雨と雪   作:炎雷神


原作:鬼滅の刃
タグ:オリ主
最終決戦で猗窩座が炭治郎たちと戦っている最中にそこで現れたのは……。

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第1話

 あの人は温かい雪を持っていた。でも今は冷たくなってしまった。冷酷な程冷たい、冷たい雪に…。

 自分の声ではあの人に届かない。もう芯までも凍りきった雪は自分の手では溶けない。

 

 そんな時、降り出した雨が凍った雪に……。

 

「雨の呼吸 肆ノ型 梅の夕立」

 

 次第に強まっていく突然の雨の中でキラリと鋭く光った群青色の刃が猗窩座に迫るように奇襲をかける。だが、猗窩座の肌にはかすり傷程度でギリギリ避けられてしまった。しかし、雨の呼吸の使い手の雫はすかさず次の攻撃を続けた。

「雨の呼吸 壱ノ型 霖」

 すると、雫の姿が消えたかと思いきや、すぐに猗窩座の目の前に現れ、剣を振るった。猗窩座は素手でその剣を受け流した。しかしながらその技を連続するように攻撃していく。猗窩座はその攻撃を受け流しながら笑みを浮かべた。

「面白い!お前の名を名乗れ!」

「俺は雫だ!お前のことは聞いてるぜ、猗窩座!!」

「雫か!お前鬼になれ!」

「それは断るぜ!」

 すると、猗窩座の拳が雫をぶっ飛ばした。そしてお互い距離を取るように床に着地した。

「何故だ?お前は剣を使用するだけではなく、素手も使えるだろう?剣と素手を上手く使用すれば至高の領域に入れると思うぞ?しかも、今ので息が乱れているからな!」

 その場にいた炭治郎はハッと気付く。雫は平然とした態度を取っているが、苦しそうな匂いがする。特に肺からの匂いが強い。後遺症で残っていた毒のせいだ。

「だから鬼になれ、そうすればその苦しみが解放され、更に強くなれるぞ、雫!!」

「はっ、それは最高だな!でも断るぜ!ここで鬼になったらアイツらに怒られるからな」

 そんな時、深い霧が出てきたかのように雫の姿が隠れるように消えた。そして、その霧の中で静かな小雨が降り始める。

 

 "雨の呼吸 参ノ型 霧風"

 

 猗窩座は気配を探るように目でキョロキョロとし、そっと構え始めた。

「…破壊殺・空式」

 すると霧から見えない攻撃あらゆる方向でが出てきた瞬間、猗窩座が出した拳の衝撃波でぶつかり合った。そして突然、猗窩座が後ろの方に振り向いた同時に拳で殴ったら手応えがあった。そうすると深い霧が次第に消えていき、雫の姿がはっきりと現れた。猗窩座が出した拳は雫の脛で受け止めていた。

「俺の拳で骨折しないとは…やはり鬼になれ、雫!」

「だから断ると言ってんだろっ!」

 雫はそう言いながら勢いをつけるために身体を一周回転して、猗窩座の脇腹に蹴りを入れた。

「凄い…素手でも上弦の参と互角にやり合えてる…!」

 雫と猗窩座との闘いを見ていた炭治郎は驚きのあまりに目を見開いていた。雫は今は隠で、元々は炭治郎たちと同じ剣士だったのである。

「えへへ〜そうでしょ〜?雫は喧嘩が強いからね〜」

 先程猗窩座に吹っ飛ばされた凛音はボロボロな姿で、受け身を失敗した炭治郎の隣にちょこんと座っていた。

「ちなみに、雫が隠にならなかったら…肺に後遺症がなかったら…剣士として続けていたら今頃は"柱"として活動していたかもね〜」

「柱として…」

「破壊殺・脚式 飛遊星千輪!」

 猗窩座たちの方を見れば、猗窩座が円を描くように回転しながら迫るように脚で蹴っていく。同時に喧嘩慣れしている雫は剣を握っていない片手で上手く受け流したり避けたりしている。

「万葉閃柳!」

 攻撃に紛れるように猗窩座の拳が雫の顔に目がけて攻撃しようとした時、雫は腕を交差しながらその拳を受け止めた。その拳は重く、雫を障子の床に叩き込んだ同時にその床が壊れた。そして共に落ちていく猗窩座と雫。猗窩座は自分が優位に立っていることをいいことに、雫に何度も殴っていく。雫は交差した腕で受け止めたまま。

