星雲からの使者   作:完全にわかのバカ野郎

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 思いもよらない時に、場所でオルトくんと絶死絶命との火蓋が切られる。


七十五話

 お互いが一挙手一投足を警戒し、どちらが先に動くかを注視し戦場が膠着状態へとなる。が、絶死絶命が先に動いた。

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「疾風走破、斬撃〈環伐(ワギリ)〉」

 

 凄まじい速度で接近し大鎌を引き絞り振り抜き円陣を敷いて連撃を仕掛けるが、次元の移動(ディメンジョナル・ムーブ)を使い後方へと避け「随分と早いね、怖くてしょうがない。だからこうしよう」と言い『召喚魔法四重化・(サモン・クアドラプレットマジック・)太古の森の捕食者(トレント・プレデター)』を使いレベル50の巨大な植物魔獣を召喚し嗾(けしか)ける。

 ━

「何ソレ初めて見た、でも無駄。能力向上、能力超向上、斬撃。まだ、斬撃〈環伐弐閃(ワギリニセン)〉。ね? 意味が無かった」

 鎌闘士(フリッカー(.hack//R:2))か、面倒な職業(クラス)を習得してるもんだ、アレ使いこなせると厄介なんだよ。厄介な武器に厄介な職業(クラス)、ダブルパンチとはこの事だね。

 だが問題なのはレベル50の召喚モンスターを容易く倒す事だ、つまり最低でもレベル50以上……あれだけ早く倒せるのなら60はあるとみるのがいいか。ん? 待て、なんで鎌闘士(フリッカー(.hack//R:2))が使える。天使(エンジェル)の僕(私)の仕業か? 

 

「三重最強化・(トリプレットマキシマイズマジック・)万古の樹皮盾(エイジレス・バーク・シールド)、九重最強化・(ノナプレットマキシマイズマジック・)魔力の盾(スクートゥム・マギクム)。三重最強化・(トリプレットマキシマイズマジック・)結晶散弾(ゲマエ・スハルスィオ)」

 

 床を踏踏み砕き大地に眠る種を活性化させ重厚な木製の大盾を周囲に九枚作り、更に強化(バ)魔法(フ)を掛け自身は『飛行(フライ)』を使い地面を滑る様に移動しながら結晶の散弾をばら蒔く。

 

「回避。その程度?」

 

 少し残念そうにタメ息を吐いて『能力向上、能力超向上』と、幾つもの武技を重ねがけ一瞬にしてオルトに接近し、『流水加速』で神経を一時的に加速させ更に『超斬撃』で斬撃威力を底上げし観音掌(カンノウショウ)を振り上げ『〈環伐乱絶閃(ワギリランゼツセン)〉』と言いながら切っ先を地面に突き刺すと地面から強靭な悪魔の巨爪を召喚しオルトを襲う。が、オルトを守る様に自動的に盾が動き防ぐ。

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「強いね、君」

「そう言う貴方こそ強いじゃない、私を組伏せて」

「………君は何を言っているんだ」

「私は私より強い男の子供を産みたい、でも私より強い奴は出会った事が無い、皆簡単に死んでいく。私は私より弱い奴に興味は無い」

「ふーん。生きづらい生き方してるね、可哀想に」

 

 歯を強く噛み締め「何も知らないからそんな事をいえるんだ、何も知らないくせに」そう静かに、されど怒気を隠そうとぜすに爆発させる。それでも冷静さを失わずに大鎌を水平に構え「能力超向上! 疾風超走破!!」と怒りを滲ませて語気を強め爆発的な速度で詰め寄り大鎌を振り抜く。がーー

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「うん速い、でも反応できる速さだ」

 

 オルトの手にはさっきまで無かった剣で大鎌の一撃を防いでいた。

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「(剣!? いつの間に)魔法詠唱者(マジック・キャスター)じゃないんだ」

「僕(私)は純粋な森祭司(ドルイド)だよ、ただこういった事ができるだけで」

 

 そう言うと手に持っていた剣は紐解かれ(ほどかれ)蔓になり枯れ落ちる。

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「森妖精(エルフ)は、森祭司(ドルイド)と言う者は植物を操ってなんぼだよ」

「ふーん。(でも今まで使っていた魔法は魔力系魔法詠唱者(マジック・キャスター)の魔法、森祭司(ドルイド)の魔法じゃない。手加減してる?)手加減するとか余裕じゃん」

