モブ曇らせです。完全オリジナルなのであしからず。

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特に設定とかは気にせず読みましょう


【原神】貴方に寄り添うのは私じゃない

私ははしがない教令院の生徒だった。

子供の頃、森に住む何かと遊んだボードゲームから、遺跡に潜む罠やギミックに興味を持ち、数年掛けて教令院の生徒として通い始めることが出来た。

当時、教令院に入るのに必死で、原点であったボードゲームや一緒に遊んだ不思議な友の事も忘れていた。

だが、今はそんな事を思い出せる程、頭が冷えていた。

ファルザン「えぐっ…うぅ…っ」

俺が隠れる木の後ろで泣く、私の憧れの先輩。

この人…ファルザン先輩は、教令院に入り、何をすれば良いかも見失っていた私を、学問的な後輩として、導いてくれた恩人だ。

聞けば大昔に不思議な遺跡に閉じ込められて100年の時を過ごした。大昔の学者なのだという。

自分の専門とする分野に興味を持ってくれたことが嬉しいと、何かと世話を焼いてもらった。

貴重な資料や先輩の経験談、様々なことを学ばせてもらい、時には一緒に調査も行った。

長いとは言えないながらもそれなりに一緒に過ごした私が見た先輩は、いつもの気丈で、明るい人だった。

近頃は遠方からの旅人と行動することが増え、会う機会はかなり減った。

けれど、見かける先輩の顔は、いつもどこか晴れやかで楽しそうで、とても美しかった。

ファルザン「うぅ…うぐぇ…ああああああっ」

こんな風に泣く先輩を見るのは初めてだった。

つい最近、先輩のかつての親友の子供が亡くなったと、学派の中で噂になっていた。

その時先輩は、例の旅人と砂漠で地質調査をしていた為、このことを知らなかった。

帰ってきた先輩の耳にこの訃報が入った時には、既にその子どもの埋葬は終わり、墓が作られた後だった。

心配する私をよそに、先輩はフラフラとその墓に歩いていった。

ファルザン『すまん…一人にしてくれ…』

そう言う先輩の眼には、たくさんの涙が浮かんでいた

墓に付いた先輩は、こっそりと付いてきている私にも気づかず、静かに泣き出した。

私は、声をかけることもできず、ただ隠れている事しか出来なかった。

先輩の嗚咽が響くたびに、私の頭は冷えていく。

[何かできないのか]

幾度そう考えても、答えは出ない。

自分が何かした所で、何の慰めにもならない事は自分が一番分かっていた。

自分では余りにも軽すぎることに。

[誰か、彼女にとって、大切な人は居ないだろうか]

そう考えると、ふと例の旅人の顔が浮かぶ。

彼と話す時のファルザン先輩は、今までに見たことがないほど、きらめいた顔をし、心が躍っているように見えた。

[彼ならば、今の先輩を落ち着かせられるのではないか]

そう思った時には、駆け出していた

「はぁっはぁっ!すいません!例の、あの旅人を見ませんでしたか!?」

街中の色んな人に聞いて回る

普段デスクワークばかりして、まともに体を動かしていないツケが周り、あちこちが痛む。

それでも…

パイモン「お、お前どうしたんだそんな汗だくで!」

こちらを心配そうに眺める、珍しい衣服を身に纏う金髪の少年と宙に浮かぶ謎の少女。

「頼むっ!先輩を!あの人を!」ゴホッゴホッ

自分でも何を言っているのか分からないほど絶え絶えの声で、旅人に訴える。

パイモン「とりあえず落ち着け!どうしたんだ?その…先輩ってのは誰のことだ?」

謎の浮かぶ少女が、宥めながら聞いてくる。

「ファルザン先輩を…あの人を!」

先輩に貰った古ぼけた地図に乱雑に印をつけ、旅人に渡す

パイモン「ファルザン…?どういう事か分からないけど、とりあえず緊急事態みたいだ!行ってみよう!」

そう言うと、2人は駆け出していく。

一瞬の安堵を覚えながら、息を整えながら歩く。

[大丈夫なんだろうか、彼に頼んだことは、間違っていないのだろうか、そもそも、こんな事する必要は無かったんじゃ…]

歩く間に、無数の考えが頭をよぎる

その中で、一際大きな物が渦巻いている。

[自分じゃ、駄目だったんだろうか]

無視したい。けど、ソレは頭に竜巻の様に渦巻いて、決して消えてはくれない。

なんとも醜く哀れな嫉妬心だ

誰だって、自分では役不足なのはひと目でわかる。

ファルザン先輩と言う、学派でもトップの天才に居る、無数の後輩学者のうちの一人。

対して彼は、百人見れば百人分かるほど、先輩に大きな好意を向けられている特別な人物。

悩む余地もないほどの、明確な差。

自分でも、あの時選べる限り最良の選択をしたと思う。

けれどそれは冷静な部分での話。

今も冷えた頭の片隅では、惨めで情けない言い訳が繰り返されている。

そんな鬱屈とした気分のまま、あの場所に戻る。

そこには、彼の腕の中で、涙を浮かべながらも安らかに眠るファルザン先輩と、それを朗らかな表情で見守る旅人がいた。

爽やかな風が吹く。

それに流されるように、渦巻いていた醜い感情が消えていく。

すると、何かが落ちる音が足元からした。

ふと足元を見る。

なにかの見間違いかもしれない、そう思った。だが、そこには確かに、碧色の[神の目]が転がっていた。

神が、私のどんな願いに目を向けたのか、

私は、はたしてその願いを誇っていいのか、

また、少し頭が冷える

私は少し経ってからそれを拾い、静かに来た道を歩く。

彼女の安らぎを邪魔しないように。

 

 

私の目から溢れるこの涙が、こぼれない様に。

 

 

 




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