飛行機雲   作:神風

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Grounded:飛行停止、地上に縛られた、研究に根差した


Grounded

「お前、拉致された挙句、その親玉の手紙をわざわざ届けてやるつもりだったのか」

 

 軍艦の医務室に戻ってきた後、スモーカーにだけ全てを話した。

 全部。洗いざらい。ゲロっと。

 

 ヒナ嬢は元々の任務の作戦会議の為、名残惜しそうに戻って行ったからね。追及の手を止める人がいなかったんだ。いや、いたとしても二人に詰問されるだけだな。

 今乗っている軍艦はヒナの元々の任務のためにウェストブルーの別の島に向けて出発している。俺達はそこで迎えの船に乗り換える予定だそうだ。

 

 話を全て聞いたスモーカーの顔は苦々しく、最後には溜息と共に顔を覆っていた。

「いや、まぁ、狙撃したのがステムだって知った今は迷ってるよ」

「迷うんじゃねぇよ、バカ」

 スモーカーに預けたステムの手紙。俺を狙撃した男の手紙。何が書かれているのか、何を託されたのか。

「でもさ、本当に俺を狙ってたのかな」

「あ?」

「俺を撃ってもメリットなんてない。彼等は仲間を助ける為に活動してるんだ、その仲間である海兵を撃つなんて」

「拉致された上に洗脳でもされたか?現にお前、肩に鉛玉ぶち込まれてんだぞ」

「そうなんだけどさぁ」

「そんなに引っかかるなら読め。届けるかどうか、決めればいい。本部に戻るまで時間はたっぷりある」

 差し出された手紙を受け取り、逡巡していると足を蹴られて急かされた。

「わかった、わかったよ。蹴るなってば」

 

 ゆっくり、丁寧にシーリングをはがし、手紙を開いた。

 

―――――

――――

――

 

「覆す事かなわぬ貴様の運命をこれより裁決する。被告人ステム、禁錮100年」

 

 何もかも失った。

 金も名誉も地位も、家族も仲間も、信頼も、何もかもだ。

 インペルダウンへの航路で海に飛び降りたのが何日前だったか。

 海軍への憎しみばかり頭を占めていたが、すぐにどう生き残るかにすげかわった。

 

 波に揉まれ多く海水を飲んだ、下痢をした。

 糞尿に集まった魚に海鳥も集まり、目玉を食われた。

 追い払おうと無駄な体力をつかった。

 

 精神も体力も疲弊し、生きる苦しみから逃げたいと思うようになった。

 今、深く息を吐けば身体は沈み、海底で果てることが出来る。

 そう、覚悟を決めた時だ。

 

「もう大丈夫だ!頑張れ、死ぬな!」

 

 首根っこを掴まれ、硬い木材の感触を背中に感じた。

 

 次に目を覚ました時には、背中の感触は柔らかいものに変わっていた。栄養失調のせいか視力は低下し何も見えなかったが、遠くで人の声がしていた。

 人を呼ぼうにも唇はカラカラで張り付いて無様な唸り声が小さく出ただけ。それでも誰かが駆け寄り、唇に濡らした布をそっとふくませてくれた。あの瞬間死を渇望していたのに、今や目の前の水気に意地汚く食らいつく自分が滑稽だった。

 

 水をくれた男は、たまたま俺が流された海域にいたらしい。

 部屋からは出ず、男が身の回りの世話をしてくれた。時々人の声はするが足音も物音もなく、随分と静かな船だった。

 一ヶ月もありゃニュースクーなりで俺が逃亡者で、売り払えば多少の金になる事は知ったはずだ。

 それなのに男はなんにもしなかった。

 すっかり捻くれていた俺は彼に聞いた。

「なんで俺を売らねぇ。売りゃああんたらの飯代ぐらいにはなるはずだ」

 そしたらこう言いやがった。

 

 ——"私達の正義に背くからだ"

 

 って。

 

 海軍みたいな事を言いやがるって思ったさ、そう言ってやった。でもそいつは海軍なんて関係ない、自分が自分であるためにそうしたってよ。

 

 売られないとわかり、身構える必要がなくなった。

 海軍へ復讐する為に、回復に努めた。体力も徐々に回復して、壁伝いに歩けるようになった頃だ。

 感触を頼りに船の中を歩いてみたら、まるきり俺がつくった軍艦じゃねぇか。

 

 騙された、連れ戻されて今度こそ処刑されちまう。

 

 また海に飛び込もうとした。だが何人もの男が俺を羽交い締めにして止めにきた。

 

「落ち着け!」「馬鹿なことをするな!」

「なんで軍艦なんざ乗ってる!海軍に殺されるなら自分で死ぬ!」

「「「ここが俺達の居場所だからだ!」」」

 

 床に押さえつけられ、見上げた男達の顔は縋るような表情だった。

「貴方は何もかも失ったと思っているでしょう。でも髪も頭も脳みそも、耳も口も!鼻も!腕も手も足もある!」

「……お前ら」

「貴方にはまだ命がある。まだこの素晴らしい潮風を感じることができる。やっと、助けることが出来たんだ。頼むから死なないでくれ。……さぁ、ベッドに戻りましょう」

 背中をさする男の手は随分と冷えきっていた。

 

