15光年のガイア   作:ナカイユウ

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第十七話 意味

 外から優しく照らす昼下がりの光の下で、夢と現実のあいだを行ったり来たりする朧げな感覚。

 

 「ガイアもイブも今は眠ってるから静かにね?」

 「うん。わかってるわかってる」

 

 夢現なぼやけた意識の先で、母上の声と一緒に知らない誰かの声が小さく聞こえた。イブと隣り合わせでお昼寝をしていたおれは、夢の中の出来事だと思っていた。

 

 「ふふっ、かわいいなぁ君たちは」

 

 現実という地上に上がりかけていた意識が再び深層心理へと落ちる寸前、誰かの声が小さく呟いた。一度も聞いたことなんてないはずなのに、その声を微かな視界で捉えたときに感じたのは、恐怖ではなく子守唄のような()()()だった。

 

 

 

 「やっぱり似ちゃうよね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「イブはどうすんの今日?」

 「部活終わったらママの家でお手伝いさんとお留守番」

 「そういやここんとこ上原家(こっち)に来る機会多いな」

 「確かに」

 

 月曜日。昼休みのカフェテリア。今日もまた話すことがあるからとおれとイブは仲良くお昼を食べる。

 

 「にしても意外に早く決まったな。ぶっちゃけ顔合わせまでに間に合うかも怪しいくらいに思ってたのに」

 「ちょうど今日は稽古だけで会食は何にもないらしいってさ」

 「それはラッキーなのかアンラッキーなのか」

 「普通にラッキーなんじゃない?久しぶりにパパの顔を見れるわけだし」

 

 話す内容は言わずもがな、一昨日の夜におれの代わりに連絡先を持っていて尚且つ一緒に暮らしているイブへ頼んでおいた親父との話し合いについてだ。生まれたときから俳優の仕事が忙しく撮影で1ヶ月ほど家を留守にすることもあった役者バカな親父を持つおれとしては顔合わせの前日か最悪は当日の朝でも構わない覚悟だったが、3ヶ月ぶりとなる再会の機会は意外にも早く叶った。

 

 「これがどこにでもいる()()()()()だったらな?」

 

 ジョークに対してラッキーだと微笑むイブに、おれは真顔のまま渾身の自虐を返す。

 

 「やっぱりガイアってパパに似て来たよね」

 「どこが?」

 「素直じゃないところ」

 「否定しきれない自分が嫌だな」

 

 そして直後に家族として親父との関係を知っているイブからの強烈な図星のカウンターパンチ。はっきり言ってイブは、そんじょそこらの同業者なんざと比べてもかなり手強い。さすがはあの母上にしてこの姉だ。

 

 「緊張してる?」

 

 神様の悪戯か己の性格が少しずつ親父に似始めて来たおれをじっと見て、真正面に座るイブが悪戯さと優しさが同居した柔らかな表情でこの心を見透かして購買のパンをかじる。その微笑みは相変わらず、いつ“こっち側の世界”に見つかってもおかしくないくらい無駄に可憐な顔をしている。

 

 「そりゃするだろ。住んでる場所(いえ)が別々になってから互いに話さないどころか顔も見てないし」

 「仲直りするタイミング逃した喧嘩中のカップルか」

 「イブはどういう視点でおれと親父を見てんだオイ」

 

 

 

 

 

 

 『明日の夜7時にマンションだって_』

 

 イブ伝手で親父からおれのところに話し合いの連絡が来たのは、昨日の撮影がちょうど終わったときのことだった。病室を再現したセットでの撮影が終わり、楽屋へ戻り預けていたスマホをマネージャーからちょうど受け取ったタイミングで届いたメッセージ。

 

 『わかったと伝えて_』

 

 実際には親父が言ったことをイブが伝言にして送っているのはわかっていても、メッセージを見ただけでも少しだけ緊張した。星野さんから結論を迫られている以上は顔合わせのある金曜までには何としてでも会って話さなければならないのはわかっていたが、本音を言うならあと一日だけ心を整理する時間が欲しかった。

