心の軌跡~白き雛鳥~   作:迷えるウリボー

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8話 幾多の決意②

 朝焼けの光が、やけに眩しく瞳を貫く。

「……うー……」

 寝ぼけ眼の茶髪の少年は、部屋に射し込む太陽光にも負けず、きっちり十分二度寝をしてからむくりと起き上がった。

「……」

 やや、質素と感じられる部屋。窓は一つ。ベッドも一人用が一つ。机も、長机ではなく日曜学校で子供が使うような控えめの机が一つ。

「……ふぁぁ~~……と……」

 正直まだ眠い。普段の就寝時間より二時間早く寝、普段の起床時間より一時間遅く起きたのだが。

 ただ、これ以上寝ると流石にまずい。特に、今日のような大事な日は。

 その折、部屋のドアを叩く音。

「カイト殿。起きていられますか」

「はい」

 ドアを開けたのは、女性用の黒い法衣を纏う者。胸には、十字架を象った装飾品が備え付けられている。

「おはようございます、シスター」

「ええ、おはようございます。朝食の用意ができましたので、仕度をお願いします」

「はい、ありがとうございます」

 妙齢の修道女にそつなく返すと、彼女が部屋を辞するのを見計らって、立ち上がった。

「起きよう」

 そのまま窓に近づき、一思い開ける。朝の涼やかな空気をたっぷり吸い込んで、そして五秒ほどかけて吐ききる。ここに泊まり始めた数日はこんなことをすると痛くて痛くて仕方なかったが、今ではチリチリとした刺激が胸を騒がす程度だ。

 窓の外。眼下に見えるは……たしか()のモルガン将軍の(やしき)だったか。少し身を乗り出して横を見ると、なんとか西区、中央区、東区か見える。街中の至る所に、白以外の鮮やかな色彩が飾られている。

「綺麗だ……今日だもんな」

 今日は、多くの人が待ちに待った日。

 女王陛下生誕祭が、始まる日だ。

 

 

ーーーー

 

 

「ふむ……まあ問題はないだろう」

 朝食を頂いた後は、もはや日課となりかけている行為を受ける。それは診察。七曜教会に泊まり込む要因……地下遺跡での傷の治療のためだ。

「本当ですか?」

「治療後の容態も安定している。この分なら、今日一日なら外にいても構わない」

 もちろん引き続き教会に通ってもらうがね、とカラント大司教は言う。

「遊撃士の卵とはいえ、流石の身体能力だね。一般人ならさらに重症だったはずだ。体力や、応急措置が優れていたからだろう」

 泊まり込んだことで初めて知ったのだが、どうやら七曜教会における治療薬というのはよく遊撃士が持つティアの薬を始めとした薬群よりも高等な薬の知識を持っている。ただ、それらは今回のカイトのように集中治療を受ける場合であって、戦闘などの非常時には適さないものだった。

「運動を行わない。刺激物を摂取しない。体温を一定に保つ。これを守るなら、今日一日の外出を許可しよう」

「はいっ」

「汝に、女神の加護が宿らんことを……気を付けて、行ってきなさい」

「ありがとうございます」

 そうして少年は、教会を辞する。

 まず向かったのは、グランセル城だった。

 クーデターにおいて関係者となった少年は、もう王城の大門を潜ることなど容易い。正規軍の一般兵に一声かけるだけだ。

「来たな。カイト」

 広過ぎる入り口広場に立っていたのは、数人の一般兵と、真新しい深緑の軍服に身を包んだ茶髪に口髭を生やした壮年の男性。

「おはようございます、カシウスさん。……なんだか迎えが豪華すぎませんか?」

「別に、お前さんのためってわけじゃないさ」

 剣聖、カシウス・ブライト。S級遊撃士『だった』人に、喋りかけながら近寄る。

「……傷はだいぶ癒えたようだな。大事な人材が死に向かわなくて、何よりだ」

「……へへ」

「だが、死に追いやられるということはそれだけ未熟な物を持っているということだ。肝に命じておきなさい」

 それを少年は否定できない。

「エステルから、ルーアンでも無茶をしたと聞いた。人を救うために自らを犠牲とすること。美徳に見える行為のその裏側……リシャールを見れば、俺の言いたいことがわかるな?」

