星雲からの使者   作:完全にわかのバカ野郎

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 多分有ったら駄目な武具がゴロゴロと有る。


七十四話

「はい此処。好きなの選んで良いよ」

「なんだよコレ……」

「壮観だな」

「凄まじい武器ばかりですね」

「そんなになのか?」

 

 話し合っているとカツカツと音を立て誰かが近づいてくる。

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「トール様が管理する武器だもの当然よ」

「お、レイナース。元気そう、だな……。なんだその装備」

「トール様が下賜してくださった装備よ」

 

 上から下まで一目で『ヤバい』と感じる装備を着けているレイナースを見て言葉を失った。

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「私は呪いが解けた結果弱くなったわ、でもトール様の下で鍛え、装備を下賜してくださった。その結果以前の私以上に強く(レベルアップ)なったわ、だからどうかしら、貴方達もトール様に仕えてみるのは」

「駄目だ駄目だ、そんな事はオレが許さん」

「別に奪わないよ」

「あー、取り敢えず武器を選んでくるわ」

「なんでも良いよー、お金払うのジルだからね」

 

 

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 フールーダが杖を吟味しているとバジウッドが「俺はコレにするか」と決めて、それに続きニンブルも「私はこの槍にしよう。長さ、重さ共に最高だ」。と、決める中フールーダは未だ決められずにいると今度はナザミが「陛下には悪いが俺はこの二つの盾にしよう。少々重いが頑強さが気に入った」と三騎士が決め終わる。

 しかし、フールーダは慎重に選び一つの杖を手にした。

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「中々に良いもの選んだね」

「トール」

「はいはい。

 じゃあ先ずは……フールーダから説明しようか。

 フールーダが選んだのは『果てなき銀河の杖』。神恩(ギフト)は三体のエレメンタルモンスターを召喚できる。訓練場で試そう、此処じゃ狭いし危険だからね。

 次は君、長剣を選んだ君だ。君が選んだのは『夜と炎の星霜(セイソウ)剣』、神恩(ギフト)は説明するよりした方がいい。何ができるのかはフールーダ同様後で確認しよう。

 じゃあ次は槍を選んだ君だね、君の武器は『串刺公(くしざしこう)の捻鉈(ネジヘビ)槍』それも後で使おう。

 最後は盾を選んだ君だ。君の盾は『聖樹紋の大盾』、籠められている神恩(ギフト)は『無敵(インウルネラービリス)』と『聖域(サンクトゥアーリウム)』。それは此処で使っても問題ないけど……念のため訓練場でしよう。じゃあついてきて」

 

 

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「じゃあ長剣の君からだ、使い方は武器に意識を向ければできる。とは言えどうやればいいか分からないだろうからヘッケラン、手本を見せてあげて」

「さっきので疲れてんだよな」

「アンタのが一番分かりやすいんだからいいからやる」

「分かってるっての。ふぅー……猟犬の歩方、ローレッタの斬撃!」

 

 一瞬の出来事を見てバジウッドが「ウッソだろ」の言葉を漏らす。

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「これで使い方は分かったでしょ? やってみて」

「じゃ、俺からいきますかね! ………彗星!」

 

 切っ先から魔力の砲撃を放ち、よろめくドス・ランポスに接近し炎を纏った回転攻撃で斬りつけ丸焼きにして両断する。

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「うお! マジか! しかもなんだコレ、体が勝手に動いたぞ!」

「そう言うモノなんだよ神恩(ギフト)は」

「ああなるよな」

「なるのが当然よ」

「そうですね、ならない方が可笑しい」

「ははは……」

 

 バジウッドの一連の連劇を見て「これが………交易共通白金貨50枚で買えるのか……」と呟く。

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「凄いな、あんな武技は見た事が無い」

「武技じゃなくて神恩(ギフト)だからね。で? 次は誰がいく?」

「私がやろう。……メスメルの強襲!!」

 