 

 『り!_』

 

 そんな甘えたような考えじゃ芸能界(このせかい)では生きて行けないぞと言われてしまえば、返す言葉がない。だけれど考えてほしい。まだ12歳の中1が、“お前は俺たちと血が繋がっていない”と自分に向けて言ってきた親父と3ヶ月ぶりに1対1で会うということ。しかもそれがまごうことなき真実なわけだから恨むこともできない。こんな誰にもぶつけようのない気まずい状況で、どんな顔をして会えばいいんだって話だ。

 

 

 

 「ガイアがどっちを選んでも、あたしは全力で応援するから」

 

 

 

 もしイブがいなかったら、優柔不断なおれは下手をしたら未だに決心がついていなかったかもしれない。現にそれでも不安定な気持ちを完全には克服できなかったおれが、昨日の夜におかしな夢を見た。

 

 

 

 「やっぱり似ちゃうよね

 

 

 

 それはまだ1歳に満たない赤子のおれとイブを見て、星野さんが感情の読めない笑みでまじまじと見下ろしながら()()()()()()を呟く光景(ゆめ)だった。ここから先は、アラームで目が覚めた瞬間に頭の中から綺麗さっぱり消え去った。

 

 

 

 

 

 

 「とにかく親父のことは全然嫌ってないからそこは心配しないでほしい」

 「別に心配はしてないよ。だって家族だし」

 「やっぱほんのちょっとだけ心配はして欲しい」

 「あははっどっちそれ?」

 

 心配するなと取り繕うおれを、むしろ心配しているのがこちら側だということを勘づいているイブが余裕の表情を浮かべて笑う。飄々としていながらもおれよりも空気を読んで察する能力が断然上なこの人のことだから心では心配はしているが、それを表には一切出さない。

 

 「パパのことを庇ってるとかじゃないけど、パパはガイアのことはちっとも悪く思ってないよ」

 

 決心したとはいえ当日を迎えて緊張が拭えないおれを見かねたイブが、優しく微笑みながら親父が感じている思いを話す。

 

 「そうか・・・ちょっと安心した」

 

 それが果たしてどこまで本当なのかなんて本人に聞いても嘘偽りなく答えてくれるかはわからない。変わらず不確かなままとはいえ、一緒に住んでいるイブから聞いただけでも少しだけこの心は軽くなる。

 

 「頑張れガイア。芸能界をここまでしぶとく生き残れた粘り強さのあるキミなら余裕だよ」

 「おれが消えないでいらてれるのはただ()()()()()()だけだよ」

 

 こんなふうに気持ちが少し不安定な方向へ傾いているときに、必ず目に見えるところで“気負いすぎるな”と背中を優しく押してくれる人がいる。血は繋がっていないとはいえ家族として心を許せる存在がいて本当に良かったと、おれは思う。

 

 「あとおれ・・・もう親父から逃げないから」

 「うん。そっか」

 

 

 

 この映画をただ運命に翻弄されるだけだった昨日までの日々の()()()()にして、今度こそおれは自分の手と足で自分だけが手に入れられる未来(しあわせ)を掴みたい。

 

 

 

 「・・・ねぇ、あの人ルキアさんじゃない?」

 

 テーブルを挟み真正面に座るおれを見つめる視線をふとおれの斜め後ろへ移したイブが呟く。

 

 「マジで?」

 

 その呟きに反応してイブが見ている視線のほうへ座ったままおれは振り向く。いまや分単位と言われるほど多忙なスケジュールをこなす大人気俳優となった“鈴懸学園で一番のスター”に注目する視線とざわめきの奥から、当の本人が購買で売っているパンと紙カップのジュースを持って颯爽とカフェテリアへと現れる。

 

 「この前の星野さんも半端なかったけど、生ルキアの破壊力はエグいよねぇ…」

 「何せ“10年に1人”と言われる逸材だからなルキアさんは(てか生ルキアて)」

 

