適応能力ダブル持ち(なお宝の持ち腐れな模様) 作:マコ×OR
やってしまった。
やってしまったよ。いや、待ってください、少し弁明させてほしい。ちょっと力みすぎただけなんだ。それであそこまで暴走してしまうとは思っていなかったのです。本当です信じてください。
……あれだけ派手に暴れたのだ。何事もなく次の日を迎えられるわけもなく……翌日の新聞の一面に載ることになってしまった。
「これは……はぁ……やっちまったっすねー…」
「お兄さんは良くても僕らは結構大変だったんだよ?あの後ヒーローたちからの取り調べもすごかったんだから」
「ごめんなさいっす…」
「お兄さんって個性使うと毎回暴走気味になるよね。暴れたりしないように適応できないの?」
「ハイ…」
「ハイじゃなくって」
「ヒィン…」
昨日の後始末をすべて、自分の倍年下の出久くんとかっちゃんくんに押し付けてしまったのは、人生の先輩として非常に情けないことではあるが、自分にはもはや頭を下げて謝ることしかできない。
そんなこんなで紆余曲折がありながらも、
ちなみに自分は既に大学までの学習範囲に『適応』しているので、最近はもっぱら二人の教師役を務めている。出久くんと一緒に幼少期から行っていた『ひーろーになるためのとっくん』に、かっちゃんくんも加えつつ、さらに座学も追加したカタチだ。ぶっちゃけここまでやれば、世界中どこの大学だろうと普通に進学できるため、ノー勉でも無問題なのだ。
「あっ、ここ違うっす」
「えっうーん…」
「どこが違うか分かるっすか?」
「待ってね……ホント待ってね…」
「……解説いるっすか?」
「待ってね(ガチギレ)」
「ハイ…」
キレられた……ゴメンよ出久くん……でも悪く思わないでね、心配ゆえの行動なのだ…
……あっ、かっちゃんくんも同じ場所を間違えてる……仲良し……どうしようかな……解説言おうかな、止めようかな…
「言うんじゃねェぞ(全ギレ)」
「ヒャイ…」
自分はそんなに顔に出ているのだろうか…?
やかましい勉強会の後、出久と爆豪は海辺を散歩していた。数年ほど前までこの場所はごみの不法投棄が公然と行われている、誰も寄り付かない不潔な場所であった。身体訓練の一環としてかっちゃんと一緒に清掃活動をしたのも、今となってはいい思い出である。
「オイ出久、あン時のクソピカの様子―――」
「明らかに暴走してたよね…」
「去年よりも頻度上がってんじゃねェかよオイ。どうなってやがる出久?」
「うーん……お兄さんの身体に異常は見られなかった。だから身体の方に問題があるんじゃない。問題なのはたぶん心なんだ。際限なく強化されていく超パワーの肉体に肝心の心がついていけてないせいで、今のお兄さんは精神的にすごく不安定な状況にある」
「ホントは一緒に遊びに行って息抜きしようと思ってたんだけどなぁ……仕方ない、か。かっちゃん?試験が終わったあと特に予定無いよね?」
「……ねェよ」
「お兄さん強制参加の打ち上げパーティ、行く?」
「…」
「マック行ったあと門限ギリギリまでカラオケ」
「……」
「セットでドリンクバー付き。どう?」
「………………行く」
「よし。じゃ、試験頑張ろうか!」
光陰矢の如しとはよく言ったもので、あのヘドロ事件からもう十カ月の時が過ぎた。この期間、出久くんもかっちゃんくんも死ぬほど勉強したしトレーニングも完璧にこなしている。贔屓目に見てもプロヒーローとだって渡り合えるのではないか?これで受験に失敗したら流石にヘコむ、というレベルまで二人を鍛え上げることができた。
訓練の成果は目覚ましい。
出久くんの肉体美にもいっそう磨きがかかっている。一昨日なんかは100mを7秒で走破し*1、なんかクルミを素手で割っていた*2。
その上、ベンチプレスをすれば
雄英高校の正門を目の前にして、自分は二人に語りかける。
「いいっすか二人とも。まずは今日までお疲れ様っす。今日まで二人が行ってきた死ぬほどキツい勉強会も、地獄のトレーニングも、絶対に二人の力になっているっす。今の二人は去年までとは比べものにならないほど強くなってるっすよ」
「だから……とっとと入試を終わらせちゃおうっす。自分が作った模試と比べればこっちの方がよっぽど楽っすからねー、二人ならヨユーで満点取れるっすよねー?」
「面白ェ……上等だクソピカァ!ここにいるヤツ全員捻り潰して首席で合格してやるわクソが!」
「もう勝った気でいるのかっちゃん?模擬戦の勝率は個性ありでも五割だよね?」
「ハァ?上等だゴラ六割にしてやるわブッ殺すぞ」
「仲良しっすねー」
(((これで仲がいいってのか…??)))