 途端に飛び上がり回転しながらドス・ランポスを斬りつけ、背後に回り連続突きをした後槍を地面に突き刺したら複数の槍が地面から出現し串刺しにする。この一連の動きを自分の意思とは関係なく勝手に体が動いた。

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「本当に、体が勝手に動いた」

「それが神恩(ギフト)だよ、慣れれば自分の意思で動かせる様になるから。じゃあ次、ちゃっちゃかいこう」

「俺のは盾なんだが……何ができる?」

「ああそうだったね、使い方自体は変わらないよ、違うのは自分にだけではなく他者にも掛ける神恩(ギフト)。

 一つは分かりやすいからそっちから使おうか。盾に意識を向けて『無敵(インウルネラービリス)』を使ったらランポスに近寄って、そうすれ意味が分かるから」

「分かった、やってみよう」

 

 目を閉じ盾を構え唱える。そしてそのままドス・ランポスに近づき攻撃を防ごうとするが、「ストップ」の声が掛けられ体が止まってしまい無防備に爪で引っ掻かれるがナザミには傷一つ無かった。

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「放つフォース(ヴィス・エミッサ)」

 

 二撃目が振りかざされた時オルトが魔法を使い吹き飛ばす。

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「今のが『無敵(インウルネラービリス)』使用者を数秒間無敵(・・・・・)になる。何を受けても微動だにしない神恩(ギフト)だ、慣れれば時間も長くなるから頑張ってね」

「無敵……だと? あり得んだろう、そんな事」

「君達の尺度で計らないでよ、はいはい次やるよ次。次は君だけではなく、周りの仲間にも効果が現れる神恩(ギフト)だ他の三人も近づくといい」

 

 そう言われナザミに近づきナザミが「それでどうすれば?」と問い掛けに「やり方は変わらない、意識するといい」と返し「分かった」と言い戦技を使う。

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「聖域(サンクトゥアーリウム)……」

 

 するとナザミを中心に魔方陣が広がり輝き効果が発動する。が、効果が分からず困惑していると「その神恩(ギフト)は『35秒間、聖域を展開する。聖域内では周囲の味方含め約1秒ごとに怪我を回復させ、全属性の防御率20%上昇。

 尚且つ聖域外でも約3秒程効果が持続する』、仲間が居る前提の神恩(ギフト)だよ」の言葉が掛けられる。

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「仲間が居る前提の神恩(ギフト)………成る程、俺にピッタリな神恩(ギフト)だ」

「確かにコレが使えればフールーダが安全に魔法を使わせる事ができるな。となると、だ。フールーダの神恩(ギフト)が気になるな」

「フールーダの杖は純粋なモノだよ」

「トール様、どのような事ができるのか教えてくださいますか」

「フールーダの杖に宿る神恩(ギフト)は『三体の異界の精霊神を召喚する』それだけだよ」

「精霊……神。あり得ない……。そんな事が……」

「いいから使いなよ」

「は、はい。…………!!」

 

 フールーダの回りに浮かぶ魔方陣と数分間の詠唱。すると周囲の気温が急上昇し「ウルカヌス・クー!」の言葉と共に炎の巨神が現れ、ドス・ランポスの周りに幾つもの火柱が立ち上ぼり太陽がごとき火球が落ち、その場には塵一つ残っていなかった。

 ━ぼうだのごとく

「今のは火の巨神『ウルカヌス』、そして字(あざな)は『クー』。位階は第八位階(・・・・)だ」

「は、八位階魔法………。この私が第八位階魔法を使えるのか……おお神よ」

 

 滂沱の涙を流すフールーダを冷めた目で見ながら「こんな感じ、買う? 盾はニコイチにしてあげる、だから交易共通白金貨200枚だね」と言うと「勿論だ、喜んで払おう」の言葉に「毎度あり」と返す。

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「なあトール」

「なにー」

 

 書類仕事をするオルトに声を掛け「お前が育成する兵士達はいずれ帝国一の兵になる」の言葉を言われ「だろうね」と返し、続け様に「それがどうかした?」と聞くと「墳墓の主と和平を結びたい」と答えられる。

