シン・ドラゴンボール~無能神とは言わせない!界王神になったオレの奮闘記~ 作:ヤーター・ヤッタター
ストック1話を確保した状態で追加で1話書けたらストック分を投稿する、という押し出し形式で投稿しているんですが、次回更新分が難産で難産で仕方がなかった。
ザマスさん視点の回想録と銘打っている以上、視点移動で画面切替できないのがかなりキツい。
とあるZ映画について独自解釈・捏造設定をバンバン突っ込んでいきます。
今回はその辺の説明回です。
ゴワスの宮殿の裏に何もない空き地がある。
その場所は正確には『訓練場』と呼ばれており、過度な破壊を受けないようにある程度の保護がされている区画だ。ここでゴワスの従者たちは日々己の研鑽に励んでいる。
その訓練場にて、ザマスは第7宇宙の界王神・シンと相対していた。
「それでは、両者準備はよろしいですね?」
「はい、大丈夫です」
「問題ございません」
審判を務めるゴワスが確認する。
表面上は平静を装いながらも、ザマスは思わずにはいられなかった。
(どうしてこうなった……??)
++++
「魔神像、ですか?」
「はい」
──ザマスが手合わせを行うことになる少し前、宮殿の中庭に位置する東屋。
その単語に聞き覚えがあったのだろう。宇宙成立当初から第10宇宙を統べている最古参の界王神・ゴワスは思わず聞き返しながら眉をひそめた。
幼い見た目をした第7宇宙の界王神・シンは頷きを返す。
「かつて、コナッツ星に住む人間たちの祖先が魔界から移住した際に持ち出し、その後は人間たちの信仰対象となっていたそうです」
「信仰対象、ですか。まあ確かに、あれは余程の悪意を持って利用しようとしなければ害はないものですが……その星の人間たちは、魔神像が何なのか知っていたのですか?」
「星に住まう一般的な民たちは今でも知らないようです。ただ、早期の内から『惑星の神システム』が適応されていたこともあり、一部神殿関係者にて言い伝えられていました」
「……あの、申し訳ありません。魔神像というのは?」
話の流れがわからず、ザマスは思わず訪ねた。
『惑星の神システム』はわかる。ある程度の文明レベルと人間レベルを持っていると判断された惑星に適応されるシステムだ。惑星の住人の中から天界と下界の橋渡しをできるであろう『神』を選出し、その補佐兼監視役として天界の住人を派遣する。補佐兼監視役はあの世の住人である鬼から選出されることが多い。
だが『魔神像』というのは初めて聞いた単語だった。ゴワスの反応からして、あまりろくなものではなさそうだが。
ザマスの質問にシンは「説明が不足していてすみません」と補足する。
「魔神像というのは、端的に言うと『
シンの言葉にゴワスも難しい顔をして頷いている。
「魔神像は周囲にいる人間たちから『邪悪な精神エネルギー』を吸い取ります。そして一定以上のエネルギーを取り込んだとき、魔神像は孵化して今度は『生命そのもののエネルギー』を無差別に取り込む恐ろしい怪物が生まれてしまいます。
コナッツ星人の祖先たちは魔界の中でも特に治安が荒れている地域に住んでいたのですが、それでも彼らが秩序を持ち平和に生きていたのはこの魔神像を利用していたからです。彼らは一定以上の『邪悪な精神エネルギー』を魔神像が溜め込まないように魔術を施し、それを利用して争いや奪い合いを生み出す『邪悪な心』を制御していたのです」
「そんなものが存在していたんですね……」
ザマスが最初に思ったことは、なんと素晴らしい存在ではないか、ということだった。
確かに孵化してしまった場合の被害は甚大になるだろうが、魔術で制御している以上、それでも孵化してしまったのならそれは人間たちの自業自得だ。当然の報いとなるだろう。
何よりも、人間どもの醜く邪悪な精神を除去してくれるというのがいい。それさえあれば、愚かな人間たちの管理も楽になる。
「まさか魔神像が魔界の外へ持ち出されていたとは……」
「はい。宇宙成立直後の混乱の最中に持ち出されていたそうです。ですが、コナッツ星人たちの祖先たちも悪意があったわけではなく、彼らの持つ文化として大切に祀っていたからという理由だったそうです。
それに、世代を経たことによる変化なのか元々の適正なのかはわかりませんが、
魔神像の破壊も容易ではありませんし、下手な場所に封印をするよりかはこのまま信仰対象として残したほうが安全だろうと、当時の界王神が判断したそうです。無論、『惑星の神システム』を利用して天界からの監視者を置き、封印術式を強化することが前提とはなりますが」
「ふむ、なるほど。そういう事情ならば納得です」
「…………」
──善良な種族? 人間が??