「余裕は強者の証さ、確かに君は強い。でもどうにでもなる強さだ」

「じゃあその余裕面剥いであげる」

「いいねやってみなよ。できるのなら、だけどね」

「能力向上、疾風走破。剛腕剛撃、可能性知覚。死ね」

「召喚魔法五重化・(サモン・クインティプレットマジック・)人喰い花の開花(マンイーター・ブロッサム)」

 

 爆発的な速度で接近してくる絶死絶命に対しオルトは『飛行(フライ)』を使い後ろに滑りながら一つ種を投げ落とし、家屋ほどもある巨大な妖花を急成長させて五体出現させる。しかし、絶死絶命の『斬撃〈環伐弐閃(ワギリニセン)〉』を使い容易く切り裂いた。

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 アレも倒すか、アレはレベル65以上の召喚モンスターだ、最低でも70以上か……。クレンが言う『人外領域すら超越した漆黒聖典最強の化け物』と言うのは本当らしいね。

 

「逃げてばっかりね」

「魔法詠唱者(マジック・キャスター)ってのはこんなモノだろう?」

「そうね、召喚・(サモン・)アンデッド」

 

 今まで大鎌で戦っていた絶死絶命が五体のアンデッドを召喚し共に迫りくる。

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 召喚魔法? 前衛職じゃないのか? ビルドが読めん、イヤまあ現地人のビルドなんてのは有って無い様なモンだけども、それでも分からん。

 

「殺し合い中に考え事?」

 

 既に肉薄し大鎌を引き絞っており『〈環(ワ)伐(ギリ)〉』の言葉と共にオルトを切り刻む。が、切り裂いたのは無数の蔓でできた偽物だった。

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「(蔓!? なら本物はーー)」

「パッと見だと騙されるよね」

 

 後ろから聞こえた声に『超反応』を使いギリギリで躱し、体を回転させてそのままの勢いで大鎌を振り抜くがオルトの持つ剣とぶつかり合い植物には似つかわしくない金属音が鳴り響く。

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「どこから、しかもその音……何?」

「僕(私)は森祭司(ドルイド)だ、少しでも植物があればなんでもできる。例えばこんな種でもね、爆ぜる木の実(バースト・ナット)」

 

 不意に手に持つ木の実を投げるが大鎌で斬られる。しかしその瞬間に爆発し鋭い殻の破片を撒き散らす。

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「こんなもので何がーー」

「知ってるかい? 戦いにおいて僅か数秒が生死を分ける事を、大地の槍根(アース・プラントランス)」

 

 踏み砕いた地面が鳴動すると大量な木の根が現れ蠢き鋭い先端が絶死絶命に襲い掛かる。

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「環伐弐閃(ワギリニセン)!」

 

 二回連続で大鎌を振り回し切り払い『能力向上』を使い詰め寄り、『蒼天大車輪(ソウテンダイシャリン)』を使うがまたもや蔦でできた偽物だった。

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「焦ってると分からないモノだよね、茨の(ソーン・)鞭(ウィップ)」

 

 棘に覆われた無数の蔦を編み上げて一本の太い鞭を作り、絶死絶命目掛け叩き込む。

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「はぁはぁ……ッ、はぁはぁ……。重傷治癒(ヘビーリカバー)。強い。貴方本当に強い」

「それはどうも」

 重傷治癒(ヘビーリカバー)? 信仰系なのか? イヤだがアンデッドを召喚していた……回復魔法も使えて召喚系も使えるとなると面倒だな。しかしビルドがさっぱり分からんな、とっ散らかった器用貧乏タイプか? 

 

「でも、貴方は魔法詠唱者(マジック・キャスター)。魔力がもう無いんじゃない?」

「どうだろうね、試してみる?」

 正直MPの心配は無い、アレが持つスキルのお陰でMPはすぐ回復する。

 僕(私)に長期戦は無意味、まあでもアッチはその事知らないから長期戦になればなる程不利になる。さてどうなる事やら。

 

「でも貴方、手加減してるでしょ?」

「被害規模が広くなっても良いならもう少しやるよ」

「構わない」

「うん? なんて」

「だから壊しても構わない」

 

 何を言っているのか訳が分からず「もう一回言って」と聞いても「だから壊しても構わないって言ったの」の言葉が返ってくる。

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「君、この国の守護者じゃないの?」

「そうね、そうだけど私にはもう守る意味も意義も無い」

 どう言う意味だ? 守る意味も意義も無い? 

