槍の勇者のすり替わり   作:紙吹雪

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アクナインフィーでロッシちゃんとタンタンの姉御が実装だと!?
やべぇ、10連でイヴォンヌ当てちゃった反動で引ける気がしないぞ!?
シルトヴェルトからお金貰って課金ガチャ回さないと……(使命感)




メルロマルクの女王

 

 

 模擬戦の翌日、尚文達と私はメルロマルクの女王に謁見していた。

 平原に設営された天幕の中である。

 王城からもまだまだ遠い場所だが、ポータルがあるので問題ない。

 

「……」

 

 尚文は女王のことをあまり良く思っていなさそうにしていた。

 身内がアレなので仕方ないが、まあその内どうにかなるだろう。

 メルティとは簡単に仲良くなれてたし。

 

 ついでにエクレアもといエクレールとも顔合わせができた。

 彼女に着いて行かせたテオドールとシオンもね。

 なお、エルメロやエレナはまだだったりする。

 どうにもタイミングが合わなくてね……うん。

 

「尚文、此方がメルロマルクを治める女王様であられせられるよ」

「無駄にノリが良いな……あのビッチの母親か」

「この人は悪い人じゃないって、口で言っても納得はしないだろうね」

 

 受けた仕打ちが仕打ち故にそれはしゃーない。

 時間が解決してくれるのを待つしかない。

 

「我が娘と夫が盾の勇者様にした行い……私も謝罪致します」

「……ふん」

 

 態度悪いなぁ。

 原作では初対面で助けてもらってたからそんなでもなかったけど。

 

「そう険悪に振る舞わないの。ラフタリアちゃんを見習ったら?」

「はいはい、分かった」

「もう、尚文様ったら……」

 

 ラフタリアも困った感じで尚文を見ている。

 若干尚文の不機嫌度が増した気がするが、別にいいや。

 

「それじゃ、今度は尚文が喜ぶ話をしよう」

「何をするつもりだ?」

「あの王女を罠に嵌めて悪事を露呈させて断罪する作戦について」

「詳しく聞かせて貰おうか」

 

 今度は目をギラギラとさせながら食い付いてきた。

 主人公のしていい顔じゃない。

 ほら、ラフタリアちゃんもさっきの比じゃないくらいに困った顔してるよ。

 

「女王様やメルティ王女にも力を貸してもらう予定だよ。無くてもどうにかなるにはなるけど、その方がかなり大助かりだし」

「俺達がするべき事はないのか?」

「君が居るとあの二人が過敏に反応するから駄目」

 

 絶対盾の洗脳が〜とかうるさく喚くだろうし……

 要するに私が不愉快なので駄目だ。

 指名手配されている人間を連れて行く時点で手間がかかるしね。

 

「作戦が終了したらすぐに縛られた二人を見せてあげるから、ね?」

「……はん、ならいいさ」

 

 渋々と言った様子ではあれど、尚文から了承も取った。

 あとは実行に移すだけだ。

 女王の協力も得られた以上、正直失敗する要素はない。

 

 そうそう、クズことオルトクレイを黙らせるハクコの兄妹もちゃんと連れて来ているよ。

 女王様は目を丸くして驚いていた。

 この辺は原作でもあった事なので省略したけど。

 

「まず、私がメルティ王女を保護したといって王城に戻る。その際、クズを懐柔するよ」

「あいつをか? 無理だろ」

「そこは秘密兵器があるから任せて。それで、その秘密兵器を囮にして犯行の現場を抑える」

「なんだと!?」

 

 関係無いと思っていたであろうハクコの兄の方ことフォウル君が食いついてきた。

 ずっと会話に入ってなかったから尚文達はポカンとしている。

 ここはちゃんと紹介しておこう。

 どうせ後で尚文に預けるんだしね。

 

『ここで尚文様との距離をラフタリアよりも近付けるのです!』

 

 ……なんか聞こえた気がするけど、聞こえなかったことにしよっと。

 さぁて、なるべく刺激しないように済ませてしまおう。

 

「えっとね、この兄妹の妹の方が秘密兵器だよ。詳しく説明すると長くなるんだけど、妹の方をあの王に見せれば確実に大人しくなるよ」

「信じられんな。あのクズがか?」

「ええ、私も槍の勇者様と同意見です。間違いありません」

 

 ……平然と身内をクズ呼ばわりされてるのに女王様人格者過ぎない?