ザマスは口から飛び出そうになった疑念を紅茶と共に飲み込んだ。愚かで短絡的な人間どもに善良な者などいるわけない、というのが実際に北銀河の界王を務めたこともあるザマスの認識だ。魔神像も便利なものかと思ったら、期待に反してポンコツだったらしい。人間どもは無意味な争いばかりを繰り返す非生産的な存在だというのに。
「して、シン殿の話の本題とは、その
「はい。……ちょっと失礼しますね」
ザマスが魔神像への落胆を抱いている間にも、界王神たちの話は続く。
シンが指を鳴らすとテーブルの上のティーカップや茶菓子が浮き上がり、端に避けられる。そして
「先ほども説明した通り、通常通りならばコナッツ星の魔神像は何事もなく信仰対象として存続していたでしょう。ただ、今から数年前、邪悪な魔導士一派がコナッツ星に現れました。魔導士一派は魔神像を孵化させ『幻魔人』を生み出し、それを兵器として運用することで宇宙の征服を狙っていたそうです。
魔導士一派の企みにつきましては事前にわたしの情報網に引っかかっていたこともあり、コナッツ星の神と連携することで全員の捕縛及び討伐に成功しております。
ただ……」
「魔神像に『邪悪な精神エネルギー』が取り込まれてしまうのを完全には阻止できなかった、というわけですね」
「はい。その通りです」
シンは広げられた紙を示す。そこには魔神像と思われる解説図と、いくつかの数値や計算式が書かれていた。
「幸いなことに孵化の阻止は成功しましたが、一時期は危険域1歩手前までエネルギーが溜まっていました。コナッツ星に伝わる鎮めの儀式で危ない数値は脱しましたが、それでも今までの安全域には程遠い。今の方法では問題のない数値になるには3000年はかかってしまうというのが現状からの算出結果です。
ただ、今回の件で魔神像の存在は銀河でも耳敏い者には知られてしまいました。そう悠長にしていられる時間はありません」
「コナッツ星の神はなんと?」
「むしろ、コナッツ星側からの要望なのです。『自分たちはずっと魔神様の存在に甘えてきた。我らを護り導いてきた魔神様が悪しき者に利用される前に、安らかにお眠りいただきたい』と。なので彼らの手前、あまり乱暴な方法での破壊をしたくありません。鎮め、浄化をする方向での消滅を対応したいのですが、肝心の魔神像に対する知識が不足していまして……。
以前、ゴワス殿は魔界に残存していた他の魔神像の処理に関わったと伺ったことがあります。ゴワス殿、何かいい方法をご存じでしょうか?」
「ふむ、そうですね……」
ゴワスは広げられた資料に一通り目を通す。
顎に手を添えて考え込む師を横目に、ザマスも資料を覗き見る。いくつか知らない数式があるが、全体を見ればおおよそは把握できた。
「1つ、少々力技になってしまいますが方法があります」
「! 本当ですか、ゴワス殿」
「はい。つきましては、まず……」
ゴワスがザマスに目を向ける。釣られてシンもザマスを見た。
2人の界王神から注目を浴びたザマスは突然のことに困惑する。弟子の様子を気に留めず、ゴワスはいつもの調子でニッコリと笑った。
「我が弟子、ザマスと手合わせをお願いいたします」
「……はい??」
++++
と、いうわけで、ザマスは現在訓練場にて第7宇宙の界王神・シンと対峙している。
ちなみに手合わせの理由としては以下の通りだ。
──「シン殿は乱暴な方法を取りたくないとおっしゃられましたが、わたしが知る方法はどうしても『暴力』を用いなければなりません。ですが、それでもそれを最小限にすることは可能です。そのためには『神の力を持つ戦力』が必要になります」
