もともと異世界モノで一本書こうと思ってたら、
『異世界ゴジラ』とか言う単語を聞いて、
さらに色んな作品読んだことでできました。

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怪獣の花唄

ああ、信じられない。

ああ、信じたくない。

かような生物が存在するなど。

ああ、これが夢であると信じたい。

まさに悪夢と言うに相応しい。

機竜兵も、

大戦用大規模魔法も、

人力魔導兵器も一切の効果を発揮しなかった。

いや、“発揮させられなかった”と言うべきか?

奴は、全ての兵器を、動かす前に襲撃し、破壊した。

まるで、“動かしてはならない”とでも言うように。

なんだ?奴が知能を持っているとでも言うのか?

それも、我々を遥かに凌ぐ程の。

そうだ。今思えばそう考えられるほどの時間とヒントはあった筈だ!人力魔導兵器は人間を乗せることによって起動する特殊兵器。

その兵器を破壊された時、私はどのように壊されたか聞いた。

その時、「中にいた人間には手出しされなかった」と聞いた時、

私は奴の気まぐれかと考えたが、

違う。

奴は人間を見逃さない。

軍の上層部がシェルターに逃げ込んだ時、

基地を隅々まで探した上でシェルターを発見し破壊したと聞いた。

じゃあなんだ?

いったいなにがヤツを動かした。

ああ、こんなことになるならあの時、私が斥候の言うことをしっかり聞いていれば・・・・!

