テラフォーマーズ1巻にて、バグズ2号に搭乗し火星を目指す小町小吉。
 しかし彼が昆虫の能力を得る「バグズ手術」を受ける直前、ある問題が……?

1 / 1
【テラフォーマーズ ギャグSS】小吉「スズメバチに刺された俺がスズメバチの能力使って大丈夫なの?」

 

 U‐NASA職員「さて小町小吉さん、バグズ2号搭乗のための『バグズ手術』、適合検査の結果が出ました」

 

 小吉「虫の遺伝子を移植して、その能力を持った姿に変身できるようになるやつですね! いや~何の虫が来たかな~、カブトムシ? クワガタ? でもやっぱり男の子の憧れといえば、仮面ライダーみたくバッタかな~」

 

「残念ながらその辺ではないんですが……でも相当強い虫です、バグズ2号メンバーの中でも1、2を争う戦力ですよ! あなたの適合した生物はなんと、日本原産『オオスズメバチ』です!」

 

「え! スズメバチ……あ~……スズメバチ、かぁ~……」

 

「どうしたんです、浮かない様子ですが。スズメバチといえば強力な毒! 強靭なアゴ! カブトムシに次ぐ硬度の外皮! 攻防共に隙のない能力ですよ?」

 

「いや、そこはいいんだけど……実はその、昔、スズメバチに刺されたことがあってですね」

 

「はあ」

 

「なんていうか、ハチに刺された人がもう一回同じハチに刺されたら、めちゃめちゃ酷い症状が出るんでしょ? 死ぬこともあるとか……何て言ったっけ、なんとかショック?」

 

「あー! アレですねアレ!」

 

「そう! ソレですよソレ!」

 

「はいはいはい、アレがありましたねアレが!」

 

「そうそうそう、ソレがあるんですよソレが!」

 

「はっはっは、アレね、キツいですねアレはね~!」

 

「あっはっは、ですよね~! ……で、大丈夫なんですかね俺」

 

「何言ってるかちょっとよく分かりません」

 

「分かれよ!? 完全に知ってる流れだったろ今!? ほらあの、何? アナル? フェラ、キシー……ショック?」

 

「アナフィラキシーショック。強烈なアレルギー反応による呼吸障害・血圧の低下・意識障害などを伴う重篤な症状ですね。突然下ネタ言わないで下さいね」

 

「知ってんじゃねえか! 何で一回知らない感じ出したんだよ!? まあとにかく、その手術して大丈夫なのか聞きたいんだよ。自分の体にスズメバチの毒が入るってことだろ、アナフィラキシーショックになっちゃうんじゃねえの?」

 

「あ~……なるほどね~……それはなるほど、本当、うん……」

 

「だろ? だからその辺を詳しくだな――」

 

「で、こちらが手術同意書になりますんでサインとハンコお願いしまーす」

 

「話聞いてた!?」

 

「あ、印鑑なかったら指印でも大丈夫です」

 

「そこじゃねえよ! アナフィラキシーは大丈夫かって聞いてんだよ!」

 

「ああ、アナル? フェラ、キシー……ショック? の話でしたか」

 

「下ネタはもういいんだよ!」

 

「小町小吉さん。ご存知のとおり、バグズ手術は未だ研究中の技術です。そもそもの成功率も3割前後、我々としても未知の部分が多い……アナフィラキシーの危険性について、断定は致しかねます」

 

「そうか……」

 

「ですが、どうしても不安でしたら。スズメバチより適性は下がりますが、他の虫でも適合があります。そちらにしますか」

 

「へえ、どんなのがあるんだい」

 

「『トゲアリトゲナシトゲトゲ』」

 

「……ん?」

 

「『トゲアリトゲナシトゲトゲ』」

 

「……なんて?」

 

「トゲアリトゲナシトゲトゲ。トゲハムシ亜科トゲトゲの一種ですがこのトゲトゲの中にはトゲを持たないものもありこれはトゲナシトゲトゲと呼ばれます。ですがこのトゲナシトゲトゲの中にもトゲのあるものがあり、これをトゲアリトゲナシトゲトゲと呼ぶのですがつまりこのトゲナシ、いやトゲアリトゲトゲ、じゃなくてトゲアリトゲナシトギャギャシ――」

 

「分かるかーっっ!? あと自分でも最後分かってねえだろ!」

 

「うーん……トゲアリトゲナシトギャ……トゲアリトゲナシトガシゲンジでもお気に召さないとなると」

 

「なんか男塾一号生混ざらなかった?」

 

「仕方ありませんね、極秘開発中の技術ですが……実は昆虫以外の生物とも合成する手術があります。そちらの適性も一応調べておきました」

 

「おお、そんなのが! で、結果は?」

 

「『スカシカシパン』」

 

「え?」

 

「海洋生物スカシカシパン。ウニの仲間ですが特にトゲはありません。平べったい形状が菓子パンに似ているところから命名されています」

 

「何だよそれ!? 何で面白生物とだけ相性いいんだよ俺!? そうだ何か、何か能力あるのかよそのカシパン!」

 

「甲殻がやや固いのと……食べてもあんまり美味しく、ない……?」

 

「捕食されるの前提になってない!?」

 

「では、他に適性がある生物ですが。まず『マグロ』」

 

「あー……パワーとスタミナはありそうだな」

 

「『スルメイカ』。『マダコ』」

 

「墨で目潰しとかできるな」

 

「『ハマチ』。『シャケ』」

 

「……ん?」

 

「『アジ』『サンマ』『イワシ』『赤貝』『甘エビ』」

 

「なんかシーフードというか、寿司ネタばっかりじゃない!?」

 

「『エンガワ』『中トロ』」

 

「完全に寿司! っていうか生物じゃねえだろ、部位だろそれ!?」

 

「私は意外と『カリフォルニアロール』好きなんですよ」

 

「てめえの好みは聞いてねえよ!」

 

「……では、おやめになりますか?」

 

「え?」

 

「小町小吉さん。あなたは金もなく他に行き場もなく、いわば最後の手段としてこのバグズ2号搭乗を志願したはずです。報酬を得て未来をつかみ取るために。……おやめになりますか?」

 

「……! そうだな、そうだった……俺は新たな人生のため、あいつとの将来のために、ここへ来たんだった。――やってやる。適合手術を受けて、火星へ行く! どんな結果でも受け入れる覚悟はできてるぜ……!」

 

 

 

 

 ――その後、火星にて。

 ――謎の進化を遂げていた火星のゴキブリに襲撃され、バグズ2号メンバーの多くが殺されてしまっていた。

 ――だが、決して諦めない者たちがいた――!

 

 

小吉「まだだ……ここからが人類(おれたち)の反撃だ!」

 

 

ティン「ああ! 行くぜ、人為変態『サバクトビバッタ』!」

 

 

「俺も行くぜ! 人為変態『スカシカシパン』!!」

 

 

「それ選んじゃったのかよ!!? スズメバチは!?」

 

 

「いや、だってアナフィラキシーショック怖いし……」

 

 

「覚悟はできてるとか言ってなかった!?」

 

 

「できているさ……この力で戦う覚悟がな! 食らえ奥義【スカシカシパンチ】!」

 

 

「いや、無理だろそれーー!!?」

 

 

 

 

 ――小町小吉。

 ――バグズ2号の後に、火星へ向かう新たなる宇宙船、アネックス1号の艦長となる男。

 ――マーズランキング同率3位『スカシカシパン』の能力を持つ男の、若き日の物語であった――。

 

 

(了)

 

 


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。