バイドとの戦いと共に訪れた新世代の戦闘機の歴史は激戦に飾られ、
歴史の舞台からチョウゾを追いやる形でスペースパイレーツを名乗る勢力たちがその平和を脅かしつつあった。
やがて忍び寄りし裏工作に気付いた時には全てが遅く、
英雄達の喪失と母星からの追放という事実だけが彼らに残されることとなった。
しかし、とある観測結果が沈み止まった時を動かした。
奪還に向けて意思を固め、最後の希望を託したのは…
チョウゾより警告を受けてのRX計画の方針転換、
その末に起こったRX8最終試験型による
アンティクトン事変及びバイドとの初邂逅から
早や数年が経過した頃。
秘密裏に開発されたR戦闘機はリョウ・ミナモトの駆ったRX8を元として量産を開始、バイドとの本格的な交戦に備える。
その計画には邂逅した有機戦艦、コンバイラの遺した情報体よりもたらされたR戦闘機の多彩な設計図をも組み込まれることとなった。
しかし、起こった複数の事件は星系に激震をもたらす。
当初予測されていたバイド“帝国”の襲撃、バクテリアン軍のグラディウス侵攻への対応にそれぞれが気を取られている隙に
惑星ゼーベスのチョウゾが突如として交信を断絶、同惑星を拠点としたエイリアン、自称スペースパイレーツによる海賊行為が始まった。
両軍は同盟を結成、サイレントナイトメア事件の2人の英雄であるリョウ・ミナモトとジェイムズ・バートンを旗頭とし、全体の指揮権を新進気鋭の新米指揮官ジェイド・ロスに託して事態の鎮圧を図った。
結果、両惑星を襲う事件は無事終息、スペースパイレーツの撃退にも成功するが
ゼーベスにいたチョウゾは全滅、チョウゾ製と思しき人工生命体‘メトロイド’に阻まれつつも
惑星内部に逃げ込んだパイレーツ達に対し指揮権と抵抗力を排除する形で一旦の決着が付くこととなった。
その過程で保護されたゼーベス育ちの女、サムス・アランは本事件を切っ掛けにテラ宇宙軍に入隊した。
数年後、テラ宙域の要塞が無人のまま突如としてテラ本星を襲撃。
サタニックラプソディと名付けられたこの事件は“バイドに侵されたR9の暴走“という真実が伏せられたまま
リョウ・ミナモトとサムス・アランの活躍によって終息する。
その後、独自の調査によりメトロイドの出所が惑星SR388であったことを突き止めると
メトロイドの全滅を命じてサムス・アランをそこに派遣、メトロイドの幼生1匹の確保という望外の成果を経て彼女は無事ミッションを完了させる。
しかし、同時にもたらされたスペースパイレーツの幹部リドリー襲撃の報に連邦は緊張を走らせた。
先のゼーベス攻略の際、サムスによって撃破が報告されていたからである。
事態を重く見た連邦はすぐに第2次ゼーベス遠征計画を練るも、バイド再襲撃の予測が近いことに計画の難航が予測された。
結果、ミナモト、サムス含む部隊をゼーベスへ、ジェイド・ロス少尉率いる部隊をバイドへの迎撃に宛てる。
結果としてゼーベス側は幼生メトロイドの強奪を許すも直後の素早い対応により惑星の自爆を以て作戦の成功となるも
ジェイド・ロスの部隊は本拠地への追撃に向かって外宇宙に消え、バイドと共に姿を消していった。
斯くして平穏を手に入れた彼らはメトロイド無き後の惑星SR388の調査を開始するが、護衛として同行していたサムスが意識不明の重体になる。
医療班の懸命な処置により一命を取り留めるがその外見は大きく変化し、
直後研究拠点であったB.S.L.で起こった爆発事件の調査に彼女が投入された事で事態は大きく動いた。
事件の結末は連邦の体制に向けられた不信感を決定づける結果となってしまい、
連邦の腐敗に愛想を尽かした数十名が連邦軍を離脱すると
惑星マーズの都市グランゼーラを拠点として独立した軍を結成。
そしてテラ連邦軍内で非医療目的の手術や倫理を逸脱した生体兵器の拡大運用を根拠として信用に足らないと主張。
連邦とグランゼーラの間に走り始めた緊張はサタニックラプソディ事件への話題の波及を切っ掛けとしてついに爆発、
バイド兵器をはじめとした生体兵器運用の是非を巡った戦争が勃発した。
戦争はやがてエリムス・ウォルフッド率いる連邦軍の部隊と
ギャレイ・ウィッグ率いるグランゼーラ革命軍の部隊が大戦果を互いに挙げる形で拮抗が続くものの
革命軍の内部分裂により発生した星系解放同盟の台頭により戦況は複雑化。
そんな中バイドの再侵略が予見されたことによって
エリムス、ギャレイ両名は休戦協定の締結に動く。
しかし、星系解放同盟の鎮圧を待たずしてバイドの本隊が襲撃、
さらには恒星ソル周辺に本拠を据える新興勢力、“メガゾファー”が連動して星系の星を次々に占拠していった。
重なる苦境、発覚するメガゾファーの分裂工作にようやく纏まろうとしていたテラの勢力もついに限界を迎え、
母星の放棄という屈辱の決断を下した。
斯くして始まった脱出作戦も押し寄せる敵に数々の失敗を喫し、
歴戦の英雄であったリョウ・ミナモトも大型バイド“オージザブトム“と相討ち、最後の脱出船団を逃がしてテラの大気圏へと消えていった。
今やテラ本星に残された人類の生存は絶望的であるとの論調が支配し、整いつつある戦力に対して重い腰は中々上がる事は無かった。
しかし、母星の観測班に所属していた研究者ジェイソン・フラドニックによって一つの希望ある報告がもたらされる。
“惑星テラ宙域を、1機の次元戦闘機が翔んでいる。“
それは、沈んだ人々の活気を取り戻すには十分であった。
奪還作戦が、動き出した。報告された1機の次元戦闘機に、最後の希望を託して。
グレイは停泊する移民船の中、とある艦橋へと足を向けていた。
脱出作戦時代、母星の末路に絶望し“旅立っていった“者たちの
赤い痕跡は掃除されることなくその場所に残されており。
グレイはその場所に着くと添えられた花束に持ってきた花を加え、祈る。
(皆の無念は、必ず晴らしてやる。待っていてくれ‥)
居合わせてしまった当時の光景を、忘れることはできない。
作戦への参加の決意を固めた、彼らの存在を胸に
グレイはその場を後にした。
彼の参加する奪還部隊が惑星グラディウスを出発する数十分前、
バクテリアンを追って出撃するヴィクセンが最終調整に入ったときのことである。