 ただお昼を食べるために学校の制服を着てカフェテリアに来たというだけなのに、まるでどこかの国のスーパースターが来日したかのような唯一無二のオーラ。自惚れと言われても仕方ないかもしれないが、これでもおれは人気子役として芸能界の中でも一番上とされる世界をこの目で見てこの身体で味わった経験があるからわかる。この世界で大衆も批評家も全て振り向かせられるのは、この人のように生まれ持って()()()()()()()()だということ。

 

 「(もしルキアさんがおれと同い年だったらおれが五反田監督の映画で主演をやることはきっとなかっただろうな・・・)」

 

 例えるなら、在りし日の星野アイや星野ルビーのような、完璧さと究極を兼ね備えたアイドル・・・

 

 「あ、ガイア先輩チッス」

 「・・・お疲れ様です」

 

 何気なく目で追っていたらちょうどピンポイントで視線が合い、そのついででルキアさんがおれに向けてアディオスのジェスチャーで軽く一言だけ挨拶して、颯爽な足取りのままカフェテリアの端のほうへと歩き去っていく。別にルキアさんが悪いわけがなく、むしろ悪いのは目が合ってしまったおれのほうとはいえ、この人と現場以外で会うのは初めてだからか謎に小恥ずかしさが身体を巡った。

 

 「え、もしかしてガイアってルキアさんと仲良いの?」

 「仲良いっていうか、あんま詳しくは言えないけどいま撮ってる映画で一緒に仕事してる」

 「ルキアさんと共演なんて大出世じゃん」

 「どういう理屈だよそれ?」

 「ていうかルキアさんってあんな感じなの?なんか想像してたイメージと違う気がする」

 「ある意味めっちゃギャップあるよあの人は」

 「へぇ~芸能人っぽいね」

 「前から思ってるけど()()()()()()()はちゃんと一般人だよなイブって」

 

 無論ルキアさんとは五反田監督の映画でも共演するという話は、部外者のイブにはまだ話せない。

 

 ☆★

 

 「親父はどうやってお芝居をしてるの?」

 

 おれは親父から芝居のことを教わったことが一度もない。

 

 「俺から教えられることは何もない」

 

 おれが“芝居を教えて欲しい”と言うたびに、親父はそう言って頑なに教えることを拒んでいた。こんな具合に、おれと親父の距離感は小さいときからどこか噛み合わずぎこちなくて、同じ芸能界に足を踏み入れてからはより顕著になった。

 

 「おれも親父みたいにいい芝居ができる役者になりたいんだよ」

 「なってどうする?」

 「どうするって?」

 「まずそれを自分で考えられるようになれない限り、俺はお前に何も教えられない」

 

 言っておくがおれと親父は決して仲が悪いわけではない。むしろおれは、親父のことを役者としても人としても本当に心から尊敬している。家にいるときはいい意味でどこにでもいそうなほど普通のオーラで、常にどこか気だるげ。だがひとたびカメラが回れば、舞台の壇上に上がれば、その瞬間から圧倒的な芝居で場を支配する“演技の天才”。“二世”というある種のニセモノでもある看板を生まれながらに背負っているおれからすれば、同じく二世ながらも朝ドラでヒロインを演じたことのある母親の栄光には一切すがらず己の実力だけで“姫川大輝”という確たる地位を確立した親父は、本当に尊敬すべき存在(ひと)だ。

 

 ただ、血が繋がっているイブとは違い()()()()()()()というだけ・・・いや、()()()()だけだとおれは信じたい。

 

 「お前は俺たちの子供じゃないんだよ」

 

 おれも。そして親父も。()()という存在に翻弄され続けてきた。自らが不義の子である親父からすれば、本当の親から捨てられたのも同然なおれのことが、もしかするとかつての自分と重なって見えてしまっているのかもしれない。あまりにも幼すぎて肉親の記憶が一切ないおれが思ったところで説得力はないだろうが、親父がおれのことを心から愛せない理由は聞かずとも察しているつもりだ。

 

 「分かった。言ってくれてありがとう、親父」

 