今から約数ヶ月ほど前、敵の情報を探らせていた斥候からある連絡が入った。

曰く、『リヴァイアサンなどの海棲の魔物の死体が大量に浮かんでいる』と。

最初はただの魔物同士の縄張り争いだと思った。

だがすぐに思い直した。

「魔物同士の縄張り争いでそこまでの自体になるのか?」と。

本来魔物はあまり群れる習性が無い。

そこまでの数が死体になるのは不自然だと。

それから数日後、再び連絡が入った。

曰く、『近海の海で、黒い背鰭を持った巨大な生物が遊泳し、敵国戦艦を破壊していた』、と。

その時私や軍の上層部は思った。

「きっと我が軍のどこかの部署が作った新兵器が沈めたのだろう」

と。

だがそれは誤りだった。

他の部署は新兵器など作っていなかった。

軍の兵器開発の統括責任者は私だ。

上は私に確認の不備を怠ったことに対して責任を取らせ、私は軍の基地の最下部、戦争の捕虜を閉じ込める独房に入れられることになった。

連中も一緒になって騒いでいたくせに。

そうして閉じ込められてから数日が経った時、

向かいの独房に入れられていた捕虜が話しかけてきた。

曰く、「ほとんどの捕虜は殺され、今は自分が残るのみ。久しぶりの『客人』なので話したかった」と言っていた。

生意気なやつめ。

やつ曰く、「『こう言った戦争では、最終的に終末の獣がこの世界に降り立ち、全てを蒼き焔で焼き尽くされる』と言う伝承がある」とのこと。

更には、「彼らは魔物ではなく、正確には『怪獣』と言う存在である」とも。

その時は『馬鹿馬鹿しい』と思った。滑稽とも。

だが今ではわかる。

あの伝承は嘘ではなかった。

その話を聞いてから数日後、奴は来た。

奴の鳴き声を私は一瞬も忘れることはできない。

あの、

憎悪と、

怒りと、

哀しみがないまぜになって莫大なまでに膨れ上がったような声は。

不思議と、私は奴の出す鳴き声が声に聞こえた。

このことは最期までわからなかった。

終末の獣の話をしていたやつは、奴の到来と共にどこかへと消えた。

奴に殺されたか、それとも脱走して何処かでのたれ死んだか、それはわからない。ただ、あまり良い末路は迎えられなかったろう。

奴は翼の無いドラゴンのような姿をしていた。

岩山のようなゴツゴツとした表面、

剣山のような形状の背鰭、

鋭く尖った爪に、山をも砕く長大な尻尾。

そしてあの、

全てを射殺さんとするような瞳。

奴が初めて襲撃した時、私の目の前ギリギリで奴の前足が私の檻を千切り壊した。

おかげで今、私はこうして脱走して手記を残せている。

さっき書いた通り、上の連中は必死になってシェルターまだ逃げ込んだが

奴は基地周辺をくまなく探してシェルターを見つけだし、

ブレスを吐いて焼き殺したらしい。

その時のブレスを見ていた兵の1人に聞いてみたところ、

「尻尾の先の棘から背鰭の順に蒼く光り、その光が口の中いっぱいに広がると奴はブレスを発射した」とのこと。

おかしい。

私は最初、奴のことをドラゴンの亜種か何かと思っていた。

それなら奴の爬虫類的外見も納得がいく。

だが、奴の吐いた炎は青かったと言う。

本来ドラゴンの吐くブレスは赤色だ。

そして青い炎は赤い炎よりも熱が高い傾向にある。

つまり奴は、

『生態系上位種のドラゴンよりも威力の高いブレスを吐くことのできる魔物、もしくは生物である』と言うことになる。

最初は私も「いや、それは可笑しい」と考えた。

だが、その考えは秒速で改めざるをえないことになる。

軍の上層部が軒並み死亡したあと、私が軍の最高責任者になった。

それを受けて私は、奴の戦闘能力を測るために幾つかの試作兵器を実戦配備することになった。

冒頭の機竜兵や大戦用大規模魔法、人力魔導兵器がそれだ。

念の為に離れたところから観測して、いざ起動しようとしたタイミングで、

奴は来た。

何よりも速く。

兵器のほとんどは起動すらさせてもらえなかった。

軍の魔導士(この世界の魔法使い)が総出で奴に攻撃したが、

奴はほとんど効いた様子を見せなかった。

さらに奴は、素早かった。

悲鳴が聞こえたと思ったら兵士が血の染みとなっている。

そんな様子を見て兵士たちは恐怖に支配され、退却しだした。

私が落ち着くよう言っても聞く耳を待てなかった彼らは、

1人、また1人、時には複数人纏めて、まるで子どもが遊びで虫を殺すように殺されていった。

この時だけは、通信用魔道具に映像投射機能(非表示化不可)を付けたやつを恨む。

足で踏み潰された者がいた。

噛み殺された者もいた。

尻尾で薙ぎ払い、さらに追い打ちをかけるように直接ブレスを浴びせられた奴もいた。

その様子を見ていた我々は1つの結論に至った。

「勝てない」

と。

我々は奴の名前を『ショゴラ』と名付けた。

あの独房にいた捕虜がそう呼んでいたからである。

奴は、この世界を破壊し尽くす。

我々の国だけではない。

この世界そのものにとっての脅威と言っても良い。

誰か、誰か奴を倒してくれ。

誰でも良い。

我が軍はそれからも奴の追撃を受け、今や全滅寸前。

もう軍の人間は私1人だろう。

このことを後世に残すために私はこの手記を何処かに隠そうと思う。

戦火に晒されることも、

奴の放つ炎を焼き尽くされることもないよう。

どうやら、今まで散々人を殺すことだけを考えていた私だが、

最期の最期でどうやら誰かのために動きたいらしい。

いったい、何故奴が現れて、我々を壊滅状態へと追いやったのか、他の国々はどうなったのかはわからないが、これだけは言える。

奴は、この世界に怒りを抱いてた。




怪獣:この世界での正式名称は「敵性魔力生物」、通称「魔物」と呼ばれる生物の超大型個体。

ショゴラ:異世界転生してきたゴジラ

この後の話:辺り一体を破壊し尽くしたゴジラは、何故か海へと帰り、その後数百年近く平和な期間が訪れることになる。
しかしその平和は仮初の物であり、もうすぐ壊されることを、民衆はまだ知らない。
博士のいた国は復興を遂げた。

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