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「攻め込んだのに?」

「だからこそだ」

「何かあったんだ」

「マジックアイテムを持ち帰ってきた娘は廃人になっていた」

「それで」

「うわ言の様に『天使様』と繰り返し呟いていた」

「墳墓に天使(エンジェル)か不釣り合いだね」

「真偽は定かではないが蜘蛛の怪物と戦っていたら天使(エンジェル)が現れ止めたそうだ」

「墳墓に現れた天使(エンジェル)、しかも墳墓の側の存在であろう蜘蛛の怪物を止めた天使(エンジェル)か」

「もしその天使(エンジェル)が墳墓の主の敵なら味方にしたい」

「その天使(エンジェル)とやらが墳墓の仲間ならどうするの?」

「蜘蛛の怪物を止めた天使(エンジェル)が仲間と言うのは考えづらい」

 

 羽ペンを揺らしながら「その天使(エンジェル)は蜘蛛の怪物がやり過ぎたから止めただけかもしれないよ?」と言うと歯軋りをしながら「可能性は0ではないな」と苦々しく呟く。

 ━

「それでもこちら側に近いのも事実だ」

「それは否定しない。もし仲間だとしても止める時点で人間種に悪感情を抱いていない、或いは情けの様なモノを抱いているかもね」

「そうだ。味方につけられれば、イヤ、こちらに少しでも傾けられればそれでいい」

「ま、頑張ってよ」

「ついて来ないのか?」

「メンドイし竜王国行かなきゃ駄目だから行かない。ただでさえローブル聖王国に行けないのに墳墓に行く暇なんて無いよ」

「そう、か。お前が居れば心強いんだが……なら、だ」

「連れてくならシェロかな。シャナはそう言った事には向かない、あの娘は生粋の戦士だからね」

「そうか、お前の仲間が一人居るだけでも心強い。少なくともバジウッド達より強いからな」

「ついていくかはシェロ次第だよ。ま、その程度で済めばいいけどね」

「どう言う意味だ?」

「じきに分かるさ」

 

 

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「と、聞かれたんだが」

「ついていくのか、ついていって中に入るのかは君に任せるよ」

 

 目を閉じ逡巡し「外までついていこう」の言葉が出る。

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「理由は?」

「我々は今回の襲撃に参加していない、その上今回の事にも手を貸さなければ色々と不満が噴出しても可笑しくない」

「そう、君がそう判断するのならその考えを尊重しよう」

「良いのか?」

「僕(私)だって色々と考えてるさ、面倒なのはアレだけど竜王国に行かなきゃならないのは事実。

 とは言え今回誰も行かせないのは悪手でもある、だからと言って僕(私)達の方から同行を持ち掛けるのも駄目だ」

「それは何故かね」

「王配(おうはい)でもあるけれどこの国の貴族で、しかも侯爵ときた。その貴族が国の命運を左右する状況を無視するのはよろしくない、しかし、前回の作戦を知っているだろう侯爵(人間)が今更口を出すのは駄目だ」

「何故だ、知っている者だからこそ手を貸すんじゃないのか?」

「美味しいとこ取りする奴は好きかい?」

「成る程そう言う事か」

「そう言う事だよ。だからジルからの協力要請を受けた上で僕(私)の名代(みょうだい)を送る方が角が立たないんだ」

「つまり私が行く事は決定事項だと」

「イヤ、君は本当にどっちでもいい。

 名代(みょうだい)は送るけど送るのはディラシグだ、何事にも順序やポーズというのは重要なんだよ。そしてそれをジルは分かった上で聞いてきた。いやはや、賢王にも程がある。困ったものだね」

「だがもう一人の君である彼女を連れていく事こそ大丈夫なのか?」

「中に入らせないか途中で離せばいい」

「そう、か……。しかし君も中々に食わせ物だな」

「腹芸は得意でね」

「らしいな。では私は……イヤ、私ともう一人の君と共に彼らに同行をしよう」

「よろしく」

 