「お前は素手で戦わないと身が持たないだろう!あまり呼吸を無理やり使ったらお前の肺が壊れるからな!!」

 確かに途中から雫は剣を使わずに素手でしか闘っていない。猗窩座の言う通り、呼吸を無理やり多用すると雫の肺が完全に壊れることになるのだ。

 そんな時、猗窩座の重い一撃が雫の鳩尾に鋭く攻撃したら雫は口から大量の血を吐いてしまった。その攻撃によって猗窩座から勢いよく落ちていく雫は壁から突き出していた床に叩き込められた。

「…………」

 気絶してしまっている。そんな雫の前に着地した猗窩座は真顔で近付くようにゆっくりと歩き出した。

 

 

「…………」

 ふと、雫の隣に座っている少年。

 その少年は素色な髪の毛しており、一房だけ紺色している。そんな髪の毛の下には凛音に似た顔だった。その顔は今にも泣き出しそうな表情をしていた。

 そんな少年は男だと思えないほど細くてか弱そうな手を雫の胸に当てながら起こそうとしている。

「雫、起きて、鬼が来るよ」

「…………」

 身体を揺さぶりながら声掛けても起きない雫。少年は奥歯を噛み締めながら自分の額と雫の額をそっと合わせた。

 

「死なないで、雫…っ!」

 

 

 猗窩座は気絶している雫にトドメを刺そうとした途端、猗窩座の顎に雫の強烈な脚が蹴った。蹴られた猗窩座の顎がエグいほど外れていた。

「…っ!?」

 そのまま1回後転した雫は立ち上がり、血を吐きながら咳き込んだ。

「かはっ!ケホッ、ケホッ!はぁはぁはぁ…」

 次第に再生していく猗窩座は雫を見つめながら口元に付いた自分の血を舐め取った。

「…鬼になれ、雫」

「はぁ……確かに…鬼になれれば……鬼にかけられた"毒"に苦しむことも無く長生きできるかもな」

「…………」

 雫が"毒"と口にした途端、猗窩座が硬直するように黙り込んだ。

「でもな…鬼になったら瑠都も凛音も悲しむことになるからやめとくぜ」

 "瑠都"。その彼とは先程雫を起こそうとした少年の名だった。彼は雫の親友であり、凛音の兄であるのだ。もう既に病で亡くなってしまったが、今は雫の後ろで立っている。

 雫の後ろに立つ少年、瑠都は安堵したような笑みを浮かべながらスゥ…と消えた。

 

「黙れ糞爺!!」

「!?」

 黙り込んでいた猗窩座が急に叫び出した。顬に血管が浮き出て、正真正銘鬼のように恐ろしい形相になっていた。

 

「殺す殺す殺す殺す殺す…ぶっ殺してやる!!」

 

 猗窩座は頭を抱えるように苦しみ出した。そして時々何も無い所で殴っている姿もあった。そんな苦しむ猗窩座の姿に雫は驚きのあまりに呆然としていた。

 

「うるせぇ!!さもなくば俺は強くなれない!!もっと、もっともっともっと強く!!」

「…………」

 

 雫は床に落ちていた剣をそっと取り、腰に差した。そして、猗窩座に歩み寄るようにゆっくりと歩き出した。その同時に、雫と猗窩座の周りに静かで優しい雨が降り始める。

「雨の呼吸…」

 雨の呼吸は水の呼吸から派生した呼吸だ。雫は元々鱗滝左近次によって水の呼吸を教わられていたが、適性により雨の呼吸に派生した。あの恐ろしい天狗の面を付けている鱗滝は厳しい所はあるが、元々優しき人物だ。

 水の呼吸にある「伍ノ型 干天の慈雨」。そんな優しき育手から敬うように引き継いだ雨の呼吸の使い手である雫はこう呟いた。

 

「雨の呼吸 伍ノ型 閑音天泣」

 

 猗窩座とすれ違う同時にこう言った雫は静かに剣を鞘に納めた。

 酷く苦しんでいた猗窩座は嘘のように静かになっていた。目を見開いたまま、ぼんやりと一点を見つめている。

 そんな時、女の子の弱そうな手が猗窩座の手を握った。

「狛治さん」

 狛治。それが猗窩座の人間時代の名前である。その名前を知る少女は涙を流しながら猗窩座に話しかけていた。

「狛治さん、もうやめて…もうやめにしましょう…向こうに行きましょう…」

 しかし、猗窩座はその少女を見ない。

「駄目だ、俺は奴らを殺さなければならない」

「…どうしてですか?」

「俺は強くならなければならない、邪魔する奴らは殺す」

「どうしてですか?…どうしてそんなに強くなりたいのですか?」

 

