主を失った狼、透き通る世界に行き着く   作:けんどーさん

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大雨の下、他愛無い会話

ピシャアアアン!

 

「……雷か」

 

 

朝、先生より早く眼が覚めた狼は先に一人朝食をすませようと厨房へと向かっていた

 

 

外ではザーサーと雨が降り注ぎ、雷もなっている

 

 

「……」

 

狼自身も巴の雷を操り、擬似的に天候を操ることができたが、ただでさえ少ない形代を大量に消費しても短時間しか呼べない代物だった

 

こういった自然に発生する雷は返せるのか気になる狼だったが、失敗した時やできなかった場合大惨事になると考え結局食事を優先することにした

 

 

調理道具の使い方が分からない狼だが炊飯器を見つける

 

「……おお」

 

中にはあらかじめ朝食用にか、ご飯が炊かれていた

 

 

しゃもじを取り出し、米を茶碗によそう

 

 

冷蔵庫を探すと浅漬や見慣れない黄色い漬物、梅干しなどを取り出す

 

 

「……」

 

手を合わせ、一口

 

 

「……美味い」

 

 

ご飯を二杯ほど平らげ片付けた後、ドタドタと足音が聞こえる

 

 

 

「………」

 

 

狼は昨晩、ハナコが服を洗って干していたことを思い出す

 

 

「……」

 

傘があれば役立つだろうと狼は足音を追いかけ始めた

 

 

 

 

 


 

 

”…で、狼が鉄の傘を使ってくれて少しだけ濡れただけにすんだけど……”「……」

 

 

「……逆にあれでなんで生きてるの??」「まさか目の前で雷が直撃するとは思わなかった」

 

「…一応、外傷は見当たりませんが…普通に病院行くべきではないのですか????」

 

 

「狼さんが大丈夫でも普通に心配なので病院にいってほしいのですが…」「……」

 

狼は無言で傷薬瓢箪をまた飲み干した

 

 

「……これで構わぬか」「いや何飲んだんですか???」”…まぁそれ飲んでるなら大丈夫だろうけど……”

 

「先生はその瓢箪にどれだけ信頼を注いでいるんですか!?」「……」

 

 

あまりにも心配されるので狼は懐から粉薬を取り出す

 

「うな胆」

 

葦名衆が神棚に供える、雷払いの妙薬

 

一定時間、雷攻撃によるダメージと「打雷」になったときのダメージを軽減する

 

雷とは、源の神鳴りだ

うなぎは、矮小なれとも竜の眷属

神鳴りも、しばらくならば抑えられよう

 

しかし残念かな、この薬に使い道は全くと言っていいほどなかった

 

 

打たれた後に飲むのは効果があるのか疑問だがないよりは良いだろう

 

 

「狼、それは…?」「…言えぬ」「な、何怪しい物飲んでんのよ…」

 

 

”……”

 

 

普通に会話しているのを眺めていながら先生はふと思う

 

 

”(水着姿の生徒四人と大人二人、おまけに停電で真っ暗な部屋って端から見れば普通に事案なのでは???)”

 

 

雨に濡れて着る服もない四人は水着を着ていた*1

 

おまけに落雷のせいで停電までしている

 

「…ふふっ、まぁ大丈夫なら問題ないでしょう。それでは、記念すべき第一回補修授業部水着パーティーを始めましょうか♡」「あうぅ…やっぱ変な感じがします」

 

「…それが当たり前よ……」”…私と狼だけ私服なのは違和感があるなぁ”

 

 

その後、他愛もない会話が続き…

 

 

「…そういえば今トリニティのアクアリウムで「ゴールドマグロ」という希少な魚が展示されているみたいですね」「あ!それパンフレットで見ました!幻の魚呼ばわりされているらしいですね」

 

「はい、どうやら近くの海で発見されたとか。一度は見てみたいですが入場料も馬鹿にならないので…」

 

「…海か、そういえば一度もいったことは無いな」「……海か…湖ならばあるのだが」

 

 

「ふ、二人とも一回も行ったことないんですか!?」”暇ができたら行ってみたいね”

 

 

 


 

 

「それで、とっくに潰れたはずのアミューズメントパークなのにもかかわらず夜になるとなにやら騒がしい音が聞こえてきて…」

 

「……」「そ、そんなわけ無いじゃん!聞き間違えよ!」「まぁ、私もそういう噂だとして聞いていただけですが…」

 

”…狼、大丈夫かい?”「………ああ」

 

 

「そ、そういう噂なんて大体誰かの嘘なんだから!」「あはは…」

 

 

「水着で街や学園の中を歩くのは別に変なことではないですよ?」「そんなことないでしょ!勝手に常識改変しないで!」

 

「……男であれば、まだしも…女子(おなご)であれば、やめておけ」「うふふ、ですがこれは私がシスターから聞いたお話なのですがキヴォトスのどこかの無法地帯では何もかも切り捨てる天狗がいる水着姿で覆面を被った犯罪者集団がいるらしいですよ?」

 

「……天狗、だと?」「み、水着に覆面!?ド変態じゃん!ていうか天狗はなんなのよ???ってそもそも犯罪者集団って駄目じゃん!そんな格好してたら余罪追加よ!」

 

 

「そういう集団がいるくらい他の地域では普通なんですよ、ですからコハルちゃんも今度一緒に…」

 

 

「だ、だめ!そんなの絶対いや!」「…………」「…天狗……いつかあい(まみ)えるだろうか」

 

 