つまり、ゴワスはその『神の力を持つ戦力』として自分の弟子を推薦したのだ。勿論、あまりにも寝耳に水な話にザマスは抗議をしたが、ゴワスは「これもいい経験になるだろう」といつもの調子でニコニコと笑うだけだった。
第7宇宙の界王神・シンも、自分の担当宇宙のことに他宇宙の者を巻き込めないと乗り気ではなかったが、ゴワスが笑顔のままで押し切った。
(何故わたしが他宇宙の人間どもの尻拭いなど……)
ここで手を抜けば「戦力にはならない」と判断されて回避することは可能だが、それはそれで面白くはない。せいぜい向こうから「是非力を貸してください!」と言われるぐらいの実力を思い知らせてやろう。
ザマスは自らの実力に自信を持っていたし、相手が他宇宙の界王神であったとしても負けない確信があった。ザマスでも感知できない術をいくつか使えるようではあるが、シンは手足も細く上背も低い。術に対する腕はあっても武力はそこまでではないだろう、とザマスは判断していた。
「それでは──始めッ!!」
ゴワスの号令に、ザマスは先手必勝とばかりに飛び込む。対するシンは様子見を兼ねてか受けの姿勢でザマスを迎え受けた。
「はぁッ!」
そもそもザマスが『北銀河の界王』から『界王神の後継者』という前代未聞の大抜擢を受けた理由が、ザマス自身の戦闘能力の高さだった。
今から10年ほど前、ザマスが担当していた北銀河にてとある事件が起こった。それは放置していれば銀河どころか第10宇宙全体を巻き込みかねないほどの騒動であったが、それに直接対応し、元凶を討伐して事を収めたのがザマスだった。ザマスはその際の功績により第10宇宙の界王神・ゴワスの目に留まり、後継者として指名されることになった。
界王神と双璧を成す破壊神には敵わないとしても、ザマスは自らの実力に自信を持っていた。
だが──、
「くっ……!」
「なるほど、これは確かに……」
ザマスの猛追をシンはひらりひらりと避ける。最小限の動きのそれはザマスの攻撃を紙一重で避け続ける。
息を乱し始めたザマスにシンは笑みを作る。それを見て反射的に馬鹿にされていると感じたザマスはそれまで保っていた枷を外した。
手刀にスピリットを纏わせ、剣のようにして斬りかかる。手合わせとしての戦闘ではなく本気の
「はぁ……はぁ……」
一度距離を取り息を整える。ザマスの視線の先、ザマスより頭2つ分は小柄なその神は、一見隙だらけに思えるほどに自然体で立っていた。
ここまでくればザマスだってわかる。
(何をしてもこちらの手が読まれている……全てが見透かされている……!)
『読心術』──ザマスも含め、人間を管理する立場にある神々が当たり前のように持っている技術だ。
それでも下等な人間相手ならともかく、同じ神相手に読心術を仕掛けた場合、相手に悟られるのが普通だ。黙って頭の中を覗かれるような神などいない。
だが、ザマスはそれに気が付かなかった。そんな気配はなかった。だがここまで攻撃の全てが躱されている以上、
「おや、もう終わりですか? では、今度はこちらから」
いつの間にかザマスの懐にシンはいた。
顎を狙われた掌底をザマスは間一髪で避ける。続く追撃にもなんとか応戦するが、それはシン側がザマスが捌ける範囲の攻撃しかしてこないからだとザマスも理解していた。
(くっ……! おちょくるのもいい加減にしろ……っ!!)
そもそも神同士で読心術を行うことは相手へ無礼に当たる行為だというのが常識だ。それをこちらに
ならば、目には目を、読心術には読心術を。
ザマスはシンの攻撃を何とか捌きながら、シンの黒い瞳に視線を合わせ────
黒
…………
暗闇
…………
そこには何もなく
…………
ただ広がるのは
…………
…………
…………
…………
「はぁッ!!」
ドゴォォォォ…………ン……ッ!
