定は今のところございません」
「鳴女……」
「おお、それは良かった。今日の夜にいつもの店を予約していたからさ、飲み会と洒落こもうじゃないか」
「何を勝手に私の予定を――」
「はい、本日何時頃のご予定でしょうか?」
「雄月……? お前もか……?」
「7時くらいかな? そんな感じの予定で頼むよ。ほら無惨、世界情勢に頭悩ませながらのコーヒータイムは終わりにして、早く書類仕事に行ったらどうかな? あ、デザートとかあるかな、プリンとかあると嬉しいんだけど……」
「……さっさと帰れ耀哉――!!!」
「やれやれ、手厳しいね……コホン。親友である産屋敷耀哉を屋敷から摘まみ出し、鬼舞辻無惨の朝は始まるのであった」
「被害者ぶってナレーションするのをやめろ!」
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「午前中で大量にあった書類仕事をさばき終えた鬼舞辻無惨は、近所のそば屋で昼食をとる。頼むのはいつもかけ蕎麦……これが彼のこだわりなのだろうか……。本当に質素だね? 君なら特上の天ぷらそばを毎食でも食べれるだろうに。本当に政治家かい?」
「まだそれを続けるのか……? ……余計なお世話だ、私はここのかけ蕎麦が好きなんだ。それにわざわざ毎食無駄に豪華にする必要もあるまい。そもそも政治家などという国民の血税で食わせて貰っている分際で贅沢する意味がわからん」
「ふふふっ、悪徳政治家の発言とは思えないね」
「そんな不名誉な名、名乗った事もないわ。何も知らん愚か者共と貴様が勝手に呼んでいるだけだろうが。まったく……大体政治家が贅沢などするものではない。国の運営に関わる政治家に財があるという事自体は悪い訳ではない。その主張の為に私も大きめの屋敷を持っているしな。だが、無駄に金を使う必要はないだろう。必要な場所、必要な状況で必要な分だけ使っていけば良い。金とは湯水の如く湧くものではないのだからな」
「ふぅ……そうやって貯め込んでいるように見えるから悪徳政治家なんて言われるんだよ。君、ろくに政界のパーティーにも顔を出さないじゃないか。更には各業界には君の息のかかった者達が潜んでいるし、日本を実効支配されてしまうんじゃないかって陰謀論者が騒いでいるよ?」
「あれらは別に私の部下でもなんでもないんだがな……何故かそれぞれの業界の不祥事をわざわざ私に伝えてくるのだ……そのせいで余計な手間がかかって仕方ないのだぞ? 知っていて見過ごす訳にもいかんしな……。そんなただの個人的な苦労噺を日本支配などと……愚か者共には勝手に言わせておけ、そもそも私はこれ以上の地位を欲してすらいないのだからな」
「……やれやれ、自覚がないのも大変だ。さっさと総理大臣の椅子にでも座ってくれると嬉しいんだけど?」
「バカな事を言うな、今の地位でも不相応だと思っているというのに……」
「低すぎて?」
「高すぎてだ! ほら、そばが来た。伸びる前にさっさと食べると――貴様、カツ丼ではないか! ここはそば屋だぞ!? そばを食えそばを!」
「別に良いじゃないか、だしが美味いそば屋のカツ丼は美味しいんだよ? んー、良い香りだ。いただきます。ほら、伸びるよ? 食べないのかい?」
「っ……! まったく、ああ言えばこう言う! 達者な口だ。貴様に口で勝てる気はしないな。……いただきます」
「そりゃそうさ。君に勝てる数少ない私の長所だからね。これからも君の事はおも……ゴホン。親しくさせて貰うよ。はぐっ」
「……耀哉貴様、今おもちゃと言おうとしたか?」
「……んぐ……親友の産屋敷耀哉と共に昼食をとる鬼舞辻無惨は、穏やかな時間を過ごす。美味いそばに舌鼓をうち、親友の失言は聞かなかった事にするのだった」
「自分で失言だと言っているじゃないか!」
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「無惨様だ!」
「無惨様ー!」
「こんにちは無惨様ー!」
「ああこんにちは。元気にしていたか? ほら、お土産だ、みんなで仲良くわけて食べるんだぞ」
「「「はーい!」」」
「出資している孤児院に辿り着いた鬼舞辻無惨は、子供達に囲まれながらお土産のお菓子を手渡していた。
その表情は悪徳政治家と呼ばれ、いつも不敵な笑みを浮かべている姿とは似ても似つかない、穏やかな笑みであった。
もうおわかりだろう、鬼舞辻無惨はその貯め込んだ財の殆どをこのような形で放出しているのである。
これ以外にもホームレスへの炊き出しやボランティアへの援助等、見返りの見込めないものへの出資ばかりしているのである。
親友である産屋敷耀哉の経営している学園にも多額の援助があり、彼の学園が自由な校風を貫けているのもそれが大きい。
