青い灼熱の世界へ   作:迷えるウリボー

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・現在の状況:BL11傑 VS. U-20日本代表
スコア :2-2
得点者 :凪、冴、愛空、烏
試合進行:前半37分経過、烏ゴール。
残交代枠:BL11傑(3)、U-20日本代表(3)




No.52 Blue gene, Red meme

 

 

 青い監獄(ブルーロック)メインスタジアムは異様な盛り上がりを見せている。

 下馬評を覆し、青い監獄(ブルーロック)11傑がゴールを決めた凪。

 その異様な空気に呑まれた観客を救った冴の得点。盛り上がりのまま、まさかのDFである愛空によるシュート。

 そして、前半37分で負けじと1点を取り返した烏の奮起。

 スコア、2‐2タイ。どちらも一歩も引かない攻防だ。

 興奮冷めやらぬ怒号や、日本を讃える声。その圧に逆らわず、イレブンが宵越と烏に駆け寄ってくる。

「ナイスアシスト、宵越!」

「お前もナイスラン、千切」

「いいゴールじゃん、烏」

「うっさいわ、凪ボケェ」

 高校生の少年たち。その喜びも全身を使ったものになる。この瞬間だけを見れば、年相応そのものだ。

 後ろから氷織と潔が笑っている。

「アハハ、烏が照れてるわ」

「おいこらドSコラ、潰すぞ」

 烏は頭をかいた。

 そして、宵越に中指を立てたように、潔にも。

「ええ、俺ぇ?」

DMF()MF()にゴール決められていいんかいな、潔・凛・宵越(前衛バカ3人衆)

 宵越が笑った。

「ハッ、いいわけねぇだろ」

 潔も同じだ。

「次は、俺が決める」

 そうだ。ここにいる全員は、自分がゴールを決めることを本当の望みとしている。

 まだ2点。チームの望みを叶えるのは、11得点。ただそれのみ。

「まだ2‐2。攻め続けるぞ」

 それぞれのポジションへ散っていく青い監獄(ブルーロック)11傑。まだ前半は終わっていない。勝ち越してやる。それが11人の意志だ。

 そんな中、前衛で構えに行く宵越と潔は気づいていた。

 ただ一人の殺気が、際限なく膨れ上がっていくことを。

 一方、U-20代表の側では。

 スコアはまだ同点。そしてまだ前半。負けているわけではない。それでも、勢いは確実に青い監獄(ブルーロック)が握っている。U-20代表の面々は、まるで3点は突き放されたかのような表情だった。

「何回チャンスを逃すんだ、ヘボ共が」

 冴は、FW陣に向けて罵倒した。これ以上ないストレートな暴言だった。

「ゴールを取れる時に取らねぇからこうなる。この責任はお前らが招いたんだ、ヘボストライカー共」

 超健人。狐里輝。そして、閃堂秋人。絶望の淵、処刑台の前に立つ罪人のような空気感。

 せめてもの抵抗は、閃堂の口から出た。

「フ、フザけんな……確かにゴールは決められなかったけど、全責任擦り付けんのは違うだろ……」

 たった今、シュートの原因を作ったのは冴だ。宵越と烏のダブルプレスにハマった形でもある。

 閃堂はそういった感情を込めて、冴を睨み返した。

 もちろん、その前にボールを奪われた選手たちの原因でもある。

 責任ではない。原因だ。

「いい啖呵じゃねぇか、閃堂秋人(グラドル結婚小僧)。その言葉は、そっくりそのままディフェンス陣にも言えんだろうな?」

「ぐっ……」

 そもそも、11人全員で行うチームスポーツ。誰の責任だなどと語ることに意味はない。当然プレーに失敗はあるが、ここにいる11人が連動して動く以上、その原因は全員が共有すべきものだ。

 だからこそ、冴の主張は。

 

「ゴールを決めろ」

 

 ただ一つ。これこそが、サッカーにおけるただ一つの結果だからだ。

「負けたらこのU-20代表は、青い監獄(アイツら)に乗っ取られんだろ? ま、俺にとっちゃどーでもいいけど」

 その一言は、決定的な事実だ。青い監獄(ブルーロック)の面々と同様に、自分たちもまた大人たちの興業のための遊び道具に過ぎないことを告げるもの。

 屈辱そのもの。楽勝だと思っていた高校生たちに負けるなど。

 既に火は着いている。冴もそれはわかっている。だからこそ煽った。

「いくぞお前ら」

 主将が語る。

「前半終了までの時間が、U-20代表(おれたち)に残された全てだと思え」

 勝つためには、点を取らなければならない。

 青い監獄(ブルーロック)11傑、U-20代表。

 どちらも胸中は同じだった。

 