 数日後

 視力が回復してきたおかげで、船の状態が少しずつ分かってきた。大嵐にでも揉まれたのか、緊急修繕の跡が目立つ。

 積載物の内容が最低限の武器と救助を目的とした物品が占めていた。今まで世話になったのもこの一部なのだろう。生活感のない船の中、大量に残る救援物資が埃を被っていた。船長室にいた電伝虫は干からび、使い物にならない。そばにあった航海日誌は、救助要請を受信した日から始まっていた。

 最初は順調に向かっていたが、ある日を境に白紙が続く。なぜか嵐も襲撃の記録すらない。

 ただわかることは一つ、この船は仲間の為に向かっていた。

 

 だが———

 

 "やっと、助けることが出来た"

 

 男の言葉が重くのしかかった。

 

――

――――

――――――

 

『海軍は憎い。だが、現場の海兵たちには関係のないことだ。俺を助けた彼ら、その家族はきっとまだ世界中にいる。必死に正義を守るやつが損をするのはもう沢山だ。俺は既に動いてる。――お前はどうする?』

 

 

「確かに、あいつの字だ。あんちくしょう……生きてやがった」

 

 煙草屋の爺は老眼鏡を放り、目頭をおさえた。

 

 アカデミー生の頃から何度も通ったこの煙草屋の壁には写真が所狭しと飾られている。写るのは、この部屋で煙草を吸い仲間達と団欒する者や船の前でポーズをきめる者、揃いの制服を着て敬礼する者、海兵達の生きた瞬間がこの部屋には詰まっている。

 ソファーについた煙草の焦げ、黄ばんだ壁にランプのガラス。全てがマリンフォードで正義の為に行動する者たちの名残だ。

 そんな空間を守る翁は手紙をたたみ、溜息をひとつ零した。

「カイルも読んだか」

「あぁ、元はあいつが預かった手紙だ」

「ふん、世間ってのは狭いもんだな。カイルはどうした、一緒に帰ってきたんじゃないのか」

「怪我と疲労で眠ってる。目覚め次第聴取されるらしいが、一向に起きる気配もない。キールさんには知らせたが、暫くは様子見だろうな」

「そうか。最近会いにこないと思ったら随分冒険したんだな。……この件に関しては任せておけ」

「どうするんだ、ソレ」

 

 顎で指し示した手紙には、ステムが生きていること、傷痍兵や退役軍人、その家族を支援する活動をしていること、それに協力してほしい旨が書かれていた。

 

「俺は俺の正義を貫くだけよ。テメェはテメェのすべきことをしな。カイルにケツ拭かれた事あるんだろ、今度はお前の番だ」

「うるせぇ、言われずともそのつもりだ」

 

 でていくスモーカーを見送り、翁は壁に掛けられた写真に近づく。

 揃いのつなぎを着た工廠員の集合写真だ。ステムにタグ、そして若き日のキールが皆笑顔で写っていた。

 

 

Grounded

 

 

 発破をかけられたスモーカーはカイルの元上官であるサカズキの執務室を訪れた。

 

「遅い」

 

 開口一番にサカズキはスモーカーを見据え、そう放った。

「——ッは」

「海犯局から報告は受けちょるが、第一発見者のお前が一番よう知っとるはずじゃ。手短に話せ」

「はっ。王国の倉庫内からターズにより脱出後、頭を殴られ何者かに拉致された模様。逃げ出し、飛行機にて移動した先、ウエストブルーのマハーキとマフィアの抗争に巻き込まれ、民間人保護に努めたと。その際、狙撃により肩を負傷。命に別状はありません。ですが、極度の疲労か、今も目覚めていません」

「随分情報に空白があるな。まぁええ、今はアイツの処遇じゃ。お前がここに来たのも、ソレについてじゃろう」

 こつ、こつ、と机を叩くサカズキの指先から苛立ちが目に見える。

「今、俺に出来ることは頼る事です。中将のような力のある人に。カイルは、処分にかこつけていいようにされていい存在じゃない。飛行——」

「飛行機の話はどうでもええ、省け」

「——ッ中将も、かっ攫われていい気はしなかったはずです」

 サカズキの隣に侍るルルイ准将もサカズキへと視線を向け、同意しているようだ。

「ふん、海軍は感情で動くほど生半可な組織じゃなぁわ。お前は、あいつの処遇には一切関わるな」

「ッな「カイルは!お前を盾にされると動けんようになるのは目に見えとる。仲間の為に動くアイツを一番傍で見てきたのはお前じゃろうが。わかったな?以上!」

 

 何も言え返せないまま、退室したスモーカーは他に何ができる、と巡る頭を他所に足がカイルの眠る病室に向かっていた。

 どうせまだ寝ているだろうが、顔を見るだけでもいい。

 

「おい!“科隊”のやつら呼んでこい!」

 