 …猗窩座、狛治には病気持ちの父親がいた。そんな父親を養い、病気を治すために何度も罪を犯していた。更には罪人として入れ墨を腕に施されていた。そんな何度も罪を犯している狛治に真っ当な人生を送って欲しかった父親は自殺してしまった。

 父親の死後、狛治は喧嘩に明け暮れていたら、慶蔵という常に穏やかな笑みを浮かべている男性に出会った。気が立っていた狛治はその男性に殴りかかったが、ボコボコに負けてしまった。

 そんな狛治に慶蔵はこう言った。

「生活費を稼ぐために空けがちな自分の代わりに娘を看病してくれないか」

 その娘とは"恋雪"という。その彼女は病持ちでほとんど寝たきりの日々だった。

 狛治は大人しくその彼女の看病をしていた。そんな彼女との時間を過ごしていくうちに仲が少しずつ深まっていた。

 齢18になった狛治は慶蔵から恋雪との結婚と道場の跡継ぎを申し込まれた。狛治も恋雪も両想いだった。お互い自分のことを受け入れてくれる2人は夫婦になった。

 

「私は狛治さんがいいんです、私と夫婦になってくれますか?」

 

「はい、俺は誰よりも強くなって、一生あなたを守ります」

 

 これで幸せになれる…と思ったが狛治に不幸が降りかかった。

 隣の剣術道場が井戸に"毒"を入れ、慶蔵と恋雪は亡くなってしまった。

 そのことによって狛治に復讐心が芽生え、その毒を入れた道場の人たちに素手で殺してしまった。

 自暴自棄になっていた狛治は無惨と出会い、"猗窩座"としての鬼が誕生したのである。強さだけを求める鬼となったのだ。

 

 鬼となり、あの温かかった雪が冷酷な程冷たい雪なってしまったのだ。

 そんな冷たくなってしまった雪に静かで優しき雨によって溶かされていく。その同時に愛おしい、懐かしいほど愛おしい声がはっきりと聞こえた。

 

「狛治さん、ありがとう」

 

「もう充分です」

 

「もういいの…もういいのよ」

 

 あの温かい雪を取り戻した猗窩座…狛治は目から涙を流し、恋雪に強く、優しく抱き締めた。

 

「ごめん、ごめん!守れなくてごめん!大事な時傍にいなくてごめん!約束を何一つ守れなかった…!!許してくれ!俺を許してくれ!頼む、俺を許してくれ…!!」

 

 

「私たちのことを思い出してくれて良かった」

 

「元の狛治さんに戻ってくれて良かった…」

 

「おかえりなさい、あなた…」

 

 

 雫によって静かに斬られて頸無しになった猗窩座の身体が塵となって消えていく。そんな猗窩座に背中を向けたままだった雫。

 そんな時──

 

  『 ありがとな 』

 

 猗窩座の温もりのある感謝の声が聞こえてきた。雫は猗窩座の方へ少し振り向き、寂しげな笑みを浮かべながらこう言った。

 

「来世では殺し合いじゃなくて…勝負として手合わせしような、いつでも相手になってやるぜ」

 

 

 

 

 

〜数十年後〜

 

 とある中学校のグラウンドで気絶したまま積み重なっている生徒たちがいた。その生徒たちの上に愉快な笑い声を上げる紅梅色の髪の毛をした少年がいた。そんな少年の前に立つ青色と紫色を半分に分けた髪の毛をした少年が現れる。その現れた少年に気付いた紅梅色の少年は頬杖しながら少年の方に手を差し出した。

 

「そこのお前、俺と勝負しないか」

 

 紅梅色の少年に勝負を申し込まれた少年は嬉しげに微笑んだ。

 

「ああ、いいぜ!!」




猗窩座と雫って対照的な立場であり、共通点を持ってるだな〜と思って…

共通点:喧嘩強い、大切な人が病持ち、毒との関わりを持っている

猗窩座は自暴自棄になって鬼になった者で、雫は自暴自棄にならずに鬼にならなかった者

んで!
来世では人間として生まれ変わった狛治と雫が良きライバルとして仲良く喧嘩しながら学校生活を送って欲しい願望が…っ!!!!!

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