綾小路が朝霧海斗みたいな感じだった時の話   作:なか115

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第2話

「―――綾小路君、聞いてるかな?」

 

 

紅に染まる空。

1-Dクラスの窓際一番後ろの席。ここが俺の席。

カァー、とカラスが鳴き紅い空へと消えていく。

俺は外を見ていた。――変わらない。ここも、あそこも。空の色は変わらない。

いや、違う空もあった。白い空、何もない空。

刑務所と地獄、どっちが良いかと問われると俺は答える。地獄がいいと。

なぜかって?自由があるからだ。地獄だって、慣れればそれなりにくらせる。

 

 

「――聞いてるの!!?綾小路君ッ!!」

 

 

珍しく声を荒げるのは櫛田。

いや、珍しくもないか。最近のコイツはどうも本性を隠さなくなってきてるっぽい。

というか漏れてきてる。特に俺の前では。

 

 

「ああ、聞いてるぞ。おまえの言う通り、煉獄さんの退場は早かったと思う」

 

「何の話してんのよ!? そうじゃなくて、体育祭の話! 協力してくれるんでしょうね?」

 

「……体育祭? 協力? ――めんどうだ。俺はそういえば応援団任されてなかったか?」

 

「……出し物として応援合戦はあるわよ? やりたかった?」

 

 

ポイッと手渡された冊子には鉢巻を巻き学ランを着た男による応援合戦の説明が書いてあった。その応援合戦でどうやって点数を競うのかは興味があったが面倒なので見るのを辞めた。

 

 

「――パスだ。というより、何故俺が体育祭に出なければならない?」

 

「綾小路君さ、学生なんだよって理解してる? 普通の学校ならともかく高度育成学校の生徒なのに…」

 

「詭弁を言うな。それに、俺はもう櫛田には借りは返しただろ?」

 

「……今の詭弁だった? まあ確かに嫌な思いもしたけどいい思いもさせてもらったからね。でもさ、日常を過ごしてるだけで私にカリが出来てるってしってた?」

 

 

パラパラと写真を俺の机に置く。

これは…

 

 

――俺が自由の女神像(レプリカ)のアイスクリームみたいなのをやり投げしてる写真

――俺が子供のラジコンを奪い取り操縦している写真

――俺が重そうな荷物を背負ったばあさんを後ろから蹴り飛ばす写真

――etc

 

 

「…………ストーカー…か? 一人で十分なんだが」

 

「確かに情報提供者はストーカーっぽい…いや、流石にないわよね。でもさ、私だから笑ってみてられるけど、それ普通にドン引きだよ? 犯罪クラスの奴もあるし」

 

「これは、悪の秘密結社的な組織が襲ってきたのを撃退してる写真だぞ?」

 

「ハイハイ。あのさ、私も忙しいから本題に入るね」

 

 

背を向けチョークを手に取ると黒板に何やら数値を書く櫛田。

 

 

A 1004p

B 941P

C 642P

D 350P

 

 

「クラスポイントか? 割と無難なところじゃないか。無人島の勝ちが効いたか」

 

「正直、無人島が終わった段階では肉薄してた。でもシンキングで負けて離された。でもそれでもここまで点差は離れないはずだよ」

 

「なるほど。つまり、何らかのことが原因で減点措置が入ったという事か」

 

 

顎に手をやり考える。

最近のクラスメイトのことを考える。

池や須藤といった問題児たちは大人しいとは言えないが…それでも無難に学園生活を過ごし大きくマイナス要因を出すとは思えない。

山内にしても表立っておかしな行動をしてはいない。高円寺も相変わらず。

 

 

「……何らかの力が働いている。その謎を解くのが今回の任務。そうだな?」

 

 

俺の問いに静かに櫛田は首を横に振り、

 

 

「こんだけ問題行動してて点数残ってるのが逆に凄いって茶柱先生に言われたよ。一応クラス委員の私が止めてるけど…みんなにバレたらどうなると思う?」

 

 

先ほど見せられた写真をもう一度バラッと見せられる。

 

 

―――どうやら俺は、体育祭とやらに参加しないといけないらしい。

 

 

 

 

 

 

 

綾小路が朝霧海斗みたいな感じだった時の話 4章 2話

 

 

 

 

 

 

