何とか守り抜くも、アポロンに対する怒りを顕わにしたベルは戦争遊戯を承諾する事をヘスティアに申し出た。
そして、助っ人としてヴェルフが加わり戦争遊戯は開始される。
一騎当千とばかりにアポロン・ファミリアを倒していき、対峙したヒュアキントスの放つ渾身の魔法を受け止めるのだった。
DOGOOOOOM!!
「はぁっ...!はぁっ...!や、やったぞ...!」
息も切れ切れに魔力を消費し続けたヒュアキントスは顔中から汗を噴き出していた。
自身の最大の武器である魔法により、爆炎と黒煙の中に呑まれた憎き敵将。あれだけの威力を持つ攻撃が直撃した、ならば確実に打ち倒したと口の端が吊り上がる。
...しかし、黒煙が晴れていき、そこに佇む影がその瞳に映った途端、ヒュアキントスの表情は絶望に染まった。
そこに立っていたのは間違いなく、敵将...ベル・クラネルだ。着ている山吹色の道着を靡かせたまま右手を突き出している。
煙が掌から立ち上り、微動だにしていないその姿から魔法を受け止めたのだと誰もが戦慄する。
「これが全力なんて...拍子抜けだな」
「き、貴様っ...!何故無傷で立っているんだ!?」
「何故か、と言われましても...あんな風船が割れたぐらいの爆発じゃ、そよ風程度ですよ」
コテンと首を傾げながら答えるベルに対し、それを明らかに煽っていると認識したヒュアキントスの中で何かが切れた。
気付けば再び剣を振り上げ、激情のまま突っ込んで行く。背後から聞こえるカサンドラの制止の声も届かなかった。
ベルは避けようとする素振りも見せず、目の前まで接近してきたヒュアキントスの突き出している剣を手の甲で弾いた。
「っ...!」
「僕達の
BGOOOOOM!!
ベルの拳がヒュアキントスの顔面を捉え、メキメキと骨が軋む音を立てながら殴り飛ばされた。
カウンターのため倍の威力も増した拳が直撃したヒュアキントスは壁にぶつかり、その場に倒れる。白目を剥き、頬には拳の形となった痣が浮き上がっている。
ぶつかった壁は硝子のように幾つもの罅が入っており、数秒もしない内にガラガラと崩れた。
この時点を持って、ベルの勝利...即ち、ヘスティア・ファミリアが
「よし...これで肩慣らし程度にはなったかな。次が本番だ...気を引き締めいくぞっ」
仲間に介護されるヒュアキントスを見届け、ベルはその場から去って行く。
それを気にも留めないアポロン・ファミリアの団員達だったが...唯一、気付いたカサンドラは少し考えてから、ハッと何かを思い出す。
「迂愚なる太陽神の子が敗れし時...サイヤの力が宿る戦士達の戦いが始まる...」
『戦闘終了ぉぉ~~~!!まさにまさに圧倒的パワーッ!
『うむ!俺がガネーシャだっ!』
設営された舞台上からヘスティア・ファミリアの勝利を告げるとオラリオ中の酒場で大歓声が上がる。
どちらが勝利するかという賭けで、大穴に賭けていた冒険者達が狂喜乱舞しているようであった。
アポロン・ファミリアの敗北により賭け金を全て失った嘆く声も負けじと響いている。
一方、バベルでも顔面蒼白となっているアポロンが後退りし、ヘスティアに許しを乞おうとしていた。
しかし、ヘスティアはアポロンを見向きもせず、神の鏡だけを一心に見つめている。
既に勝敗は決したというのに、何故まだ見続けているのかロキが問いかけようとした時だった。
「やっとつまらない茶番は終わったようだね」
「そうみたいですねぇ。それよりもこちらのジャガ丸くんを食べるのに夢中になっていましたが」
背後から聞こえてくる2つの声。神々は聞き覚えのある声に悪寒が走り、盛り上がっていた雰囲気は一気に冷え切った。
恐る恐ると振り返ると、そこに立っていたのは...
「ビ、ビビ、ビ、ビルス様...?それにウイス様も...!?」
「な、何故...!?何故ここにお出でになられているんだ...!?」
破壊神ビルス。その付き人である天使ウイス。
天界でも絶対的な存在の2人が何故、下界に降臨し、バベルに姿を現したのか。誰もが予想だにしていない事態に、あのフレイヤでさえ息を呑んでいるのが伺えた。
それを気にせずビルスとウイスは階段を降りていくと、ある神の横に立った。そこに居るのはアポロン...
