フランドールは彼女なのか?   作:とるびす

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魔王と相対する話が続いたのでドラクエパロなサブタイでした。今話で最後らしいです。


そして伝説へ…

 

「今の話、本当ですか? 『紅い盗賊団』が負けたって」

「大マジよ。つい数刻前の出来事。抗争の果て完膚なきまでに叩きのめされちゃったんですって」

「そう、ですか……。それで相手は」

「風見幽香」

「は、花妖怪!? それは、なんとまあ……」

 

 そろそろ訓練の時間も終わろうかという夕暮れ時。いつものように白狼天狗を煽りにやって来た射命丸文の相手を任された椛だったが、ブン屋から齎された情報に驚きのあまり犬耳がピンと天を衝く。

 

 椛、引いては白狼天狗にとって、その報せは二重の衝撃だったのだ。

 

 

「頭領の吸血鬼はそのまま死んだんですか?」

「いいえ命はなんとか繋ぎ止めたみたいよ。だけど、本拠地の湖を失った挙句這う這うの体で逃げ去ったんだって。この有様じゃ再起は難しいでしょうねぇ」

「むむむ……」

「残念だったわね。虎視眈々とリベンジを狙っていたのに横取りされちゃうなんて」

「うるさいッ! 黙れッ!」

「おお、怖い怖い」

 

 椛の噛みつき攻撃を躱しながらも、なお独特の飛行で煽りを止めない文。筋金入りの煽りカスである。ただ活きの良い反応を見せる椛サイドにも幾らか問題があるかもしれない。

 容赦の無い反撃の様相から図星は明らかであった。

 

 ここ最近ずっと吸血鬼率いる野盗集団に煮湯を飲まされ続けてきた白狼天狗哨戒部隊。手を変え品を変え幾度となく衝突を繰り返したが、連中を引っ捕えるどころか撃退すらままならない状態が続いていた。

 直近における白狼天狗の目標が『吸血鬼をブッ飛ばす!』だったのは言うまでもなかろう。

 

 だが彼女らは椛達の預かり知らぬ場所で勝手に敗れてしまった。これでは連戦連敗を喫していた自分達がますます惨めになるだけではないか。

 しかもその相手が個人戦闘力においては最強と噂される風見幽香である事が心境をより複雑にした。「花妖怪が相手では仕方ない」なんて考えが誰しもの頭をよぎったからだ。誇り高い白狼天狗には許されざる弱音だった。

 

 一通り椛を煽り散らかした文は、途端に神妙な顔を作って自分の考えを述べ始める。

 

 

「勢いを失った新興勢力の寿命は短い。恐らく、これからあの周辺は草狩場になるわ」

「……でしょうね。ウチも動くんですか?」

「上層部は既にその方向で話を固めつつある。勿論貴女達は尖兵として、ね。その際は烏天狗は当然、もしかすると大天狗クラスも動くかもしれない」

「ッ」

「これまでは奴らの実力が未知数だったのと、言っちゃ悪いけど面子を傷付けられても大して痛くもない下っ端どもにしか被害が無かったからね。静観が一番利に適っていた。でも風見幽香に一蹴される程度の連中だったなら、これ以上のさばらせておく理由も無い」

 

 これは椛達白狼天狗にとって知る由も無い事なのだが、上層部はニッヒが西洋世界の覇者『レミリア・スカーレット』の縁者である可能性を八雲紫から吹き込まれていた。

 

 月の都を相手に勝利をもぎ取った鮮烈な実績は、第一次月面戦争の記憶が色濃く残る天狗達に二の足を踏ませたのだ。よって被害が白狼天狗に留まるうちは意図的に無視されていた。

 ニッヒ個人の戦闘力がイマイチ不透明であった事や、見境なく周囲に襲い掛かる狂犬ぶりも合わせて、藪をつついて蛇を出るのを恐れた結果である。

 

 しかし状況は変わった。ニッヒの実力は幻想郷で突出したレベルではなく、このまま放っておいても他勢力に潰されかねない窮地にある。ならば山が手を下さない理由は皆無であった。白狼天狗にトドメを刺させて溜飲を下げる効果も見込める。