む、周囲からの注目を集めてしまっている。変に注目を集めて二人を緊張させてしまわぬようさっさと会場内に入らなければ。自分は腕を引いて門を潜っていった。
人間ごときの作成した筆記試験に躓くようではORTの名を頂くことはできない。既に脳内で千回は回答したし、時間をかけることで模範解答ともいえる精度の回答になった。というかORT製の回路を用いて問題を解いているのだから全問正解していないとおかしい。もしも筆記試験の結果のみを参照するのであれば確実に合格したと言える。
ただ、それは普通科であればの話だ。ヒーロー科に通おうとするならば、ここからさらに実技試験を受け、そちらでも優秀な結果を収めねばならない。実技試験の内容は、市街地を模した試験会場内に放たれたヴィランマシーンを破壊するというもの。強さによって獲得できるポイントが変動し、最終的により多くのポイントを獲得することを目指す、というもの。だが、自分にとっては全く違う試験になる。別の受験者を可能な限り殺めないようにする。自分にとっては本日最難関の試験項目だ。
「力弱め力弱め力弱め力弱め…」
「なんだアイツ…?さっきからずっとブツブツ言いやがって…」
周囲にどう思われようと微塵も気にならない。所詮は羽虫の戯言である。しかし、出久くんに嫌われないようにするため、足元には細心の注意を払わなければならない。うっかり踏み潰してしまえばそれこそ絶交モノの大事件になってしまう。
ガコンッ
「―――ウ゛ン゛ッ゛」
「うおっ何だ個性か…?」
社会のルールを守りつつヒーローになるために、力が暴走して周囲の受験生を巻き込んでしまうようなことがないよう気をつけなければならない。そんな事をしてしまえば筆記試験がどれだけ高得点であっても一発で不合格だからだ。
ふーっと息を吐き、肩の力を抜こうと周囲の受験生に目をやる。
あれはイヤリング…?いや、イヤホンの端子が耳たぶから生えている。カラスのような異形型の個性の子もいるし、何やらキノコの胞子を身体中に付着させている生徒もいる。
「しっかしいつになったら試験始まるんすかねー。もうちょい時間ありそうならちょっと座って休みたいんすけど」
「アンタ正気…?いくらなんでもリラックスしすぎじゃない?」
「―――んッえッ自分!?」
「アンタ以外にそんなクソ度胸の受験生いないよ…」
ぼそぼそと独り言を呟いていると、イヤホンの子に背後から声をかけられた。試験会場で急に話しかけられるとは思っていなかったので返答が不審者じみたものになってしまった。ふむ……どうやらこの女の子は極度の緊張状態にあるらしい。それでよりによって自分に話しかけるのか?もっと話しかけやすそうな人はいくらでもいるだろうに…
「いや、他の人たちは精神統一とか緊張してるし……一番リラックスしてそうなのがアンタだったからね」
「―――読心術ってヤツっすか?」
「普通にメッチャ顔に出てるの」
うーむ、ポーカーフェイスを習得すべきだな。
自分がリラックスしている理由は、繰り返しになってしまうが、こんな出来レースみたいな受験で緊張するようなことは一切ないからで。モノを壊す、なんてのは、既存の人類文明の外から来る存在にとって児戯にも等しい行為。息を吐くように世界規模でだって行える。問題は壊していいものと悪いものの区別をつけなければならない点であって…
しかし、そうだ、そう言えばそうだ。今思い至ったのだが、自分が全部のヴィランを破壊してしまえば、この子たちは不合格になってしまう。
(それは流石に不憫っすね……これ試験の欠陥じゃないっすか…?クソ強い奴が一人いるだけで成立しなくなる試験ってどうなんすか?)
