名無し本読み妖怪なモブですが、何故か地霊殿の主にストーカーされてます。   作:クレナイハルハ

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探偵もののクライマックスといえばやはり最後の推理

どうもどうも皆さん!最近は悪役令嬢よりSF学園青春もの、どうも朱鷺子です。

なんて、ラノベでありそうな言葉を思い浮かべながら握っている鍬を地面へと振り下ろして土を耕す。

そうしながらも、ラジオ替わりのアニメ再生を忘れない。こうして転生特典である『TENSEI GIFT:Re ARCHIVE~ぷれみあむ~』でアニメをラジオのように流し聞きながら作業するのは私にとっての当たり前となっていた。

人里から少し離れた山の麓にある一軒家、近くにはちょっとした畑があり様々な野菜が実る柵で覆われたこの場所が私の城である。

人間の里で暮らすとなると、地域の人との関わりが面倒になるしまだ妖怪が町にいることを良く思わない人達が多くいる。

そう言った人間からなにも言われず、そして妖怪にもあまり襲撃されないちょうど良い感じの土地、それがここだった。

 

「ふぅ、私にも万能農具の力があればなぁ」

 

最近見た異世界で農家をする作品で見たアイテム、農具類ならなんにでも変化できる最強のアイテムを思い浮かべながら手に持った普通の鍬を眺める。

こんな風に考えたら手に持った農具が光り出してアニメと同じ能力を持った鍬に~なんて妄想してみるが結果として、そんなことはない。

私の特典はアニメや小説、漫画が読めるこれだけである。それが現実であり、私にとって満足しているものである。

 

「それにしても、アニメを見ながら生活するのがほとんど日課になってしまった……」

 

それにしても、こうして畑を作ってみたが現実は悲しいねぇ。実っても小さかったり、収穫するのが早すぎたり遅すぎたり、腐ったりと。

何度も遊んだあのゲームのように同じ形状の芋や作物を育てるのは難しい。

でもこうして畑を耕したり収穫していると、たまにあのゲームの力が心の底からうらやましいと思う。

少し高いが特別な肥料と、4マスに同じ種を植え育てることで巨大な作物を育てることが出来るあのゲーム。本当にうらやましい、幻想郷で自給自足生活をしているからか心の奥底からそう思うようになってしまった。

さてさて、今日は大きなお風呂の気分ですねぇ……異世界アニメで主人公達が温泉に入っていたのが羨ましいと感じた私は即座に鍬を物置小屋にしまって、肩から下げるタイプの鞄に下着と風呂用の石鹸などを詰めて即座に家から飛び出した。

 

そう、文字通り飛び出したのである。

 

「羽があるって、便利だなぁ」

 

ドラ○ンボールとか、聖○士星矢とか空を飛べるキャラクター達ってこんな感じの風を体に受ける気持ちよさを味わっていたのか。

銀○のあの人じゃないけど、密かに憧れてて鳳翼○翔とか鳳○幻魔拳とかイーグルト○フラッシュとか、練習してるのは心の中だけの秘密である………心の中だけの秘密であるっ!!

さてさて、そんなことを考えているといつの間にか人里についたのでここからは歩きですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たまたま、た(・)ま(・)た(・)ま(・)人里に来ていた私は彼女を見かけ今度こそと彼女の後を尾行を始めました。

 

「さとりさま?どちらに?あの?さとりさま?さとりさまー!?」

 

後ろから声が聞こえる気がしますが気のせいでしょう、今日こそ、今日こそは最後まで…最後までっ!

そんな事を考えていると彼女はいつものお茶屋さんに──。

 

「へ!?」

 

入らず、そのまま素通りしたことに間抜けた声が出てしまうが慌てて口を塞ぎ彼女の後ろを歩く。

今日はお茶屋さんが目的ではない?ならば何処に……。

そんなことを考えていると、やがて彼女は温泉の看板があげられた風呂屋へと入っていきました。なるほど、彼女はお風呂に入りに人里へ来たようですね。

今日は珍しく本を持っていない様ですが、これなら追いかけてきた意味が──。 

 

『テレッテテッテ、テレレレー♪テレッテテッテ、テレレレー♪テレッテテッテ、テレレレー♪テーテー♪』

 

ん?なんでしょうか、これは音楽?やけにハイカラな感じが……でもこれは人里から聞こえる音ではないような気が。

 

『俺は高校生探偵の工藤──』

 

行くしかありません!!