 ただし、そんなお膳立てされた決着で喜ぶような軟弱な白狼天狗は一人たりとて存在しない。そのあたり上層部の読みはいつだってどこかしら抜けている。

 

 

「じきに動員の御触れが出るからそれに備えておきなさい。私から言えるのはそれだけ」

「クソッ……!」

 

 歯痒そうに唸る椛と会話を盗み聞きしてぐぬっている他天狗の面々を一瞥し、文は稽古場を飛び去った。

 あらかじめ情報を白狼天狗に渡しておく事で、気持ちの折り合いをつけさせておくのが彼女の目的だった。大天狗からの指令という形で今回の件を聞かされるよりも、そちらの方が暴発の可能性は低いだろうと判断した。

 

 バランサーを気取る訳ではないが、天狗社会の平穏を無為に乱す必要はないだろう。なにより生真面目な白狼天狗にはかなり酷な趨勢になりつつあったので、多少の慈悲を授けてもバチは当たるまい。

 やれやれ世話が焼ける、と。射命丸文は密かに肩を竦めるのであった。

 

 

「それにしても、近頃ネタに事欠かなかった『紅い盗賊団』もこれで終わりですか。まだまだ足掻いてくれるものかと思っていたので少々拍子抜けね」

 

 深い溜息を吐く。

 誌上のゴシップを彩ってくれた愉快な勢力だった。大結界の成立から事件が減ってしまい刺激不足となった幻想郷をそこそこ賑やかにしてくれたものだ。

 彼女らの躍進を楽しみにしていた妖怪は実のところそれなりに存在している。

 

 文も密かに期待していた。次に何か大きなネタを披露してくれた折には彼女らの通り名を『紅い悪魔(スカーレットデビル)』にしてあげようかと考えていたほどだ。

 もっとも、それに行き着く前に幻想郷の旧き古豪に叩き潰されてしまった訳だが。

 

 

「正式な下知が出る前に最期のインタビューでも載せてみようかしら。結局何がしたかったのかも分からない連中だったしね」

 

 そう思った文は霧の湖方面へと舵を切る。

 湖そのものは現時点で幽香の縄張りと化しているので、その周辺を探してみよう。もしかするとまだ彷徨いているかもしれない。もっとも幽香や自分達に牙を剥く妖怪達を恐れて何処かに雲隠れしてしまったかも──。

 

 

「……ん?」

 

 瞬間、文の耳が風切り音を捉えた。

 

 

「チェストォォ悪質吸血鬼タックルッ!!!」

 

「ぐほおえぇぇぇぇっ!?!!?」

 

 真下の鬱蒼とした森林から緋色の弾丸が飛び出し、憐れ烏天狗の腹へとタックルを打ちかます。

 事態の急変に脳の処理が追い付かないまま、文は墜落していくのであった。

 

 

 

 *◆*

 

 

 

「私、風見幽香に再戦を申し込もうと思う!」

 

 突如来襲した幽香さんにコテンパンにやられてしまい無様に逃げ出してから数時間後。

 魔法の森に作った『吃驚カツアゲロード』にて、路頭に迷い沈み込んでしまっていた私たちだったが、そんな陰鬱とした空気を吹き飛ばすべく、ニッヒちゃんはリベンジ宣言を大声で叫ぶ。

 

 圧倒的な力の差に絶望し泣き寝入りしても仕方がない状況だと自分でも思う。突然降りかかってきた理不尽に積み上げてきたもの全てを奪われる苦しみは、筆舌に尽くし難い。

 でもニッヒちゃんはそんな柔な女の子じゃないのだ! 理不尽なんてそんなの生まれた時からずっと一緒だった。美鈴さんと理不尽だけが友達さ! 