また……各財界に顔がきく産屋敷耀哉と親しくし、多額の援助までしている姿が彼の悪徳政治家らしさを助長しているのは、本人にとっては預かり知らぬ事である……。
彼が手を差し伸べた者達が成長し、各々の分野で活躍していく……先見の明があったと鬼舞辻無惨を讃える声よりも、仕込み、マッチポンプだという懐疑の声のほうが多い理由の一端を担っていることだろう。
各分野で活躍してる者達は当然鬼舞辻無惨を慕っている為、そのような声に激怒し、その者達を引き摺り下ろす為に動く……。
それが先刻彼が語った『不祥事』に繋がる訳である。
そして善性の強い彼はそれを捨て置けず、様々な形で断罪する。
直接出向き、話をする事すらあった。
そうして完成するのは、各業界から見れば、気付けば弱味を握り引き摺り下ろしてくる、恐ろしい悪徳政治家鬼舞辻無惨、という訳である。
あまりにも哀れな悪循環であると言えよう。
とはいえ彼の本質を知る者は増え続けている……この調子であれば『鬼舞辻無惨総理大臣就任計画』の成就もそう遠いものではないのかもしれない」
「……待て、なんだその聞き捨てならない計画はァ!」
「おっと……そうして鬼舞辻無惨は、暫く日々の仕事の疲れを癒すように孤児院で穏やかな時間を過ごしたのだった」
「誤魔化すな! 説明しろ耀哉!」
「ふぇっ……」
「あっ……よしよーし、なんでもないぞ、何もないぞー? 怖くない怖くなーい」
「きゃっきゃっ」
「……腕の中の赤子をあやす彼の姿は、世間の評判である『悪徳政治家鬼舞辻無惨』という肩書きからはかけ離れたものであると断言出来ることだろう……っと。よーし、みんな鬼ごっこだ! 私が鬼だぞー!」
「「「きゃー!」」」
「耀哉……! 後で覚えておけ……! ……よしよーし」
「いやぁ、無惨様は相変わらずあやすのがお上手ですねぇ」
「童磨か、いや何てことはない。それよりも調子はどうだ?」
「孤児院のほうはそこそこですね、みんな元気ですよ。ただ、琴葉がよく備品を壊すのであまり余裕はないですけど……あははは」
「……少し予算を増やしておく。壊した物品は経費で落とせるようにしておこう。後で明細を送ってくれ」
「あは、それだけでかなり助かります。詳細は後程……それと『JU―NI・KIDUKI』のほうは順調ですね。ライブチケットももう売り切れたとか」
「ほう、そうかそうか。梅の思い付きで始めたが軌道に乗っているようで何よりだ。皆にも伝えてはいるが、何か必要な物があればすぐに用意してやるからな?」
「あはは、ありがとうございます。必ずや、無惨様のご期待に応えて見せますよ。『JU―NI・KIDUKI』のメインボーカルとしてね」
「ああ……期待している。お前達ならば天下でも容易く取れる事だろう。私はそう信じているぞ。次のライブ、楽しみにしている」
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「とーちゃん、かーちゃん! ただいまー!」
「……ただいま」
「たっだいまー!」
「おかえり、伊之助、妓夫太郎、梅。ご飯出来てるから、早く手を洗ってくるといいよ」
「おう! ……ん? この臭いは……無惨の臭いだ!」
「あはは、よくわかったね。貰ったお土産があるから、ごはんの後にみんなで頂こう。」
「え! 無惨様来てたの!? ウッソー! だったら早く帰ってくれば良かったぁ!」
「バンドの練習で興が乗ったっつって延長したのはお前だろうがよぉ……」
「ああ、それは良いね。無惨様おっしゃってたよ。ライブ、楽しみにしている、ってね」
「ウッソ、きゃあああ! もう明日からもっと練習しちゃう!」
「あんま張り切り過ぎて喉枯らすんじゃねぇぞ……? 本番も近いんだからな?」
「勿論! 自己管理はバッチリよ! 『JU―NI・KIDUKI』のメインボーカルとして、頑張っちゃうんだから!」
「あはは、そうだね、みんなで頑張ろう。……まぁ、メインボーカルは俺だけどね」
「……は?」
「は?」
「……また始まった……ったく、どっちがメインだろうとどーでもいいだろうが……」
「うおー! 無惨のお土産いつも美味いから楽しみだな! 早く手ぇ洗おうぜ!」
「あれ、みんなおかえりなさい! 今日のご飯はカレーですよー!」
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「無惨様……視察は、これで終了ですが……もうお店に向かわれますか……?」
「……今日飲むのは決定事項なのだな……」
「……? ええ、雄月殿から……報告は受けておりますので……違いましたでしょうか……?」
「あってるよ黒死牟君、大丈夫大丈夫。それじゃお店のほうに向かって貰ってもいいかな?」
「御意に……」
「まったく勝手に……はぁ……いや、ちょっと待て。もう学園のほうも業務は終わりだろう? ならば珠世も連れていこう。たまには労ってやらねばな」