 親父から血が繋がっていないことを打ち明けられてから1週間後、“家を出て行く”と告げて親父は次の日にイブと共に上原家を出て行った。一緒に過ごした最後の1週間は、血縁関係に纏わる話し合いはおろか、挨拶した記憶すらないくらいおれと親父は互いに言葉を交わさなかった。そもそも親父とおれは映画にドラマに舞台と大忙しな超人気俳優と落ち着いたとはいえそれなりに需要がある子役なわけだから、普段からまともに話す機会は同じ家に住む親子にしては少ない部類だった。それを踏まえても最後は本当に会話という会話をした記憶がないほど、親父との間には形だけの仲直り程度じゃ全く埋められそうにない溝ができていた。

 

 「またねママ!ガイア!」

 

 最後にお見送りするときも、おれと親父は一切言葉を交わさず、目すら合わせなかった。どんよりしていた空気を和らげようと元気よく手を振っていたイブを最低限の元気で母上と一緒に見送るだけで精一杯だった。もし親父がイブと一緒に家を出て行くことを知っていたら、腹を割って互いが抱えている気持ちについて話していた・・・とは思わない。あのときのおれにはそんな精神的な余裕はなくて、心は壊れる寸前の場所でどうにか踏み止まっているような状態だった。そこから日にちと共にゆっくりと回復して愛想という名前の演技を使えば笑えるようになったのが、今だ。

 

 「ひとつだけ星野さんにお願いがあります」

 

 おれが星野さんに答えを出す()()を求めた理由は、ただ親父に五反田監督の映画についての話をしてから自分の答えを出したいというだけじゃない。

 

 

 

 「今日のことを親父にも話させてください・・・・・・どうするかはその後に考えたいと思います」

 

 

 

 星野さんの提案を受け入れる前に、『15年の嘘』を観て“役者になりたい”と言った日を最後に本音で話せていない親父と、ただ純粋にもう一度腹を割って話をしたい。

 

 

 

 「()()()に生まれた意味をもっと深くまで考えれば、君のお母さんがどんな思いを込めて大地(ガイア)という名前を君につけてこの世界で生かしたのか、その答えに辿り着けるかもね・・・」

 

 

 

 

 

 

 カァー_

 

 「やあ。久しぶり」

 

 どこからか聞こえてきたカラスの遠吠えと5歳くらいの子どもの声が、久しぶりに会う親父(ひと)のことを考えながら下校路の途中にある公園を歩いていた意識を現実へ戻す。

 

 「これは夢か?」

 「とんでもない。正夢だよ」

 「だとしたら悪夢より最悪だ」

 

 おれの目の前には、肩に一羽のカラスを乗せた黒いワンピース姿のいけ好かないちんちくりんの自称神様(ちびっ子)

 

 「酷いこと言うね。せっかく会えたのに」

 「お前のような得体の知れないちびっ子と会ったところで1ミリも嬉しくないわ」

 

 夢の中を除けば星野さんと1対1のオーディションをしたあの日以来、すなわち約3週間ぶりに姿を現した神様がおれを見上げて悪戯に微笑む。言うまでもなく、最悪の気分だ。

 

 「・・・()()()を言いに来たのか?」

 

 こいつが目の前に現れたということは、つまりは()()()()()()。もう3度目だからわかり切っているおれは単刀直入で本題をぶつける。

 

 「そういうことにしてあげる」

 「今回は素直だな」

 

 とにかく構っている暇はないから手短に切り出すと、神様は素直に応じた。別に嬉しいわけではないが、これで話が早く終わるというなら好都合だ。

 

 「前にこの公園で会ったとき、私が君へ向けて言った言葉は覚えてるかな?」

 「この顔に生まれた意味を深く考えれば、本当の母親がおれにこの名前を付けた意味がわかる」

 「さすが。記憶力いいね」

 「子役上がりナメんな」

 