 

 幻想郷に来て初めての壁があの風見幽香。上等である、そのくらい難なく乗り越えてこそマイロードに認められるというものだ。

 評価のハードルがクッソ高いマイロードでも、風見幽香を撃破したとなれば相応に誉めてくれるに違いない! もしかしたら頭ナデナデなんてしてくれたりして。

 

 まあ逆に今のままだと「曲がりなりにも紅魔館の名を背負ってたのに負けたの?」みたいな感じで、確実に手打ちにされそうだからリベンジ必須なのもあるけどね。

 

 

「ニッヒちゃん。まさか本気じゃないよね? いつもみたいに冗談で言ってるんだよね?」

「マジもマジ、大マジだよ」

「あんな目に遭っておいて……なんでそんなにポジティブなのさ! 次は絶対殺されちゃうよ!」

 

 既に幽香さんに勝利した後の展開を夢想して浮かれていたのだが、他のみんなは私みたいには楽観的になれなかったらしい。珍しく響子が強い口調で制止する。

 橙ちゃんがそれに同意する様に不安を帯びた瞳で私を見ている。ラルバちゃんも口では「すごーい!」なんて言ってるが口の端をヒクつかせドン引き。そしてルーミアは周りガン無視でニッヒミートを食べていた。

 

 みんなの反応はもっともだ。リーダーにしてチーム最強の私が手も足も出ずに、完封に近い形で負けたのだ。あの内容では勝機を見出せないだろう。

 

 

「私が不甲斐ないせいで不安にさせてしまったね、ごめん。でも私は戦わなきゃいけないの」

「その、確かに霧の湖を失ってしまったのは痛手だけど、みんな無事だったならそれでいいと思います。違う場所でまた再起して、復讐はまたの機会ってことには……」

「それを許してくれるほど此処は甘くないと思うんだ。時間が経てば今回の顛末を幻想郷の住民全員が知る事になる。私たちは未知と恐怖を失うことで同時に妖怪としての未来も失い、格好の獲物と化すだろうね」

「そんな……」

「今のままじゃ私たちは強者を名乗れない。だけど弱者として細々と生きていくには野望と手に入れたモノが大きすぎた」

 

 少なくとも天狗が私たちと戦る気満々なのは、先ほど山にリリースした清く正しいことに定評のある射命丸文さんから教えてもらっている。

 それは私達が『喰われる側』に回った事を示す残酷な一例だろう。

 

 一応の牽制として「私がその気になれば妖怪の山を盆地にする事が可能」な旨を伝えているが、多分信じてないと思う。ニッヒちゃんも文さんの立場だったら信じない。

 まあこれも一つの布石である。

 

 

「そ、そりゃあニッヒ様はすごく強いと思うよ? 機転が利くし、身体だってわたしたちよりずぅっと丈夫。でも幽香様……幽香さんには全く通用しなかったし、次からはあの『悪徳卑劣タックル』みたいな初見殺しも見切られてしまうんじゃ戦いようが無いんじゃ……」

「悪質吸血鬼タックルね。だからそれ以外の奥の手を使うつもり」

 

 ラルバちゃんの心配は的確だった。やはりこの子は頭の弱い妖精族の中でも結構しっかりしている方だと思う。

 ただし途中で幽香さんを様付けしたのは見逃さなかった。もしかすると乗り換えるつもりなのかもしれないね。世渡り上手だァ。

 

 これは自虐なんだけど、相手の意表を突いた先制攻撃を封じられた場合、私の戦闘能力は四割減くらいになると思っている。マイロードという最高級の素体を用意してもらいながら情けない限りだ。

 

 

「状況が絶望的なのはハナから分かってる事でしょ。この場の全員バカでもその点だけはみんな理解してると思ってたけど、違うの?」

「バカ!?」

「ルーミアに言われるのはなんか……ムカつく!」

 

 みんなが色めき立つが、ルーミアこれを無視。チームの輪を意識し始めたと思ったらこれである。

 

 

「ニッヒの口から聞きたいのはそんな事じゃない。わざわざそんな無謀に思える挑戦を口にしたってことは勝算があるってことでしょ。何割?」

「私の秘策が通用するとして、二割くらい?」

「低いなぁ」

「三割で相討ち、あとの五割で死ってところかな」

 

 私の言葉に一同絶句。そんな薄い勝算で戦おうとしていたのかと言いたげに私を見る。これでもちょっとだけ盛った方なんだけどね。

 

