お久しぶりです。明けましておめでとうございます。文章がおかしいところがあるかもしれませんがお許しください。
桜が攫われた。
それは凛が使い魔によって手に入れた情報だった。
その事実を知った瞬間、衛宮士郎の思考は止まった。
理解はできる。
状況も、敵の危険性も、今の自分が何も出来ないことも。
――それでも。
「行く。」
短い言葉だった。
だが、その声に迷いはなかった。
凛が息を呑む。
「……正気?相手はキャスターよ。ライダーもいる。あなた一人で行ってどうするつもり?」
士郎は答えなかった。いや、答えられるはずがない。
私の知る衛宮士郎であるならば、――。
「どうやって、なんて……考えてない。ただ、桜を助ける。それだけだ。」
その言葉に、セイバーが一歩前に出る。
「シロウ。無謀です。無策でキャスターの元へなどっ――」
「わかってる!」
士郎は叫ぶように言った。
「でも……それでも、放っておけないだろ!」
士郎の拳に力が入っているのがわかる。
私・・・いや、私だけではない凛だって同じだ。
助けたいと思っている。
だが、衛宮士郎の行動は無謀にもほどがあるから止めているにすぎない。
「言っても無駄だ。凛。セイバー。」
私は居間から今にも飛び出しそうな士郎の肩に手を置く。
それを見た三人が見張るように驚く。
手を肩に置いただけで驚かれるとは思っていなかったが……まぁいい。
「
「……どういうことだ、アーチャー。」
「いや、いい。私はまだ貴様のことを思い違いしていたようだ。
私と士郎は、同じではない。」
「「「はあ…」」」
呆れというよりも何を言っているんだこいつはという視線。
それも当然か。
三人は私の本来の姿を知らないのだ。
だが、これはそれ以前の問題。
衛宮士郎と英霊エミヤ。
「改めて問おう。
いつもよりも尊大に、いつもよりも張り上げて。
以前の私では考えられないように。
「貴様はこの先、どのような苦難があったとしてもその信念を貫きとおすと誓えるか。」
凜もセイバーも私の声――いや、この状況に驚いて動ない。
私は真紅の剣を投影し、衛宮士郎に向ける。
セイバーはそれに反応こそしたが、私を攻撃するような真似はしなかった。
真紅の剣先を向けられても、衛宮士郎は一歩も退かなかった。
怯えも、躊躇もない。ただ、真っ直ぐにこちらを見るその瞳。
――やはり、か。
私は内心で小さく息を吐く。
「ならば、もう一度だけ問おう。」
剣を構えたまま、声を低く落とす。
「それは正義のためか?
それとも――ただ、一人の少女を救いたいだけか。」
「救いたいからだ。」
即答だった。
一間を与える間もなく放たれた言葉。
……本当に、厄介な男だ。
私は剣を消し、肩をすくめる。
「だ、そうだ。」
振り返り、凛とセイバーを見る。
まるで「異論はあるか」とでも言うように。
一瞬の沈黙の後、凛が小さく笑った。
「……そっくりね。二人とも。」
続けて、セイバーも穏やかに微笑む。
「えぇ。シロウも、アーチャーも。
つまるところは――こんなところで後悔はしたくない、ということなのでしょう。」
……やめろ。
そういう理解した顔を向けられるのは、どうにも居心地が悪い。
横を見ると、士郎も同じように視線を逸らしている。
まったく、揃いも揃って。
「……ふん。」
照れ隠しに鼻を鳴らす。
凛は肩を竦め、諦めたように言った。
「しょうがないか。
で、アーチャー。勝算はあるんでしょ?」
――当然だ。
私は口元だけで笑う。
「ああ、もちろんだとも!」
まるで赤き皇帝が如く。
◇
そこは夥しい魔力で満ちていた。
「柳洞寺……遠坂、本当にここにキャスターがいるのか?」
「ええ、簡単に追い払えるはずなのに私の使い魔を招いてまで挑発しているもの。」