「……はい」

 自分に当てはまることばかりで、何も言うことができなかった。

「とまあ、お説教はこの辺にしておくか。今日は祭りだ、遊撃士になる前の最後の休息だと思って楽しむといい」

「ははは……それ笑えないです」

「大丈夫だ。ちょうど、俺の娘が来るとこだしな」

「カイト!」

 噂をすれば影。呼ばれて振り向けば、二階からエステル・ブライトが手を振っていた。叫ばないように控えめな声を放ちつつ、笑顔で返す。

 女王陛下生誕祭の初日は、アリシア女王陛下が空中庭園から民に向けて手を振られ、挨拶をされる。そして今年はそれに続いて、クローゼーークローディア姫も出席するのだ。

 ブライト家の三人を始め、遊撃士たち、ラッセル博士などは同じ空中庭園からその様子を見届ける。カイトも弟として、出席しないわけにはいかなかった。

 アリシア女王陛下の演説。クローディア姫の演説。その双方が終わると、生誕祭は本格的に開始する。

 事件解決に尽力した者たちも、今日のところは思い思いに過ごすだろう。ラッセル博士は孫のティータとともに散策を。アガットとジンは遊撃士同士で酒場に繰り出すというし、女性遊撃士たちもショッピングに行きたいとはしゃいでいる。

 一方でブライト姉弟ーーいやエステルとヨシュアは、気儘に王都を歩くらしい。これにはカイトもシェラザードと共に生暖かい目線を向けずにはいられなかった。

 顔を真っ赤にさせたエステルの最大限の微笑みに対して流石のヨシュアも気まずげだったのは、今後に語られるであろう余談である。

 そして、カイトはといえば。

「お待たせ、カイト」

「ううん、全然待ってないよ」

 一人の少女を待っていた。その待たれていたクローゼは、今は純白のドレスではなく着なれた学生服に身を包んでいる。そして空中庭園で付けていたウィッグを外しているため、腰まで届く長髪でもなくなっている。

 グランセル城解放作戦の前日。星空の下で、二人は約束をした。生誕祭を一緒に見て回るという約束だ。

「それじゃ、行こうか」

「うん。でもカイト、また変に無茶してない?」

「大丈夫だって。カラント大司教からのお墨付きだから!」

 何度も聞かれると心配されているとわかっていても言ってしまう。朗らかに笑いながら、それでも少し強めにだ。

「姉さんこそ、結構緊張したんじゃない? 普段あまり公の場に出ないんだから」

 城の大門を潜り抜けてしばらく歩く。クローゼは、いくらか図星なのかぶっきらぼうに答えた。

「大丈夫でーす。しっかり間違えずに喋れましたからっ」

 嫌いでもないのに突っぱねて喋る様には、お互い笑うしかなかった。

 王都は広いが、暇を潰す世間話には事欠かない。遊撃士のこと。王城の裏事情。祭で回りたい催しのこと。目新しい料理に対する感想。色々だ。

 そんな風にのんびり王都散策が続くが、思ったより誰かに声をかけられるということはなかった。空中庭園での正装時に長髪だったから、今の髪の長さではクローゼがクローディア姫だとは夢にも思われないらしい。多少勘の鋭そうな人たちに観察されるということはあったが、それだけだった。

「髪の長さって、結構大事なんだね」

「私は、身分がばれないように、という理由でやってるの。カイトは、どっちがいいと思う?」

「短いほうが……可愛いと思うよ……」

 個人的欲望丸出しな少年である。

 百貨店によれば、シェラザードにアネラス、カルナの女遊撃士三人が揃い踏みしていた。その輪に加わってアクセサリーやら衣服やらを試着する様子を眺め、意見を聞かれて赤面したり。