 

「これのミソはね、半分の確率で風見幽香を倒せる点にあるの。私が死んでもみんなは生きてるから、彼女さえ倒す事ができれば紅魔館支部の勝ちだ。それ即ち完全勝利! あとはマイロード達が幻想郷にやって来るまで耐えてもらって、庇護下に──」

「なんで私たちが生き残る事を前提に計算してるの。ちゃんと戦力に加えてよ」

「え?」

「さっきはニッヒが一人で戦ってあのザマだったんだからさぁ、それなら次はみんなで力を合わせて戦うのが定石ってやつじゃないの? ねぇ?」

「ル、ルーミア……」

「あんまり私らを舐めないでよね。弱小妖怪にだってプライドがあるの」

 

 喝を入れられた。言葉の端々からは珍しく不快感が滲み出ているような気がする。

 

 自分の生き様をマイロードの心に刻み付けられればオッケーくらいに考えている第二の人生故に命は惜しくない。だって私は本来、月の都で死んでいる筈の存在だから。

 幽香さんほどの妖怪と相討てばとんでもない実績になる。マイロードも私の事を思い出して、その死を改めて惜しんでくれるかもしれない。

 

 その為にそこら辺を飛んでいた文さんを拉致って牽制ついでに明日中での大番狂せを匂わせておいたのだ。大きな話になればなるほど私の名前が大きくなる。変な異名を付けられた復讐だとか、そんなんではないのだ。

 ついでにみんなが生き証人になってくれれば完璧! 幽香さんとの戦いを見た後なら軽い気持ちでこの子達を襲おうと思う奴なんて居なくなるだろうし。

 

 いやまあ勝つつもりでやるけどね。次の戦いに全ベットしてるのに変わりはない。

 

 でもルーミアはそれを良しとしなかった。

 

 

「囮、捨て石、どういう形でもいい。私たちが一緒に戦えば一厘だけでも勝率は上がる?」

「……そんなに低くないよ」

「いいね、じゃあやらなきゃ」

 

 やけに乗り気なルーミアだが、自分の言っている事を本当に理解できているのだろうか。四天王のみんなは私みたく頑丈じゃない。簡単に死んでしまうのだ。

 

 八雲家のスパイである事との兼ね合いを考えているのか固まっている橙ちゃん、本当にこのまま着いていっても良いんだろうかと明らかに迷っているラルバちゃん、怯えてしまってブルブルと震えている響子。

 明らかにみんな怖がっている。こんな状態で風見幽香と戦わせるなんて正気じゃない。

 

 私だって、目の前で友達が倒れていくような極限状態で平静を保っていられる自信はない。絶対に取り乱して戦いどころじゃなくなってしまう。

 

 

「やっぱりダメだよ。みんなを連れて行けない。死んで欲しくないの」

「私だって死にたくないよ。自分から死にたいと思ってる奴なんている筈ない。──だからみんなで生き残るためにやれる事全部やらなきゃ。仲間なんだから」

「ルーミア……」

「私だって自分にできそうな事を精一杯考えるよ。柄じゃないけどね」

 

 そう言うと、ルーミアは頭のリボンへと手を伸ばした。

 

 

 

 *◆*

 

 

 

 朝日が昇ると同時に、独り縄張りへと足を踏み入れる。まさか吸血鬼である私が日の出共にリベンジを仕掛けてくるなんて、流石の幽香さんも夢にも思っていないだろう。まあ奇襲にはならないけど。

 

 たった一日、不在にしただけで霧の湖は変貌を遂げていた。植物が異常なスピードで成長し、仮初の生命力を漲らせている。そして瞬く間に枯れて、次の命を育む糧となる。私はこれをとても残酷な事だと思った。

 

 草花といえど、生え出た故の目的というものがある。それを歪めるのは大層業あることではないのだろうか。

 だが自然現象だというなら、これはただの自然淘汰だ。自らの生命の理由を全うできずに枯れる事だけが定められた哀しき存在だ。

 

 と、私は頬を叩いた。若干ナイーブな思考に取り憑かれていたようだ。

 普段ならそこら辺に生えている草花のことなど気にもしないのに……これは悪い傾向だ。

 