 

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「トール! トールは居るか!!」

「一足遅かったわね」

「ディラシグか! まさかトールは……」

「竜王国に行ったわ」

「クソッ!」

「穏やかじゃないわね」

「当たり前だ! これが穏やかでいられるか!」

 

 怒鳴り散らすジルクニフにタメ息を吐き、「大方の想像はつくけど何があったのかしら」と聞き「謎の遺跡の主……ナザリックなる者らから使者が来た」の言葉と共に頭を抱える。

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「トールの言った通りになったわね」

「トールは気づいていたのか!!」

「みたいね」

「何を言っていた」

「『侵入された側が莫迦じゃない限り責任追及をしてくる、その内使者でも来るんじゃない?』だって」

 

 項垂れ「分かっていたのなら何故教えてくれなかった」の呟きに「貴方なら気がつくと思ってたのよ」と返ってくる。

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「普段の貴方、賢王たる貴方ならコレくらい事を気づけた筈よ」

 

 そう言われ言葉を失い沈黙し「そう、だな。普段のオレなら気づけていた、持ち帰られたアイテムに気を取られてすぎていたな」と呟いた。

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「それで? どうするのかしら」

「どうもこうもないだろう。ディラシグ」

「安心しなさいな、付いて行くように言われてるわ」

「助かる」

「貴方の好奇心が大事(おおごと)になったわね」

「言わんでくれ。…………そうだ、なあディラシグ」

「貸し出し?」

「そうだ、防具の貸し出しを頼めるか?」

「トールからの許可は貰ってるわ、好きなだけ持っていきなさいな。その代わり」

「賃料は払う」

「特別価格で安くしてあげるわ」

「助かる」

 

 

 

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 領地特産のハーブや薬草を混ぜた葉煙草を吸っているとフワリと一枚の紙が天井から落ちてくる。

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「【我が主(マイ・マスター)、お待ちしておりましたぞ】」

「別に待ってなくてもいいのに、それで? そっちはどうなったの」

「【ええええそれはもう驚天動地の大騒動に御座います】」

「だろうね。でさ、そっちには誰が行ったのさ」

「【小世界(エリア)からウッドワス殿が】」

「行かせちゃ駄目な奴じゃん」

「【ですので大勢の者が死んだとか】」

「だろうね、で?」

「【勿論主(マスター)のご要望通りに】」

「じゃあ謝罪を?」

「【それが真逆でして】」

「うっわーあの国がやりそうな事をしてくれる」

「【ですが想定通りなのでしょう?】」

「あの国の貴族ならやりかねないと思ってたからね、正直驚きは少ない。でも普通やるかね」

「【あの国は隠そうともせず兵士を投入してきましたからな】」

「莫迦だよねー兵士送って来るとか莫迦じゃんって思ったよね」

「【だからこそ呑み込むのでしょう?】」

「あの国はこの世界の癌細胞だ、切除するのは当然の事だよ」

「【如何(いか)様にしてなさるので?】」

「じきに分かるさ」

「【左様に御座いますか】」

「…………あの国にはまだ残ってる」

「【何がですかな】」

 

 その問い掛けに笑いながら「悪魔だよ」と答える。

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「〖上手くいったらしいよ〗」

「〖それは良かったです、どうなるんですかね〗」

「〖なるようにしかならないさ〗」

「〖オルトさんは法国に行くんですよね?〗」

「〖森妖精(エルフ)の事でね〗」

「〖どうするつもりですか〗」

「〖んー、僕(私)の機嫌次第〗」

「〖更地にならない事を願ってます〗」

「〖しないよ、多分。ま、お互い頑張ろうか〗」

「〖はい。本当に更地にしないでくださいね?〗」

 しないよ、多分だけど

 

「〖そうならない様にするよ〗」

 

 