「……話は聞いてるわ。貴方が体育祭に向けて動いてるって」

 

 

櫛田の脅迫から一夜明け次の日の昼休み。

隣の席の堀北は弁当箱を開きながらそう言った。

コンビニなどの弁当でなく、手作りのようだ。意外と器用に作るらしい。

 

 

「わかってる。私にも連絡が来たわ。兄さんと決着をつけるそうね。……前回は不意打ちに近かった。本気の兄さんが負ける姿は私には想像がつかない。それでもやるつもり?」

 

「??? すまん、何を言っているのかサッパリわからん」

 

「……そう、分かったわ。私は何も言わない。でもせめて、体育祭で少しでも貴方に負担がかからないようフォローするつもりよ。なんでも言ってちょうだい」

 

 

何を言っているのか分からない堀北の弁当をありがたく頂戴した。なんでもするらしいので。

クラスメイトと談笑中の櫛田の表情が一瞬曇った気がしたが、気にしないことにした。

 

 

「ちょっと、一口ってことじゃないの? なんで全部食べるのよ?」

 

「すまん、間違えた。ついでに間違えてコーヒーも買ってきてくれ」

 

「買うわけないでしょ? どうしてくれるのよ、私の昼ごはん! 代わりの物を買ってきて!」

 

「なぜ俺が買いに行かなければならない?」

 

「貴方が私の分全部食べたから! パンでもなんでもいいから買ってきて!」

 

 

プリプリと怒る堀北にクラスの視線が集まる。

なんでもするというのは噓だったのだろうか。

確かにお弁当が美味しかったこともあって全部食べたのは良くなかったかもしれないが、わざわざ購買に買いにいくのもお腹がいっぱいな今危険が伴うかもしれない。

 

つまり俺が買いに行くという選択肢はないという事だ。

誰か買いに行ってくれそうな人…櫛田…は堀北がらみはダメそうだ。

池や須藤たちは間違えてパンじゃなくておにぎりを買ってきそうだからダメ。

となると…

 

 

「ちょうどいいところに。オイ、パン買ってきてくれ」

 

 

ピン、と放ったコインを手に取り、

 

 

「……これはゲームセンターのコインだな。そもそもこの学園ではコインなど使えない。ポイントで買うんだ」

 

 

堀北兄は眼鏡をクイッと上げながらそう言った。

 

 

「に、兄さん!? ななな、なんで1年の教室に!?」

 

「…そこにいる綾小路に用があってな。俺が出場する種目を教えに来た」

 

「……てっきり、万が一当たればって感じだと思ってたのに…」

 

 

「そうしようかと思ったが後悔はしたくなくてな。お前が何に出るのか、気になって仕方なくて様子を見に来た、というわけだ」

 

 

眼鏡をクイッと堀北兄。

イチイチかっこつけんなやって思うが取り巻きっポイ女の子の目線は既にハートになっていた。

 

 

「というか綾小路君! どうして兄さんに買いに行かせようとするのよ!」

 

「パシリ好きそうかなって思って…」

 

「誰がのび太君よ!! 人の兄を捕まえて!」

 

 

そんなこと一言も言ってないのだが。

そんな堀北を見て堀北兄はフッと笑って、

 

 

「存外楽しそうに学園生活を送るお前に少しホッとしている。てっきりオレを追いかけてくるかと思いきや…綾小路。おまえの存在か?」

 

 

何の話をしているのか分からず首を傾げる俺。

そんなオレを横目に、

 

 

「このオレをここまで熱くさせた責任はとってもらう。誰にも邪魔はさせないつもりだ」

 

 

言いたいことだけを言い残し、背を向けたところで立ち止まる。

 

 

「おっと、鈴音。パンだったな。こんなこともあろうと思って既に買ってある。ホラ」

 

「あ、ありがとう…ございます…」

 

 

メロンパンを受け取り頬を朱に染める。

今度こそ背を向け、クラスから立ち去る堀北兄。

 

 

どんな推測があってメロンパンが必要になるケースがあったのかは分からんが、アイツは中々やりてかもしれない。

そんなことを考えている俺の前の席で、

 

 

「―――やるねぇ…」

 

 

と高円寺が呟いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 




久しぶりに書いたので、少し文章がダメになった気がします。
また頑張って書いていきますのでよろしくお願いします!
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