気が付けばザマスはシンの一撃により岩山に叩きつけられていた。
打ち付けられた衝撃、掌底を食らった鳩尾の痛み、その全てがザマスにとって遠かった。
「ハッ……ハッ……」
息が上がる。手足が冷たくなり、顔が青ざめることすらザマスは自覚できない。
ザマスは確かに第7宇宙の界王神・シンを読心した。相手の瞳から精神を覗き込む、乱戦時にも使用可能な簡単な術だ。間違うはずがない。
なのに、
まるで、巨大な樹の
底知れない奈落に繋がる大穴へと落ちたかのように、
銀河の果てにある宇宙の片隅のように、
「大丈夫ですか、ザマスさん。すみません、つい力が入りすぎてしまいました」
「ふむ、この勝負はシン殿の勝ちですね。ザマスをここまで上回るとは、流石シン殿です」
「いやいや、それより今はザマスさんですよ。ザマスさん、大丈夫ですか? 意識はありますか?」
シンがザマスの顔を覗き込む。その表情には心からの心配が乗せられているように見えている。
だが、ザマスの脳裏には先ほど見た
返事をしないザマスに痺れを切らしたのか、シンは「失礼しますね」と断るとザマスの傍に膝を付いた。そしてザマスの目前で揃えた指を掲げる。
──パチン
シンが指を鳴らせば、ザマスの身体を蝕んでいた痛みが癒えるのがわかる。
そこでようやく我に返ったザマスは慌てて立ち上がった。が、慌てすぎたのかくらりとたたらを踏んでしまう。ふら付いたザマスを、シンはなんてことのないように支えた。
「そう慌てないでください。どこか痛いところはありませんか?」
「あ……いえ、大丈夫です」
「おお、流石シン殿の治癒術だ。相も変わらず素晴らしい腕前ですね」
「いえ、ザマスさんの怪我はわたしが負わせたものでしたし。ゴワス殿、いくら手合わせとはいえ貴方の弟子にここまでの深手を与えてしまいまして申し訳ありません」
「いえいえ、気になさらないでくださいシン殿。互いに良き健闘でございました」
シンは自然な動作でザマスの背に沿えた手を離すと、ザマスの師であるゴワスといつも通りといった様子で会話を進める。穏やかな口調、優し気な声色、柔らかな笑み、気遣いが込められているかのような言葉選び。
(──この神は、いったい……?)
その全てが張り付けられたフィルター越しにしか思えず、目に入る光景が何も信じられない。何もかもが遠くに感じ、交わされる会話が耳を滑る。
先ほどのお茶会の時と変わらず穏やかに会話をする2人の界王神の姿を、ザマスはただ茫然と見つめていた。
++++
それは切っ掛け。あのお方への
己のどうしようもない、愚かさを。
と、いうわけで過去回想でコナッツ星編やります。
タピオン&ミノシア兄弟はさくっと主人公が救済済みです。
・『惑星の神システム』
安定した善良な文明を築く星の殆どが惑星であることからこう呼ばれている*1*2
惑星の神の主な仕事はその惑星の住人の監視と調停であり、直属の上司が各銀河の界王となる
・魔神像関連諸々の捏造設定
色々考察すると魔導士一派や幻魔人よりも、その元となった魔神像やそれを信仰していたコナッツ星人たちのがヤバくないかなこれってなった
・コナッツ星人
最初期に移住した元・第3魔界の住人の子孫
治安最悪な第3魔界の中、魔神像を利用することで第3魔界と思えないくらいの平和と秩序を保っていた
が、周囲は「そんなの関係ねぇ!」とばかりに通常運転していることに嫌気が差して宇宙への移住を決めた
寿命はそこまで長くないため、一般の民たちは自分たちのルーツが魔界にあると知らない
主人公的には「いくら平和と秩序のためとはいえ、よく感情を操るようなもんを信仰しようと思ったな……」と内心ドン引き
・主人公の『
そのうち詳細がわかるので今はノーコメント
ホロウじゃないよ
転生オリブーをオリキャラとして出してもいい? また、出すとしたらどのくらいのポジションがいい? ちなみに転生オリブーは前世の面影が全くないTS娘になります。 ※今のところはただの思いつきなのでアンケ結果の確約はできません。
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いや、要らん
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モブキャラでならいいよ
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出番の少ない端役ならいいよ
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次世代にガッツリ絡ませてもいいよ
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TS地雷です!!