だが、気づけたのならば、少しばかり自重すればよいまでのこと。50〜100体ほど破壊したあとは、どこかのビルの屋上で皆の健闘を眺めていればいい。危ない危ない。気づけてよかったー
「そういえばアンタはどっから来たの?アタシは静岡」
「あっ、自分も静岡っすよー。地元一緒っすねー」
「そっか。じゃあまあ……お互い頑張ろうね」
「はいっす」
『ハイースタートー!!』
―――へ?なに?スタート?
あたりを見渡すと、静岡ちゃん*4も含め、自分と同じようにキョロキョロしている生徒たちが沢山いた。あ、何人かは既に会場内に入っている…?嫌な予感が脳裏をよぎる。思わず無言で試験監督官のほうを見つめると、彼はヌケヌケと言い放った。
『ドウシタ受験生諸君。実戦デハヨーイドンノ合図ナド無イゾ。急グノダ』
「―――癪に障るっす」
ビキビキビキビキィィィッッ!!
……ああ、危ない。うっかり水晶渓谷がまろびでてしまった。ちょっと昂るとすぐにコレだから大変だ。この肉体は気を抜くとあらゆるモノを侵食固有結界『水晶渓谷』に変化させてしまう。
コレはORTの生態の一つであり、ORTを『
移動すればするだけ水晶渓谷の範囲は増大する。そのまま放置すれば星全体が水晶渓谷に覆われ滅亡してしまうだろう。
そんな水晶渓谷が、自分を中心としてこの試験会場全域に侵食を開始―――することはなく、既のところで侵食を足元のみに留めることに成功した。ORTの能力の前には靴という障壁などあってないようなものだ。当然変化してしまった部分は、こっそりえぐり取って吸収しておく。これで証拠隠滅も完了だ。
「―――ア゛ー゛ー゛ッ゛、マジで腹が……マジで腹立つっす。でもやらないと出久くん…」
「ちょっ、ちょっと!?早くしないと先越されちゃうよ!ほら行くよ!」
「……ハイっす。とっととこんなクソ試験終わらせちゃおうっす」
そう言って走り出した静岡ちゃんの腕を掴み、自分も走り出す。
「―――はッえっええッ!?ぼ、い、いくらなんでも妨害はルール違反で…」
「走るっす。黙ってないと舌噛んじゃうっすよ」
「急になに言ってッ―――ッッか゛ッ゛」
いくら自分よりも早くスタートを切ることができたからといって、しめて数十秒、甘めに見積もってもたかだか一分程度で虫が這い回れる距離などたかが知れている。先陣を切っていた妙に肥大した手を持つ虫を追い越して、向こうに見える標的に狙いを定める。
「そいっす」
「ウオアアアアアアアアアアッッッッッッ!?」
自分でも気の抜けた掛け声だと思うようなマヌケな言葉と共に繰り出された一撃は、容易くヴィランを打ち砕いた。いや、ヴィランだけではない。型もポーズもなっていない拳は、その衝撃波でもって、街路の奥にたむろしていた
ガコンッ
「―――ウ゛ッ゛。ク゛ッ゛、あ……あぁーーー……力加減弱めじゃダメっすか…」
「し、し、死ぬかと…」
ついでに、一発カマして鬱憤を晴らした後は、得たポイントを静岡ちゃんにいくらか譲ろう、などと考えていた束石の当初の計画も、完全に消し飛んだ。
「………………いやあ……今年は豊作だったね…」
「豊作っていうより災害じゃねぇかなあ?」
「―――まあね!」
HAHA…HAHAHAHAHA…
乾いた笑い声が雄英高校の会議室に響く。この部屋に集いし百戦錬磨のプロヒーローたちは、皆揃って苦虫を噛み潰したような顔をしていた。彼らの発言や一挙手一投足が未来ある優秀な若者の運命を左右することになる。その重圧は想像もつかないほどだろう。
そんな会議室を、不気味な沈黙が支配していた。
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
『ウオアアアアアアアアアアッッッッッッ!?』
『―――ウ゛ッ゛。ク゛ッ゛、あ……あぁーーー……力加減弱めじゃダメっすか…』
『し、し、死ぬかと…』