 めっちゃ今更だけど。

 

「理由は……話せば長くなるんだったか?」

「うん。聞きたい?」

「……別に、あいつの過去なんざ聞きたくもないな」

 

 まあ、そうだろうね。

 

「んで、君もご存知の通りあの王女はとんでもない悪女だ。気に入らないメルティ王女が帰って来たとしれば必ず狙ってくる。その際、ついでに秘密兵器ことアトラも狙わせる」

「よく分からないことにアトラを巻き込むな!」

 

 うん、それは正論としか言えないね。

 

「大丈夫、私が決して危険に晒しはしないと約束させるから」

「だからって納得できるか!」

「奴隷紋で命じさせてもらうね。君もアトラを守ること」

「くっ……」

 

 フォウルくんに抵抗されたけど、このくらいなら想定内だ。

 なぁに、指一本触れさせないから安心してくれ。

 多少私の信頼度が落ちた気がするけど、どうせこの後尚文に託すんだから問題ない。

 

「そこで王様とメルティ王女を被害者側に回す。こうすることであの悪女の犯行を誘発し、その証拠を捉えるというわけだよ」

「……なるほどな」

「その際は女王様にも目撃してもらう。私のスキルを使えば隠密状態で待機できるからね」

 

 クローキングランスで姿を隠し、決定的な証拠を決定的な証人に捕ませる。

 作戦の根幹はこれに尽きる。

 冤罪事件の起こる前夜に樹や錬を連れて現場を目撃させるのと大体一緒みたいな感じだ。

 

「ってわけ。まあ何かしら事件を起こしてくれるだろうね」

「なるほどな……確かに、あのビッチならあり得る」

「うん。でも、この作戦には一つだけ懸念点があるんだ」

「と、言うと?」

 

 今度は女王様が気になる様子で聞いてきた。

 

「大したことじゃないんだけど、三勇教の捕縛には関与しないかなって」

「三勇教?」

「あ、尚文は詳しくないのか。えっと、一言で説明するとメルロマルクに蔓延る人間の屑共のことだよ」

「本当に一言で説明を終わらせたな……」

 

 だって、本当にそうだし。

 

「私の目には穏便な宗派に映っていたのですが……どうやら、それは間違いだったようですね。この場を借りて謝罪させて頂きます」

「ならべく早めにそっちも尻尾を掴んで根絶させなければならない。亜人差別の原因はあいつらだからね……その所為でラフタリアやキール達が奴隷の身分に落ちたんだ。奴隷狩りを促進させている集団を野放しにはできないだろう?」

「槍の勇者様……」

 

 ラフタリアが複雑な目で私を見つめる。

 もう奴隷であることに関しては気にしていないからだろう。

 でも、私はあいつらの所業の一部を見てきたから。

 彼女も許せはしないだろうし、私も許さない。

 

 私が何故この世界に呼ばれたのかは分からないけれど……

 精々あの愛の狩人の最低限の代わりとしての役割を果たさなければ。

 私はそう自分に言い聞かせて気を引き締めた。

 

 そろそろ王城に戻る時間だ。

 上手く行くとは思うが……それでも気を付けて行こう。

 

 

 

⬛︎ ⬛︎ ⬛︎

 

 

 

「おお、槍の勇者殿よ! よくぞワシの娘メルティを盾の悪魔から取り返してくれた!」

「ええ。盾の悪魔は激しく抵抗しましたが、この通り傷一つ付けさせずに」

 

 私とはクズことオルトクレイの前に跪いていた。

 それと、お澄まし顔のマルティもとい赤豚も居るね。

 あれは絶対「ちっ、仕留め損なったか」って顔だ。

 

 この場で暴れることになったら元康になってしまうね。

 なるべく穏便に行きたいから大人しくしておこう。

 確かにあの顔を見ると殺戮衝動的なのが湧き上がって来るけど。

 

 私が連れているのはクロちゃんとフレオンちゃん。

 それともう二人……背に乗っているフードを被った者が居る。

 

