私は、姫蜘蛛のままでいい?
そう言われた瞬間、体を倦怠感が駆け巡る。
強くなろうとした。
白ちゃんを守れるように。
糸から救ってもらい、弱っちい私を担いで一緒に行動させてくれた恩に報いるように。
それは、果たして、白ちゃんのためになっていたのか。
自分で自分を痛めつけ、私は強くなった気でいたのかもしれない。
白ちゃんは、私がいなくても強い。
ここまで来たことからもそれは明白。
じゃあ、私がいる意味とは?
……はっきり言って、それは無い。
いなくても、白ちゃんは別の物語を紡いでいたと確信できる。
それに、それに……。
気が付いていなかったけど、いや、違うな。
気が付かないようにしていたけど、耐えていたけれど……。
私は、疲れたんだ。
意味なんて必要ない。
ただ、愛されていただけで私は良かったのに。
蜘蛛子さん、私は貴女から感情を貰ったのだから。
後ろで、支配者スキルを持つ者達がシステム自壊を行なっているのが見える。
よく考えたら、それは夢のような光景。
ポティマス、ダスティン、そしてギュリギュリ。
主義主張、目指すべきものが違うにも関わらず、協力して事に当たるなんて。
UFO事件振りかな?
それよりも険悪さは無いから、本当に協力している感じだね。
皆が出迎えてくれる。
全員が生き残れる、あるいは生き返れるようにしてよかったね。
犠牲者は私だけのつもりだったけど……。
「中々に面白いものを見せてもらいました。ご褒美として、特別に白織を貴女にあげましょう。不本意ですが、貴女を殺すのは私では無理なのでね」
「私だってDを殺すのは無理だよ。Dって不死身じゃん」
Dもこう言ってくれたことだし、目的は達成と言ってもいい。
というか、ベストエンドになったと言っても過言ではないのでは?
Dは全く反省してなさそうだけどね。
それをどうこうもできないけど。
Dは不死身で、私も不死身。
倒す倒さないじゃなく、そもそも勝負にならない。
「G……ガスターは余計なことをしてくれました。別世界の神は色々と面倒なんですよ」
「ふむ……実に興味深い結果だったから私は文句ないが」
「私にとってはオモチャをいくつか失った感じなんですよ」
「そういうこともあるさ。そういうAUだと思ってくれればいい」
それにしても、白ちゃんは随分と成長したなぁと思う。
私なんかいなくても世界は救っていただろうし。
元々はスモールレッサータラテクト、私の最初の遭遇と同じ種族なんだから。
思えばラスボス級の素質があったのかも。
負けイベントにしては珍しい、ハッピーエンドにつながるバトルだった。
いや、あっちにとっては勝ちイベントだね。
やっぱりお兄ちゃんみたいにギリギリの状況でしか勝てないのかも。
アズリエルも強くなっても大して意味ないよと言ってたし。
「D様。私ずっと聞きたかったんですが」
「どうしたんですか、冥土」
「その緋色とやらは、いったいなんなんです?」
ん?私はいったいなにか?
そんなの決まってるじゃないか。
白ちゃんに定義してもらったし、私もそうあるつもり。
私は――
「姫蜘蛛ですが、なにか?」
fin