『……ホントごめんなさいっす。これでもし試験落ちちゃったりしたら……と、とにかく、埋め合わせはできる限りするっす……とりあえず試験官のヒーローに事情を…』
『まっ、まって、ちょ、こ、腰が抜けて…』
いや。正確に言うと、ある試験会場のある一幕を
「…」
「…」
「…」
その静寂を切り裂くように、ボサボサ髪の陰気なヒーローが気だるそうに声をあげた。
「……不合格じゃないんですか…」
「待て待て待て待て。結論を急ぐなよイレイザー。今回の事件は、実技試験のルール説明に不備があったからとも言えなくは…」
「
「それに力の制御ができていない点も見過ごせない。受験生を一人掴みつつ高速で移動しながらパンチ一発で受験会場の四割を吹っ飛ばしたんですよ?これが実際のヒーロー活動だとしたらどうなります?ヴィランから民間人を守るためのヒーローが、民間人を殺すことになるでしょう?今回はたまたま他の受験者を巻き込まなかったからよかったものの、あの威力だと確実に死人が出る。子供の癇癪もここまで極まれば災害です。そんな物騒なものを雄英に置くわけにはいかない」
「そもそも、いかなる理由があろうと初動で大量破壊を選んだ束石輝斗は、レスキューポイント
「いや。ダメだ。相沢くん。申し訳ないが本件は私の裁量で決めさせてもらいたい」
「校長。
「ダメだ、ダメなのさ相澤くん……申し訳ない……今回ばかりは本当に…」
「……校長?」
件の校長―――根津校長の尋常ではない様子に、声を荒げていたヒーロー……相沢も冷静になる。
この会議の最中、校長は、何か話しかけられても『ああ』だの『うん』だの、曖昧な返事しか返さなかった。まるで心ここに在らずといったような有り様だった。
「校長先生。いったいどうしたと言うんです?」
「彼は……彼は、ああ、アレは…」
「……すみません。根津校長のご気分が優れないようなので、保健室に運んできます」
「いや、いい……ありがとうオールマイトくん……私から説明しなければ……詳細な説明を…」
そう言って校長がPCを操作する。すると、モニター上にいくつかのグラフが表示された。
「ここにいる誰もが感じただろう。試験時間中に、命の危機を、己の生命の危険を知らせるような、身の毛もよだつほどの悪寒を」
「じつは、ボクはあの感覚を
「それは……まさか…」
「あの日、“巨悪”オール・フォー・ワンとの決戦の日、私もあの場にいた。そしてこれと非常に似た感覚に襲われた」
「東京都上空に発生した謎の
「当然、政府もこの件について調査を進めた。地球外生命体の出現なんて、OFAが霞んで見えるほどの未曽有の危機だからね。当然と言えば当然なのさ」
「当該存在の出現した時間はわずか6.34秒、たったそれだけの時間で、この存在は、日本どころかアジア、太平洋諸地域も含む広範囲に存在する様々な電子機器を破壊し尽くしたのさ」
「さすがに俺だって知ってますよ。時計とか、医療機器とか、そういった精密機器がぶっ壊れた件でしょう」
「うん。問題はその原因だ」
「それがあの化け物の仕業だってことですか?それ以外に考えられないのでは」
「うん。それは事実なのさ。既に科学的に証明されているよ、残念ながらね…」
「……どういう事ですか?」
「この時破壊されたのは医療機器だけじゃない。もっととんでもないモノも、異常なカタチで壊れている」
「人工衛星だ」
「影響は地上だけではなく宇宙にも及んでいる。人工衛星に搭載されたありとあらゆる検出器が、突然異常値をたたき出してブッ壊れたのさ」
「それだけじゃない。全ての人工衛星が突如として軌道を変更、落下コースが数度ほど地球側に傾いた結果、数百個の人工衛星が洋上に落下。こっちはまた別の理由だけど…」
「さて。さっき相沢くんが言ってくれたように、当該存在は精密機器を破壊したよね」
「はい」
「
「……はい?いや、それは、コレが出現したから…」
「当該存在は、どうやって、精密機器を、破壊したのかな?」
