ダンジョンに超なアイツが来るのは間違いか?   作:アゴン

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今更ながらコードヴェイン2をプレイ。
相変わらずキャラが良い。

そんな訳で初投稿です。


物語147

 

 

 

「『精霊の六円環』か……」

 

「まさか、ベル君がそれを知っていただなんて……」

 

 ヘスティア・ファミリア本拠地(ホーム)、【竈火の館】の執務室。

 

 思いも寄らないまさかの人物から出てきた情報に、ベジットは勿論ヘスティアも情報集めに奔走していたリリルカもベートも揃って頭を抱えていた。

 

 同席しているザルドとアルフィアも流石にこれには苦笑い、今まで知らないだろうと思い、決め付けていた自分をベジットは呪った。

 

「ベルは祖父から絵本の物語として聞かされてきたから知っていたと言ったが……それ、絶対に神ゼウスの入れ知恵だろ?」

 

「確かに、親父(ゼウス)は天界にいた頃、他の神々が忙しなかった時でも暇を見付けては下界を眺めていたと昔、聞いたことがある。恐らく情報の出所は其処だろう」

 

「なにやってんだいゼウス……いや、実際そのお陰で助かったんだけどさ」

 

 古代の時代、とある事情から当時の天界は無類の忙しさを誇り、多くの神々は忙殺されていたと言う。

 

 そんな中、大神であるゼウスが隠れてサボっていたという事実に、ヘスティアは複雑に顔をしかめていた。

 

「……あの」

 

「ん? どうしたリリ?」

 

「今更ではありますが、多分ヘラ様も『精霊の六円環』にはご存知だったと思うんですが……」

 

「女神ヘラが? ………あっ」

 

 言われてベートは思い出す。そう言えば確か数年前、ベジットが超サイヤ人3に至る為に嘗て竜の谷だった場所へ赴いた時の事だ。

 

 ベジットの強すぎる気の放出にゼウスを含めた神々が必死に神威で抑えようとした時、予想以上のベジットの強さに神々が音を上げた時、かの女神はやって来た。

 

 その開口一番に出てきた言葉が、『精霊の六円環』についてだった。

 

「あ”~〜〜っ、あったなぁそんな事も!」

 

 何で今まで思い出さなかったのだろうか、ベートは頭を抱えた。

 

 ヘスティアも当時の事を思い出して頭を抱えているが、ベジットだけは「そうなの?」と目を丸くさせていた。

 

 今度あの夫婦神と出会ったら色々と話を聞き出した方がいいかもしれない。一同全員そう誓った。

 

「さて、反省会もここまでにして……次だ」

 

「恐らく【勇者】は既に第二次攻略の作戦を練ってある頃だろう。その時もヘスティア・ファミリアに声を掛ける筈だ。どうする団長」

 

 アルフィアが話を修正し、ザルドがどうするかを問い掛ける。こういう時、年長者の存在は大きいなぁと感心しつつ、ベジットは答える。

 

「勿論、参戦する。本音を言えば今から俺だけ向かって全部終わらせても良いんだが……」

 

「今回は、リリも参加させて欲しいですね」

 

「終わらせるのは速い方がいいのは俺も同意見だが、いい加減此方も鬱憤が溜まっている」

 

「俺も、もう一度くらい剣を取るかぁ。流石に一度だけでは女神ヘファイストスに悪いからな」

 

「………やれやれ、これでは私だけ参加しない訳にはいかないか」

 

 リリルカとベートは参加を表明し、ザルドとアルフィアも参戦を承諾。

 

 もはや決戦というより祭りへの参加表明のような気安さ、けれど表明する面々は何れも超級の戦力達。

 

 そんな彼等を前にしてベジットはにやりと笑う。

 

「よし。なら今回の留守番兼ヘスティアの護衛はベル達に任せるとしようか」

 

 楽しい一日になりそうだなと、戦闘民族らしい獰猛な笑みを浮かべるベジットだが……。

 

「待ってください」

 

 あぁ、そう言えば彼女がいたか。と、一応の意思を確認する為に執務室へやって来た彼女を見据える。

 

「よぉフィルヴィス。調子はどうよ?」

 

 身嗜みを整え、部屋にいる全員に深々と頭を下げるフィルヴィス。彼女の意思を彼女自身の口から確認したいベジット達はフィルヴィスへ視線を注ぎ。

 

「その決戦、どうか私も参加させて下さい」

 

 強い眼差し。決意と覚悟、その二つを兼ね備えたフィルヴィスにベジットは再びニヤリと笑い。

 

「決まりだな」

 

 ただ一言、そう口にした。

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

 『精霊の六円環』その情報を知ったロキ・ファミリアの【勇者(フィン)】の行動は早かった。

 

 迅速に第二次人造迷宮の編成を各自陣営へ促し、第一次で余った資産を残らず投入。ガネーシャ・ファミリアやアストレア・ファミリアや、ディアンケヒト・ファミリア、他にも異端児(ゼノス)達と惜しみ無く戦力と物資を導入し、遂にこの日全ての準備は整った。

 

 第三波まで編成された大部隊。決戦の刻までもうすぐといった所、作戦前の演説に立とうとするフィンは最後にロキと話し合う。

 

「やれやれ、どうにかこうにか間に合ったか」

 

「『精霊の六円環』。それが向こうの作戦の要だと分かった今、時間との勝負だったからね」

 

 ヘスティア・ファミリアの【リトル・ルーキー】………いや、レベル4になった時点でベル・クラネルの二つ名は【白兎の脚(ラビット・フット)】に変わっていた。

 