 

「不思議そうな顔をしてるわね」

「………そりゃあね、最高戦力である君がこの国の事をどうでもいいと言える事が不思議でならない」

「私に勝てたら教えてあげる」

「んー。別に知りたくないけど……死ぬつもりは更々無いから取り敢えず死なない程度に殺して捕虜にしようか、召喚・(サモン・)四大精霊(エレメンタル・カルテット)」

 

 火・水・風・地を司る高位精霊(レベル70クラス)を四体同時に召喚し、それぞれの属性魔法を乱射し戦場を各種属性の嵐で包み込む。しかし『疾風超走破、超加速』の声が聞こえ嵐を躱し〈環伐(ワギリ)〉でエレメンタルモンスターを倒す。

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 見てからじゃない見る前に動いてる。殺し合いに慣れているね、歴戦の戦士だ。それにしてもレベル70の召喚モンスターも簡単に倒すかレベル幾つだ? 80……あり得そうだな。

 

「位階上昇十重最強化・ブーステッドデカプレットマキシマイズマジック・魔法の矢(マジック・アロー)」

「(アレはヤバい、ただの魔法の矢(マジック・アロー)じゃない)召喚・(サモン・)アンデッド。(駄目だ、一回じゃ防ぎきれない)召喚・(サモン・)アンデッド」

 

 魔法の矢(マジック・アロー)の壁としてアンデッドを五体召喚し、破壊されると同時に更に召喚する。

 ━

「魔法五重化・(クインティプレットマジック・)新緑の洗礼(ヴァーダント・バプテスマ)」

 

 地面を踏み締め幾つもの植物を生長させ植物の生命エネルギーを召喚されたアンデッドに浴びせ倒し、背後に回る絶死絶命に『魔法の矢(マジック・アロー)』を放ち次元の移動(ディメンジョナル・ムーブ)で即座に離れる。

 ━

「(アレだけの魔法を使ってるのに魔力が底をつかない? どれだけの魔力を持っているの、底が見えない相手には長期戦は不利。なら、アレを使うしかない)」

「考え事かい?」

「余裕は強者の証でしょ?」

「違いない。魔法十重化・(デカプレットマジック・)大地の槍根(アース・プラントランス)」

 

 十に及ぶ木の槍を生やし蠢きながら襲い掛かるが連続で『〈|蒼天大車輪(ソウテンダイシャリン)〉』を使い切り刻み、駆け出して接近し大鎌を振り抜こうとするが突然鋼鉄がごとく木が生え防がれ、緑の光が煌めき絶死絶命の鼻上を斬りつける。

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「重傷治癒(ヘビーリカバー)」

「そっちこそ魔力(MP)は大丈夫かい?」

「正直危ないわね、だからコレを使う」

 

 そう言うと大鎌、死出鎌・(シデガマ・)観音掌(カンノウショウ)をクルクルと回し背中にしまう仕草をすると、観音掌(カンノウショウ)が消えて新たな武器が出てくる。

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 アレは斬刀士((ブレイド(.hack//R:2)))!? この子は錬装士(マルチウェポン(.hack//R:2))なのか! それにアレは虚空ノ影(コクウノカゲ)! また厄介な武器を残してるな天使(エンジェル)の僕(私)は! 

 

「コレは魔力喰い。斬った相手の魔力を喰らい私の糧にする。魔力が無くなるのなら……増やせば良いだけ」

「実に理にかなっているいるね」

「でしょ? じゃあ、どんどん征くよ」

「コレは参ったね」

 壁になる召喚モンスターが出せなくなった、となると常に距離を保って戦うか? イヤ……だからこそ前に出る! 

