ウルトラマンGATE 超人 彼の地にて、斯く戦えり   作:AGIの素

57 / 58
皆さんマザーの存在に畏怖してますが、普通に宇宙怪獣なので飛行してやってきます!
むしろマザーが来る時は隕石状の卵が山程振り注ぐので分かりやすいですね。光景が余りに終末過ぎて緊急事態感やばいですけど。
マザーは流石に今出せるやつじゃないですよ〜。今はね


それととうとう感想数が1000件を超え、総合評価も1万を突破致しました!皆様のご愛顧あってのことですので、今後もウルトラマンGATEをご贔屓に!

ゼンゼロと大怪獣バトルって需要あります?


傷だらけの心

 

「な、何だあの化け物はっ!??」

 

「馬鹿な、大きすぎる…!」

 

「み、見間違えか…?翼もないのに空からやってきたように見えたぞ…?」

 

 突如現れた宇宙凶険怪獣ケルビム。

 その姿は木々に囲まれた庭園の中でもはっきりと目視出来た。

 むしろ比較対象として木の高さがわかる分、その巨体をこれでもかと主張していた。

 

「クソっ!また怪獣か!」

 

「隊長!あれって…」

 

「…あれは、ボーゼスから送られた絵にあった……。確か、けるびむ…と言ったな」

 

 伊丹と倉田が焦りを募らせる中、ピニャが震えながらも言葉を絞り出した。

 誰よりも先に名前を挙げたピニャに内心驚きつつ、伊丹は檄を飛ばす。

 

「皆さん早く乗ってください!ここにいては危険です!」

 

 しかし、想像を超える脅威を目にした議員達は顔を青褪めさせるばかりで動かない。いや動けないのだ。

 

「な、なんなのだあれはっ!?な、何故あれを見て平然としていられるっ!?」

 

 一人の若手が恐慌からか伊丹に掴みかかるようにして疑問を投げかける。

 

 どうせなら可愛い女の子にしてもらった方が良かったな…。などとどこか冷静な部分で考えながらその両肩に手を置いた。

 

「気持ちは分かりますが落ち着いてください。すみませんが今説明している暇はありません。お互いこの場を生き延びたら後で詳しく解説しますよ。ピニャ殿下らも添えてね。……とにかく、今は貴方方の身の安全が最優先です!どうか焦らず案内に従ってください!」

 

 人というものは、自分たちが恐れ慄く事態の中でも冷静でいられる人間を頼もしく思うものである。

 

 伊丹のその堂々とした態度に少しの安堵を覚えた彼らはようやく恐慌から抜け出せたようで、互いに声を掛け合ってどうにか言葉を受け入れ始めた。

 

 この非常時に適切に人を動かす姿を見た倉田や栗林は、伊丹が「二重橋の英雄」と呼ばれる所以を垣間見た。

 

 部下からの印象が良くなったことなどつゆも知らない伊丹だったが、指示を飛ばして次々と議員達を高機動車に押し込んでいく。

 

 その間、ピニャは腰を抜かしてへたり込む団員へと声を飛ばす。

 

「何をしている!立ち上がれ!そうしていると逃げることすら出来んぞ!それともここで足の裏のシミにでもなりたいか!?」

 

「ひ、姫殿下…。あれが、あれがハミルトンの言っていた… 」

 

「……ああ。カイジューだ。話は聞いているのだろう?まさか話半分にしていた等とは言うまいな?」

 

「そ、そんな滅相もない…!た、ただやはりこうして目にするのとでは…」

 

「………そうであろうな。妾自身、何故こうして立てているか不思議で堪らん。……集めた情報が無駄でないと体感したからか?それともカイジューという恐怖が空想などではないと皆に示せたからだろうか?」

 

 ピニャは冷静であろうと努めていたが、それも一周回ったゆえのものだ。実際に恐怖と虚脱感に襲われている者たちに比べれば行動と思考は出来ていたものの、あまりの出来事に逆にハイテンションとなって余計なことまで考え出してしまっている。