 図らずも、女性の衣服について詳しくなってしまった。

「カイトも、何か買わない?」

「そーだな、上着とかいいかもな。……最近よく消耗するし」

 ダルモアの魔獣に引きちぎられたり、リシャールに切り裂かれたり。深く考えずに新調していた白の上着は、毎度悲惨な目に遭っている。もしかして色が不吉なんじゃ……とか思いつつ、んなわけねえと否定する少年。

「ならこの際だし、カイトの服も新調しちゃいましょうか、アネラス」

「そうですね、シェラ先輩! でもカイト君って、ちょーっと工夫したら可愛くなりそうな気がーー」

 そんな少年にとっての悪夢は訪れなかったが、暫しの間女性陣の着せ替え人形となった。

 百貨店を出ると、エステルとヨシュアの二人に遭遇する。カイトがエステルをからかい、その様子を笑顔で見守るクローゼとヨシュアの語らいに、言い様のない不安を覚えたり。

 途中、事件関係者から話を聞いて回っているというナイアルにも遭遇した。彼は助手であるドロシー・ハイアットとともに、クローゼからは学園祭、カイトからは市長邸での戦いについて聞いてきた。

 それが終わると、また散歩。少し疲れて、また休憩。

 夕暮れの少し前。二人は、アイスクリーム屋の前にいた。

「はいできたよー、お二人さん。占めて四百ミラだ」

 屋台店主の女性はやたらと元気だった。

「ほれ彼氏! 男らしく持ってあげないとかわいそうでしょ!」

 そんな爆弾を少年に投下するぐらいである。

「ふふ、違いますよ。こう見えて私たち、姉弟……みたいなものなんです」

「ふーん、背丈的に姉と弟かな? 同い年くらいかと思ったけど」

 屋台を離れて、食べながらグランセル城へと向かうそろそろ帰らなければ、クローゼが心配されてしまうだろう。

「それにしても、あの人も変なこと言うなあ……なんだよ、恋人って……」

 エステル同様、嬉しいはずなのに突っぱねる。恥ずかしさによる反抗期は同じらしい。

 特に表情を変えるでもなく否定だけしていたクローゼは、カイトの呟きを聞いておや、と感じた。

「そういえば……背、伸びた?」

「ん?」

 言われて直立不動となり、正面に立ったクローゼとの視線を見比べる。

「そんな、変わってないと思うけど」

「ううん、少しだけ高くなってる。……それに、顔つきも少し違うよ」

 言われてみれば、前までは目線は同じだっただろうか。今はほんのわずかたが、少年が少女を見下ろしている。それこそ、二人でなければ気づかないようなわずかな差だが。

 遅れてやってきた成長期かと疑問符を浮かべるも、それは大した問題ではない。もう一方の顔つきは、思い当たる節がありすぎるからだ。

「それはやっぱり、ダルモアとリシャール大佐の事件に首を突っ込んだからだよ」

 戦いの日常に身を置くのは遊撃士の資格を得てからになると思っていた。その日常だって、魔獣とたまに戦うくらいで雑務に明け暮れるのだろうとも思っていた。

「けれど、違った。明確な意志がある『人』との戦いだから、変わらざるを得なかったんだと思う」

 レイヴンに始まり、リシャールに終わるまでの様々な人々。強い人、覚悟を持った人がいた。

 少しでも変わらなければ、彼らと同じ戦場には立てなかった。

 おかしいな言い回しだが、彼らのおかげで自分は変われた。

「あとは……姉さんがいたから、強くなれた」

 姉と呼べる存在がいなければ。それがクローゼーークローディア・フォン・アウスレーゼでなければ。自分は王都に来ることはなかった。ロランスも、リシャールとも相対しなかった。