 

「(これで邪魔な召喚モンスターは出せない筈、となれば向こうは距離を取るしかない。だから攻める!)」

 

 前傾姿勢になり『能力向上、能力超向上』と、武技を使っているとオルトが地面を強く踏み締め『魔法五重化(クインティプレットマジック・)・千蔦の魔兵器(ミリオン・ヴァイン・アーセナル)』と唱える。すると蔓が生えて次第に弓と槍が複数編まれていきオルトの周りを浮遊する。

 そしてオルトの手には剣が握られていた。

 ━

「(剣? それに弓と槍? なんでそんなものを………!? まさか!)」

「Shot」

 

 一言呟くと蔓で編まれた弓の弦が引き絞られていき木の槍が矢として番え(つがえ)られ、五つの槍矢が放たれ、凄まじい速度で飛んでくる槍矢に『超回避』を使い五本全ての槍矢を華麗に躱していく。

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「能力向上、能力超向上! 疾風走破、疾風超走破! 剛腕剛撃、剛腕超剛撃!」

 

 複数の武技を重ねがけ超速で近づき握る剣……虚空ノ影《コクウノカゲ》を斬りつけ、防がれ、回転する様に背後へと回り込みながら納刀する様な仕草をして虚空ノ影《コクウノカゲ》を腰溜めにした後に「〈夜叉車(ヤシャグルマ)〉」の言葉と共に素早い抜刀で切り上げオルトを斬る。

 ━

「(量が少ない!? こんなに少ないのは初めて)もう一度ーー」

「痛い?」

 僕(私)が痛みを? ………レベルが近いのか? 90…………。

 

 その時、オルトの感情が冷めていき、『此処で殺す』と決めた瞬間に濃密な、そして重厚な殺気が膨れ上がり、それを感じた絶死絶命の動きが止まる。

 ━

「(今、の何……。身体が……動かない)あ、う……ぁえ………」

「僕(私)は君を過小評価し過ぎていた、君の刃は僕(私)らに届き得る。君は此処で殺す」

 

 剣は紐解かれ(ほどかれ)蔓になり、枯れ落ち、そしてそのままオルトは近寄り手を差し出す。が、『アンデッド召喚』の言葉と共に五体のアンデッドが召喚される。

 ━

「邪魔な」

 

 手を横へ一振。それだけで五体のアンデッドが砕ける。しかし逃げる時間は稼ぐ事に成功した。

 ━

「逃がさんよ。召喚最強化・(サモンマキシマイズマジック・)世界樹の番人(ユグドラシル・ガーディアン)」

 

 本来はレベル85の召喚モンスターを最強化しレベル90へとした召喚モンスター、『真・世界樹の鉄衛(トゥルー・トレント・ガーディアン)』を一体召喚し、重々しい音を立てながら手に持つユグドラシルの木の枝から造った棍棒を振り抜くが、『回避』と『超回避』を組み合わせ絶死絶命はアクロバティックに躱し幾つもの武技(スキル(.hack))で倒し魔力(MP)を回復させる。

 ━

 アレも倒すか、なら決定だな。コイツはレベル90を超えている。生かしておくのは危険だ、ナザリックの脅威になり得る存在だ。

 

「ウッ、グ……。(一撃が重い、ただでさえ足が竦むのにこんなのが居ると負ける。でもコイツは倒せた)はぁはぁ……強い。凄く強い。私は貴方を殺したくない、貴方の子供を産んでみたい。でも貴方はとても恐ろしい、だから此処で殺す、殺さなきゃいけない。だから使う」

「性に貪欲なのは分かった、でもそんな事はもうどういい君には此処で死んでもらう。スキル・原初百獣の号令(パンデモニウム・オブ・プライミーバル)」

 使う? 何をだ? 

 

 かつてユグドラシルの高レベル森妖精(エルフ)フィールドの最深部にのみPOPするレベル85の固有異形植物モンスター。そしてオルトの職業(クラス)スキルで強化し、レベル90にした『太古の森の番人(プライミーバル・ガーディアン)』を四体同時に召喚し襲わせていると絶死絶命が『アンデッド召喚』で壁を作りその間に複数の武技を使い距離を取り、「本当に強い……本当に怖い。身体が震える、足が竦む。だから貴方は殺さなきゃ駄目だから殺す」そう言い武器を入れ換える。

 ━

「超位ーー」

 ? 武器をしまって背中の戦鎌(ウォーサイス)に替えた? 何をするつもりだ、武器の性能なら虚空ノ影(コクウノカゲ)の方が強そうだが。

 

 

「The goal of all life is death(あらゆる生ある者の目指すところは死である)」

 

 

 目の前の少女が使ったのは友人の最強スキル『あらゆる即死耐性・無効設定の完全無視』と言うエクリプスの職業(クラス)スキルだった。

 ━

 バカな! 何故そのスキルを使える! それは、それはモモンガくんの最強スキルだ! ふっ……ふぅ。落ち着けコレを使ってくると言う事はーー

 