 焦ったような声が病室周りの人だかりから聞こえ、更にはガラスの割れる音やバキバキと何かが折れる音が響いてくる。

 反射的に床を蹴り、煙が溢れる。

 

「——ッ下がれ!!」

 

 病室いっぱいに煙を広げば、視界を遮られた人だかりは後退っていく。

 「なっ、なんだこの煙は!?」

 

 煙となって、カイルの眠るベッドを取り巻く。

 カイルの身体は動かない。だが、胸は上下に動き、ただ眠っていることが見てとれた。

 

 大丈夫だ、生きてる。

 頬を撫ぜ、温かさをもってそう自分に言い聞かせる。

 

 次に視界に入ったのは吐き出された、窮屈そうな壊れた飛行機。

 翼は折れ、フレームは歪み、あの日目の前で空を飛び立った形を辛うじて残しているだけの残骸だった。

 見た瞬間に感じた。

 

 ——こいつはカイルだ。

 

「スモーカー少尉!カイル少佐から離れなさい!」

 

 いつの間に到着した科学部隊の研究者の声が耳に届く。

 

「動くな」

 低い声が煙の中に落ちる。

 

「それ以上、一歩でも近づいてみろ。その肺つぶすぞ」

「スモーカー少尉! 我々は正規の命令で——」

「知るか」

 

 漂う煙が一瞬にして収束する。

 スモーカーの輪郭が浮かび上がり、科学部隊の先頭に立つ男を睨み据えた。

 

「ここは医務室だ。患者を動かす権限は医師にしかねぇ」

「その患者が問題なんです。彼の技術、そして彼につくその生物、こんなサイズのものまで取り込めるとは……研究すべき対象だ」

「生物じゃねぇ」

 

 その言葉は、はっきりしていた。

 

「仲間だ。——お前ら、こいつから何もかも取り上げる気か?」

 

 ベッドの上で、ターズが微かに鳴いた。

 ミ、と掠れるような音。分裂した小さな個体が、床に散らばった飛行機の破片に触れ、文字を形作る。

 ——×

 ——ダメ

 

 それを見た瞬間、科学部隊の一人が息を呑んだ。

 

「……意思疎通、だと?」

「あんたらも、ターズの扱いにくさは知ってるだろう」

 

 スモーカーは一歩前に出る。

 

「ターズを制御出来るのはもうカイルだけだ。お前らの行動がカイルの不利になるならどうなるか、その賢い頭ならわかるだろう?」

「……彼は海軍士官です。彼の技術も成果も、海軍の資産だ」

 

 煙が再び膨張する。

 病室の窓、天井の換気口、隙間という隙間を白が満たしていく。

 

「まだわかんねぇのか?」

 

 感情を抑えるような這う声が、太く骨張った指先が、煙の中から研究員の胸を突く。

 

「こいつに手を出すなら、俺らを敵に回すって話だ」

 

 ごくり、と誰かの唾を飲む音さえ聞こえそうな緊迫した空気はある男の一言で霧散する。

 

「あらら、すごいことになってんじゃないの」

 

 スモーカーの上官である、クザン中将の声だった。

 

「スモーカー、能力をときな」

「いやだと言ったら?」

「上官命令だ」

 次の瞬間、足元は白く染まり、床を這う氷はスモーカーの自由を奪う。

「なっ」

「やめときなさいや。そんな物騒な顔しちゃって」

 

 軽く手を挙げ、科学部隊に詫びを入れるクザンにスモーカーは憤る。

 

 なんでアンタが……!

 アンタもカイルの事気にかけてたくせに!

 

 足から広がる氷はスモーカーの腰まで到達し、再び煙化するより早く、カイルへ伸ばす腕も凍ってゆく。

 

 その僅かな間に、我に返った研究員達は破損した飛行機を分解し始める。

「すごいな……あの子はこんなものをたった一人で」

「記録をとるぞ、慎重に運びだせ」

 翼と胴体、心臓とも言えるエンジン等を宝物のように慎重に運び出す所を見ると、彼等もカイルの技術には敬意を払っているようだ。

 

 大空を飛び回った機体は、鉄屑ひとつ残らず運び出され、すっかり病室らしさを取り戻してしまった。

 騒がしさから一変、沈黙が占拠する病室にはクザン、スモーカー、そして眠るカイルが残った。

 

「解いてくれ。もう目的は果たしただろうが」

「……まだ頭が冷えてないみたいだな」

 クザンは眠るカイルを一瞥する。

「なにも怒るなとは言わねぇよ。だがな、あそこでお前が暴れちゃ――」

「黙ってみてろっていうのか!?カイルがアレにどれだけ時間と労力をかけてきたか!俺が一番見てきた!それを横から掠め取るなんざ海賊と一緒だ」

「言いたいことはわかるよ。だが、あれじゃお前もカイルも上から睨まれる。それに、カイルは外に出せば終わりだ、世界政府直轄の奴隷になって自由から一番遠い場所についちまう。二度とお前の手の届かないところにな」