「だから、姉さんのおかげなんだよ。……今まで、全部」

 そもそも、彼女がいなかったら自分はあの百日戦役を生き残ることができたのだろうか。

「本当にありがとう、姉さん」

「……私は、切っ掛けを作っただけ。そこから強くなれたのは、カイト自身の力だから」

 並んで歩く。それを、唐突に少年はやめた。グランセル城前の広場で、立ち止まった。

「姉さん……」

「どうしたの?」

 本格的な夕暮れ。黄昏時は、様々なものが虚ろになるらしい。お伽噺では、人間や世界や、精霊や魔物たちが。

 現実でだって、揺らめくものはある。人の感情は、こんな時こそ右往左往してしまう。

「……オレ、は……」

 ぼやけたオレンジに染まるクローゼは、とても美しかった。ずっとこの時が続けばいいと、本気で思う。

「絶対になるから。皆を守れるような、遊撃士に」

 揺らめいてしまうから、あと一歩で言えなかったのか。本当の気持ちを。皆よりもただ一人を守りたいと思う、自分の本心を。

「うん。楽しみにしてる」

 気づかないクローゼは、笑顔でそう答えた。

 共に成長してきた大切な……弟に。

 

 

ーーーー

 

 

 グランセル城に着くと、一時間程の休憩の後に晩餐会が始まる。アリシア女王陛下やクローゼに始まり、城に泊まる客人となった者たちが、リベールの宮廷料理を大いに楽しんだ。