 

 極度の緊張や不安からアドレナリンが大量に出ているようで、典型的な防衛本能の一つだ。

 

「そ、そうだ!先ほどの鉄の筒ならばあの怪物といえど…!」

 

 乗車待ちの若い貴族が先ほどの圧倒的な射程と破壊力を見せた迫撃砲を例に挙げる。一度は取っ払ったそれを再び配置して攻撃を行えば排除できるのではないかと思いついたのだ。

 

 そんな視線を向けられた富田は静かに首を横に振る。

 

「いいえ。あの程度で怪獣が倒せるなら我々も苦労しません。こちら風に言うなら、炎龍に石ころを投げるようなものです。…無駄に怒らせるだけです」

 

「あ、あの程度……」

 

 富田の顔は苦虫を潰した様な表情に歪み、それが偽りなどでないのだと理解した貴族は自衛隊が過去にも同様の存在と相対しているということと、それほどの怪物が襲いかかるという事実に更に身が竦む。

 

 次の瞬間ケルビムは威嚇をするように嘶く。

 

 その何処か不安を煽る雄叫びは再び彼らへと襲いかかる。

 そして離れた位置からは女子供の甲高い悲鳴が沸き起こった。

 

 そこでようやく彼らは思い出した。

 

 先ほどの会場にまだ家族や親類が残されていることに。

 

「つ、妻がまだ残っている…!」

 

「跡取りが…息子がいるんだ…!」

 

「た、頼む。妻と娘だけでも乗せてはくれないか…!」

 

 彼らとて全員を乗せろなどと無茶なことは言えないし、物理的に不可能なことは分かりきっている。

 

 だからこそ無理を承知で頼み込むが、自衛隊側としても容易に首を縦に振ることは出来ない。

 

 非常に残念なことだが、場合や条件によって人の命には差がついてしまう。

 今回最も守らなければならないのは、日本と講和の意思がある帝国重鎮達の命だ。

 

 助けられるだけの台数や時間があれば一も二もなく助けに動いたであろうが、残念なことに高機動車は議員らを乗せるだけでいっぱいだ。

 

 仮に詰めたとしてあと数人加わるかどうかと言った程度。

 

 そんな要望を一つ聞けば、自分も私もと際限なく要求は増すことだろう。そんなことをすれば高機動車の限界を超えて逃げられるものも逃げられなくなる。また、仮に少数を厳選すれば叶えられた者とそうでない者に深い禍根を残すこととなる。

 

 自分に近しい者の安全を願う気持ちは誰もが痛いほど理解できるが、その願いを叶えることは不可能だった。

 

「何もこんな大事な時に来なくても…」

 

 伊丹は顔を大いに歪ませてケルビムを睨みつける。

 そんな時だ。ピニャが意を決したように伊丹へと言う。

 

「イタミ殿、どのみち我ら全員は乗れないのだろう?妾は騎士団を連れてあちらに戻る。残してきた馬があるのだ。それに園遊会の者たちの避難を急がなければいけない。あちらにも人はいるが、まともな対応など出来ないだろう」

 

 その提案は一見マトモに思えるが、ピニャの顔は極度の興奮で紅潮しており瞳孔は大きく開き口端は小刻みに震えている。

 

 拙いな。

 

 そう伊丹は感じた。

 

 「冷静か?」と問えば「当然だ!」と返ってくるであろうテンションだが、これではいつ折れるか分かったものではない。

 

 次第に鎮静化していくならともかく、何かきっかけがあればあっさりと折れてしまいそうな有様だ。

 

 加えて、ピニャによって何とか冷静さを取り戻した団員たちは、その支柱たるピニャが折れれば連鎖的に混乱に陥ってしまうだろう。

 

 正直な所あまりGOサインを出したくはないが、さりとてその内容自体は正鵠を射ているし、ピニャ達自身も高い地位にいる。

 

 否定することも難しく、伊丹は悩んだ挙句ピニャについていくことを決めた。

 

「ちょっ、隊長!?」

 