「珠世殿でございますか……では学園へと向かいます……今暫しお待ち下さい……」
「相変わらず仲が良いねぇ。しかし彼女は本当にうちで雇ってて良いのかい? 本当なら大きな病院でバリバリ働けるような優秀な彼女を保険医で雇うのは、結構気が引けるんだけどね……」
「珠世がそう望んでいるのだから仕方あるまい。それにあやつは子供が好きだからな、ある種天職だろう。特に問題がないのであればそのまま雇ってやれ。外野がとやかく言うことではない。……結局は本人の意志が一番大事というだけの話だ」
「そうかいそうかい……まったく、君のそういうところには頭が下がるね。親目線というか、君の下にいる人達が羨ましいよ」
「貴様も大概だと思うがな……学園の教師達も相当自由だぞ」
「無惨の出資ありきの自由さ。そうじゃなければ半数くらいは既にクビにしてるよ」
「…………それはそれで問題ではないか? 生徒達は大丈夫なのか?」
「そろそろ学園につくね、ほら、早く珠世女史を連れてきなよ」
「くっ……私が出資している学園なのだから、取り返しのつかん問題だけは起こすんじゃないぞ! いいな!」
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「いらっしゃいませ」
「やあ、今日は貸し切りで頼むよ」
「はい、承っております……此方へどうぞ」
「ああ、邪魔をする」
「うふふ……失礼しますね」
「……そうだ、貸し切りにするんだ、お前も来い。共に飲もう」
「……では、その言葉に甘えよう」
「ふ、接客対応は終わりか? 新鮮だったからもう少し見ていたかった気もするが……まあいいだろう。早く来い、縁壱。乾杯でもするとしよう」
「ああ、無惨。お前のよく飲む酒も取り寄せてある。後で持っていく」
「お前にしては気が利くじゃないか。今日の飲み代は好きな額を請求しろ。いくらでも払ってやる」
「うちは適正で良心的な金額でやってる。今日も適正の値段にさせて貰う。気持ちだけ受け取っておこう」
「おや、なんだい悪巧みかい? 私も一つ噛ませて貰えるのかな?」
「違うわ! まったく、貴様は私をどうしたいのだ」
「「「乾杯!」」」
「っぷはー! やっぱりとりあえず生だね! 今日一日の疲れが抜けていくようだ!」
「今日貴様は何もしていないではないか! 私に無理矢理同行してよくわからんナレーションをしおってからに……まったく鬱陶しい」
「ナレーション?」
「ああ、ごほん。悪徳政治家鬼舞辻無惨は親しい者としか酒を飲む事はない。現状は親友である産屋敷耀哉と継国縁壱の二人、そしてその関係者だけの小さなコミュニティだけである。その会場となる場は秘匿されいつも密かに行われる……果たしてそこでどのような会話が行われているのか……それは誰にもわからないのである」
「……はぁ」
「悪徳……? 無惨からは随分と縁遠い言葉だ」
「今日一日ずっとこんな感じだ。何を言っても止めやしない……まったく」
「だが、互いに楽しそうだ。私もやってみるか……?」
「どこを見てそう思った? やめてくれ、こんな言動を二人もやると考えただけで頭が痛くなってくる」
「うふふふ……本当に皆さん仲が良いのですね……」
「ふん……仲が良いと言えば、保健室に一緒にいたあの少年はなんだったんだ? お前を連れていく時随分と嘆いていたようだが……彼はいつもああなのか? というか彼は中学生のように見えたが……」
「愈史郎の事ですね。ええ、何故か妙に好かれてしまって……おっしゃるとおり中学生にも関わらず、いつも此方に入り浸っているのです。ちょっと言動が過激ですが、根は良い子なんですよ?」
「……ちょっと?」
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『貴様ァ! 珠世様を連れていくなァアアア! やめろ! 置いていかないで下さい! 珠世様ァアアアアアアア!!!』
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「……まぁ良いか。だが、保健室に猫を入れて自由にさせておくのは感心しないな。利口そうではあったしゲージを用意してやるから、今後は日中そこに入れておくように」
「ええ、わかりました。ありがとうございます」
「おや、それが例の酒かい? 私も飲んでいいかな?」
「ん……別に良いが……これは」
「どれどれ……ごくり…………」
「わぁ、理事長のそんなお顔初めて見ました……大丈夫ですか? お水飲みます?」
「ああ……珠世さん……ありがとう……」
「くくく……ひどい味だろう」
「っ……まったくだ、なんだいこれは? こんなのただ酒精のある水……いや酒精のあるまずい水じゃないか」
