ウルトラマンガイア&ティガ-光を紡ぐもの-THE SHINING ODYSSEY 作:星乃 望夢
街を破壊するキングシルバゴン、そしてキングゴルドラス。
ウルトラマンという邪魔者が居ないことを良い事にやりたい放題に暴れている。
その被害は拡大し、人々は逃げるしか成す術は無い。
それでも警察官は懸命に避難誘導を、消防隊や救急隊は病院の中では収容人数を超えてしまった為に野戦病院のテントを張ったり、運び込まれてくる怪我人の手当て等に奔走していた。
それぞれの人が、自分に出来ることをしている。
避難所でも、子供たちが身を寄せ合って互いに励まし合ったりして、この危機から身を守ろうと懸命だった。
イルマ隊長と一緒に、俺はそんな避難所で子供たちへお菓子や飲み物を配ったりしていた。
正直、こんなことをしている場合ではないだろう。
俺がもう一度ティガとなって戦えば、少なくとも街の被害を減らすことが出来るかもしれない。
でも、ブラックスパークレンスは光を灯すことはない。
まるであれは、一時の奇跡だったかのように。
それでも、ウルトラマンになれなくても、今出来ることをする。
人として今の俺に出来ることは、子供たちを守ることだ。
「きみもウルトラマンの科特隊なの?」
「…ああ。君も、科特隊のメンバーなんだね」
この世界には昭和からあとの平成ウルトラマンは存在していない。
だからGUTSの制服は物珍しいのだろう。
俺は色んな子供たちに絡まれていた。
それで少しでも子供たちの気が紛れるのならと、俺は子供たちと話したりしていた。
そんな中で、親がウルトラマンのファンなのだろう。
昭和ウルトラマンの特捜チームの衣装を着ている子供やウルトラマンのソフビを手にしている子供を見掛ける。
「きっと、ウルトラマンがきてくれるよね?」
「ああ。必ず、信じていれば、ウルトラマンは来てくれる」
不安そうに揺れる瞳の男の子に、俺は力強く頷いて答える。
こういう時、不安な顔を見せるわけにはいかない。
ふとしたことで、その不安は瞬く間に伝播してしまうからだ。
「でも、ウルトラマンはやられちゃったよ…」
「そんなことはない。みんなが信じていれば、ウルトラマンは何度だって立ち上がる。みんなの知っているウルトラマンだって、いつもそうだったように。だから最後まで、諦めちゃダメだ」
メビウスがブロンズ像になるという明確なウルトラマンの敗北を見せつけられれば、こんな風に不安に駆られる子供だって居る。
そんな子供たちを励ますことが、今の俺に出来ることだった。
「…あ、ほら、あそこ! あの星を見るんだ」
何気なく夜空を見上げた俺は、一際輝く星を見つけ、その星が判るように指差した。
金星──ではない。
「あれが、M78星雲のウルトラの星だ。俺たちが心の希望を忘れない限り、光を忘れない限り、ウルトラマンは絶対に来てくれる」
何故だかわからない。
もしかしたらティガになったからかもしれない。
俺にはあの一際輝く星が、ウルトラの星であると確信出来た。
「マドカ!」
「イルマ隊長?」
イルマ隊長に呼び掛けられ、俺は子供たちの輪から少し離れる。
「どうかしましたか?」
「怪獣たちの進行方向がこちらに向きつつあるわ。余計なパニックは避けたいところだけど」
「…………」
俺はGUTSの隊服の胸元を開いてブラックスパークレンスを取り出す。
やはりその中に、光は感じられない。
「くっ」
「焦らないで。あなたは、ひとりで戦っているわけではないわ」
「はい。でも、今は俺だけが──」
放っておいてもダイゴが記憶を取り戻してティガへと変身する。
でも、それまでに俺にも何か出来ることがある筈だと思わずには居られない。
ウルトラマンの力を手にした事で、こういう考えをしてしまう事が自惚れなのか?