 それが終わり湯船を楽しんだ後は、客室を楽しむ時間だ。

 それでもまだ寝たくなくて、少年は城内を散策する。先輩遊撃士たちも、ブライト姉弟も、クローゼもいる王城だ。用事には事欠かないと、カイトは客室を出る。

 けれど、空の女神の粋な計らいなのか。一つの戦いを終えた少年に、また問い掛けを放ってくる。

 貴方はどんな答えを導くのか。そんな、並大抵の山より谷より困難な問い掛けを。

「やあ、カイト君」

「……どうも、オリビエさん」

 殆ど同じタイミングで、青年は扉を開けた。特に用事があるというわけではなさそうで、何かしらの荷物を持っているわけでもない。

「傷は……だいぶ癒えたようだね。これで姫君にも、顔を向けることができるというものだ」

 そのわりには、今日の昼間に遊撃士協会支部の前でオリビエを見かけたときは随分悦に入っていた口説きをクローゼにしていた気がするが。

「はい。オリビエさんのおかげです」

 ただまあ、その後すぐに帝国軍人のミュラーがエステルらに連れてこられて散々な目に遭っているようだったが。

 そのせいか、毎度のこと現れていた心のざわつきはその時だけは荒ぶらなかった。

 それに今は、一つの決意もある。

「ちょうどいい。カイト君、今から何か用事はあるかな?」

「いえ、特には」

 まだ、少年の顔は無表情。それでも、怒りに震えていた数日前よりは進歩している……と思いたい。

「なら、これも女神の導きなのかねえ……。談話室に行こう。詩人の語らいに付き合ってくれるかな?」

 ぎこちなく、でもはっきり首を縦に振った。

 談話室のカウンターで、それぞれ気まぐれにジュースを選ぶ。カイトはともかく、オリビエまでアルコール抜きを頼んでいた。

 階段の上、人気の少ないテーブルに腰かける。どちらからでもなく自然に、まずは事件解決を祝して杯をぶつける。

「流石、伝統あるリベール王家だね。あの宮廷料理、食べる舌が唸りをあげたものだよ」

「そういえば、城に泊まるのは初めてでしたもんね」

 晩餐会にカイトが出席することができたのは、様々な偶然が重なってのことだ。カイトとしては、その前後の出来事はあまり考えたくない事だったりする。

「……」

「……」

 あのミュラーに対しても、そこまでしっかりとした会話はできなかった。『帝国軍人』という立場が、ある意味でオリビエより壁を作ってしまうのかもしれない。

「…………」

「…………」

 そういえば、今更ながら生誕祭は人の出入りが激しい。当然外国人だっているはずだ。共和国人も、多数存在する自治州人も。そして、帝国人も。

 今、王国はどうなっているのだろう。偽らざる、少年の心に浮かんだ言葉。

「……僕は、目的があってこの国を訪れた」

 気まずい静寂を破ったのは、オリビエだった。

「目的はとある人との邂逅。それは僕、『オリビエ・レンハイム』としての目的……『詩人』としての目的は、ただの物見遊山」

「…………」

「けれど、途中から目的は増えた。……それは、この国を知ること。この国に生きる人々を、知ること」

 語りは、一度終わる。

「君は、どうして王都に来たんだい?」

 今度は、自分の番。例え道を別つ事になっても互いを知ろうという思いを一致させた、二人の語らい。

「オレは……大切な人を、守るために、王都に来た」

 一つ一つ、はっきりと想いを言葉にのせる。

「拙い力だけど、姉さんを守りたいから王都に来た。守りたいと……姉さんと皆を守りたいと思ったから、遊撃士を目指した」

 オリビエは何も言わない。頷きも、相槌も、ジュースを飲むこともしない。

 ただ、静かに聴いている。

「遊撃士になりたかったのは……たぶん、『軍人』があまり好きではなかったから」

 初めて考えた。大切な人を守るなら、軍人であっても構わなかったはずだ。でも遊撃士を目指したのは、たぶん。

「守りたいくらい大切だったのは、一緒に過ごしてきたから。沢山、支えてくれたから」

 そして。一緒に過ごしてきたのは。沢山支えてくれたのは。軍人が好きではないのは。たぶん。

「……百日戦役で、孤児になったから。お父さんとお母さんが……死んだから」

「……」

 何故だろうか。いつの間にか下を向いていた、その机にジュースでない水の粒が数滴落ちている。嗚咽はないのに、数滴だけ落ちている。

「だからオレは……帝国が嫌いになった。十年が経っても、まだ……」

「……そうか……」

 だから、オリビエとミュラーを嫌ってしまった。

 帝国が嫌いだから、帝国人が嫌い。未だその感情の癖は消えない。今まで本当に心から吹っ切れたことがない。

「でも、オリビエさんには」

「『助けてやった』なんて、僕は微塵も思わない」

 言おうとした感謝を、オリビエは否定した。そんな言葉は、どこかに必ず空虚が混じっているから。

「この前の治療のお礼なんてものはいい。それを度外視した、君の本心が知りたいんだ。

 もう一度聞きたい。君は……僕をどう思っている? いや、エレボニア帝国をどう思っている?」

 最後の問い掛け。ただ純粋に、その者の本心を聞く問い掛けだ。

 だからカイトは返した。見栄も張らず、恥も捨てて、戦いで得た心に立ち向かう意志も捨てて。全てをさらけ出して、ただ言った。

「子供っぽいってことは分かってる。百も承知してる。

 でも……それでもダメなんだ。……あんたを見ると……あんたの後ろにある帝国のことを考えると……どうしても胸が締め付けられて、苦しくなるんだ!

 憎いって、許したくないって……そう、思ってしまうんだ」

 理屈では、今の帝国を憎む意味はないことも分かっている。

 けれど、それでも。心は、ただ一つの方向へ向かっている。

「オレにはもう、二人目のお母さんもいる。幸せな人生を生きてる」

 本当に、ただの子供なんだよ。

 それは、初めて自分に対して当てられた感情。子供だという自分の心を嫌う想いだった。

「…………そう、か」

 長い沈黙の後、小さく聞こえた青年の音。

「わかった。君の正直な心が」

 その想いが分かったから、オリビエは何も言わない。嫌いだと感じる自分を嫌う少年の意志も、わかった。

 だから、余計な口出しはしない。同じように、ただただ感じた答えを紡ぐ。

「君が僕の故郷をいつか許してくれると信じて、待つとしよう」

 いつかわかりあえるのだと、最良の未来を信じて言ったのだった。

 

 

 




拙作をお読みいただき、ありがとうございます。
第一章、終了しました。
次の投稿までの予定を、今回は活動報告に書かせていただきました。
次の投稿が気になるという方は、一読頂ければと思います。

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