「悪い!でもこの状態の殿下達だけをいかせるわけにもいかないでしょ。実際問題向こうに残された人たちや部下だっているしさ!危険が迫ったと思ったら指示を待たず出発しろ!俺は待たなくていい!」

 

 驚愕の声をあげる倉田達にそう返し、伊丹は踵を返すのであった。

 

 

 

●●●

 

 

 

 急いで戻ってみれば、園遊会の会場は予期していた通り阿鼻叫喚の巷と化していた。

 

 残った者たちの性質上女子供が多いため、余計にそれが顕著に表れたのだろう。

 

 すっかり怯えて腰を抜かした中年貴族。自らの娘を抱いて顔を背ける婦人。泣き出す子らや思わず失禁してしまう者などもいた。

 

 メイド達もこの場にいるのは亜人種でなく人間種が殆どだ。あたふたと右往左往し、時に蹲って祈るそれらを老メイド長が必死に舵をとろうとするも、やはり目前に未知なる脅威が迫ってきている最中ではあまり意味はない。

 

 伊丹の部下で今回の園遊会においては料理人として参加していた古田は比較的に冷静であったものの、彼一人の声ではこの場を収めることなど出来ない。

 

 そんな混乱の最中に伊丹とピニャ率いる薔薇騎士団の団員たちが現れた。

 

「皆の者落ち着け!冷静さを失うな!」

 

「家族連れの方は家族や子供を看てあげてください!一人でいる方には声をかけて!ここから避難します!」

 

 躍り込んできたピニャらと伊丹の叱責はよく響く。

 その声に一瞬注意を向けた貴族たちの前に薔薇騎士団が対応することで意識を向けることが出来た。

 

 それを好機と見なした老メイド長もまたその流れに乗っかってメイドやその近くに集まっていた子供や婦人の方向性を一つに向ける。

 

 未だ騒然としているも、無秩序で混沌とした逃走劇はどうにか防げた。

 

 しかし、次の瞬間ケルビムは高く嘶くと耳を大きく開いて口から3000℃の火炎弾「弾道エクスクルーシブスピット」を吐き出した。

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

「きゃああああっ!??」

 

 その着弾の衝撃は凄まじいものだった。

 

 ケルビムの放つ火炎弾は着弾した木々を物理的な破壊力で以て吹き飛ばし、灼けた木片が周囲へ散らばった。

 

 普通、火炎というものはそれ単体では大きな力を持たない。

 何せ炎というのは実体を持たないのだから、噴射の勢いに押されることはあっても炎によって吹き飛ぶことはない。

 

 無論燃焼や急激な圧力変化が起こることで衝撃を伴う爆発が起きることもある。

 

 だが、帝国は火山などのガスや高熱源は近くになく、また科学技術も発展していないため爆発というものにとんと耐性がなかった。

 

 しかしその視覚的、本能的に訴えかける危険性は「何か分からんがまずい」と認識させた。

 

 この場に耳のいい亜人がいないことは不幸中の幸いだったのだろう。

 

 戦士でない者であれば、ケルビムの恐怖を煽るような恐ろしい見た目。地獄の釜を開いたかのような不快な雄叫び。迫る大質量の振動。爆音と炎による焦燥。

 

 その全てを感じ取って余計にパニックに陥る可能性があったからだ。

 

「不っ味い…!ここじゃ火が回るぞ!」

 

 伊丹は悪態をつく。

 

 そう、ここは自然豊かな庭の一角にあり、周囲は森のようになっている。

 ケルビムの火炎弾により多くの木々に火がついてしまい、避難経路が大幅に制限される。

 

 一つの森とも言える広大な土地であるのが災いした。このまま反対側に走った所で、火が回るほうが早い。

 

 それから逃れるには木々の中から脱する他ないが、こちらには子供たちや夫人たちなどを大勢抱えている。

 

 薔薇騎士団を筆頭とする乗馬の心得がある者はどうにか逃げられるかもしれないが、とても全員をカバーできない。

 

 ピニャの様子も不安だ。

 