「くく……言ってくれる。これはまだ私が若い頃、駆け出しの時に珠世と飲んだ酒だ。相変わらずひどい味だ。何故まだ販売しているのか理解に苦しむ」
「……君のような物好きが他にもいるのかもね」
「かもな……これを飲むと初心に返る事が出来る。まだ私の手が世界中に伸ばせると、全てを救えると傲っていたあの頃に」
「……今はそうじゃないのかい?」
「ああ、私の手は所詮、目の届く所までしか届かん。ならばせめて、私の視界に入った者だけは救いの手を差し伸べてやるさ。当時の私は怒るかもしれんが、それがちっぽけな今の私に出来る精一杯だ」
「そうだな……私もそう思う」
「縁壱」
「私達など所詮、長い長い人の歴史の一欠片……出来る事など限られている。だからこそ、一つ一つの人との繋がりを大事にし、手を繋いでいく……それが輝かしい未来に繋がっていくのだと思う。きっと、私達より優れた者など今も産声をあげている事だろう。そう思えば……なんとも浮き足立つ気持ちにならないか?」
「ふふ……その通りだ、私達のような者はそう大した存在ではないのだからな。精々若人達の為に道の小石でも取り除いてやるとしよう」
「…………この二人が大した存在じゃなかったら、この世の人々はなんなんだろうなぁ……まったく、二人して自己評価が地の底なんだから困ったものだよ……」
「「……? 何か?」」
「いいやなんでも!」
「失礼しまーすお料理お持ちしましたー」
「縁壱さん、うたさんがそろそろ参加するそうですー」
「耀哉様ー、奥方様がお見えです、通していいですかー?」
「おお、ありがとう、妖仙。うたとあまねも来るか……これは改めて乾杯だな」
「そうか、まだ料理あるのだろう? 私も手伝おう」
「あまねもやっと仕事終わったみたいだね。さあ、ここからが本番だ」
「……理事長が手伝えば校長ももう少し早く来られたのでは……」
「聞こえないなぁ」
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「ほりゃあ! 本日のめいんでぃっしゅ、蛙の唐揚げじゃあ!」
「出たな、うたの蛙料理。……見た目は兎も角味は美味いから始末に負えん」
「あなた、何故今日学園に顔を出さなかったのです? お蔭でこんな時間まで残業だったんですよ?」
「す、すまなかったねあまね……君にはいつも苦労を――」
「理事長、あまり今回は誤魔化さないほうが良いかと……」
「……皆揃ってるな。さあ、改めて乾杯といこう。無惨、音頭を頼む」
「む、私か。よし、今日も耀哉以外はご苦労だった。英気を養い、また明日からの業務に備えるとしよう。今日は私の奢りだ、好きなだけ食って飲むがいい! 乾杯!」
「「「「「乾杯!」」」」」
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「無惨様……お帰りは……」
「黒死牟か……わざわざすまないが、そう遠い訳ではないし、酔いざましに歩いて帰ろうと思う。かわりに耀哉とあまねを頼む」
「そうですか……わかりました……お気を付けて……耀哉様とあまね様は必ずや無事に送り届けます……」
「兄上、お気を付けて」
「ああ……縁壱……お前も体には……気を付けろ……」
「義兄上様! また近々遊びにいくでな! 奥方様にもよろしくお伝えくだされ!」
「ああ……伝えておこう……縁壱を……頼みます……存外……抜けた所の多い弟故に……」
「それは知っとる」
「うた……」
「ふふ……それでは……失礼する……」
「さて……私達も帰るとするか」
「ええ、ご馳走様でした無惨様、縁壱さん、うたさん」
「お粗末様じゃ! どうじゃ、わしの蛙料理は絶品じゃったろう!」
「そ、そうですね……ええ……本当に……美味しくはあったんですけど……」
「また来てくれ。無惨達ならばいつでも歓迎する」
「ああ、また飲みにくる。またな、縁壱」
「また会おう、無惨」
「いつでも待っとるぞ無惨!」
「……珠世」
「はい、無惨様」
「私は前に進めているだろうか? あの時、お前と共に決起したあの瞬間から……」
「勿論です。あの頃とは比べようもなく……立派になりましたよ」
「……そうか」
「ええ」
「…………だがまだ足りないな。私は満足していない」
「ふふ、強欲ですね」
「ああ、知らなかったのか? 私は強欲で、我が儘で、自分勝手なのだ。私の満足する未来に辿り着くまで、進み続けるさ」
「ええ、微力ながら、いつでもお手伝いしますよ」
「頼むぞ、珠世」
「はい。『無惨様総理大臣就任計画』も佳境ですから」
「…………待て、その計画本当にあるのか? 耀哉の出任せではなく?」
「おっと……うふふふふふ」
「待て、珠世! もしやその聞き捨てならん計画、皆に周知している訳ではあるまいな!」