 

 脳裏に笑うカイルが浮かび、消えてゆく。

 思い出すのはいつも笑った顔のアイツだ。おせっかいで、情に厚く、甘え上手で、変なところでビビりなアイツ。

 その表情が曇るのは見ていられない。

 

 スモーカーの視線が揺れる。

 

「お前は最適解をもう出してる。――"赤犬" が動いた。だから俺がここにいる」

「――ッ!」

「海軍の中で、カイルを守るんだ」

 

 病室は静まり返り、カイルの呼吸音だけがかすかに続いている。

「俺は、……こいつが空を飛ぶのを見たいだけだ。そうしてるのが一番こいつらしい。いや、こいつから空をとったら死ぬだろう」

「ふっ、飛行機バカだからな。わかってる、だからお前は冷静になれ。力はなにも腕っぷしの一種類じゃない。お前もわかってるから、サカズキに会いに行ったんだろ」

 

 いつのまにか、氷が溶けてできた水たまりにだるさを感じつつも、拳を握る。

 

「さぁ、ねぼすけが起きる前に終わらせるぞ」

 

 クザンに肩を組まれ、眠るカイルに後ろ髪ひかれながらもスモーカーは病室を後にした。

 

 

 眠るカイルを置いて、環境は目まぐるしく変わろうとしていた。

 それは海軍内部だけではない。

 保護の一報から各地に配られた手配書は取り下げられたが、カイルの風貌は知られるようになった。

 一部の海軍ファンは少佐という階級にもかかわらず緊急手配されていた特異さに考察を重ね、一部の市民はその爽やかさに手配書を持ち帰った。

 

「少佐クラスで手配書ってことは、それだけ貴重な存在って事だろう。さぁて、何の実を食った?」

 

 それは海賊達の目にも留まった。

 

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 時は戻り、スモーカーが負傷したカイルを保護してから数時間後。

 ――マハーキ工場応接間

 

「どうにかしてカイル少佐との接点をつなぎ止めたい。どうしたものか……」

 

 後に残ったモルガンズやヴェイン、マハーキ従業員+社長はあとからやってきた海兵達に手当や事情聴取後、解放された。

 マハーキ従業員とヴェインによって、社長は程なく追放されるだろう。早速新聞に載せる文面を書き起こし、マハーキ内の電伝虫を借りて部下に速報として記事にするよう指示をした。

 その記事に使う為のインタビューを受けていた従業員は始め緊張した面持ちだったが今ではリラックスし、自社工場のB級品をモルガンズと共にくゆらせていた。

 B級品といえど、マハーキ、風味が素晴らしい。

 

「貴方の新聞はいつも従業員皆で聞いてますよ」

「"聞いて"いる?読むのじゃなくてかい?」

「えぇ、葉巻を巻く作業をしながらね。トルセドール達が葉巻を巻いてる間、読み聞かせをする役割がいるんです。今日の新聞や小説なんかを。海の戦士ソラなんか人気でね。学がなくとも面白いことはわかる」

 

 海の戦士ソラ

 世経にて連載している子供向けの物語だ。

 空を飛ぶ能力をもつ主人公ソラが悪の軍団ジェルマ66と戦い、正義を成す。

 連載して数年、読者の反応はいい。勧善懲悪はわかりやすく、現実と虚構の境界線もあやふやで影響されやすいバカ共、いや失礼、世論を操作するにはうってつけだ。

 

「へぇ、ファンイベントなんか開けば喜ぶかね?」

「えぇ!子供から大人まで、きっと喜びますよ!例えば、そうだな……ソラと握手、一緒に写真撮影なんかできたら子供は大喜びしそうですね」

「ふぅん、そんなものかい?」

「商品企画部部長、いえ、海の戦士ソラオタクとして断言します。世経定期購読層だ、ある程度は教養もあるし稼ぎもあるはず、子供がグッズをねだれば買い与える親もいるでしょう。カモメのぬいぐるみ、アパレル、大人向けに日常使いできるグッズ、作中で登場する道具もあれば尚良い。一目でソラ関連のものだとわかるものだと使いづらい、わかる人にしかわからないラインが欲しいですね。いやぁ、葉巻ブランドもひとつ嚙ませてもらえたらよかったんですが、なにせ子供向け小説に葉巻は、ねぇ?いや、原作者に葉巻を題材とした話を書いてもらえば……モルガンズさん、スポンサーって募集してます?」

「一旦持ち帰って検討しよう。さっきの名刺の連絡先でいいかい?」

 

 新聞に連載している小説は書籍化されることも多い、それを待っている層もいると思うが定期購読限定の何かをつければさらに部数は伸びるだろう。

 思わぬところでいいアイデアが舞い込んできたな。

 

 もう一度電伝虫を手に取り、モルガンズは部下にアポを取るよう指示を出した。

 

「海軍に枝をつけるぞ」

 

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 随分寝た気がする。

 ぼやけた視界に瞬きを繰り返す。目をこすって視界がやっとクリアになる。

 