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 ドラウディロンが用意した竜王国の馬車から顔を出し「此処が法国、ね。如何(いか)にもな宗教国家だね」と呟くと、隣で馬に乗る牛若丸が「何者かが来ます」と鋭く返し「衛兵かなにかでしょ、斬っちゃ駄目だよ」との忠告をすると心なしか悲しそうに返事をし、会話をしていると衛兵らしき男達が「何者か!!」と叫ぶ。

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「私(僕)は竜王国王配(おうはい)、『トール・インシュリフト・ギットゼン=オーリウクルス』。竜王国女王ドラウディロン・オーリウクルスの名代(みょうだい)として法国へ参った!」

 

 衛兵達がザワザワとし始め衛兵の一人が門へと走り中へ入り何かを使い誰かと連絡をしている。

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「り、竜王国王配(おうはい)殿下トール・インシュリフト・エル=ギットゼン様、お通りください」

 

 

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「六つの塔に六つの異なる飾り、内一つは丸十字……アレはケルト十字架か。だとするとあの老婆が言っていたのは死の恐怖(スケィス)だな。

 つまりはなんだ? 天使(エンジェル)の僕(私)は薄明の碑文(エピタフ・オブ・ザ・トワイライト)でも使ったのか? この国にはどこまでの八相を知っているのかが問題だな」

「斬りますか?」

「斬らない」

 

 

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「随分と辺鄙な所ですね」

「此処へお連れする様にと」

「そうか、ご苦労。ああそうだ、コレをあげるよ」

「これは?」

「ただの褒美さ、持っていれば疲れが癒される」

「あ、ありがたく拝領いたします竜王国王配(おうはい)殿下」

 

 見えなくなった事を確認して「シャナとの分断にこんな場所、明け透けだな」と呟き「でも、大丈夫かね」とボヤく。

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 郊外にポツンとあるそれなりに(・・・・・)立派な建物に案内され待っていると40代半ばの男が現れた。

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「ようこそおいでくださいました竜王国王配(おうはい)殿下」

「どちら様で?」

「私は軍事機関の最高責任者をしておりますアスヌゥ・ガンサ・グタニィエスィと申します。

 エイヴァーシャー大森林攻略を担当している者でございます」

「成る程、貴方が森妖精(エルフ)を殺し回り、捕まえ、奴隷にしている張本人か」

「言葉を変えればそうなるのかと」

「では率直に言おう。今すぐ森妖精(エルフ)侵攻をやめてもらいたい」

「それが目的で来られたのですか?」

「それ以外に何がおありで? 見ての通り私(僕)は森妖精(エルフ)です。

 同胞が殺され、捕まり奴隷にされる事に怒りを覚えても可笑しくありますまい」

「お言葉ですが事の発端は森妖精(エルフ)の王にございます」

「何? どう言う意味だ」

「我々法国が森妖精(エルフ)と戦争になった理由は『エルフ王デケム・ホウガン』による『法国の最高戦力の拉致・監禁事件』にございます。故に我々は被害者なのです」

「戦争の理由は分かった、だがイコールとして森妖精(エルフ)を殺す理由足り得ない、森妖精(エルフ)を奴隷にする理由足り得ない。

 理由を述べよ、事と次第によっては私(僕)は……竜王国は法国に宣戦布告する準備は整っている」

 

 目を閉じ沈黙し開いた口から出た言葉は耳を疑うモノだった、とてもくだらない理由だった。それは『森妖精(エルフ)国への弱体化工作』と言う身勝手極まりない理由だった。

 ━

「それだけか? それだけの理由で森妖精(エルフ)を殺し捕らえ奴隷にしたのか?」

「今の我々に残された手段はソレしかないのです、我々は長年森妖精(エルフ)国と戦争し疲弊しております。故に可能な限り森妖精(エルフ)国の戦力を削り、我々に有利な状況を作りたいのです」

「それが森妖精(エルフ)の奴隷化か」

 

