星雲からの使者 作:完全にわかのバカ野郎
お互いが一挙手一投足を警戒し、どちらが先に動くかを注視し戦場が膠着状態へとなる。が、絶死絶命が先に動いた。
━
「疾風走破、斬撃〈
凄まじい速度で接近し大鎌を引き絞り振り抜き円陣を敷いて連撃を仕掛けるが、
━
「何ソレ初めて見た、でも無駄。能力向上、能力超向上、斬撃。まだ、斬撃〈
だが問題なのはレベル50の召喚モンスターを容易く倒す事だ、つまり最低でもレベル50以上……あれだけ早く倒せるのなら60はあるとみるのがいいか。ん? 待て、なんで
「
床を踏踏み砕き大地に眠る種を活性化させ重厚な木製の大盾を周囲に九枚作り、更に
「回避。その程度?」
少し残念そうにタメ息を吐いて『能力向上、能力超向上』と、幾つもの武技を重ねがけ一瞬にしてオルトに接近し、『流水加速』で神経を一時的に加速させ更に『超斬撃』で斬撃威力を底上げし
━
「強いね、君」
「そう言う貴方こそ強いじゃない、私を組伏せて」
「………君は何を言っているんだ」
「私は私より強い男の子供を産みたい、でも私より強い奴は出会った事が無い、皆簡単に死んでいく。私は私より弱い奴に興味は無い」
「ふーん。生きづらい生き方してるね、可哀想に」
歯を強く噛み締め「何も知らないからそんな事をいえるんだ、何も知らないくせに」そう静かに、されど怒気を隠そうとぜすに爆発させる。それでも冷静さを失わずに大鎌を水平に構え「能力超向上! 疾風超走破!!」と怒りを滲ませて語気を強め爆発的な速度で詰め寄り大鎌を振り抜く。がーー
━
「うん速い、でも反応できる速さだ」
オルトの手にはさっきまで無かった剣で大鎌の一撃を防いでいた。
━
「(剣!? いつの間に)
「
そう言うと手に持っていた剣は
━
「
「ふーん。(でも今まで使っていた魔法は魔力系
「余裕は強者の証さ、確かに君は強い。でもどうにでもなる強さだ」
「じゃあその余裕面剥いであげる」
「いいねやってみなよ。できるのなら、だけどね」
「能力向上、疾風走破。剛腕剛撃、可能性知覚。死ね」
「
爆発的な速度で接近してくる絶死絶命に対しオルトは『
━
アレも倒すか、アレはレベル65以上の召喚モンスターだ、最低でも70以上か……。クレンが言う『人外領域すら超越した漆黒聖典最強の化け物』と言うのは本当らしいね。
「逃げてばっかりね」
「
「そうね、
今まで大鎌で戦っていた絶死絶命が五体のアンデッドを召喚し共に迫りくる。
━
召喚魔法? 前衛職じゃないのか? ビルドが読めん、イヤまあ現地人のビルドなんてのは有って無い様なモンだけども、それでも分からん。
「殺し合い中に考え事?」
既に肉薄し大鎌を引き絞っており『〈
━
「(蔓!? なら本物はーー)」
「パッと見だと騙されるよね」
後ろから聞こえた声に『超反応』を使いギリギリで躱し、体を回転させてそのままの勢いで大鎌を振り抜くがオルトの持つ剣とぶつかり合い植物には似つかわしくない金属音が鳴り響く。
━
「どこから、しかもその音……何?」
「
不意に手に持つ木の実を投げるが大鎌で斬られる。しかしその瞬間に爆発し鋭い殻の破片を撒き散らす。
━
「こんなもので何がーー」
「知ってるかい? 戦いにおいて僅か数秒が生死を分ける事を、
踏み砕いた地面が鳴動すると大量な木の根が現れ蠢き鋭い先端が絶死絶命に襲い掛かる。
━
「
二回連続で大鎌を振り回し切り払い『能力向上』を使い詰め寄り、『
━
「焦ってると分からないモノだよね、
棘に覆われた無数の蔦を編み上げて一本の太い鞭を作り、絶死絶命目掛け叩き込む。
━
「はぁはぁ……ッ、はぁはぁ……。
「それはどうも」
「でも、貴方は
「どうだろうね、試してみる?」
正直MPの心配は無い、アレが持つスキルのお陰でMPはすぐ回復する。
「でも貴方、手加減してるでしょ?」
「被害規模が広くなっても良いならもう少しやるよ」
「構わない」
「うん? なんて」
「だから壊しても構わない」
何を言っているのか訳が分からず「もう一回言って」と聞いても「だから壊しても構わないって言ったの」の言葉が返ってくる。
━
「君、この国の守護者じゃないの?」
「そうね、そうだけど私にはもう守る意味も意義も無い」
どう言う意味だ? 守る意味も意義も無い?