「ミッ!?」

「おはよう、ターズ」

 

 こすった掌に急いでやってきた分裂体に声をかければ、他の個体も反応し瞬時に一つとなり、まとわりついてくる。

「ははっ、熱烈なハグだな。そんなに寝てたか?」

 

 肩と胸が痛み、顔をしかめながらも身体を起こそうとしていると看護師がやってきた。あぁ、ここは本部の医務室だったか。

 一瞬ビクッとしていたが素早くバイタルやらを確認したと思えば部屋を出ていき、今度はスーツを着た将校がやってきた。

 

 海軍犯罪捜査局の者と名乗る男は分厚い書類を片手に次々と質問を繰り返し、答えを書き留めていく。

 一区切りついたかな、という所で聞いてみた。

 

「あのー……自分は今どういう扱いになってるんでしょうか?監査任務の途中で行方を眩ませた結果になりますが」

「調査と君の証言に矛盾がなければ今回の失踪は故意ではない、とされる。それに、スモーカー少尉がG-1支部から裏帳簿も確保した。君が調査していた黒塗り資料とも繋がる。任命されてすぐの新人にしては目の付け所がいい。横領事件として捜査中。何はともあれ、一応成果はあったわけだ」

「スモーカーが?なぜ彼がG-1支部に」

「なんだ、本人から聞いてないのか。君を探す為にうちに借り出されたんだ。当初、君は脱走兵の容疑がかけられ捜査されていた。我々は君をプロファイリングし、動機、目的、向かいそうな場所何もかも調べあげる。君の家も調べさせてもらった。そこに突っかかってきたのが彼だ。君が脱走するはずがない、君のことなら俺が1番わかってる、なんて言い出すからクザン中将から海犯局の捜索隊に貸出されてね。君の足跡を追う過程でG-1支部に。野犬と評されるのもわかるな、鼻がいいが扱いにくい。なんなんだ彼は、レッドラインから紐なしバンジージャンプしたって報告されたとき訳が分からなかったぞ」

「レッドラインから!?……捜索隊のこともあいつなにも」

「彼の性格からして言わないだろうな。……しかし、君の"伝書鳩"行為は海軍内のみと限定されていたはずだ。G-1支部長を挟んで命令されたのは世界政府エージェントの証言からも確認が取れてる。断っても良かったはずだが?」

「世界政府のエージェント直々に命令された時は断りましたよ。内容も分からなかったので。でも支部長を挟んで下された命令は人命救助を目的としたものでした。断れます?」

「……次回から断るように。海軍限定だと正式にあちらに伝えておこう。君に限らず海軍は政府にいいようにたびたび使われる、境界線を再確認するべきだな」

 

 随分と苦労させられているのか、ため息が漏れ出ている。官僚のような早口の仕事人間がこうも苦労するとは、どこも大変なんだな。

 

「なんにせよ、君の次の任務は決まっている。正式に辞令が下るのを待て」

「はっ」

 

 次の任務?ノースブルーの各支部の監査はまだ終わってないはずだ、1つ目の支部でこんな大事になったからお役御免になったのだろうか。そうだとすると次はなんだ?事務仕事とか?

 

「あぁ、そうだ、カイル少佐。君、結婚願望はあるか?」

「は、……結婚、ですか?全くもってないですね。そんな甲斐性ありません」

「わかった、伝えておこう」

 

 結婚。なぜ結婚がでてくる。伝えるって誰に。

 頭の中にはてなを飛ばすカイルは、ま、いいかと思考を放棄した。

 

 

 数日後、そろそろ仕事復帰可能だろうと医師から許可が出た。

 安静期間の間、見舞いに来た両親にはどれだけ心配したかと小言を貰うも最後は抱きしめられた。

 退院後、一番初めにしたことは自宅の掃除。

 住居部分は扉という扉は開け放たれ、物は散乱し部屋の中で嵐が起きたと言っても信じるぐらいだ。

 わぁ、としか言いようがない。これ全部俺が片付けるの?本気で言ってる?って感じ。ターズの手伝いがなけりゃ泣いてたね。

 

 復帰後は飛行機の修理が俺の最優先の仕事だ。辞令はまだ出ず、監査部からも最低限の事務作業しか与えられなかった。

 科学部隊に飛行機を回収されていると知らされたときは驚きもしたが、まぁそうだろうなとあまりショックは少なかった。ターズに飲み込ませてから一週間は経ってる、彼らに飛行機が回収されるだろうとは薄々思っていた。だが申し訳なさそうにするターズをどう慰めるかに難儀したものだ。

 

 今いるここは科学部隊の俺専用の倉庫。自宅に隣接する倉庫と同じものをそっくりそのまま作ったらしい。機密事項を扱うからと外には常時見張りの海兵が立っている。

 そんな倉庫で板金切断用にアタリをつけていると研究員が一人駆けてくる。

 