「全ての物事に原因があるように、原因が結果をもたらすように。アレが、何かをしたから、機械が壊れたのさ。じゃあアレはいったい何をしたのかな?」
「……詳細は発表されてないですね。漠然と『そういうものだから』で済ませていましたが…」
「……ここからは機密情報だよ。漏らしたら普通に死刑とかもあり得るから本当気をつけてね」
「故障の原因は、放射線だ」
「―――は?」
「正確に言えば宇宙線っていうヤツなのさ。簡単に説明すると、宇宙空間を漂っている放射線で、ボクたちにはたいして影響を及ぼさない。大気やオゾン層が盾になって守ってくれているからね。でも今回は違う」
「あの時、当該存在は
「ちょ、ちょっと待ってください。放射線だって?ってことは、東京都に住んでる市民や、ヒーローたちは既に被ばく…」
「していない」
「…?」
「機械を壊してしまうほどのばく大な放射線が放出され、地上のありとあらゆる機械、建物、土壌、そういったものをありったけ汚染してまわった。それなのに、
「実際鑑定にかけてみても、周囲の建物や道路からは確かに放射能が検出される。しかし、それを
「…政府はこの件を秘匿することに決めたみたいなのさ。首都圏にある全ての被爆建築物を建て直すとなると莫大な費用がかかるからね」
「言いたいこともありますが、まあ妥当な判断です。変に混乱を招くこともない。しかし……その機密情報とこの生徒に何の関係が?」
「……アレは、もう一つ、とんでもないモノを残していった。東京タワーの頂点に立つアンテナを交換する際、作業員が発見したものだよ。アンテナの先端のほんの2mmを未知の物質に変質させたのさ。その画像がコレ」
「これは…」
「そして超拡大したのがコレ」
「はあ。水晶?クリスタル?不思議な色合いですね…―――コレって」
「コレね、この星のモノじゃないの」
「……そりゃ宇宙人とか言われているヤツの残した物ですから」
「うん。ボクもそう思うのさ。コレがどれだけヤバいことか分からない?」
「アレは上空10,000メートル付近で出現した、それで東京タワーの先っぽを2mm、この星のものではないモノに変質させたのさ。じゃあ、もしアレが地上に降りてきたら…」
「……そしてここにいる者たちは全員、これと同じものが、束石くんの足元に展開されていたのを、さっきの映像で目撃しているはずなのさ」
「いや、まさか……束石輝斗が見せたデタラメなオールマイト並みの超パワーを『宇宙人だから』で済ませるつもりですか!?そんな……そんな無茶でしょう!仮に校長の言う事が全て正しかったとして、そもそも何の目的で宇宙人が高校生になると言うんです!」
「分からない」
「分からないって…」
「ただ、束石輝斗が本当に宇宙人だろうが、そういう個性であることを隠していた人間でろうが、確かなことがいくつかある」
「彼は、少なくとも現時点では、ヒーローになりたがっている。なら雄英高校は、彼を全力でヒーローに
『異論ハ無イ』
「どこかに行かれるくらいなら、手の届く範囲にいてくれた方がまだマシだものね…」
「ふざけてる……自分たちが受け持たないからって好き勝手に決めて……ならせめてオールマイトをA組にください」
「俺だってヒーローである以前に人間だ。いつ暴れ出すか分からない放射線を発生させるOFAを捕食したうえ出現しただけで世界を震撼させた癇癪もちのエイリアンの幼体を世話しろと言われて“ハイ喜んで”と命を捨てられるようなメンタル持ってないですから」
「それが無理なら……俺は受け持っている生徒全員を除籍した後、教職を降ります。世界で一番危険な場所に、未来ある学生を置いておくわけにはいかないですから」
「その要求を受け入れよう。行けるかい?オールマイトくん」
「ハイ校長先生!五十を過ぎたとはいえ私もまだまだ現役トップヒーロー!二人分の業務だってこなしてみせますとも!」
「よし。決まりだね」
「束石輝斗。彼の入学を認める」