 現実の世界で初めて会ったときに言われた言葉(こと)を記憶のままに答えるおれへ、神様はませた笑みで記憶力を褒める。こいつに褒められたところで1ミリも嬉しくない不愉快な気持ちは置いといて、上原家の誰とも似ていないこの顔で生まれた意味は依然としてわからないし、手掛かりすらもない。

 

 「少しは手掛かりが掴めたかな?」

 「残念ながらさっぱりだよ。おまけに金曜からは例の映画が本格的に動き出すわけだから自分探しの時間はむしろどんどん減って・・・ってこれって話していいやつだっけ?」

 「君のことは全部知ってるよ?」

 「全部知ってるお前以上にこの状況をそれもそうかと受け入れてるおれが気持ち悪いわ」

 「あははっ、慣れって恐いよね~」

 「黙れマセガキ」

 

 ただ変化があるとするならば、このちびっ子が現れた恩恵なのか自分の実力なのか久しぶりに大きな役を貰えたことくらいだろうか。そもそもの話、自分のことだけでも精一杯なのに生まれた意味を考える暇なんてないのがリアルだ。

 

 「・・・だったら顔合わせが始まる前に()()()()()()()でも掴めたらいいね?」

 

 それが逃げとでも言いたげに微笑みながら、目の前の神様は1トーンほど声色を落として核心を突く。全てをわかり切った上での挑発。どうやっておれのことを覗いているかは知らないが、こいつはやはり知っている。

 

 「お前ってお父さんやお母さんとかいるの?」

 「もちろんいるよ。有難いことにお父さんもお母さんも、そしてお姉ちゃんも私に沢山の愛情を込めて接してくれてるよ」

 「お前にもお姉さんがいるんだな?」

 「そう。君とは違って年は離れてるしちゃんと身体に流れる血も繋がってるけどね」

 「なんかお前の神様感がなさすぎて普通に両親とお姉さんがいることにあんま驚きを感じないわ」

 「確かに普通の親とは違うけど、あくまでこの(からだ)は君たち人間と()()()()だからね。触ってみる?」

 「いやいい。触ったらバチ当たりそうな気がする」

 「あれ?神様は信じてないんじゃなかった?」

 「それはそれこれはこれだ」

 

 さり気なくこの神様にも普通に家族がいるというとんでもない事実を明かされたが、いま重要なのはここじゃ・・・

 

 「・・・お前って普通に家族いるんだな??」

 「驚くタイミングそこ?」

 

 と結論(こたえ)を出すことに焦っていた気持ちが時間差で急に冷静になって、同時に冷静さが驚きに変換される。見てくれが人間っていうだけの得体の知れない生命体のこいつにも、普通に家族がいるという。

 

 「だったら聞きたいことがある」

 「言っておくけど手掛かりは私もわからないから教えられないよ?」

 「素直に教えてもらえるなんて最初から期待してないから安心しろ」

 「酷いなぁ」

 

 だったら話は早いと、おれは頭をフル回転させてヒントに繋がる問いを考える。

 

 「ちびっ子・・・いや、神様はその身体に生まれた()()をちゃんと考えたことあるか?」

 

 端からまともな答えが返って来るなんて期待はしない。それでも一縷ほどの望みに賭けて思いついた問いを神様へ聞く。この身体で顔も名前も知らない誰かから産み落とされてから、おれはずっと向き合わずに逃げてきた。

 

 

 

 「朝ご飯はもう出来てるよ」

 

 

 

 芝居と、血が繋がらない上原家が与えてくれる幸せを隠れ蓑にして_

 

 

 

 「・・・少なくとも君よりはちゃんと()()を考えて生きてるよ

 

 不敵に笑みを浮かばせながらそう告げると、神様は取り囲むように飛び回るカラスの群れに紛れて何処かへと消えて行った。結局はほんの微かな期待も虚しく、親父と話す前に何も得られないまま逃げられてしまった。やはり生きる意味は、自分自身で探せということなのか。

 

 「(・・・あのちびっ子にもお姉さんがいるんだな)」

 

 いや、ある意味で言えば有益なものを得られたとも言えるか。




何だかんだ3期もめっちゃ良かった。
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