俺は彼に、幸せになってほしかった。小さな不幸はあれど、大きな幸福で満たされた人生を、送ってほしかった。
 なら、どうすべきかは、決まってるよな。



※思い付きネタ書き殴り投げっぱなしシリーズ。

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どけ!俺はルーデウスのお兄ちゃんだぞ!

 『ルーデウス・グレイラット』。言わずと知れた、『無職転生〜異世界行ったら本気だす〜』の主人公である。

 

 彼は、作品タイトルどおり、転生者だ。前世は、こちらもタイトルどおり、無職。

 そして、タイトルどおり、彼は異世界への転生を果たした今生を、本気で生きると決めた。

 

「俺は、素直に感心したよ。『馬鹿は死んでも治らない』。だとするなら、彼は、馬鹿じゃなかったんだ。彼は馬鹿じゃなかったんだよ」

 

 無職のひきこもりで、高校中退から34才までひきこもった。

 彼は、イジめられたのだ。列に並ぶ不良を注意して、その仕返しでイジめられた。全校生徒の笑い物となり、自室から出られなくなった。

 

「頭の良さを鼻にかけて、勉強しなかったために高校受験失敗。結果、治安の悪い高校に入る事になった。その点を鑑みれば、彼が微塵も悪くなかった訳じゃない。そもそも論で言えば、彼が真面目に勉強していれば良かった、という話になる。でも、それで納得できるか?」

 

 彼にも、些細ながら非はあった。でも、ひきこもるに至る不幸を負う程の非だっただろうか。

 

「不幸に因果なんてないのは分かってる。ひきこもって立ち直れなかったのは彼の心が弱いから、という反論も分かる。でも、それだけで済ませてしまって良い話か?」

 

 ひきこもった彼を立ち直らせようとした者たちは居た。彼の友人だって、彼の兄だって、言い争いするまでとはいえ、立ち直らせようと交流していた。彼の両親なんか、自身らが死ぬまで辛抱強く待っていた。

 立ち上がれなかったのは、彼の心が弱いからだ。

 それは否定できない。

 

「『それでも』って、思っちゃうのは間違いかな?俺のエゴかなぁ……?」

 

 幸せになってほしいと、俺は思った。どれ程みじめな彼でも、その人間性には共感できてしまったから。その弱さに自分を重ねてしまったから。

 俺は、救われてほしいと思った。

 

 彼は両親の死後、キョウダイから叩き出される形で、家を追い出された。

 宛ても金もない身で、家の外を彷徨う彼。

 そんな彼は、トラックの危険運転を見て、ひかれそうになっている高校生たちを庇い、トラックにひかれて死ぬ。転生モノ界隈、通過儀礼的な、呆気ない死だった。

 

「素直に思ったよ。来世では幸せに生きてほしいって」

 

 作品タイトルどおり、転生モノのお約束として、彼には来世があった。

 転生モノによくある転生特典はなかったが、非凡な魔術の才があった。

 

「子供のころから魔法の練習すると、その分魔力量が増えるとか、ご都合主義な部分はある。でも、俺はそれで良いと思ったよ。彼にとって都合良い世界であってくれるのかと、俺は喜んだよ」

 

 彼が幸せになれるなら、どんなご都合主義でも良い。むしろそうあってくれと、俺は祈った。

 だが、世界はそう都合良くない。

 力ある者の定めとでも言うように、試練が、不幸が、彼に押し寄せてきた。

 

「彼どうしては、幼馴染と離別しなくちゃ行けなかったんだろうな……。彼はどうして、両親と遠く離れなきゃ行けなかったんだろうな……ッ」

 

 予期せぬ事故が、彼の平穏を引き裂いた。

 彼と、その周りは離れ離れになり、あまつさえ、彼の生まれ故郷は一瞬にして滅んだ。

 事故、というのが正しいだろう。誰かが意図して起こしたモノではない。意図せず起こってしまった大規模魔法の余波が、彼を不幸にした。

 

「最悪、そこまでは許容して良い。ファンタジー世界だ。仲間や家族との別れは、物語の、人生のスパイスだ。乗り越えられれば、良い思い出になる。乗り越えられれば、な」

 

 不幸が見舞う。容易くは乗り越えられない、不幸が、彼に襲いかかる。

 

「仕方ないよな。知人との死別は、人生において切っても切れないモノだ。人間いつかは死ぬ以上、絶対に訪れてしまうモノだ。でも、でもだよ……。ふざけるなよ……」

 

 死別は人生において絶対あるモノだ。だからこそ、それがより良いモノであるようにと、人は懸命に生きるのだ。そうして迎える大往生であるべきなのだ。

 決して、他人の作為による死であっては、決してならない。決してだ。

 

 彼の知人は、他人の都合によって死んでいく。

 

「神を騙る詐欺師の策謀なんかで、迎えて良いモノなんかじゃない。自分勝手なヤツの都合で、死んで良い命なんてない!」

 

 神の如き力がある存在でも、命を弄んで良いはずがない。

 神の力を持つ者が、自分が楽しいというだけで誰かを殺して良いはずがない。

 そんな者は悪で、許せるはずがない。

 何より―――

 

「彼を不幸に陥れて良い訳がない!!」

 

―――彼を不幸にした事が、俺は許せない。

 

 許せないから、俺は心を決める。

 

「俺は―――

 

 彼の不幸が許せない俺なら、何をすべきかは決まっている。

 

 

―――全力でルーデウスのお兄ちゃんを遂行する!!」

 

 

 俺は、この時ほど神に感謝した事はない。

 幸せを願った彼の、ルーデウス・グレイラットの、そのお兄ちゃんに生まれさせてくれて、心より感謝いたします。

 

「『赤血操術』も貰ったし、これは天が俺に「お兄ちゃんを遂行しろ」と囁いているに違いない!」

 

 俺は決めていた。

 『呪術廻戦』主人公・虎杖(いたどり)悠仁(ゆうじ)、その複雑な家庭事情を孕んだ兄である脹相(ちょうそう)と同じ能力、『赤血操術』を持って生まれた。

 なら、初めからやる事は決まっている。『ルーデウスのお兄ちゃんを遂行する』のだと。

 そして、ルーデウス(マイ・リトル・ブラザー)に不幸が訪れ時、俺は言ってやるのだ。

 

 

「どけ!!!俺はルーデウスのお兄ちゃんだぞ!!!」

 

 

 これは、ルーデウス(弟)の幸せを願う転生者(お兄ちゃん)の物語。




 『無職転生』アニメ勢なので、続かないです。書籍勢、誰か書いてください。

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