「カイル少佐!どうだい進捗は!」

「進捗もなにも、貴方達が逐一記録するもんだから進むものも進まないんですよ。ランチェスターさん」

「こんな素晴らしい技術記録しないと世界の損失だ!私にできることがあればなんでも言ってくれ!」

「ならあっちで珈琲でも飲んでてください」

「それ以外!」

「はぁ〜……」

 

 飛行機の技術はもう彼らにかかれば事細かにデータ化されるんだろう。もうそれはしようがない。飛ばせ方は俺以外わからないんだ。経験は数字にはかなわない。それに、科学部隊のメンバーは顔見知りも多い。このランチェスターさんも幼少期、世話になった一人だ。話せばわかってくれる人なはず。

 

「しかし、どこからこんなアイデアが浮かんでくるんだ。君の脳を覗いてみたいものだな」

「ただの肉片ですよ」

「何を言う!我々が君の飛行機を見よう見まねで作ってみたが、君の行う作業の緻密さに比べればあれはゴミだ、ゴミ。あんなものを量産しようとしてただなんて寒気がする。回収したエンジン部分なんてもう、Amaze!Amaze!Amaze!感嘆でしかない!」

「んへへ、そうでしょうとも」

 

 そうして飛行機を修理する日々が続いた。合間を縫ってヒナやサカズキ中将、工廠の人々にも会い、全快したことや迷惑をかけたことに詫びを入れることはできた。だが、まだ会えていないやつが一人。我が相棒、スモーカーだ。

 マリンフォードに帰還し、医務室送りになった時から一度も会っていない。彼はどこで何をしているのか、ヒナにも聞いてみたが首を振るだけ。彼女もよくわかってないらしい。上官であるクザンさんに聞いても、

 

 ――え、居場所?あ~、まぁ、なんだ。忘れた

 

 この調子だ。

 

 俺が寝てる間に不祥事起こして異動か謹慎に?それなら正式に情報が出てるはずだ。

 官舎、食堂、クザン中将の執務室、行きつけの酒場、煙草屋、陶芸屋、色々探し回ったけど不発に終わった。

 探し回りすぎて、煙を見ただけで目を引くようになってしまった。

 

 もうここまでくると違いないだろう。

 ……あいつ、わざと俺の事避けてるな?

 

---------

 

「カイル君、ずっとあなたのこと探しているわ。会いにいかないの?」

 海風に揺れる長い髪をおさえ、ヒナはいつもより覇気のない同期に声をかけた。

 防波堤から海側へ足を投げ出したスモーカーは一瞥したのみ、返事もせず片手の軽食を口に放り込んだ。

 

「何があったっていうの?喧嘩でもした?」

「してねぇ……が、どんな顔して会えってんだ」

「ちょっと、スモーカー君!待ちなさい!」

 防波堤から飛び降り、ヒナに行先が知れぬよう煙となってその場を去った。

 

 食堂にいては鉢合わせする可能性が高い。それにカイルの母親もいるから、最近は外で海を眺めつつ食べることが多くなった。

 あの日分解される飛行機を見てからカイルに合わせる顔がない。あれはあいつの全てだ。それをみすみす……それにあいつを守る為とはいえ海軍に縛りつけ自由を奪った。

 本当にこれで良かったのか?わからない。

 無事に目覚めて出歩けるようになっている事に安堵しているし、探されている事にどこか優越感すら感じている。だがあいつにしたことを考えるとどうも足が向かない。会いたい気持ちはそりゃある。怪我の具合も、事情聴取ではどう答えたのかも聞きたいし、ガサ入れされた家の片づけだって残ってるはずだ。

 俺ができることはしてやりたい。だが、時間が経つにつれますます会いにくくなる。

 

 むしゃくしゃした気持ちは筋トレしても、海賊をぶちのめそうとも、煙草を吸おうとも消えず燻り続ける。

 そんな日々を過ごしていた。

 

 

 カイルを避け続け、最後にカイルの顔を見てから約1か月が経とうとした頃、スモーカーのもとに若い海兵がやってきた。

「単独任務の招集です、スモーカー中尉」

 

 この1か月の間で階級が上がった。

 クザン中将に聞けば、元々海賊確保の功績で昇進予定だったが、海犯局の捜査に協力し手柄を上げたこと、それがカイルの保護につながったことにより予定が早まったらしい。

 カイルが昇進理由だなんて今でも納得いっていない。昇進の為にあいつを助けたんじゃない。

 

 いきなり現れた海兵に連れられたのは、出入口に警備が配備され異様な雰囲気の倉庫だった。

「ここは?」

「中の者が説明します。自分はここに連れてくるよう命令されただけですので」

 

 倉庫の扉が開く前に敬礼し去っていった海兵の背中を一瞥し、倉庫の中へと足を進める。

 案内を引き継いだ白衣の研究員は首を少しかしげただけ。ついてこい、という事だろう。

 中は薄暗く、機密保持の為なのか、カードキー式の扉が続く。

 

「君にはテストドライバーとなってもらう。単独任務の足になるべく開発されたものだ。君の能力に適応するように作られている」

 

 ガチャン、と灯りがついた部屋に鎮座するソレにスモーカーは目を奪われた。

 