「死(デス)」

 やはり使ってきたか即死魔法!! チッ、やられたな。まあでも、あのスキルがあるし即死の問題はない。

 

 召喚モンスターが消滅したのを確認して『良かった死んだ、どれだけ強くてもコレを喰らえばーー』と、安心していると砂煙の奥から何かを飲んでいる人影が見える。

 ━

「驚いたよ、まさかソレを使ってくるとは思わなかった、だが対処法は知っている(・・・・・・・・・)し、そもそも僕(私)に即死は通用しない」

「嘘、なんで……なんで死なないの……あり得ない」

「だから言ったろう? 対処法は知っていると。随分と離れた場所に連れてこられたと思ったがこの為で最初から殺すつもりだったか、僕(私)も甘く見られためのだね。

 まあいい、それの再使用時間(クールタイム)は100時間だ、当分の間使えない。

 それに、その感じからして切り札みたいだし……どうする? まだやるかい? それとも僕(私)に惨たらしく生かされるかい(・・・・・・・)?」

「嘘だ……なんで死んでないの……。駄目、嘘、あり得ない。(駄目、足が竦んで動けない。それでもコレを使えば殺せると思ってた。でも死ななかった、このままだと私は殺される。

 …………私より遥かに強い。ならーー)ねぇ」

「うん? 何?」

「貴方についていけば貴方の子供を産める?」

「あー、んー。どうだろうね、確約はできない」

 なんだいきなり、気を逸らす為か? それでも殺す事には変わらない。が、念のために話を聞くか。

 

「なんで?」

「確実に部下が五月蝿い」

「それくらいどうでもいい。決めた、私は貴方についていく」

「この国の事はどうするのさ」

「別にどうなってもいい」

 

 冷めていた感情が少し戻ってきたのか会話を続け「どう言う意味だ」と聞き「私は従属神様に助けられた、だからこの国に居るだけ」と返される。

 ━

 嫌な予感がする、僕(私)のゴーストが囁く、聞いたら後悔すると。

 

「今更だが君は半森妖精(ハーフエルフ)だと思うが、森妖精(エルフ)国と戦争をしているこの国に居る」

「…………愛してくださった、そして鍛えてくださった」

「くださった? 誰に?」

「オルタニアン(・・・・・・)様が私を愛してくださり、オルタニアン様と死の(スケ)恐怖(ィス)様が私を鍛えてくださった」

「は? 何を、言って……」

「まだ分からない? この国の事なんかどうでもいいのよ。アーラ・アラフ様の従属神であらせられる森妖精(エルフ)のオルタニアン様、そして死の恐怖(スケィス)様の御二方に私は助けられた、心を助けられた」

 オルタニアン? 森妖精(エルフ)? 誰だソイツ。薄明の碑文(エピタフ・オブ・ザ・トワイライト)で召喚できるのは八相だけ、マジで誰だよオルタニアっ…………あ、あー確か僕(私)達の無限の背負い袋(インフィニティ・ハヴァザック)の中には色んな種族変更指輪(リング・チェンジスピーシーズ)の指輪が入ってた筈……その中に森妖精(エルフ)のが有っても可笑しくない。

 つまり天使(エンジェル)の僕(私)は種族変更指輪:森妖精(リング・チェンジスピーシーズ:エルフ)が有っても…………あ、有るわ。面白半分で買ったわ、て事はオルタニアンってのは天使(エンジェル)の僕(私)が指輪を使った姿か。

 何やっての天使(エンジェル)の僕(私)は、色々やりすぎでしょ。

 

「アーラ・アラフ様は法国を去られてもなお人間(人)の為に従属神様たるオルタニアン様、そして死の恐怖(スケィス)様の二柱を残してくださっていた。

 そして私はオルタニアン様に我が子の様に愛してくださり母親からの虐待から救ってくださった、私は愛情をオルタニアン様のお陰で愛を知れた。死の恐怖(スケィス)様が鍛えてくださったから母親の虐待に恐れる事なくすごせた」

 確か従属神ってのは六大神(プレイヤー)のNPCの事だった筈、それが死の恐怖(スケィス)? オルタニアンってのは多分僕(私)だから残ってても分かるけど、召喚モンスターが残り続けているとかあり得るのか? あ、僕(私)が居れば死の恐怖(スケィス)も居ても可笑しくないのか? 