 芝居でありながらも、若干の本音が混じり無意識の内に叫んでいた。

 ━

「よろしい、ならば戦争だ。我が竜王国は貴様らスレイン法国に宣戦布告をする。首を洗って待っていろ」

「我々は竜王国と事を構えるつもりはございません」

「ならば貴様らは何を差し出せる」

 

 長い沈黙。口を開いては閉じを繰り返し遂には口を開き「我が国の神器、『黒曜のラーミナ(ラーミナ・オブシアーナ)』を差し出しましょう」と言葉を絞り出す。

 ━

 黒曜のラーミナ(ラーミナ・オブシアーナ)? ソレ僕(私)が造った武器じゃん、何か残したんじゃないかとは思ってたがソレを残したのか? 天使(エンジェル)の僕(私)何も言ってなかったし、んー…………。あ、あるわ置いてってるわ。興味無かったから捨て置いたのか………後で全部確認するか。

 確かにラーミナは強い、何せ神器級(ゴッズ)の武器だ、だがそこまでの戦技を付けてていない………どんな戦技を付けたヤツだ? そのままか? それとも変えたヤツか? 変えても変えてなくても付帯効果は中々に厄介だ。

 どうする、それで手を打つか? だが裏を返せば黒曜のラーミナ(ラーミナ・オブシアーナ)より強い武器を持っているともとれる。これで手打ちにするか、それとも戦争を吹っ掛けて神器を根こそぎ持っていくか…………悩みどこだな。………もし、もし猟犬の歩方や死角の一撃でも付たヤツなら更に厄介な武器になる。

 

 長い沈黙を見て満足したと思ったのか「では黒曜のラーミナ(ラーミナ・オブシアーナ)をお持ち致します」と言われすぐさま「待て、その程度の武器で私(僕)が満足するとでも?」と返す。

 ━

「ですが長い間考えておられました、それは満足した………と、言う事ではありませんか?」

「まさか、竜王国には至宝が存在する事をお忘れか?」

「……女王陛下の始原の魔法(ワイルド・マジック)ですかな?」

「そうだ、ソレを使えばこの国は一瞬にして滅びる」

「使う為に必要なモノ(・・)はどうやって用意するのですかな」

「この国のモノを使えばいい、そうすれば竜王国に被害は及ばない」

「現実的では無い事はお分かりの筈ですが……それでもなされるのですか?」

「用意できる。と、考えられないので?」

「それでも非現実的でしょう」

「もう一度言おう。私(僕)であれば用意できると言ったら?」

 ラディに聞く限り魂とやらは僕(私)達で言う経験値の事だろう、であればEXPクリスタルを使えば発動は可能だ。

 ラディ曰く『もし使えたらビーストマンの軍勢を壊滅させられる』と言っていたし法国を潰す事もできるだろう、それは法国も警戒している筈だ。さあ下道、どうでる。

 

「その様な事は夢物語でしょう」

「そうか、ならば交渉決裂だな、竜王国との戦争の準備をしておくといい。最も、森妖精(エルフ)との戦争で疲弊している貴様らが勝てるとは思えんがな」

「残念で仕方ありませんが、準備をしておきましょう。ですが……」

「なんだ」

「此処から帰る事ができるのであれば……の、話ですが」

「私(僕)を脅すか? ビーストマンの軍勢を壊滅させた私(僕)に貴様らが相手になると思うのかね」

 

 会話をしているその時に部屋に入ってくる。

 ━

「呼んだ? 森妖精(エルフ)の方で忙しいんだけど」

「法国を滅ぼさんとする愚か者が此処にいます。殺しなさい」

「コイツの事? 誰コイツ」

「竜王国の王配(おうはい)殿下だ」

「例の噂の人か、いいの殺して」

「構わん。この男を殺せば竜王国は我々に降るしかない」

「ふーん。じゃあ殺そうか、死んで」

 

 そう言い手に持っていた大鎌を振りかざしオルトへと襲い掛かり振り抜こうとするが紙一重で躱され「へぇ、躱されるとか初めて。アンタ強そうだね、愉しめそう、だから簡単に死なないで」と言ってくる。