「不思議そうな顔をしてるわね」
「………そりゃあね、最高戦力である君がこの国の事をどうでもいいと言える事が不思議でならない」
「私に勝てたら教えてあげる」
「んー。別に知りたくないけど……死ぬつもりは更々無いから取り敢えず死なない程度に殺して捕虜にしようか、
火・水・風・地を司る
━
見てからじゃない見る前に動いてる。殺し合いに慣れているね、歴戦の戦士だ。それにしてもレベル70の召喚モンスターも簡単に倒すかレベル幾つだ? 80……あり得そうだな。
「位階上昇十重最強化・
「(アレはヤバい、ただの
━
「
地面を踏み締め幾つもの植物を生長させ植物の生命エネルギーを召喚されたアンデッドに浴びせ倒し、背後に回る絶死絶命に『
━
「(アレだけの魔法を使ってるのに魔力が底をつかない? どれだけの魔力を持っているの、底が見えない相手には長期戦は不利。なら、アレを使うしかない)」
「考え事かい?」
「余裕は強者の証でしょ?」
「違いない。
十に及ぶ木の槍を生やし蠢きながら襲い掛かるが連続で『
━
「
「そっちこそ
「正直危ないわね、だからコレを使う」
そう言うと大鎌、
━
アレは
「コレは魔力喰い。斬った相手の魔力を喰らい私の糧にする。魔力が無くなるのなら……増やせば良いだけ」
「実に理にかなっているいるね」
「でしょ? じゃあ、どんどん征くよ」
「コレは参ったね」
壁になる召喚モンスターが出せなくなった、となると常に距離を保って戦うか? イヤ……だからこそ前に出る!
「(これで邪魔な召喚モンスターは出せない筈、となれば向こうは距離を取るしかない。だから攻める!)」
前傾姿勢になり『能力向上、能力超向上』と、武技を使っているとオルトが地面を強く踏み締め『
そしてオルトの手には剣が握られていた。
━
「(剣? それに弓と槍? なんでそんなものを………!? まさか!)」
「Shot」
一言呟くと蔓で編まれた弓の弦が引き絞られていき木の槍が矢として
━
「能力向上、能力超向上! 疾風走破、疾風超走破! 剛腕剛撃、剛腕超剛撃!」
複数の武技を重ねがけ超速で近づき握る剣……虚空ノ影《コクウノカゲ》を斬りつけ、防がれ、回転する様に背後へと回り込みながら納刀する様な仕草をして虚空ノ影《コクウノカゲ》を腰溜めにした後に「〈
━
「(量が少ない!? こんなに少ないのは初めて)もう一度ーー」
「痛い?」
その時、オルトの感情が冷めていき、『此処で殺す』と決めた瞬間に濃密な、そして重厚な殺気が膨れ上がり、それを感じた絶死絶命の動きが止まる。
━
「(今、の何……。身体が……動かない)あ、う……ぁえ………」
「
剣は
━
「邪魔な」
手を横へ一振。それだけで五体のアンデッドが砕ける。しかし逃げる時間は稼ぐ事に成功した。
━
「逃がさんよ。
本来はレベル85の召喚モンスターを最強化しレベル90へとした召喚モンスター、『
━
アレも倒すか、なら決定だな。コイツはレベル90を超えている。生かしておくのは危険だ、ナザリックの脅威になり得る存在だ。
「ウッ、グ……。(一撃が重い、ただでさえ足が竦むのにこんなのが居ると負ける。でもコイツは倒せた)はぁはぁ……強い。凄く強い。私は貴方を殺したくない、貴方の子供を産んでみたい。でも貴方はとても恐ろしい、だから此処で殺す、殺さなきゃいけない。だから使う」
「性に貪欲なのは分かった、でもそんな事はもうどういい君には此処で死んでもらう。スキル・
使う? 何をだ?
かつてユグドラシルの高レベル
━
「超位ーー」
? 武器をしまって背中の
目の前の少女が使ったのは友人の最強スキル『あらゆる即死耐性・無効設定の完全無視』と言うエクリプスの
━
バカな! 何故そのスキルを使える! それは、それはモモンガくんの最強スキルだ! ふっ……ふぅ。落ち着けコレを使ってくると言う事はーー
「
やはり使ってきたか即死魔法!! チッ、やられたな。まあでも、あのスキルがあるし即死の問題はない。
召喚モンスターが消滅したのを確認して『良かった死んだ、どれだけ強くてもコレを喰らえばーー』と、安心していると砂煙の奥から何かを飲んでいる人影が見える。
━
「驚いたよ、まさかソレを使ってくるとは思わなかった、だが
「嘘、なんで……なんで死なないの……あり得ない」
「だから言ったろう? 対処法は知っていると。随分と離れた場所に連れてこられたと思ったがこの為で最初から殺すつもりだったか、
まあいい、それの
それに、その感じからして切り札みたいだし……どうする? まだやるかい? それとも
「嘘だ……なんで死んでないの……。駄目、嘘、あり得ない。(駄目、足が竦んで動けない。それでもコレを使えば殺せると思ってた。でも死ななかった、このままだと私は殺される。
…………私より遥かに強い。ならーー)ねぇ」
「うん? 何?」
「貴方についていけば貴方の子供を産める?」
「あー、んー。どうだろうね、確約はできない」
なんだいきなり、気を逸らす為か? それでも殺す事には変わらない。が、念のために話を聞くか。
「なんで?」
「確実に部下が五月蝿い」
「それくらいどうでもいい。決めた、私は貴方についていく」
「この国の事はどうするのさ」
「別にどうなってもいい」
冷めていた感情が少し戻ってきたのか会話を続け「どう言う意味だ」と聞き「私は従属神様に助けられた、だからこの国に居るだけ」と返される。
━
嫌な予感がする、
「今更だが君は
「…………愛してくださった、そして鍛えてくださった」
「くださった? 誰に?」
「
「は? 何を、言って……」
「まだ分からない? この国の事なんかどうでもいいのよ。アーラ・アラフ様の従属神であらせられる
オルタニアン?