 ──攻めろ。攻め続けろ。ゴールを奪え。最後の1秒がゼロとなるまで。

 

 

────

 

 

 プレーが再開した。U-20代表のキックからだ。

 (OMF)を中心に、FW陣がコンパクトにパスを繋げてボールを前線へ押し上げていく。

 堅実、けれど先程までとはまるで違う気迫だ。

 その攻撃を、守備の不慣れな青い監獄(ブルーロック)11傑がDF陣だけで防げるというのはあまりにも希望的観測が過ぎる。だからこそ宵越や凪、氷織も大きく後ろに下がっていた。潔や凛もだ。

 宵越は理解していた。奪うために自分が守らなければいけないことも。そして理性でそれを理解する宵越とは別に、もう1人のCFから恐ろしい間での衝動が視えるということも。

 破壊的衝動が、脈動し始めている。

(U-20代表の攻め気が格段に膨れ上がった──この1プレーが決定的瞬間(ターニングポイント)!)

 今だ。今やらなければ、青い監獄(ブルーロック)は一点をもぎ取られる。

 それは、恐らくこの場において宵越のみが持ちえる嗅覚だった。冷静な思考と燃える世界への情熱を両立させる不倒の視える世界。

 だから、この1プレー、数十秒にも満たない時間に、全力を賭ける。

 コンスタントに押し上げてくるU-20代表。冴が加わっていることもあり、その攻撃力は決して油断ならない。

 左右のサイド、中央、後方──それぞれの場所で負けん気を発揮するU-20代表FW陣。宵越は、最前線の閃堂(CF)の前に立ちふさがった。

「くっ、不倒……!」

「初めまして、エース」

 宵越は笑っている。疲労はしているし、他の奴らにゴールを決められて悔しい。けれど、この燃える世界は気持ちがいい。だから、自然と笑みがこぼれる。真剣な表情と共に。

 対し、閃堂はどこまでも苦しそうだ。

 閃堂にとって、宵越は年下のホープでしかない。雑誌で少し見聞きしただけ。そんな奴が、このフィールドにおいて冴の次に存在感のある選手になって帰ってきた。

 そんな道理が、許されるものか。

「ふざけんな……! U-20代表は、俺のチームだ!」

「ああ、そう思うよな」

 誰だって矜持はあるだろう。今いる場所への誇りだって。

 それでも、勝負の世界は残酷だ。常に勝ち負けを決める。必ず一方は敗者になる。

 誰かの恨みを買い、悔しさを生み出す。

 青い監獄(ブルーロック)11傑だって、既に265人の生ける屍を作ってきたのだ。とっくに返り血で汚れている。

 それでもできることは、汚れたユニフォームを頂点へ持っていくこと、ただ一つだけ。

(俺は、それを背負っていく──)

 そう考えて、宵越は思い出した。

 

 ──俺はカバディの、全てを背負って行くんだ──

 

 高校カバディにおける頂点と戦った。その選手は、「なぜカバディをやるのか?」と問われて即答したことがあった。

 

『使命。それだけです』

 

 畑は違う。けれど、頂点に立つ者がそう言ったのだ。

 憧れとなった先輩は、むしろカバディに対する『愛』を唱えていた。

 宵越は最善を尽くすためにサッカーに戻ってきた。それは、自分に課した一つの使命かもしれない。

 そして、宵越はスポーツが好きだ。

 今は、愛と使命を唱えた2人の気持ちがわかるかもしれない。

(ありがとうよ、不破先輩)

 だから、問う。

「なあ、U-20代表CF。アンタはどうして、サッカーやってる──!?」

「くそっ……!」

 

 宵越竜哉 VS. 閃堂秋人。

 

 マッチアップ──!

