回転寿司というものは、時に残酷である。

1 / 1
絶望のマヨコーン

 ある日。トウカイテイオー、エアグルーヴ、シンボリルドルフの三人は皿が回るタイプの寿司屋へと赴いていた。きっかけは、テイオーが限定コラボ商品の『出汁入りはちみー』を所望したためである。

 

 出汁はせめて蕎麦屋の仕事だろうとか、まずまず出汁入りのはちみーは美味しいのかとか、そんなことを言ってはいけない。もはや暴走機関車と化しかけており、会長も乗り気であることから二人で行かせるのにはどこか不安が残り、渋々と言った様子でエアグルーヴはおもりについてきたのである。

 

 しかし、そんな懸念とは裏腹に何事もなく皿は積み上がっていった。

 

 束の間の平穏、あるいは『このまま何事もなければ』などという甘ったれた思考。

 そんなエアグルーヴの幻想をぶち壊し、嘲笑うように()()は現れた。

 

 ゆっくりと流れるレーンの奥に軍艦が並ぶ。会長の背後から迫り来るそれに一つ、倒れているものがあった。

 回り、店中を旅する寿司は稀に倒れてしまうことがある。それはいい。だが問題なのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。イクラ、とびこ、イカおくら、納豆、マグロたたき、そして———マヨコーン。単純に確率は六分の一だ。それを引けば、即座にこの場は凍りつき和気藹々とした雰囲気は絶対零度の寒冷地獄と化すだろう。

 

 

 所詮六分の一、せいぜい15%ちょっとと言ったところだ。大丈夫、負ける道理はない。

 

 

 

 

 だが、現実は非常であった。

 

 

 倒れていたのはマヨコーンだったのだから。

 

(……不味い。このままでは十中八九『アレ』が飛んでくる……!)

 

 瞬間、エアグルーヴの脳内CPUが弾き出した最善手は()()()()()()()()()()()()だった。無論、リスクはある。このままみすみす見逃してやるのも悪くはない。ただ、何もせずダジャレをかまされるのを待つなんてことはG1の世界で戦うウマ娘にとっては許されない。———それは、攻めを捨てた雑魚の思考だ。

 

 次の瞬間、エアグルーヴは反応速度における人生の最高速度を更新した。

 積み上げた皿の後ろへと腕を引き戻す。だが、エアグルーヴはそれに集中するあまり、一瞬だけ『自身が会長と呼び慕う文句なしの最強である』という最も重要なことが抜け落ちたのだ。

 

 

 

()()()()()

 

「……ッ!!」

 

()()()()()()()()()()()()()

 

 

 ああ、これではさしずめ……「真横になってるマヨコーン、だな」と。その瞬間、エアグルーヴは胸中で膝から崩れ落ちた。

 出汁入りたはちみーが想像以上の逸品でなければ数日寝込むことは間違いなかったであろう。帰還ののち、彼女はトレーナーにそう語ったという。




いい感じのギャグがあれば続きます

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。