大ダンジョン時代クロニクル   作:てんたくろー

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三人の現状

 名前 早瀬光太郎 レベル43

 称号 ランサー

 スキル

 名称 槍術

 名称 頑健

 名称 気配感知

 

 称号 ランサー

 効果 槍を使った攻撃の威力に補正

 

 スキル

 名称 槍術

 効果 槍を用いた技術の習熟度に補正

 

 名称 頑健

 効果 身体強度に補正

 

 名称 気配感知

 効果 周囲のモンスターの気配を察知する

 

 

「ふむ。ものの見事に槍使いって感じだね。《気配感知》は当然として、《頑健》があって耐久性があるのもいいし、何より独学でよくここまで磨き抜いたものだよ」

「エミールと異なり《槍術》一本か。あちらは護身術などをレベッカから仕込まれているうちに《格闘術》を得たとのことだが、つまり早瀬のほうは近接戦闘での格闘経験のほうは」

「あー、あんまりないですねうはは! 基本長物振り回して暴れ倒して、近づいてきたモンスター相手には殴りつけるなり距離を置いてまた槍で突くなりしてますよ!」

 

 ダンジョン探査に先駆けての、光太郎のステータス確認。

 先日のスタンピードにおいては槍を持って戦っていたことからある程度の推測はヴァール、妹尾ともにできていたが、予想以上に純正スタイルの槍使い……すなわち称号にもある《ランサー》そのものなことにコメントしていた。

 

 実のところ、彼女らには槍使いの探査者は身近なものだった。かつての仲間シモーネ・エミールも光太郎と同じ称号を持っており、槍を使っての戦闘を基本としていたからだ。

 しかしてあちらは護身術から派生して獲得した《格闘術》もあり、槍による中距離戦闘のみならず密接しての至近戦も得意としていたが、光太郎は今のところ完全に槍一本で戦うスタイルのようだった。

 

 豪快に笑っている少年に、ふむとヴァールは考える。思ったよりも悪くない。

 いやむしろ独学かつ我流で、加えて学業の傍ら探査活動を行う学生探査者の身の上でありながらよくここまでレベルを上げてきたものだと感心すら覚えている。

 ろくな指導もないこの土地の気風で、1年もの間、腐ることなく修練した結果がこれというのであれば相当な努力家だろう。

 

「これならば期待できますね、ヴァールさん。現状もそれなりながら、新人にとって劣悪としか言えないこの環境でなおもここまで練り上げた精神性を私は評価できますよ」

「うむ……後はここに、普通の探査者らしい考え方や戦法、スタイルそして技術を組み込むだけか。そう考えれば不幸中の幸いというべきかな、そもそもこの地の特異な環境にこそ問題があるのだから」

「んー、なんかよく分かりませんが褒められてるみたいで光栄です! ちなみに僕の他にも新人は結構いますけど、みんな似たようなものですよ! 教えを請う人がいないならいないなりに、みんな死に物狂いで頑張るものなんですね!」

「…………やはりどうかしているな、このあたりは」

 

 同じく妹尾も敬意を抱いたようで、しきりにうなずき感心している。このことからも分かるとおり、光太郎には探査者としての素質は十全にあるはずだ。

 光太郎本人はあっけらかんと受け答えしており、またその内容がやはり、中部地方の異様な環境を想像させるものでありヴァールを辟易とさせたが……とはいえそれ相応に希望が持てるステータスであることに、一安心の心地だ。

 

 さて光太郎のステータスを見たということで、今度はヴァールと妹尾が各々の証明書を提示した。彼を鍛える以上、指導者側の二人の実力も示しておかねば説得力がないためだ。

 WSO統括理事とモンスター学の権威。大ダンジョン時代における大物二人のステータスを、光太郎は純粋な期待と興奮で確認した。

 

 

 名前 ヴァール レベル521

 称号 守護者

 スキル

 名称 鎖法

 名称 気配感知

 

 称号 守護者

 効果 パーティメンバーの耐久力に大きく補正

 

 スキル

 名称 鎖法

 効果 スキルによる鎖を発現。それを使用する技術の習熟度に補正

 

 名称 気配感知

 効果 周囲のモンスターの気配を察知する

 

 

 名前 妹尾万三郎 レベル293

 称号 拳闘士

 スキル

 名称 拳闘術

 名称 鑑定

 名称 気配感知

 

 称号 拳闘士

 効果 拳を使った攻撃の威力に補正

 

 スキル

 名称 拳闘術

 効果 拳を使った格闘術の習熟に補正

 

 名称 鑑定

 効果 他者のステータスを確認できる

 

 名称 気配感知

 効果 周囲のモンスターの気配を察知する

 

 

「ヴァールさん、第二次の時よりさらにレベルを上げていますね。さすがです」

「妹尾もな。とはいえ伸び幅は小さい……お互い、書類仕事がメインだったのが伺えるな」

「違いありません。ましてや私など、ウェインくんよろしくほぼ隠居状態ですから」

「す…………す、すっ! すすす、すっごい!! え、レベル高っ!! こ、こんなすごい人達に鍛えてもらえるのか、僕は!」

 

 片や言わずと知れた現在最強の探査者、片や第一次および第二次モンスターハザードをも潜り抜けた歴戦の猛者。

 すでに探査者歴20年前後ともなる超ベテランの二人は、それゆえにレベルも当然、1960年時点での上澄みのなかの上澄みだ。

 

 レベル100にも至っていない光太郎には、まさしく桁違いの実力差。これが世界の探査者であり、しかもトップクラスの戦闘力であるのだとまざまざと見せつけられた心地だ。

 しかしてそれを、ネガティブな方向でなくポジティブな方向で彼は受け止めた。

 

 目指すべき地点、その高みを知ってなお……逆に考えて、そのような者達からの教育を受けられるのだとさらに発奮する。

 あるいは早瀬光太郎の最大の長所にして武器かもしれない前向きさで、己の可能性を極めるチャンスを得たと喜んでいたのであった。

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