 ん? でもそれだと時系列が合わない…………ああイヤ問題ないのか。でもだから大鎌と刀剣か、イヤでもなんで刀剣(ブレイド)もあるんだよ誘惑の恋人(マハ)でも居たのか? でも誘惑の恋人(マハ)ならあの刀剣(ブレイド)か、なら違うか。

 

「その後はどうなった」

「死の恐怖(スケィス)様は私にこの武器を……死出鎌・(シデガマ・)観音掌(カンノウショウ)を下賜してくださったけど消えてしまわれた、オルタニアン様からは鞄を………無限の腰提げ(インフィニティ・ベルトポーチ)を下賜してくださった。その中には様々なアイテムが入ってる、さっきの剣もその内の一つ。

 だから私はこの国に対して恩は無い。私が信奉し、全てを捧げるのオルタニアン様と死の恐(スケィ)怖(ス)様、そして主たるアーラ・アラフ様だけ。だからこの国がどうなってもいい。

 アーラ・アラフ様が去る要因を作ったこの国に居る理由は無い。私がこの国に居るのはアーラ・アラフ様。そして愛してくださった、鍛えてくださったオルタニアン様と死の恐怖(スケィス)様が帰ってこられるのを待ってるだけ。それでも御二方はお戻りになられていない」

 ん? あー、あー! そうだ! 帰ってきたもう一人の僕(私)が言ってたな! 『存分に愉しんできた』って。笑い話で飛ばしたがこんな事になるのか! あ? なんだコレ? 影? 影が触媒か! 確かにアイツら影みたいなモンだもんな! 影が触媒とか簡単すぎんでしょ。

 はー…………もう一つ気掛かりなのは置いてったのは死の恐怖(スケィス)だけかなのか、だ。

 

 戻ってきた自分との笑い話を思いだし、同期を後回しにした行為が背後から刺してきた。

 ━

「…………戻ってくるのを待っているのならそれこそこの国を守る意味がある、なのになぜどうでもいいんだ?」

「御二方は……おっしゃった」

「何を」

「私に武器を下賜してくださった時にもう戻る事は無いと」

「だからこの国がどうなろうと構わない、か。ただ一つ言えるのは君が命乞いをしている事と、目の前の男をしっかり見ていない事だ(・・・・・・・・・・・・・・・・・)」

「はぁ? 何言っ……て…………ぁ、あぁあ……なん、で気が……つかなかったの。貴方は、貴方様は……オルタニアン様?」

「成る程そう言う事か」

 イビルアイと同じか、この子の鍵(キー)はなんだ? 僕(私)の一言、伝える事か? 分からん、さっぱり分からん。一つ確かなのは天使(エンジェル)の僕(私)は記憶操作(コントロール・アムネジア)を使いこなしてる事だな、後で同期しておくか。

 

「そうなるね」

「で、でもオルタニアン様はこんな魔法は使っておられなかった。天使(エンジェル)召喚魔法だけ……」

「色々制約があるんだよ。それより死の恐怖(スケィス)以外に何か知ってるかい」

 はぁー………。そうか、助け出した半森妖精(ハーフエルフ)か。どうする………死の恐怖(スケィス)を見せればこの子は確実に僕(私)側の人間にできる。その上でこの国に置かせて情報収集させる。んー……悩みどこだな。

 黄昏の碑文(エピタフ・オブ・ザ・トワイライト)は僕(私)が持っている、やろうと思えば召喚できる。

 

「私が知っているのは死の恐怖(スケィス)様だけ。伝説では死の恐怖(スケィス)様とオルタニアン様を含めて九柱の従属神様が居ることだけ」

「そうか。今更だが君の名前を聞いても?」

「私の名前はアンティリーネ・ヘラン・フーシェ」

「君は今でも死の恐怖(スケィス)が戻ってくる事を願っているのか?」

「……はい」

「まだ疑ってる?」

「そう簡単に信じられない」

 

 猜疑心を隠さないアンティリーネを余所に目を閉じ逡巡しWI(ワールドアイテム)・黄昏の碑文(エピタフ・オブ・ザ・トワイライト)を使う。すると影から三つ目に十字架を持った巨神が現れ、絶死絶命……アンティリーネ・ヘラン・フーシェは目を大きく開き「す、死の恐怖(スケィス)……様」と呟き涙を流し崩れ落ちる。