 ━ 

 やっぱりもっと厄介な武器が有ったか、アレは僕(私)が造った死出鎌・(シデガマ・)観音掌(カンノウショウ)。ならあのアビリティがある、攻撃を受けるのは訳にはいかないから遠距離から斃そ………捕まえて洗脳するか? にしても何故もう一つ戦鎌(ウォーサイス)を背負っているんだ? それにどこか見覚えが……。

 道具中位鑑定(ミドル・アプレイザル・マジックアイテム)………分からない? となると神器級(ゴッズ)か、要警戒だな。現段階での問題点は何故神器級(ゴッズ)を二つ持っているのかだが、もう一つの戦鎌(ウォーサイス)現状分からないので保留。

 そしても一つの観音掌(カンノウショウ)だが誰が渡した? アレは僕(私)が造って僕(私)が死蔵した武器、何故あの女が持っている。天使(エンジェル)の僕(私)は何も言ってなかったぞ、そもそもなんで使わない武器をもってんだよ、そうだよ僕(私)だからだよチクセウ。

 ……つまり未完成品か、警戒するのは当然だがアレ以外のアビリティはつけてない、と。まあそれでも要警戒だけど。

 

「二重最強化(ツインマキシマイズマジック):放つフォース(ヴィス・エミッサ)、魔法最強化(マキシマイズマジック):輝石の大つぶて(グランディス・ピロクセヌス・スキルプス)」

「無駄」

「その様だね、じゃあじゃんじゃかいこうか。防いでみなさい、魔法四重化(クアドラプレットマジック):渦巻くつぶて(トゥルビニス・ラピス)」

 

 計八つの渦巻く輝石のつぶてが謎の人物へと襲い掛かり、しかし襲撃者は『可能性知覚』で危険性を理解し『超回避』をすぐさま使い避ける。そして『疾風走破』を用いオルトに近づき鎌を水平に構え引き絞り胴体を両断せんと振り抜く。が、オルトは次元の移動(ディメンジョナル・ムーブ)で離れ『魔法二重化(ツインマジック):ハイマの大槌(マレウス・ハイマ)』を振り下ろす。

 結果、襲撃者との戦闘が数分続き会談の場だった部屋は壁が壊れ、屋根が吹き飛び原型を留めていなかった。

 ━

「貴方、強いのね」

「そう言う君こそ強いじゃないか、ここまで愉しめたのは久しぶりだ」

「残念だわ」

「何がだい」

「私は貴方を殺さなきゃいけない。もし貴方が仲間なら子供を作ったのに」

「ははは、面白い事を言うね。僕(私)を殺すと言ったかと思えば子を作りたいか、だが君は勘違いしている」

「何が?」

「君風情が僕(私)に勝てると思い上がっている事だよ」

「私は貴方を殺せるわ、私は番外席次の『絶死絶命』。誰であっても私を殺せない」

「そうか、なら僕(私)が初めの一人で最後の一人だ」

 

 目の前に立つはスレイン法国最高戦力の番外席次『絶死絶命』、その手に持つは死出鎌・(シデガマ・)観音掌(カンノウショウ)。そして背中に道具中位鑑定(ミドル・アプレイザル・マジックアイテム)では見破れない背負うもう一つの武器。

 オルト推定神器級(ゴッズ)武器全てが不明である目の前の存在に警戒レベルを数段階引き上げ捕らえる事を第二にし、排除を第一にする。

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 もしかしたら神恩(ギフト)の漢字が変わるかもしれない、なんか違和感あるし。

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 当作品では戦技変更不可の武器でもユグドラシルではレシピを基に造るので戦技を変えられる事にしています。それにその方が面白いですし。
 死出鎌・(シデガマ・)観音掌(カンノウショウ)は.hack//G.U.に出てくる武器で基本アビリティはダイイングです、ヤバいですね。
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