 

即座に私はお風呂屋さんの暖簾を潜って料金を払い女湯へと走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふむふむ、なるほど今回彼女が思い出しているのは推理もの。

それも高校生?探偵と呼ばれる青年が謎の敵組織によって作り出された薬で幼子へと戻り、そんな彼が探偵として真実を暴く物語のようですね。

どうやら主人公達も温泉宿に来ているのか、温泉に入った後で浴衣姿で部屋でくつろいでいる様子ですね。

いつも思いますが、彼女の想像力は一体どうなっているんでしょう?

 

『いいお湯だったねー!』

 

『おう!流石は高級旅館だ、温泉の効能で肩凝りが全く感じられなくなったぜ』

 

『……凝る肩も無い癖に良く言うぜ』

 

『ん?何か言ったかボウズ』

 

『んーん!なんでもなーい!』

 

このギャップ、笑いをこらえるのが少し大変ですね。他のお風呂屋を利用するお客さん達に不快な思いをさせないように動かなければ。

 

『そういやぁ、ラ○の奴はまだ風呂か?』

 

『せっかくの温泉だもん、ゆっくりしてるんじゃない?』

 

『それもそうか!なら俺もゆっくりビールでも飲んで』

 

『キャァァァァアアアアアアアア!!!!』

 

先程までの平穏を切り裂くように、女性の叫び声が旅館に響き渡る。その叫び声が悲鳴だと判断し即座に部屋を飛び出し、先ほどの叫び声に驚いて出てきた旅館の利用客を避けて走り悲鳴の聞こえた場所、先程までの少年と男性が入っていたのであろう温泉の入り口へ向かうと女湯の入り口に人だかりが出来ていた。

そして事情を説明して女湯へ入っていく二人を遠目に見ている、全身が真っ黒で目と口だけが浮かぶ人影がいた。

 

まさか、あの人影が犯人?

 

私がそう考察している時間を与えず、彼女の読んだと思われる本の内容の回想が進んでいく。

温泉に浮かんだ女性の死体、そしてそんな死体に気付いた第一発見者に、その時に浴場へいた女性達。

それぞれの行動や、アリバイが説明されていく。

 

一体、この中の誰が犯人なの?

 

そんな時だ、事件現場を彷徨いていた少年が突如として座り込むと何かを閃いたことを表すような電が走る。

 

『そうか、分かったぞ!この事件の謎が!犯人の目的が!』

 

場面が突如として変わり、先ほどの男性が得意気に的外れな推理を繰り広げ周囲の客や従業員が騒いでいる。すると、そんな的はずれな推理をしてる人物へと腕輪らしき物から針を飛ばした。

針が首もとに刺さった男性は足元の覚束無い様子で少し歩くと、近くの椅子に座って瞼を閉じた。

そして少年はそんな男性の後ろに隠れると、首もとの蝶ネクタイを緩めるそして現れたのは小さなカラクリらしき物。

 

あれは?そもそもあんな状態でどうやって少年の推理を伝えるのですか。

とてもじゃないが大人はこどもの姿をした彼の言葉にまともに耳を貸すとは思えない。ならば、一体どうやって……。

そこに少年が話しかけると、少年の声は男性の声となって周りへと変化して伝わった。

 

『申し訳ありません皆さん、今のは嘘です。本当の犯人を、見つけ出すためのね!!』

 

『な、なんだって!?』

 

『じゃ、じゃあ本当の犯人って一体……』

 

そう言う少年が変化させた声に先程までの描写されてきた容疑者達の姿が描写されていく。

そしてやがて少年は事件の内容について整理し、どのようにして殺されたのかを解説していく。

冷静だったその場の容疑者達がそれぞれの反応を見せる中で、少年はとうとうその言葉を告げる。

 

『この事件の犯人は、あなただ!』

 

その瞬間、そのページを閉じるように木で出来た巨大な扉がキーガコンッ!と閉じた。そしてその続きを続けるようにガコンッ!と扉が開く。

いよいよクライマックスの、犯人が語られる。そうワクワクしていた私の目の前が突如として銭湯の壁へと変化する。

 

「なっ!?」

 

「ふー、さっぱりしたー!」

 

そして見れば浴場の出入口をガラ!と開け浴場から脱衣所へと向かう鳥のような羽を生やしている少女の姿があった。

そんな彼女に思わず拳を握り締める、読書家として、読書家としてそんな……そんなの、そんなのっ!

 

「あんまりですぅ………」

 

その後、必死に私を探してくれていたお燐に謝り倒したのはもう少し後のお話。

 

 

 





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