 不安と恐怖からパニックに陥っている人々からすれば頼りになる人物として見えているかもしれないが、横で聞く伊丹はその発言に同じ文言が何回か出て来ていたり、口調もどこかあやふやだと気づいた。

 

 正直無理ゲー。そう心の中で悪態を吐きながらも、しかしやらなければ皆諸共死ぬだけだ。

 

 講話派の議員ら方は逃がすように言ったとはいえ、流石にその親類や第三皇女たるピニャが亡くなったともなれば問題だろう。

 

 だからこそ、少しでも可能性のある道を探すのだ。

 

「川沿いを目指してくれ!窪地になっているそこなら煙と火災もやり過ごせる!」

 

 とはいえ目下の脅威であるケルビムという問題は残っている。

 既にこちらに目が向いているが、注意をそらしてくれるような友軍にも期待できない以上はあちらが見失ってくれることに賭けるしかない。

 

 伊丹の指示に慌てて従う彼ら彼女らを見送る。

 

 貴族らを薔薇騎士団と共に行かせて、伊丹とピニャ達は全員の避難ができ次第後を追うつもりだ。

 

 ピニャがあちこちに指示を飛ばし、自身も一人の子供を古田に預けた所で、ケルビムに目を向けると伊丹は血相を変えて叫ぶ。

 

「っ不味い!」

 

 少し目を逸らしている隙にケルビムは耳を大きく開き、口から火球を吐き出そうとしていたのだ。

 

 狙いは先ほどよりも遠方――つまりここだ。

 

 しかも他の面々は逃げることや避難指示に必死で気づいていない。

 

「全員伏せろぉーっ!!!」

 

 伊丹の怒号が木霊する。

 それにハッとした全員が少しでも生き残るべく咄嗟に地面に倒れ込む。

 

「うわぁぁぁぁ!」

 

「きゃああああっ!??」

 

「ぐうっ!?」

 

 ケルビムの火球が大地を襲う。

 

 とてつもない轟音と衝撃に揺さぶられ悲鳴が上がる。

 

 誰もが咄嗟に動けない中伊丹は顔を上げて状況確認を最優先に行った。

 

「状況はっ!?」

 

「こちらは全員無事!負傷者いませんっ!」

 

 その呼びかけに古田が即座に反応する。

 

 どうやら賓客達は無事らしいと判断して、伊丹は自分達と行動していた薔薇騎士団を一瞥する。

 

 皆が蹲ったり衝撃で暴れる馬から落馬したりとあったが、致命的な怪我を負っている者はいない。

 

 しかし、肝心のピニャがいない。嫌な汗を噴き出しながら目を左右へと凝らし、自身の頭上に影が差したことで咄嗟に上を向く。

 

「まさかっ」

 

 空から放物線を描いて飛ぶ人の影。

 

 その赤い髪と同色のドレスは紛れもなくピニャ・コ・ラーダその人であった。

 

(不味い…!あの高さで頭から落ちたらまず死ぬ…!受け止める?いや、だがそれで無事な保証も…俺も巻き込まれてお陀仏だ)

 

 高速での思考を回して考えながらも、何もしなければ死ぬだけだと思い一か八かで落下予想地点に体を滑り込ませる。

 

 生きるか死ぬかの瀬戸際。迫る人体をはっきりと目に捉えながら伊丹は地球に残した元妻の後輩の顔を想起して―――。

 

 

「ディアッ!」

 

 

 目の前に現れた光と声に歓喜する。

 

 逃げ惑う彼らの頭上を覆うように大きな影が差す。

 

 それは予想に違わず銀色と青色の体色を持ち、伊丹とピニャの間には大きな手が挟み込まれて優しく受け止められていた。

 

「ウルトラマンノヴァ!」

 

 青い巨人。ウルトラマンノヴァが姿を現した。

 




あ〜。何か宇宙竜出したい気になってきた。

あと感想評価はいつになってもありがたいので送られれば狂喜して続き描くのが早くなるかもです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。