 気持ちを昂らせるべく、力強く魔王を見据える。

 

 私の姿を見た幽香さんは少し驚いたように目を見開き、やがて花のような笑顔を浮かべた。

 思わぬタイミングで遊び道具が来てくれたのが本当に本当に嬉しくてたまらないといったような、ドス黒い歓喜と侮りのようなものを感じる。

 怖すぎ。おしっこ出ちゃいそう。出ないけど。

 

 

「……ただで終わる妖怪だとは思っていなかったけど、まさか次の日に仕掛けてくるなんて。よっぽどせっかちなのね。そして無謀で愚か」

「余裕綽々でいられるのも今のうちだよ風見幽香。私がこうしてアンタの前に姿を現した意味をよく考えろ」

「タチの悪い自殺でないのだとしたら、甚だ心外ねぇ。低く見られてるって事だもの。でも貴女のそういう所が好きよ。愛しさすら感じる。どうしようもなく愚かで、勇気があって、可愛らしい」

「ヒェッ……」

 

 幽香さんは前と同じ場所から全く動いていなかった。ネモフィラの花畑の上で悠然と佇んでいる。立ち姿だけで強者である事を確信させる様は神々しさすら感じるね。

 私の知る限りでこれに並ぶのはマイロードとレミリア閣下、そして綿月依姫しかいない。

 

 魔王という言葉がこれほど似合う妖怪もそうそうおるまい。ならば差し詰め私たちは勇者パーティーという事になるのか。私のジョブは遊び人だけど。

 

 

「貴女が無様に逃げ出したあの時」

「うん?」

「殺そうと思えば殺せたわ。目も鼻も利かなかったけど、そんなの辺り一面吹っ飛ばせば関係ないもの。では何故、貴女と仲間達は命を失わずに済んだ?」

「……手心を加えていたと」

「だって私に一撃を入れるような奴を簡単に殺すなんて勿体無いじゃない。私と殺り合うと決めたなら、じわじわと嬲り殺しにしてあげなきゃ」

 

 幽かな笑い声が零れ落ちる。今もなお私の心をベキベキに圧し折ろうという悪しき魂胆。雑魚の仲間が何人居ても無駄だぞと、暗に伝えている。みんなの姿はまだ見えていない筈だが、何かを感じ取っているのか。

 この人って本当にいじめっ子気質なんだなーと思った。肉体と精神を同時に傷付けようとしてくる。まるでマイロードだ。……これ一応褒め言葉ね。

 

 でもそれに気押されたらダメだ。大丈夫、まだマイロードの方が恐ろしい。

 私は威圧を笑い飛ばした。

 

 

「はっはっは!」

「あら恐怖で頭がイカれちゃった?」

「ふふふ、自信満々に何やら語ってるけどさ、後でそれが自分への辱めになって返ってくるんだよ。それを考えたら笑いが止まらなくって!」

「頭はしっかりイカれてるみたいね」

「見逃されていたのはお前の方だ。その気になればお前なんていつでも粉微塵にできたんだから」

「虚勢ね」

「ハッタリならわざわざ前に出てこないよ」

「……」

 

 私の言葉に一つたりとて嘘偽りは無い。だから幽香さんも嘘と切り捨てるのをやめた。本気で自分を倒すつもりなのだと認めた。

 

 事実、仮にみんなが私を助けてくれていなければ、私はあの技を使って己もろとも霧の湖を吹き飛ばしていただろう。あの忌まわしき月面戦争のように。

 

 制御の難しい技だ。しかも完全に使いこなせたとしても相当なリスクを伴う。

 でもこれしかないのだ。この技なら、防御力関係無しに相手をぶちのめす事ができる。

 

 決めるしかない。私とマイロードの最終奥義。

『スカーレットニヒリティ』を。

 




ゆうかりんは部下に吸血鬼のくるみちゃんが居るので、大体の強みや特性は理解しているものとする。
そしてゆうかりんは金髪幼女フェチの気があるかもしれないものとする。(ワザップ)
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