俺はウルトラマンの力を手にしたことで、自分を特別な人間だと思ってしまっているのだろうか。
この考え方こそ、傲慢なのだろうか。
「俺だって……っ」
「マドカ…」
ブラックスパークレンスを握る手に力が入って震える。
そう、俺だって、ティガとなって戦えたんだ。
なのに今の俺にはどうすることも出来ない。
それが悔しい。
そう思う時点で、俺は藤宮の言うようにウルトラマンの力を手放せるのかと言う言葉通りに、ダイゴへとこの力を託すことが出来るのだろうかという思いが僅かにチラつく。
いや、そもそもこの力をダイゴへと託すことが俺の役目だ。
だからそのことに関して異議はない。
ただ、今この非常事態に対して出来ること。
ティガへと成れてしまったことが却って俺自身の出来ることへの考えと想いを狭めてしまっているのかもしれない。
それでも、今この時、ウルトラマンの力が欲しかった。
何かを守るため、誰かを守るため、そうした覚悟はまだ持ててはいないけれど。
それでも、目の前で街を破壊する怪獣たちを野放しには出来ない。
そんな理由で戦ってしまって良いのだろうか?
闇の力に呑み込まれてしまうのではないのだろうか?
力を持った意味を求めて、戦う為の理由を探した。
今、この世界に存在するウルトラマンはメビウスと、俺のティガダーク、そして藤宮のアグルだけだ。
ダイゴが記憶を取り戻してティガへと変身するまで、その間だけでも戦えるのは──俺しか居ない。
「見てあれ!」
子供たちの中から誰かが叫ぶ。
その指差す方向を見れば、光と共に現れたのは──ウルトラマンティガ。
「ウルトラマン、ティガ…!」
ティガを見てイルマ隊長の顔に希望が浮かび上がる。
「ダイゴ…」
ティガが現れた。
それはそのままダイゴがウルトラマンとしての記憶を思い出したことの証左だ。
夜の闇に染まる街に現れたウルトラマンティガ。
それはダイゴが記憶を取り戻して変身した姿だ。
キングシルバゴン、キングゴルドラスと戦い始めるティガ。
「がんばれ、ウルトラマン!!」
「がんばえーーー!!」
「ウルトラマーーーン!!」
「頑張ってーーー!!」
ティガが現れた事で、子供たちが声を張り上げてティガへ声援を送る。
ウルトラマンが現れた事で、子供たちの目にも希望が宿った。
あとはダイナとガイアが現れ、そしてウルトラ兄弟が現れ、メビウスが復活してめでたしめでたしである。
だからあとは見ているだけで良い。
ホッと胸を撫で下ろしていると、街の中から光が立ち上った。
その中にはウルトラマン──だが。
「あれは……」
「イーヴィルティガ!?」
現れたのは銀色の体躯に赤と黒のウルトラマン──イーヴィルティガ。
イーヴィルティガもこの物語には現れないウルトラマンだ。
「っ、みんな伏せて!!」
イーヴィルティガが両腕を広げる構えを取って黒い光を溜めた時、イルマ隊長が叫ぶ。
イーヴィルティガはイーヴィルショットを放って街を破壊した。
巻き起こる爆煙と降り注ぐ瓦礫。
幸い少し離れていたとはいえ、その瓦礫はこの避難所の近くにまで降り注いだ。
「なんで…。なんで、ウルトラマンが…」
「あのウルトラマンは味方じゃないのか?」
ウルトラマンが街を攻撃した事に大人たちもショックを隠せないでいる。
無理も無い。
ウルトラマンは人々の味方なのだから。
「みんな、逃げるのよ!!」
イルマ隊長が発破を掛けて時が動き出す。
それでもウルトラマンが敵であることにみんなのショックが大きいのか、動く人は殆ど居なかった。
「くっ」
「マドカ!? 待ちなさい!」
俺はイーヴィルティガに向けて走り出す。
それをイルマ隊長に呼び止められた。
「待てません! あいつらは、人の心から光を奪おうとしている。そんなの、見過ごすわけにはいかない!」
ウルトラマンが敵であることは、人々の希望を奪って絶望させるにはこの上ない方法だろう。
そして今、ティガはキングシルバゴンとキングゴルドラスと戦っている。
そこにイーヴィルティガまで参戦すればティガがさらに不利になる。
ダイナとガイアが現れ、キングシルバゴンとキングゴルドラス、そしてヒッポリト星人も加わって戦うことになるが、イーヴィルティガの分、誰かが2対1の不利を背負わなければならない。
だから──。
「俺だって、ウルトラマンなんだ!!」
「マドカ、あなた……」
手に握り締めるブラックスパークレンス。
そこに光は無い。
「っ、危ない!!」
イルマ隊長の視線の先を俺も振り向けば、イーヴィルティガがその拳からイーヴィルビームを撃ち出していた。
その向かう先は此処だ。
自分以外にもイルマ隊長や、避難している子供たちや大人、たくさんの人たちが居る。
ティガよ、もしお前が光の巨人ならば応えてくれ──!!