つまり
何やっての
「アーラ・アラフ様は法国を去られてもなお
そして私はオルタニアン様に我が子の様に愛してくださり母親からの虐待から救ってくださった、私は愛情をオルタニアン様のお陰で愛を知れた。
確か従属神ってのは
ん? でもそれだと時系列が合わない…………ああイヤ問題ないのか。でもだから大鎌と刀剣か、イヤでもなんで
「その後はどうなった」
「
だから私はこの国に対して恩は無い。私が信奉し、全てを捧げるのオルタニアン様と
アーラ・アラフ様が去る要因を作ったこの国に居る理由は無い。私がこの国に居るのはアーラ・アラフ様。そして愛してくださった、鍛えてくださったオルタニアン様と
ん? あー、あー! そうだ! 帰ってきたもう一人の
はー…………もう一つ気掛かりなのは置いてったのは
戻ってきた自分との笑い話を思いだし、同期を後回しにした行為が背後から刺してきた。
━
「…………戻ってくるのを待っているのならそれこそこの国を守る意味がある、なのになぜどうでもいいんだ?」
「御二方は……おっしゃった」
「何を」
「私に武器を下賜してくださった時にもう戻る事は無いと」
「だからこの国がどうなろうと構わない、か。ただ一つ言えるのは君が命乞いをしている事と、
「はぁ? 何言っ……て…………ぁ、あぁあ……なん、で気が……つかなかったの。貴方は、貴方様は……オルタニアン様?」
「成る程そう言う事か」
イビルアイと同じか、この子の
「そうなるね」
「で、でもオルタニアン様はこんな魔法は使っておられなかった。
「色々制約があるんだよ。それより
はぁー………。そうか、助け出した
「私が知っているのは
「そうか。今更だが君の名前を聞いても?」
「私の名前はアンティリーネ・ヘラン・フーシェ」
「君は今でも
「……はい」
「まだ疑ってる?」
「そう簡単に信じられない」
猜疑心を隠さないアンティリーネを余所に目を閉じ逡巡し
━
「ああ
「答えなんて一つしかないでしょ」
「ま、さか……貴方様はオルタニアン様…………いえ、いえオルタニアン様がアーラ・アラフ様なの、ですか? 」
「伝承は残っていないのか?」
「あ……ある。アーラ・アラフ様の御姿は
あくまで伝承、言い伝えレベルのモノでしかない。なら、オルタニアン様は、貴方様は……本当にアーラ・アラフ様、なのですか?」
「
「でも、それでもまだ………」
それを聞いたオルトが魔法を使うと蔓が全身を覆っていき、オルトの姿が
━
「は……なん、で……その御姿はまさしくアーラ・アラフ様。
じゃあ貴方様は本当に……アーラ・アラフ様、なのですか?」
「この姿を見て疑うか?」
「いいえ……いいえ思えません、疑えません。貴方様はまさしくアーラ・アラフ様です」
「分かってくれて助かるよ、そこで君には頼みたい事がある」
「私にできる事であればなんなりと」
「
「はい。それはーー」
━
━━
「下衆が」
「アーラ・アラフ様」
「今はトール・インシュリフト・エル=ギットゼンだ、トールと呼べ」
「畏まりました。して、法国の神器ですが私なら全てを持っていても誰も不信には思いません」
「何故だ」
「法国の神器、六大神様や六大神様にまつわる神器、そして従属神様にまつわる神器は全て私が使います。ですので私が持っていても可笑しくないからです」
「成る程……ならば、だ。
「仰せのままに」
「後は……そうだな」
「何をなさるおつもりで?」
「君はこの国の最高戦力なんだよね」
「はい」
「最高戦力とビーストマンを壊滅に追いやった英雄との戦闘がこの程度すむのは怪しまれる。イヤまあアレを使ったから周辺は更地になってはいるけど、それでもまだ足りない」
「ではどうなさるので?」
「
「
「
唱えるとオルトの上下左右前後にエメラルドグリーンの魔方陣が現れ、見た事もない文字が魔方陣内を次々に巡り魔方陣ごと回転し始める。
━
「これ、は神の御業………六大神の奇跡…………」
神の御業? 六大神の奇跡、ねぇ。まあ確かに奇跡に見えても仕方ないか、見た目は神秘的だし。
さて、これでこの子は確実にこちら側になった、ならパフォーマンスは良いかな。
アンティリーネの反応を確認すると
━
魔法の前につけるスキル?の順番が分からない。
━━
絶死ちゃんの口調が定まらない。