転生者セイズ・ベルベットの憂鬱   作:エリス

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第35話 期待の新人・真

あれからベル君と(ミコト)とアイシャさんから預けられた首輪も外れた春姫を回収して竈火の館に帰還する道中───

 

(ミコト)は帰ったらお説教ね…」

 

「う!?」

 

「『アンタの探し人の【サンジョウノ春姫】は私も把握しているからこちらに任せなさい』って忠告してやったのに無視して1人で突貫だもんねえ、そりゃあ私だけ違うファミリアだしい?

『信用出来ない』って言われたらそれまでだけどお…はあ散々今まで面倒見てあげたのになあ…そういえばタケミカヅチ様の時と比べると私との稽古の時は若干元気無さそうになる時あるわよね…」

 

「な!?それは!」

 

「『それは』…何?クスクス」

 

「むうぅ~意地が悪いですよっセイズ殿ぉ!」

 

(ミコト)ちゃんまだタケミカヅチ様のこと好きなの?」

 

「春姫殿ぉ…」

 

「周りにバレバレくらいの方があのニブチン武神様にも伝わるだろうから良いんじゃないのぉ?タケミカヅチ様がイケメンなのは疑いようないけど『アレ』だけはねえ…」

 

まあ私にもブーメランらしいけど。

 

「…というかセイ姉もいたんだ…」

 

「まあ完全な別行動だったからねえ、もうあそこに近付く用事は無いだろうけど、暫くゴタゴタするだろうからどのみちあの辺には近づかない方がいいわよ?」

 

「??なんで?」

 

「【ある犯罪組織】と組んでウチに喧嘩売ろうとしていたイシュタルのバカの首を私が獲ってきてから。暫くは主神不在だろうからねえ」

 

「「「ハ!?」」」

 

「後で正式にギルドから発表されるだろうけど…」

 

フレイヤ様に直接何かされたわけでもないから、当然本来は恨みなんてあるはずもなし。勝手に独り相撲で傷付いて、ヒスって大勢巻き込んで、春姫ほどの才能を台無しにする気だったし…マトモに相手してやるのも馬鹿らしい。

フリュネは返り討ちにしていただけだし、本当にフレイヤ様は直接何もしていないのに、だ。神血(イコル)も生理的に嫌だったので回収しなかった。

ホントどこかのリンちゃんくらい可愛気あったら良かったんだけどねえ…多分あっちも素は似たようなんもんだろうけど。

歓楽街の後任の神様どうしよう…性に開放的(オープン)な神格の近い女神様達はイシュタルが送還しまくっちゃったから殆ど残っていないんだよね…私が弱っちい頃に精力的に動いていたから止められなかったのだ。

アフロディーテ様は…面白そうな方だから個人的には興味あるけど魅了無差別にばら撒いてる時点でアイシャさんと相性悪いだろうし…というか歓楽街が落ち着いたらアイシャさんも普通に別ファミリアに行くつもりらしいけど。

 

「あのぅ…セイズ様…助けていただいたのは大変感謝しているのですが…蔵馬様という方はご存知でしょうか…?アイシャさんが『セイズに聞け』って仰ってたので…」

 

やっぱり言及されたか、もうほぼ知らんぷりで通そう。このにぶちん娘が気付く日くるのかねえ…

 

「そんな冒険者はオラリオには居ませんよ…戦闘娼婦(バーベラ)達も冒険者としてその人のこと認識していなかったでしょう、それよりオラリオに残るというのなら次のファミリア決めましたか?」

 

「貴女の力を知ったイシュタルが碌なことを考えなかったように今度こそはきちんとした主神と戦力があるファミリアに貴女を紹介しますんで」

 

「【アストレア】は結構オススメですよ、なんせゴジョウノの出奔娘が副団長を務めていますからね、貴女のことも興味持っていたし、話も合うだろうしさぞ可愛がってくれるでしょう。

ベル君の居る【ヘスティア】は…まあレベル8のお2人が居るからウチの次くらいに安全だし、(ミコト)もいるし、皆仲良いし、普通に優良ファミリアですね。主神はアストレア様と同じくらい信用出来ますし…どうですか?」

 

結局春姫はヘスティア・ファミリアに入ることにした。派閥大戦後のように能力がバレて襲撃しようものならアルフィアさんに消し炭にされるし、もうあんまり心配は要らないだろう。

 

そして竈火の館に帰還したのだが…()()…まあ私の部屋もあるしそう言っても問題ないだろう。

 

「ヘスティア様はなんで怒っているんですか?ベル君が歓楽街まで行ったのは『バカ(ミコト)を追っかけたせい』って言いましたよね?」

 

私の忠告を無視して歓楽街に1人で突っ込んだ(ミコト)は正座させている。膝の上に重石を乗せて。

 

「歓楽街まで行って朝帰りなんて認められるわけないじゃないかいっ!」

 

「年頃の男の子が性関連(ソッチ)に興味持つのは普通らしいですし?処女神のヘスティア様が『そーいう』ことにお固いのは理解りますが、眷属にまで押し付けるのはよろしくないですよ?」

 

「ぐぬぬぬぬ」

 

「部外者は黙ってて」とか言えたらどんなに良かったことか…散々お世話になっているし、そもそもベルも彼女の紹介…というか現団員のほぼ全員が彼女の手引で入団したようなものなのだ。なんならステイタスまで筒抜けだし。

 

「アルフィアくぅん!母親としてキミはどう思うんだいっ!?」

 

「あっズルッ…」

 

アルフィアさんも一応近くで聞いていたが話を振られると露骨に面倒臭そうな顔をする。

 

「ここで私に振るか…私はそもそも【ゼウス】連中相手で男の馬鹿なところは散々見ているしな…」

 

ザルドさんは素知らぬ顔をしているが昔は他の団員たちと一緒に「やんちゃ」していたらしい。まあ男って集まるとバカやりそうなところあるよね…

 

「面倒臭いな…セイズもうお前が貰ってやれ」

 

「ナニを!?」

 

ベルは真っ赤になるだけで弁明は期待出来ない。もうここらで仕切り直すか。

 

「それより【期待の新人】ですよヘスティア様、イシュタル送還ついでに連れてきたんですよ」

 

「まさかまたレベル8とか…?」

 

「お2人は超特殊例なんで…ですが育てれば確実に【人類の切り札】になり得ますよ?」

 

「それほどのっ!?うぅ…唯でさえザルド君達の加入でイジられ易くなったのに…」

 

「ヘスティア様に失礼なこと抜かすアホ神は経済的に締め付けてやってもいいんで遠慮なく教えてくださいね?」

 

「ほら(ミコト)、正座はもういいから別室で待たせた春姫連れてきなさい」

 

「ハッ了解しましっ…足がぁっ…」

 

まあ痺れるよね。重石のせいで膝も痛そうだ。その後は夜にはタケミカヅチ・ファミリアの面々や輝夜も呼んで春姫の歓迎会を(おこな)った。

ザルドさんらは春姫に熱い視線を送っていた。【ココノエ】まで教えているからまあ期待しちゃうよね。輝夜に懐いて「姉様」と呼ぶようになったが、輝夜はほんの少しだけ苦そうな顔をしていた。

例の妹さんのこと気にしているのかな…後ろ暗いことしている実家の「輝夜以上の天才の妹」…か。まあ放置していたら碌な人生にならないだろうな…

「妹さんのことで悩んでいるのなら相談してくれればいつでも力になるから」と言ったら「お前は本当にそういうところだぞ」と言いながら頬をこねくり回された。わけが分からないよ。

 

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