「ビローアバイクと命名された。大波【billow】をも超える水陸両用バイクだ」

 

 低く長いシルエットは重厚感とワイルドさに溢れ、タイヤは三輪あることで存在感、安定性共に抜群。飾り気は少なく、無骨だがそこがスモーカーの琴線に触れた。能力に合わせて作られたというだけある、近くに寄り、またがってみても窮屈でも大きすぎるもなく身体にフィットした乗り心地だ。タンデムシートも装備済みで単独といわず二人乗りも可能だろう。

 

「何故俺がテストドライバーに選ばれたんだ。悪魔の実の能力者は海軍内でも多いはずだ」

「そりゃ、君が雲隠れするからこうでもしないと会えないだろ」

「なっ……!?」

「入れ替わったことにも気づかないくらい気に入ってもらって開発者冥利に尽きるね」

 

 背後から聞こえた声は聞き間違えようがない。

 普段の声よりどこか刺々しい響きに身体が固まる。

 

「説明するからそのままで。ハンドル握って、レバーは右が前輪ブレーキ、左がクラッチ。動力は君の煙だ。右足が後輪ブレーキで左足がギア操作」

 タンデムシートから肩に置かれた手と近い声に促され、指示通りに身体は動くが頭は回らない。

「クラッチは動力と変速機の接続遮断を担う。左手握ったまま、左足で一速に入れて、ほら、煙だして。走り出しは半クラでゆっくり、いきなり離すと――」

 

 ガクンッ

 

「っ……!」

「これがエンスト、いや、”煙”スト?んはは、上手いこと言ったな」

 背後からおり、横に立つカイルを見れば最後に見た時からクマが濃くなったように見える。

 こいつ、……寝てないのか?動きもいつもより緩慢だ。

 

「……まだ本調子じゃないだろ、動いていいのか」

「医者にはもう働いていいって1か月も前に言われてる。それはそうと海犯局のやつからきいたよ、無茶したって。レッドラインから紐なしバンジー?バカじゃないのか」

「お前よりは無茶じゃねぇ。それに、ほかの海兵より先にターズを保護できただろ」

「保護してくれたのはありがたいがそりゃ結果論だ、それで死んだらどうする」

「死なねぇ。お前が飛ぶのと一緒だ、できる自信があるからやったんだ」

「できる自信があっても不測の事態はある。あの飛行機を見ろ、なんであぁなったか知ってるか?鳥だ!一匹の鳥で!ゼファー先生も言ってたよな、能力に頼りすぎるな、力を過信しすぎるなって!なんでそう無茶ばかりするんだ」

 カイルが指さした先、倉庫の暗がりに置かれた飛行機は病室で見た時よりは整ってはいたがまだ傷だらけで飛べる状態ではないと一目でわかる。

 

「そりゃこっちの台詞だ!ノースブルーで大量虐殺の場にいたと思えば行方不明になって、次はウエストブルーでマフィアの抗争に巻き込まれた?なにをどうしたらそうなるんだ」

「俺だってわかんねぇよ!そうなっちゃったんだから仕方ないだろ!?やっと帰って復帰できたと思ったらお前には避けられてさ!?俺なんか悪いことでもしたか!?」

 

 じっと見つめる視線に言葉が詰まる。

 カイルのせいではない、ただ自分が罪悪感で逃げ回っていただけなのだから。こんな事で怒るやつじゃないのもわかってる、わかってるが自分が自分で許せない。

 

「お前は、……関係ない。ただ俺が「なに」……飛行機を、守れなかった。お前が人生かけて作ったものだ、先回りして隠すことだってできた。それに、お前を守るためとはいえ海軍に縛り付ける結果になった。すまない」

 

 謝るとカイルはわけがわからないといった顔をしていた。

 

「……は?なん、なんでお前が謝るんだ、感謝こそすれ責める理由ないだろ!飛行機なんてまた修理すればいいし、ダメならまた一から作る。海軍に縛るとかはよく分かんないけど、俺の為を思って行動してくれてたんだろ?」

「あぁ」

「ならいい。……俺は、お前に避けられる方がもっとずっと嫌だ」

 

 言い切ったカイルはどこか不機嫌そうに眉を寄せていた。

 責めてるわけでも怒っているわけでもない。

 ただ、傷付いた子供みたいな顔でこちらを見ていた。

 その視線に、息が詰まる。

 

 ――まずい

 

 そんな顔、させたかったわけじゃない。

 

 

 答えに詰まるスモーカーにカイルは、ふ、とバイクに視線を下げる。

「次からはするな、いいな。もう一台徹夜で作る羽目になる」

「……もしかして、俺をここに呼び出す為だけに徹夜でこいつを?」

「デザインと仕組みは前から考えてた」

「勘弁してくれ」

 

---------

 

「海軍本部直属 航空技術実証主任士官 兼 海軍広報特務士官 兼 特別機動輸送士官〜???」

 