 そんな彼からもたらされた『精霊の六円環』という極大儀式魔法。六体の大精霊がその身を捧げる事で起動する《神の力(アルカナム)》に等しい力を顕現させる大儀式。

 

 成功させてしまえば最後、オラリオは世界から消滅する。その事実は太古のニーズホッグが奇しくも証明していた。

 

 古の御伽噺や物語に一切の記述が無いのは、当時儀式に巻き込まれた者達、その全てが消滅したから。

 

 誰一人目撃者はいなかった。ニーズホッグという邪竜の存在は僅かだが証明されたが、『精霊の六円環』に関する情報は何一つ残されていなかった事から、下界に刻まれた痕跡は果たしてどちらがより根深いのか。

 

 その規模と威力から、オラリオに逃げ場はない事はフィン達全員分かっていた。

 

 今日、自分達が敗北すればオラリオは元より世界は終わる。『精霊の六円環』が成された後の世界ではモンスターが下界を蹂躙する地獄絵図が生まれてしまう。

 

 故に、フィンはオラリオに住まう住民の避難には全く手を付けず、その分のリソースを全て勝つ為の時間に宛がう事にした。

 

 知る者が知れば非難罵倒は免れない所業。しかし、参加する冒険者達は儀式の発動まで時間がない事を知ってるが故に、誰一人フィンを非難する事はなかった。

 

 オラリオの住民達には知られる事なく、自分達で今日の為に勝つ。後の歴史に記されることがない自分達の戦いに、それでも参戦する冒険者達は逃げるという選択を取らなかった。

 

 その事実にフィンは心から感謝した。

 

 だが、問題はそれだけではない。

 

「……レフィーヤはどうしてる?」

 

「やる気と気合いは充分だよ。気負いすぎとも言うけれどね」

 

 先の第一次攻略作戦にて、レフィーヤは決して小さくない心の疵を負った。

 

 仲良くなった同じエルフの女性、フィルヴィス・シャリア。彼女は最期まで他者の為に行動し、己の信念を貫いて逝った。

 

 その様を目の前で眼にしたレフィーヤはその日から別人の様に変わってしまった。弱い自分は許さないと、強い決意と覚悟を以て作戦が始まる今日まで自らを追い詰めていた。

 

 その甲斐あって、レフィーヤはLv.4に成り立てでありながら、気と魔法を操る魔法剣士の適性を開花させつつあった。

 

 驚くべき成長速度。ロキ・ファミリアの戦力が増すのは団長として歓迎すべき事の筈なのに、その危うさにフィンもロキも素直に喜べなかった。

 

「……レフィーヤの事は、作戦が終わった後に対処するしかないな」

 

「そうだね。それまでにオラリオが無事であれば、だけどね」

 

「なんや、フィン。自分この戦い負けると思っとるんかぁ?」

 

「まさか、負ける要素なんか微塵もないよ」

 

 何故なら、とフィンは近付いてくる気配に視線を送る。

 

「よぉフィン。待たせたか?」

 

「いいや、丁度良いタイミングだよ。ベジット」

 

 今回の作戦に参加する派閥はロキ・ファミリアを筆頭にガネーシャ・ファミリア、アストレア・ファミリア、ヘファイストス・ファミリアが前線に立ち。

 

 ディアンケヒト・ファミリアはそれを支える後方支援。だが、フィン・ディムナはこの他に更なる駄目押しとして二つの派閥に協力を要請した。

 

 フレイヤ・ファミリア。

 

 かの女神に救援を請い、見事今回の戦いに引きずり出す事に成功。

 

 ベルに良いとこ見せたいという、女神の思惑があるかは……言及しないで置く。

 

 そして今、フィンにとって最も戦局を左右するだろう派閥が到着した。

 

「おーおー、随分と大にぎわいじゃねぇか。三大クエストの時を思い出すな」

 

 Lv.8【暴食】のザルド。

 

「煩わしい。不協和音しかないのかここは」

 

 Lv.8【静寂】のアルフィア。

 

「遠征の時以上の戦力。これ全部フィン様が指示を出すんですかね?」

 

 Lv.6【槍の乙女(デミ・フィアナ)】リリルカ・アーデ。

 

「雑魚が足を引っ張らなければ良いがな」

 

 ヘスティア・ファミリア副団長、LV.7【凶狼】ベート・ローガ。

 

 何れも、オラリオの中でも上澄みの中の上澄み達。フル装備な彼等の登場に他の冒険者達が息を呑む。

 

 そして、そんな彼等を束ねるのが。

 

「さぁて、折角の機会だ。精々暴れてやろうぜ」

 

 ヘスティア・ファミリア団長、Lv.1ベジット。

 

 彼等の登場を前に、フィンとロキは思った。

 

((オラリオ、大丈夫かな?))

 

 その予感は、多分的中する。

 

 

 

 





こういう、キャラ総出みたいな演出が好きなんや。 



Q.フィルヴィスさんは?
A.別の所で待機中。ベジットの戦力的な意味でもサプライズ的存在。


Q.レフィーヤは?
A.まだ髪は切ってないが、精神的にはガンギメ状態のレフィーヤさんです。

 彼女の目の前で死んだエルフの少女。
 誇り高く、気高く、最期まで己の信念を貫いた強い女性。
 彼女の友として、最期までレフィーヤは戦う覚悟を決める。
 もう、弱い自分を言い訳にしないように。
 もう、弱い自分の所為で誰かが傷付かないように。
 レフィーヤ・ウィリディス、頑張ります。



 尚、フィルヴィスが生きていると知った彼女は、後にこう叫ぶ。



「おのれベジットぉぉぉぉぉっ!!!」
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