その世界は、大戦の影響で異世界の遺跡が各地に流れ着いていた。
その世界に根付く魔法現象の廃絶を目的とした邪神教団は遺跡の技術を狙い、
対する世界もまた、遺跡の解明に動いていた。

本作の主人公はとある傭兵団
に追われて遺跡に落下、脱出を目指して彷徨っていたところにある一つの遺物を発見する。
それが、彼女の人生を変えるのだった。

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出遭い

ーザザッ…ての発端は、私が旧SR388の周辺を航行していた時に回収した有機体を持ち帰ってしまった事だった。

ー私の生涯で後悔があるとすれば、過ぎた力を捨てる決断が出来なかったことを除いて他にはない…

 

ガコォン 「ふぅ、重い扉…」

そう呟きつつ、少女は鉄の扉を開けるために踏ん張っていた足を戻す。

(…暗い、けど)

背中に挿していた槍を取り出して柄に力を込めると穂先の刃が光り、辺りを照らす。その風景の第一印象は

 

「…冷たい。殺風景だし」

 

 金属に覆われた壁に、所々に飾られた無意味そうな無色の板がその用途の予想を難しくしていた。しかし、

 

 カチッ 「…! 何が!?」

 

一歩踏み出すと聞きなれない物音と共に部屋が明るく照らされた。

光源たる天井にはそれらしき魔法の気配は感じられず…いや、

 

(奥に何かがある?)

 

強烈な気配を漂わせる何かが部屋の向こうにあった。

 

―決して力に魅入られた訳ではない…とは言わない。

―理性を保つために研究を中断したことは何度かあったが、時間をおく度に「せめて悪用出来ないようにしてから手放したい」という考えが沸き上がるのだ。

 

けたたましく鳴る轟音と共に壁が開き、鉄の人形が現れる。

 

(敵!? っなんて!)

 

とっさに少女は姿勢を落として槍の刃先を人形に向け、空いた右手をグッと握るとゆっくりと力を緩めて指を開ける。

その手の中には陽炎が揺らめくように何かが集中しており…

人形は少女目掛けて光線を撃ち出し攻撃に出る。

少女も負けじと右手に宿した炎を放り投げ、そして…

 

―我が研究所に来た者よ。お前さんがどういう意図でここを訪れたのかは、もはや私には解らない。ただ…

―あの部屋に近づく以上は"あのチカラ"を求めて来たのだろう…なら、せめて

 

ガキィン…ギギィィ、ドシャァン

激戦の末に人形が立つ力を失い、冷たい地面に沈む。

持っていた槍も折れ、軽装鎧仕込みの普段着もボロボロにして

壁に手を付く少女はその消耗度合いがふらつく足に表れていた。

そんな彼女の視線は部屋の奥、空いた穴の先…

(何かが、眠っているはず…)

直感に従い、ゆっくりと歩みを進める。

 

―資格があるか、試させてもらう。許せ…そし、て‥

…ザザッ…ザザッ…

 

「…え?」

奥に安置されていたのは、ガラスの筒に入っている謎の球体だった。

(さっきから感じる気配の正体…が…)

にわかには信じられなかった。

そうして手を伸ばしたのが、全ての運命を決めた。

 

「…!! っつうぁぁ…」

 

触れた先から痛覚を経由して謎のものが流れ込む。

痛み、引っ込めた手に残る感覚はやがて全身へ巡り始め・・

それは、着実に少女を侵食していった。

 

―…そして、こんなカタチでしか遺せなかった私を許して欲しい。

―こんなカタチで押し付けることしか出来ない臆病者の私を許して欲しい。しかし…

…ザザッ…ザザッ…

 

昏睡するなか、少女の頭がその懺悔の内容を理解していたのは侵食した何かしらの影響なのだろう。

少女は気が付くと着た覚えの無い鎧を纏っていた。

着心地はまるで…

(いや、自分の身体の一部みたい…いや、もっと…)

自己が拡張されたような、奇妙な感覚さえ覚える。

その橙色の鎧は攻撃手段を持っていた。

 

「なに、この右手…」

 

緑色の筒、人差し指に触れる細い棒。

 軽く押し込むと筒の先・・

 

(エネルギーが・・もしかして?)

 

視線を上げ、青い扉に右手を向けて更に棒を押し込むと放たれる閃光。

その現象は、彼女の知る魔法文明とはかけ離れた技術で出来ていた。

いや、正確には彼女に取り憑いた鎧の全てと言っていい。

その閃光は青い扉に着弾すると弾け、その扉を開けた。

その先に待ち構える鉄人形の兵士。

 

(アイツら、私の邪魔を!)

 

一先ず(ひとまず)、少女は脱出してから考える事にした。

 

ー巡り逢ったお前さんがその能力の元の持ち主と同じ、高潔な人間であることを願う…

 

少女は“メトロイド”を受け継いだことを、まだ知らない。




追記。

もし続くなら、ある程度の技術や本編要素のみを出しつつ魔法世界のままで書くつもりです。
まぁ、原作として上げた以上離れすぎないよう頑張ろうかと。

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