 

 状況はオフ・ザ・ボール。宵越と閃堂がP・Aのやや外側で争い、さらに後方では冴を中心としたボール回しが続いている。

 抜き去ろうとする閃堂を、宵越は絶対に抜かせない。

 その守備。閃堂は気づいた。

(これは……愛空たちの領域守備(ゾーンディフェンス)かっ)

 本職と比べれば不十分だ。だが、宵越には天性の反応速度がある。畑は違うが、カバディで《押し返し》という敵を前に行かせず押し戻すプレーをしたこともあった。

 学ぶことに秀でた男、不倒宵越の本領はこの逆境において十二分に発揮される。絶対に閃堂を抜かせない。

 それでも、冴の殺気が、圧力が閃堂に伝わる。

 

 ──ゴールを決めろ。

 

 ゴールこそが、ストライカーの存在意義だ。

 そうしなければ、閃堂は……

 

「──ぁああっ!!」

 閃堂が奮える。絶対に、この不倒を超える。

 閃堂の気合と同時、冴の攻撃(パス)が、どうしてか宵越が阻む閃堂に放たれた。

 閃堂はこれをゴールへ繋げようと、瞳孔を開かせる。

 この瞬間、閃堂の覇気は確かにストライカーのそれだった。

 その讃えるべき集中力が──利用された。

「もらいました、エースさん」

「ああ……!?」

 刈り取った、青い監獄(ブルーロック)11傑CB、二子一輝。

 宵越が後退したことで、守備の壁が増えた。(LWG)へは千切(RSB)が、狐里(RWG)には蟻生(CB)が着いた。蜂楽(LSB)は前進し中盤、MF陣の攻防に参加した。

 そして、残る二子(CB)が、全体を等しく見ていた。

 集中極まる閃堂への、冴のパス(挑戦状)。それは二子にとってチャンスだった。閃堂の死角から決定機を生み出す、絶好のタイミングを。

「ナイスだ二子」

「そっちも、どーもです」

 二子のインターセプト。宵越は《カット》で閃堂を置き去りにし──自分が求めるゴールへ。

「そのまま行くぞ、カウンター!」

「りょーかい──です!」

 二子が左翼へボールを蹴る。宵越が左翼へ向かって駆け、無理矢理な領域向け供給(ショートパス)を受ける。

 その宵越の行動はやや独善的。それでも、自分の領域を奪われた蜂楽は面白がった。

「嫉妬しちゃうよ、宵越♪」

 蜂楽は代わりに中央へ移動する。

 一時的にLSBの位置を得た宵越が、今度は左翼から駆け上がる。

 二子の広い視野は理解していた。先ほど、右側から千切の超速にしてやられたばかり。だからこそ、左翼による超速の突破の意識はない。黒い光だ。

 宵越に連動して駆け上がる青い監獄(ブルーロック)11傑。

 宵越は叫んだ。

「走れ千切!」

 逆サイドの千切を囮とする。いや、結果的には自分が囮になってもいい。

 両サイドで神速を体現するのだ。

「抜かせるかよ」

 冴が立ちはだかった。先程、千切に対して愛空が構えたのと同じ構図だ。

「抜かせてもらうぜ。何度もやられる趣味はねぇ!」

 宵越の速度は十分超速。けれど千切にはわずかに劣る。

 故に、宵越は連携を重視した。冴の死角にいた凪へボールを回す。凪はトラップによってすぐさま宵越へ返す。冴がすぐには届かない場所へ。

 トラップ・ドリブル。異なる手段で創造と吸収の技を為せる、チームCの超次元共演だ。

 走りにおいては冴よりも宵越が勝る。さらに前線へ。

 

 ──烏の叫ぶ声。

 

「アディショナル1分や!」

 

 残り1分。

 凪が、潔が、蜂楽が、叫ぶ。

『決めるぞ!』

 ゴールを奪う。イレブンが同調(シンクロ)する。

 千切が囮になることで、U-20代表DMF陣が右サイドへの意識を割かれた。宵越は比較的順調に前線へ進むことができた。

 しかし、烏の得点時とは状況は違う。カウンターは自陣奥深くから始まった。既に4枚の鉄壁の守備は準備完了している。

(ここだ。ここをなんとしてでも突破する!!)

 前半のカウンター合戦、常に動かせなかったこの鉄壁を。

 攻撃枚数は3枚。凛・潔・宵越。

 守備枚数は4枚。愛空・仁王・音留・蛇来。

 他のMFの面々は、敵味方問わず前線の手前で争っていた。

 少しもたつけばすぐに冴がやってくるだろう。短期決戦しかない。

 宵越は左翼からスピードパスを潔に。潔はダイレクトに中央の凛へ。

 中央突破の凛。愛空と仁王が警戒する。

 凛を囮に、宵越と潔(ダブルシャドウ)が躍動する。潔が右、宵越が左。

 潔を捕まえる蛇来。

 凛が愛空にぶつかる。それでも凛は脚を振り切った。シュートが弾かれ、山なりに軌跡を描く。宵越が拾う。

 宵越は思考する。

(波状攻撃。このボールは、どうだ!!)