「槍の勇者殿は何をしているのか情報が全く入ってこず、盾の悪魔に与する裏切り者だと言われておったのは間違いだったのじゃな。この場で謝らせてくれ」

「い、いえ。お気になさらず……私の行動が王様やその周囲に不信感を与えてしまったのが悪いのですから」

 

 これは、若干三勇教に怪しまれたかな。

 ふぅむ……もう少し慎重に動くべきだったかな。

 後日の三勇教捕縛作戦に響くかは分からないけど……

 今は目の前のことに集中しよう。

 

「メルティよ、お前が無事で本当に良かった……」

「お父様……」

 

 ここだけ切り取れば感動のシーンに見えなくもないんだけどなぁ。

 

 メルティには憔悴した様子の演技をして貰っている。

 言いたいことはいっぱいあるだろうけど……それはまた後回し。

 必ず話し合いの時間は取ると約束した。

 身内同士の説得に期待しよう。

 

「よくぞ、メルティを守ってくれた」

「ええ。ですが、再び盾の悪魔がその魔の手を伸ばして来ないとも限りません。しばらく、メルティに護りを割いてはどうでしょうか?」

「むう、盾の悪魔ならあり得るな……」

 

 私の思惑通りに動いてくれると気持ちが良いな。

 当然、この国の騎士なんて大半が敵だ。

 だけど特に問題はない。

 

 ついでに私からの護衛と言ってフレオンちゃんとクロちゃんをメルティちゃんに付けた。

 これで万が一にもメルティちゃんに危害は及ばない筈だ。

 

 さて、ジャブを放ってやろう。

 

「ところで王様。盾の悪魔の奴隷も奪取して来たのですが……」

「ぬ、盾の奴隷じゃと?」

「はい。奴隷契約を解除した後だったらしく……どうも、かなり大切に扱われていたようです。病気のこの子に高級な薬を与えたりしていたとか」

 

 私はそんな事を言いつつフードをそっと脱がせてやる。

 

「な……な……!?」

 

 その者……アトラの顔を見た瞬間、明らかにオルトクレイは動揺して表情が崩れた。

 言葉に詰まったように上手く喋れず感情が激動しているのが手に取るように分かる。

 うんうん、そうなるよね。

 

「……お兄様……ではないですよね? 非常によく似た気配をした方なのですが」

 

 アトラの言葉にオルトクレイは涙が出そうな表情になった。

 まあ……背景を知ってるとそりゃそうなるよねって感想だね。

 さて、これでこの人は問題ないだろう。

 

「盾の悪魔はこの子を殊更に丁重に扱っていました。その意味を……少しは考えてみては如何でしょう? 

「……」

「この子とその兄は王様に預けます。大事にしてあげてくださいね」

 

 もう一人のフードを被った者ことフォウルくんは凄い不満そうな顔をしている。

 いやごめんて、ポケットなモンスターの通信交換の時に流れるメッセージみたいなこと言っちゃってさ。

 本当に申し訳ないが我慢してくれ、後でお礼はするから。

 

「では、私はこれで失礼致します。報酬などの話は現在の情勢が落ち着いてからに致しましょう」

「……ご苦労じゃった」

 

 何かを深く考えている顔でそう言った王様を尻目に私は王座の間から退場した。

 フレオンちゃんはメルティの護衛として残って貰ってるけどね。

 

 そのまま城から出て行く……フリをしてクローキングランスを使用する。

 今の私は誰にも気付かれない透明人間状態だ。

 触れている人にも効果があるので私は証人として頼もしい女王を連れて行く。

 予め城の側で待機して貰っていたのだ。

 

 クククッ……さあ、いつでも尻尾を出してもらって構わないぞ赤豚。

 決して逃げられない包囲網は敷いた。

 既に結果は見えているんだ。

 はよ退場しろ役目でしょ。

 

 と、言った感じで私と女王は事が起こるのを待ち構えた。

 ……ふと思ったけど、先に三勇教が動き出す可能性とか無いよね?

 今更不安になっちゃったよ。

 念の為、アトラの方にも注意を向けておこうっと。

 

 







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