「どうでしょう? でも、無惨様が総理大臣になれば、喜ぶ方は多いかもしれませんね? うふふふふふふ」
「やめろ珠世! 待て! 私を置き去りにして話を進めるなぁあああ!」
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「悪徳政治家鬼舞辻無惨……彼の一日はどうだっただろうか。勘違いされやすい彼ではあるが、密着したからこそ見えてきたものもあると思う。最終的に、色んな層の方々と彼がわかり合える日が来る事を、心から願っている……。鬼舞辻無惨の親友、産屋敷耀哉がお送りしました……っと」
「……楽しそうですね」
「まぁね、今日は楽しかったよ」
「仕事をバックレてまで……」
「ごめんて……明日はちゃんとするよ」
「それならよろしいです」
「……ふふふふ」
「? どうしました? 突然笑い出して」
「いや何、幸せだと思ってね。こんな穏やかで楽しくて賑やかな日々がずっと続けばいいのにな、ってさ。そう思っただけだよ」
「ふふ、そうですね。同感です」
「私達の人生は、まだまだこれからだ! ……なんて、ね」
キメツコソコソ話
『JU―NI・KIDUKI』
無惨を慕う12人の男女で構成される、和洋折衷の音楽バンド。
それぞれ頬に漢数字のフェイスペイントをして、歌、演奏、ダンス、全てを網羅する人気絶頂のグループである。
壱・黒死牟(鬼舞辻無惨専属運転手兼庭師)「笛など」
弐・童磨(孤児院『やくそく』院長)「男声ボーカル」
参・狛治(高校生兼素流道場師範代)「ダンサー」
肆・鳴女(鬼舞辻無惨専属秘書)「琵琶など」
伍・妓夫太郎(高校生)「ドラムなど」
陸・梅(高校生兼モデル)「女声ボーカル」
漆・鞍馬(学園教頭)「なんでも」
捌・酒呑(学園警備主任)「シンセサイザーなど」
玖・姑獲鳥(スナック『鳥籠』ママ)「ダンサー」
拾・佩狼(スナック『鳥籠』従業員兼用心棒)「ベースなど」
拾壱・累(中学生)「お琴など」
拾弐・響凱(学園教師)「鼓など」
『ハイカラバンカラデモクラシー』というバンドからライバル視されているらしい。
以上で本当に投稿はおしまいとなります!
皆様最後までお読みいただき本当にありがとうございました!
いずれまたどこかでお会いしましょう!
最後まで誤字報告ありがとうございました!
修正しました!
最後に人気投票!(無惨除く)
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炭治郎
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縁壱
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うた
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黒曜
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耀哉
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鳴女
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雄月
-
珠世
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黒死牟
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童磨
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猗窩座
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鞍馬
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酒呑
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妖仙三兄妹
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半天狗
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玉壺
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妓夫太郎
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堕姫
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累
-
響凱