 鉄壁が抜けないのなら、抜き去ることなく撃てばいい。

  宵越が《回転》した。U-20代表DF陣にとっては未知の動き。それでも仁王と音留が反応するが──

 

 無拍子蹴弾(ノービート・シュート)は止まらない。

 

 敵を抜き去ることなく放つ、Isoration技術による走る挙動をフェイントとし、タイミングを奪うカーブシュート。

 シュートそのものは、見事に撃ち放った。称賛されるべき一撃だった。

 それでも。撃ち込んだ──脚がボールに触れた瞬間、宵越は確かに聴いた。

 

 ──ふざけるなよ。

 

 凛の殺気。悪気(あっき)

 

 ──俺は俺だ。糸師凛だ。宵越竜哉じゃない。

 

 宵越の一喝を受けた凛。それでも、簡単に宵越の熱に当てられはしない。

 これは糸師冴の試合(ゲーム)じゃない。宵越が輝く復帰戦でもない。

 これは、()(兄貴)を超える試合(ゲーム)だ……!!

 

 凛が飛び込む。愛空に止められた蹴撃動作(シュートモーション)の直後の異常な復帰速度。

 

 ついでに潰してやるよ、《不倒》宵越。糸師冴と、潔世一と一緒に。

 言っただろう。『このクソみてぇな監獄にいる間に』って。

 てめぇも、俺の殺戮対象だ。

 

 無拍子蹴弾(ノービートシュート)は、Isorationによる力の分散を回転で辛うじて補っている。そして目の前にいるDFを躱すためにカーブシュートである必要がある。

 故に、球速は遅い。

 宵越は最終合宿で何度かこのシュートを放っていた。

 故に、凛は知っていた。

 ボールの軌跡に、凛が割り込む。体を大きく仰け反らせ跳躍。

 青の遺伝子(gene)。赤の遺伝子(meme)

 交わり、重なる。

 これが決して混ざることのない、糸師凛×宵越竜哉の化学反応。

「凛、てめ──」

 凛が、その右脚でボールを蹴り込む。宵越のカーブシュートを強引に奪いスピードシュートに変える、強奪破壊閃撃(ジャック・ブレイク・バースト)

 戦場の、敵味方も関係ない──誰もが予想外の凛の行動。

 宵越の放った軌道に飛び込んでいた不角(GK)など、動けるはずもない。ゴールネットが暴れ狂う。

 同時、審判が吹き鳴らすホイッスル。

 観客の怒号の中、大の字に転がった凛の前に宵越が立った。

「やってくれるじゃねぇか、凛……」

「言っただろうが。潰してやるって」

 宵越の中に、不思議な感情があった。

 当然悔しい。腸が煮えくり返る。サッカー界に見事、ゴールと共に返り咲こうとした宵越のベストプレーを、凛は奪ったのだ。

 それでも。

「最高じゃねぇか、No.1」

「……フン、ぬるま湯不倒が」

「ハッ、いいぜ。その調子で、どんどん進化しろよ」

 宵越は、最善を尽くすためにサッカー界へ戻ってきた。

 日本サッカー界にどんなFW(バカ)が生まれるか、それを確かめるために青い監獄(ブルーロック)にやって来た。

 もっと増えろ、強い奴。

 そうすりゃ、俺が強くなる。強い奴は、もっと強くなる。

「どんどん、強くなれよ。それが俺の最善になる」

「させねぇよ。てめえは潰す。俺の手でな」

 決して相容れない。それでも、このフィールドで共存しているのだ。

 宵越と凛が立ち上がる。2人に駆け寄るイレブン。

 2人の戦いは、まだ終わらない。

 

 U-20日本代表 VS. 青い監獄(ブルーロック)11傑。

 スコア、3‐2。

 

 前半、終了。

 

 

 






・現在の状況:BL11傑 VS. U-20日本代表
スコア :3-2
得点者 :凪、冴、愛空、烏、凛
試合進行:前半45分終了、凛ゴール
残交代枠:BL11傑(3)、U-20日本代表(3)


さて、また後半の展開を考えるときが来たようだ……
※ちなみに凛はまだベロ凛ではないと思います。

Q20 新英雄大戦《ネオエゴイストリーグ》無限交代制は……(参考程度に)

  • 原作通り何度でも何人でも交代OK!
  • 制限緩めて、一度退場した奴は不可にしよう
  • 交代回数も交代人数も有限にしよう
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