”(そういえばあの時の天狗の面って狼が持ってなかったっけ…忘れてるのかな)”

 

 

「アズサちゃんは夜もっと寝たほうが良いと思うんです」「…うん、今朝は寝坊して迷惑をかけてしまった」

 

「……なれない場所で寝坊なんてこれまで一度もなかったのに」”…もうなれない場所じゃなくなったから、かもね”「…とにかく、しっかり寝てくださいね?深夜の見回りは減らしていただいて」

 

 

「…寝ずの番は任せろ」「え、ちょっと待って。見張り?寝ずの番??」

 

「……ああ、毎晩夜中にちょっと見張りを…」”…狼も、アズサも夜はしっかり休んでね。ハナコがアズサのことすごい心配してたし”「…ハナコが?」

 

 

アズサはそれを聞いてとても申し訳なさそうな顔をする

 

「…ごめん、実は見張りってのは嘘で、ブービートラップを仕掛けていたんだ」

 

「…ブービートラップ?」「…え?」

 

 

「…アズサ、どうしてそんなこと…?」「心配しないで。ここに悪意をもって侵入しようとするルートにだけ仕掛けてるから、日常生活を送るうえでは安全上に問題はない」

 

”実をいうと場合によっては悪意をもったルート止むなく使う必要がある人間が一名おりまして…”

 

「……」「…まぁそれはそれで事前に一声ほしいです。心配しちゃいますから…」

 

 

 

「…そうか、これからは気をつける。私のせいでみんなに迷惑をかけるわけにはいかない」”…アズサは優しいね”

 

「なっ…子供扱いしないで。私は…そんな優しい人間じゃない。この世界は…すべてが無意味で、虚しいものだから…私は、いつか裏切ってしまうかもしれない。みんなの信頼を、その心を…」

 

「……昔話だ」「……?」

 

唐突に狼が話し始める

 

 

「…一人の男が、ある御方に仕えた。命を賭して守り、ついに男は死んだ」「………」

 

 

「…だが、確かに仕えた主は生き残った。後に望んでいた茶屋を開いて、その生涯を閉じた」

 

 

「………その茶屋は、数百年という年月が過ぎ、なおおはぎを売っているという」「…おはぎ?」

 

 

「…例え、どのようなことであれ…どう転ぶか、わからぬ。一概に全て無駄とは、言えぬ」

 

 

「…努々忘れるな」「…うん、わかった」

 

 

その時、バツンと音がなり、部屋が明るくなる

 

「あ、電気が…」「どうやら直ったみたいですね」「あ、雨もやんでる」

 

 

「そうですね、では改めて洗濯しちゃいましょうか」「うん、じゃあ第一回水着パーティはここで終いか。第二回も楽しみにしてる」

 

「二回目とかないから!これで最初で最後!」

 

その後、洗濯を終わらせて休息をとることにした一行

 

そのまま夜になり、眠りに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いえ!まだです!このまま一日が終わりだなんてそんなもったいないこと私が許しません!」

 

 

 

皆が寝る準備をしようとするときにハナコが急に大声でしゃべる

 

 

「…は、はい?」「な、何?急に飛び上がって、びっくりした…」

 

 

「突然のことではありましたがせっかくのお休みじゃないですか!みんなで裸でまz”おおっとそれ以上はいけない”…とにかく!このままおやすみなのは勿体ないです!!」

 

「ちょ、ちょっと!勝手に記憶を改ざんしないで!それに今なんて言おうとしたのよ!!」

 

 

「それは置いておいて、このまま終わりなのは勿体ないです!物足りない、っていいますか…」

 

「…具体的には?」「うふふっ、合宿といえばやはりこっそり合宿所を抜けること。それも一つの醍醐味だとおもいませんか?」

 

「…え?」「さあ!今からみんなでこっそり外に出てお散歩しましょう!」

 

 

「トリニティの商店街なら夜遅くまで営業しているものもあります!食べ歩きもショッピングも!なんと!できちゃうんです!!」

 

「そ、そんなの校則違反じゃん!駄目!」「細かい校則までは知りませんが、意外とみなさんこっそりやってると思いますよ、ね?ヒフミちゃん」「あはは……」

 

「…先生殿、がっしゅく、とやらの最中だが…」”構わん、わたしが許可する”

 

「え!?いいの???」”行こう!せっかくだから楽しまないと!”

 

「……準備はできた。いつでもいける」「……ああ」

 

「ふ、二人ともいつの間に準備を??アズサはいつ着替えたのよ…」「狼さんほぼ武装しただけですよね???」

 

 

「ふふふ、楽しくなってきましたね、深夜に裸で散歩…」「…勘弁願いたい」「しれっとすり替えるな!服は着て!!」

 

”ははは、こういうことは大歓迎だよ”「…行くか」

 

 

そうして、合宿所を抜け出すことになった

*1
ちなみに狼がいる理由は四人があまりにも心配な格好してるので守護らねば…になってる。先生?多分同じじゃない?




ここまで読んでくれてありがとうございます!

狼って寡黙な人間であるのは重々承知してはいるんですけど、小説という都合上どうしてもセリフがないと空気になっちゃうのがなぁ

悩みの種ではあります。すんごい今更ですが

あとちょっと文字数すくなくてすみません。なんとか次は増やそうかな…


荒魂マサカド様!雅やか英雄様!誤字報告ありがとうございます!
では読者殿、また…

文字数どんぐらい欲しい?

  • 今の3000くらい
  • 5000は欲しいね
  • 10000書いて♡
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