 ━

「ああ死の恐怖(スケィス)様、何故、どうして、なんで貴方が死の恐怖(スケィス)様を…………」

「答えなんて一つしかないでしょ」

「ま、さか……貴方様はオルタニアン様…………いえ、いえオルタニアン様がアーラ・アラフ様なの、ですか? 」

「伝承は残っていないのか?」

「あ……ある。アーラ・アラフ様の御姿は千態(せんたい)万様(ばんよう)。天使(エンジェル)の御姿はあくまでもその内の一つでしかない、と。

 あくまで伝承、言い伝えレベルのモノでしかない。なら、オルタニアン様は、貴方様は……本当にアーラ・アラフ様、なのですか?」

「天使(エンジェル)の姿も、オルタニアン(森妖精)の姿も数ある姿の一つにすぎない、君が信奉していると言うアーラ・アラフは正真正銘僕(私)だよ。それは死の恐怖(スケィス)を見れば信じられるだろう?」

「でも、それでもまだ………」

 

 それを聞いたオルトが魔法を使うと蔓が全身を覆っていき、オルトの姿が惑星統括細胞(スターセル)の姿へと変わる。

 ━

「は……なん、で……その御姿はまさしくアーラ・アラフ様。

 じゃあ貴方様は本当に……アーラ・アラフ様、なのですか?」

「この姿を見て疑うか?」

「いいえ……いいえ思えません、疑えません。貴方様はまさしくアーラ・アラフ様です」

「分かってくれて助かるよ、そこで君には頼みたい事がある」

「私にできる事であればなんなりと」

「森妖精(エルフ)国との戦争の本当の理由を教えてほしい」

「はい。それはーー」

 

 

 ━

 

 

 ━━

 

 

「下衆が」

「アーラ・アラフ様」

「今はトール・インシュリフト・エル=ギットゼンだ、トールと呼べ」

「畏まりました。して、法国の神器ですが私なら全てを持っていても誰も不信には思いません」

「何故だ」

「法国の神器、六大神様や六大神様にまつわる神器、そして従属神様にまつわる神器は全て私が使います。ですので私が持っていても可笑しくないからです」

「成る程……ならば、だ。僕(私)は竜王国王配(おうはい)殿下として法国に宣戦布告する、その時に神器を全て回収し僕(私)の下に来なさい。そして法国との戦争に参加するんだ、いいね?」

「仰せのままに」

「後は……そうだな」

「何をなさるおつもりで?」

「君はこの国の最高戦力なんだよね」

「はい」

「最高戦力とビーストマンを壊滅に追いやった英雄との戦闘がこの程度すむのは怪しまれる。イヤまあアレを使ったから周辺は更地になってはいるけど、それでもまだ足りない」

「ではどうなさるので?」

「森妖精(エルフ)らしいところを見せておくか」

「森妖精(エルフ)、らしいところ?」

「森妖精(エルフ)と言えば森祭司(ドルイド)だろう?」

 

「超位魔法」

永劫回帰の樹海(ザ・タイムレス・シルヴァン・オーシャン)

 

 唱えるとオルトの上下左右前後にエメラルドグリーンの魔方陣が現れ、見た事もない文字が魔方陣内を次々に巡り魔方陣ごと回転し始める。

 ━

「これ、は神の御業………六大神の奇跡…………」

 

 神の御業? 六大神の奇跡、ねぇ。まあ確かに奇跡に見えても仕方ないか、見た目は神秘的だし。

 さて、これでこの子は確実にこちら側になった、ならパフォーマンスは良いかな。

 

 アンティリーネの反応を確認すると無限の腰提げ(インフィニティ・ベルトポーチ)から砂時計を取り出し砕く。すると大地の底から不気味な地鳴りが響き渡り次の瞬間、オルトを中心に見渡す限りの地表から異常な速度で捻れた巨木で漆黒の蔦が噴出し、波打つ緑の津波(樹海)が一瞬で数キロメートル四方の空間を飲み込み、太陽の光が一切届かない、不気味な『永久の樹海』へと変えた。そして、遠い方から人の声が微かに聞こえてくる。

 ━




 魔法の前につけるスキル?の順番が分からない。

━━
 絶死ちゃんの口調が定まらない。
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