この世に死地という場があるならば、この場こそが死地に相応しい。
そこを、躊躇うことなく突き進む。
元よりサーヴァント。
このような場で止まると思うならそれこそ、この場に来ないだろう。
二騎の英霊は石の階段を駆け上がる。
数段を飛ばし、馬で野を駆けるよりも早く、もう一度踏み込めば門にまで達しよう。
「――セイバー!」
ガキン、という重い金属音とともにその進撃は止まった。
「なっ!」
凜が驚くのも無理はなかった。
セイバーと打ち合っているのはライダー。
ならば、山門の前に立つサーヴァントは何者か。
「サーヴァント、アサシン。佐々木小次郎。」
そう言って透き通った殺意が四人に向けられる。
「アサシンですって?」
驚くべきか。キャスターはライダーの他にもう一騎仲間に引き入れていたのだ。
ライダーを慎二から奪っていたのだその点も踏まえるべきだったかと少しばかり思う。
戦場は人数差によって大きく覆る。
サーヴァントが三騎と二騎ではそれほど差が生まれる。
だが、ここで下がる理由もない。
相手が強いから数が多いからなんだという話だ。
ライダーは一度距離をとり、アサシンをそれに代わりセイバーを追撃する。
一撃。
風を斬るが如く、剣戟が響く。
「セイバーと剣で張り合うアサシンがどこにいるのよ!」
思わず、凛がそう呟いた。
だが、そう油断する暇もなく、――。
火花が散る。
真紅の剣によってライダーの攻撃は阻まれ、吹き飛ばされる。
「いけ、凛。衛宮士郎。」
元より、キャスターはアーチャーが仕留められるなど思っていない。
セイバーの身動きがアサシンによって封じられている以上、キャスターを倒すのは凛だ。
「凛を頼むぞ。」
「――わかってる!」
ならば、衛宮士郎の役割は一つである。
凛とキャスターが戦うのならば、一対一の状況でなくてはならない。
本来ならば、キャスターも含めてセイバーの仕事ではあるが、キャスターを倒せなくては元も子もない。
だから――私は前に出る。
「チッ……!」
視界の端で、ライダーが体勢を立て直すのが見えた。
速い。先ほど吹き飛ばしたというのに、既に間合いを測り直している。
「邪魔をするな、騎兵。」
鎖が走る。
だが、それが届くことはない。
ライダーの狙いはマスターである二人か。
当然だろう。
聖杯戦争において地力で劣るサーヴァントができることなど限られている。
「だが、そうはさせん。お前の相手は、私だ。ライダー。」
金属音。
鎖と剣が絡み合う。
押し返す。
踏み込み、蹴り、距離を殺す。
――その間にも。
奥では、別の戦いが始まっていた。
「……行ったか。」
ライダーが舌打ちをする。
そして、その視線が一瞬、山門へと向いた。
――桜。
キャスターは、最初からそれを餌にしている。
「安心しろ。」
剣を構え直す。
「お前がどのような思いでキャスターに属するのかは知らんがこちらには助けると決めた馬鹿がいる。」
「……。」
一歩、前へ。
「さぁ来い、ライダー。」
◆◇◆◇
番外編
もしも、わりとUBW原作通り進んでアーチャーがキャスターの味方になった場合。
「キャスター……私も着なくてはいけないのか?」
「セイバーは調整中だもの。あの場所から動けないのならあなた十分よ。」
キャスターの目がギラギラとこちらを見据えている。
正しく捕食者……。
「そもそも、何なのかしらこの服。」
キャスターが持っているのは私が……召喚時に着ていたものだ。
「返してくれないか?」
「いやよ。私のサーヴァントになったんだもの。これくらいは許容しているでしょ?」
「なんでさ。」
後書き的なヤツ
だいぶ前に書いたことと最近書いたことがすごく混ざっている……。
それにしてもだいぶ私の書き方変わったなと思います。
それと、辻褄おかしいところはありますけど大目に見てください……。