例え闇の力であっても、人は、自分自身で光になれるのだから!!
「ティガァァァァァ!!!!!」
今この時にこそ、俺は心から本当の意味でウルトラマンの力を欲した。
誰かの為になんて大それた事は言えない。
それでも、戦わなければならない理由がある。
俺を助けてくれたイルマ隊長や、互いに励まし合った子供達を、守る為に!
掲げたブラックスパークレンスが開き、紫電の光を放ちながら、俺は再び光となってティガダークへと変身した。
イーヴィルティガのイーヴィルビームは、立ち昇った光によって掻き消された。
「昼間の、黒いウルトラマンだ…」
「さっきの子が、ウルトラマンになった……」
「ティガ……ダーク…」
聞こえたイルマ隊長の呟きに答えるように顔だけを後ろに向けながら頷く。
『シェア!』
そして今度こそ守るのだと意気を込めて構える。
『ハァァアアア!!』
対するイーヴィルティガも構えを取る。
先手必勝。
先ずはこの場から遠ざけなければならないと思い、イーヴィルティガに向かって走り出す。
イーヴィルティガが拳からイーヴィルビームを放って来るが、避ければ後ろに居るみんなが危ない。
だからそこイーヴィルビームを手刀で弾いていく。
イーヴィルティガに飛び掛かり、そのまま押し倒すと、組み付いたまま地面を転がって避難所から遠ざけていく。
そのままマウントポジションを取ったものの、イーヴィルティガに腹部に脚を差し込まれて蹴り飛ばされる。
せっかく組み付いたのを離されてしまったものの、避難所からは遠ざける事には成功した。
『ジェア!』
『チェア!』
イーヴィルティガの蹴り上げる脚を両手を合わせて受け止め、その脚を戻すのに合わせて懐に入ってタックルを食らわせる。
『ハッ』
『ハァッ』
一歩下がったイーヴィルティガに追撃しようとしたが、ジャンプで避けられてしまう。
『ジェア!』
『グワッ』
そして背後に着地したイーヴィルティガに、背中を蹴り飛ばされた。
たたらを踏みながら振り向くと、イーヴィルティガはイーヴィルビームを放ってくる。
『グワァァァッ』
それを胸に受けて堪らず膝を着いてしまう。
「まけるなウルトラマーーーン!!」
「がんばれーーー!!」
「頑張ってーーー!!」
「がんばえーーー!!」
子供たちの声が聞こえてくる。
ウルトラマンとして、子供たちの応援を耳にして、敗けるわけにはいかない。
それに、子供たちの声を聞いて、心の底から力が湧いてくる様な感覚を感じる。
「立って、ウルトラマン!!」
「悪いウルトラマンに負けるな!!」
「立つんだウルトラマン!!」
「必ず勝って、マドカ…!」
大人たちや、イルマ隊長の声も聞こえてくる。
みんなの声が、力となって伝わってくる。
立ち上がってイーヴィルティガと対峙する。
『ハァァアアア……ッ!!』
イーヴィルティガは両腕を広げてそこに黒い光を集めて行く。
『ハァ!!』
『デアッ』
イーヴィルティガの放ったイーヴィルショットが直撃する。
「マドカ!!」
イルマ隊長の叫び声が聞こえた。
脚を踏ん張って、腰を据えながら全身でイーヴィルショットを受け止める。
『ハァッ、ジェア!!』
中々倒れないこちらに、イーヴィルティガはさらにイーヴィルショットの威力を上げた。
それを耐えながら受け止め続け、そして、身体の全身から放たれた強く眩しい光が、夜空を照らした。
「黒いウルトラマンの色が……」
「悪いウルトラマンと、同じになった……?」
「闇の力を光に変えた……。マドカ、あなたも…」
黒と鈍色だったティガダークの色が、イーヴィルティガと同じ銀と黒と赤へと変わった。
『ハァァアアアッ、フッ! ハッ!』
『フッ! シェアッ!』
イーヴィルティガの放つイーヴィルビームをハンドスラッシュで撃ち落とす。
腕を両脇に引き絞り、胸の前へ突き出しながら交差させ、その交差した腕を両側へと広げる。
そこへ光が一筋となって収束して行く。
対するイーヴィルティガも両腕を広げ、その両腕を胸の前に突き出しながら狭めて行き、黒い光を収束していく。
そしてL字に組んだ腕から白銀と漆黒の光線が放たれ、激突する。
しかし100%の力を出せるイーヴィルティガと違い、こちらは闇の力を光に変えたとはいえ、使える力が限られている。
ぶつかり合えばこちらが押されるのは火を見るよりも明らかだった。
それでも、退くわけには行かない。
「がんばれーーー! ウルトラマーーーン!!」
「まけるなーーー!!」
「わるいウルトラマンにまけるなーーー!!」
子供たちの声が聞こえてくる。
「気張れぇ!!」
「負けるなーーー!!」
「俺たちが付いてるぞ! ウルトラマン!!」
大人たちの声が聞こえてくる。
とても心強い声援に心が奮い立つ。
でも、心を奮い立たせてもエネルギーが無尽蔵に湧いてくるわけではない。
胸のカラータイマーが赤く点滅して鳴り出す。