「ビ、ビルス様?ご、ご機嫌はい、いかがなものでしょうか?わ、私に何かご用件がおありで」
「邪魔だよ」
「ぶげあっ!?」
だったが、ビルスのデコピンで奇しくも、眷族と同じように壁に穴が空く程の勢いで吹き飛ばされる。気絶で済んだようで強制送還はされなかった。
神々はアポロンを憐れみつつビルスが話しかけ相手が誰なのか改めて見ると、そこに居るのはヘスティアだ。
ヘスティアは他の神々と違い慄く様子もなく、少し横に移動して座れるようにする。ビルスはよっこらせっ、と年寄り臭い台詞を言いながら腰掛ける。
そして、その横にウイスが優雅に座るとビルスは膝に肘をつきながらヘスティアに問いかけた。
「さっきみたいなつまらないお遊びを見せたらこの星を壊すけど、ベルは大丈夫なのかな?」
「ボクはベル君を信じるよ。必ず...勝つんだって」
「ふーん...ま、見させてもらうよ」
場所は戻ってシュリーム古城跡地。
敗北となったアポロン・ファミリアが負傷者を運び、手当てしているのを尻目にヴェルフはベルの元へ向かおうとした。
しかし、リリルカによって門がある城壁の方に連れて来られていた。
「なんだよリリ助。どうしてベルの所に行かないんだ?」
「ヴェルフ様、まだ
「は、はぁ?何言って...まぁ、確かにほとんどベルの奴が倒してたけどよ、終わってないってどういう意味だ?」
「...今にわかります。もう...始まりますから」
茶色い尻尾をひたすらに揺らしながら、緊張の面持ちでリリルカはベルが立っている城の上層部を見据えた。
ヴェルフもその表情から察して何か大事が起きるのだと悟り、ゴクリと固唾を飲む。
「...やっと思う存分に戦えるわね、ベル」
「うん、ビルス様が見ているからには...絶対に負けられないよ」
「まぁね。...さて、我らが王女様のご到着みたいだよ」
上空を見上げるダフネの視線に合わせるベル。
青空に1点の黒い影が浮かんでいた。徐々に降下してきて、2人の少し離れた場所に降り立つ。
長い耳を覗かせる金色の長髪を靡かせ、腰に巻き付けていた尻尾を解きながら空色の瞳でベルとダフネを見つめた。
「ベル、ダフネ。本当によろしいのですね?私はとことん止まらないですよ」
「サイヤ人の性と言うべきかな...私も、このくすぶる滾りを楽しませてもらうよ...!」
「もちろん僕もワクワクしてますよ!リューさん!」
「...では、始めましょうか。サイヤ人の誇りにかけて...!」
そのリューが宣言した瞬間にベルとダフネ、2人の気が爆発するかのように猛烈な風を巻き起こして高まる。
かなりの距離があるのにも関わらず、風邪の勢いはリリルカとヴェルフが見ている城壁にまで届いた。
「「ハァァァァァアアアアアアアアアアッ!!」」
脇を引き締めて両手を固めながら背筋を伸ばし、気合を込めて叫ぶと纏っているオーラが金色に変わっていく。
やがて髪の毛、眉毛も金色に染まり...瞳の色が青に変色した。
それを唖然として見つめるヴェルフと、違う位置にある城壁からカサンドラも驚愕して口元を手で覆っている。
「フゥゥゥ...!ッアァァアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
すると、リューも両腕を顔の前で交差してグググッと力を込めてから腰の位置まで振り下ろし、気を高まらせる。
2人とは異なり、既に金色に髪の毛が染まっていて瞳の色も変化はない。
但し、瞳は限りなく小さく三白眼となっており、穏やかだった表情も牙を剥き出しにした鬼の様な表情と化していた。
「行くぞぉっ!デリャァアアアッ!!」
「ハァァァアアアアッ!!」
「ウアァアァァアアアアアアアアアアアアアッ!!」
そして、3人の拳がぶつかり合い...極限のサイヤ人三大バトルが切って落とされた。
ベルとダフネの超サイヤ人になるプロセスは本家と同じですがリューさんは常時、超サイヤ人のままという設定。
ジャガーノートとの初戦ではブロリー(超)よろしく暴走してアリーゼ達が死ぬ覚悟で止められたという過去持ち。
完全に暇つぶしに書いたので、いつもながら1話完結とさせてください