 読み上げられた任命書は先ほど発行されたばかりのものだった。

 勝手に手に取り、読み上げたガープはセンゴクの執務室なら何をしてもいいと思っているらしい。なにを言っても響かないとわかっているセンゴクは何も言わず任命書を奪い取る。

 

「なんじゃい長ったらしいのぉ。結局、カイルに何をさせるつもりなんじゃ」

「主な任務内容としては、文字通り。技術実証と輸送は元からしていたことだが、広報としても動いてもらうことになる」

「いきなりじゃの」

「……世経から打診があった。カイル少佐とお近づきになりたいそうだ。おおかた飛ぶ技術が欲しいんだろう。輸送網の拡張だかなんだか言っておったがな。見返りとして、民衆支持の底上げに情報統制協力だと」

「応じる必要があるか?交渉のテーブルにつく必要もないじゃろ」

「あぁ。だからこれはただの人事異動だ。なんの取引もされてない」

 

 大海賊時代が始まってから早七年が経とうとしている。

 ロジャーが残したとされるワンピースを追い求め海賊の数は増えるばかり、対応に追われ後手後手になっている印象が近年強まっている。

 目の前で鼻をほじくるこの英雄にあこがれて海兵に志願するものもいるし、志願者数も年々増えてはいるが、母数が増えるとやはり腐敗した海兵も一定数出てくることは確かだ。特別監察官を派遣して統制に努めてはいるが民衆からの支持や期待度は下降傾向にあると言っても過言ではない。

 海軍に守られるより、海賊の縄張りになった方がマシだ、という声さえ聞こえてくる地域もある。

 モルガンズはそこをついてきた。明言はしていないが、海軍の汚点をばら撒かれたくなければ協力しろ、と。

 

 コング元帥とも協議したが、技術を渡すことはできない、無視でいいと意見は一致した。

 海軍としても彼の航空技術の全容を把握管理しているわけでなく、カイル少佐自身どこまでできるかを調べている最中だ。手探り状態であることを知らせる必要もない。

 しかし、カイル少佐が保護されてすぐ、サカズキから本格的に海軍で囲む必要があると具申があった。

 CPにも世界政府にも渡すべきではない、彼らに渡せばカイルは墜落すると。サカズキにしては珍しく一個人に肩入れしていると思ったが、使える人間は確保しておくに越したことはない。

 ならば海軍所属であることを知らしめ、安易に消せない存在にするのがいい。

 広報にすることで民間の目に触れやすく、世経も勝手に取材でもするだろう。

 

「広報ってなにをするんじゃ」

「なにって具体的には考えてないが……今度の合同訓練に参加させて一般公開でもすればいいんじゃないか?わざわざ広報の為に一からなにか作るのも面倒だろう」

「センゴク」

「お前は参加できないぞ」

「嫌じゃ嫌じゃ!わしも参加するんじゃ!」

 

 駄々をこねる老人ほど面倒なものはない、無視を決め込むセンゴクは任命書を届けるよう部下に命じた。

 

---------

 

海軍本部

元帥府発令

任命書

海軍少佐 カイル

 

貴官はこれまで航空技術研究開発並びに飛行機械運用において顕著なる成果を挙げ、

海軍任務遂行に多大なる貢献を果たした。

 

特に、長距離高速移送、緊急連絡任務及び特殊輸送任務における功績は極めて高く、

海軍戦力運用に新たな可能性を示したものである。

 

また、貴官の有する航空技術は海軍運用上極めて重要性が高く、

当該技術及び関連機密の保全は海軍本部直轄管理事項とする。

 

よって海軍本部は、今後の航空戦力運用体制確立並びに海軍威信向上を目的として、

貴官を下記任へ任ずる。

 

 

一、

 

海軍本部直属

航空技術実証主任士官

 

貴官は航空兵器、飛行機械及び関連技術の研究、開発、試験運用並びに技術実証を統括するものとする。

 

必要に応じ、各海軍工廠、研究機関及び支部基地へ協力要請を行う権限を有する。

 

 

一、

 

海軍本部直属

海軍広報特務士官

 

貴官は海軍航空戦力の象徴的存在として、

海軍威信の維持向上並びに民衆信頼回復を目的とした特別広報任務に従事するものとする。

 

また、本任務は元帥府直轄特別任務とし、必要に応じ各地支部及び関係機関はこれに協力するものとする。

 

 

一、

 

海軍本部直属

特別機動輸送士官

 

貴官は航空機を用いた特殊輸送、緊急移送、長距離機動任務を担当し、

文書、人員、物資その他機密輸送案件の迅速運搬に従事するものとする。

 

任務遂行に際し、各基地及び艦隊は必要な補給、整備及び離着陸支援を優先的に行うものとする。

 

 

本任命は海軍本部直属特例人事とする。

 

貴官に課せられる責務は重大であり、

今後の海軍戦略及び新時代戦力構築に深く関わるものである。

 

海軍の名誉を胸に、その翼を以て職務に邁進されることを期待する。

 

 

海円暦 XXXX年 X月X日

海軍本部 元帥府

 

海軍元帥

コング

 

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