使えるエネルギーを全身から掻き集めても、最後の悪足掻きの様に辛うじて抵抗しているだけで、イーヴィルショットの黒い光は目の前に迫っている。
「勝つのよマドカ…。勝って…!」
イルマ隊長の声が聞こえた。
そのイルマ隊長の身体から光が立ち昇る。
「これ……」
子供たちの握るウルトラマンのソフビのカラータイマーが次々と光り、子供も大人も関係なく、人々から光が溢れて行く。
「光……」
この戦いを見て、希望を捨てずに声を張り上げているみんなから、光が溢れて行く。
それだけじゃない、今の俺には解る。
かつてウルトラマンを観て、ウルトラマンを信じていた人達の想い。
それがウルトラマンのソフビに宿り続け、光を放っていた。
「光よ…!!」
そうイルマ隊長が口にすると、人々の光が空に集まって、そして俺の身に降り注いだ。
眩い光が夜を照らし出した。
胸のカラータイマーは元の青を灯し、そればかりか、全身に光と力が満ち溢れている。
『シェア!』
温かな光が、総身を包み込んでいる。
「ティガ……」
みんなの光が、力を貸してくれている。
『ハッ、ハァァアアア!!!!』
『チェア!!』
光線技で決着がつかなかったが為だろう。
イーヴィルティガはこちらに向かって走り出した。
対するこちらもイーヴィルティガへ向けて走り出す。
互いに距離が縮まり、同時に地を蹴って、イーヴィルティガは蹴りを、こちらは手刀を繰り出して空中で交差し、着地する。
短いようで、長く感じる沈黙が訪れる。
『ハァ!? グアァッ』
そして、膝を着いたのはイーヴィルティガだった。
『フッ──!!』
再度、腕を両脇に引き絞り、胸の前へ突き出しながら交差させ、その交差した腕を両側へと広げる。
そこへ光が一筋となって収束して行く。
『ハァッ、ハァァアアア!!!!』
立ち上がったイーヴィルティガも両腕を広げ、その両腕を胸の前に突き出しながら狭めて行き、黒い光を収束していく。
そしてL字に組んだ腕から蒼銀と漆黒の光線が放たれ、激突する。
今度はイーヴィルティガのイーヴィルショットが、こちらの放ったゼペリオン光線に押し負けていく。
『グアァッ、ハアァァァアア!!!!』
そしてゼペリオン光線を受けたイーヴィルティガは、クイーンモネラがティガとダイナの放ったTDスペシャルを受けた時のように、光となって消えていった。
それを見届けてL字に組んでいた腕を解く。
同時に、人々の大歓声が沸き起こった。
「マドカ」
静寂。そして、それを切り裂くような大歓声が街に響き渡る。
振り返れば、遠くの避難所でイルマ隊長が、そして子供たちが、こちらに向かって必死に手を振っていた。
俺は人の光の輝きを纏ったまま、彼らに向かって静かに、だが深く頷いた。
ウルトラマンは、一人じゃない。
光を信じる心がある限り、ティガは何度でも、君たちの隣に現れるのだから。
物語りの方向性がまだちょっと定まらないので、アンケートを実施したいと思います。よろしければ皆さんの意見を聞かせてください。なおアンケートに無い意見がありましたら直接メッセージを送ってくださっても大歓迎です。
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他人の過去の愛憎をぶつけられる
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ループを繰り返した激重感情をぶつけられる
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光となって果てしない戦いに身を投じる
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人として、自分に出来ることをする
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希望の光となった先輩が助けてくれる
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ヤンデレとヤンデレにヤンヤンに愛される
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闇ヤンデレと愛を育む
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マイフレンドと殴り合いする
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モヒカンヤンキーと悪さをする
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ツンデレと親友以上恋人未満みたいになる
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↑のこと全部やって光になるんだよ!!