見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます!   作:蒼天 極

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アースラの牢屋にぶち込まれたって聞いて完全に油断してた……ガハッ‼︎

 流石に次元断層を引き起こそうとするプレシア改めクソババァを放っておく訳にはいかない。

 と言うことでみんなで転送ポートへ移動し、フェイトちゃんのホームでもある時の庭園へと向かうと、そこには所々穴が空いていた。

 

「なのはちゃん、みんなもこの穴には細心の注意を払って」

 

「え?」

 

「虚数空間、魔法が使えない空間だ!

 飛行魔法も発動しない、落ちたら穴の底まで真っ逆さまだ!!」

 

「ちょ、危険すぎるでしょここ! すずか、氷でなんとかできない?」

 

「これだけ穴が空いてると魔力足りないよ! レオ君どうにかならない?」

 

「魔力が勿体無い! 落ちずに進め。以上!

 マリオと同じで落ちたら死ぬ。それだけだ!!」

 

「全然それだけじゃないの!?」

 

 流石は最後の戦いの舞台……ラスダンと言うべきか、フィールドからして殺意の高さが今までとは比にならない。

 

「はぁ、人様の娘をこんな死と隣り合わせの所に置くことになるなんて……桃子ちゃん達になんで言えばいいか…………」

 

「ハトリ元空将、それは一旦後に!

 ……みんな、ここからは二手に別れよう」

 

「クロノ、二手にって?」

 

「片方がプレシアの捕縛を担当、そしてもう片方がこの時の庭園の最上階にある駆動炉の封印を担当するんだ!!」

 

 クロノ君曰く、どうやら今回の次元震はこの時の庭園の動力源である駆動炉を暴走させる事で、足りない分のジュエルシードのエネルギーを補っているらしい。

 つまりそこを止めることが出来れば、プレシアの元にあるジュエルシードの暴走が弱まるようだ。

 

「フェイト、プレシアを止めたいと思ってる君にこんな事を頼むのは気が引けるが、駆動炉の対処に回ってくれないだろうか?

 どこにあるか分からない以上、場所を把握している人の案内が必要だ」

 

「分かった。それなら「いいえ、大丈夫です」リニス?」

 

「駆動炉の場所は私が把握しています。

 フェイトはプレシアの元へ行ってください!」

 

「それならアタシもリニスと一緒に止めに行くよ!

 フェイト、ちゃんとあの鬼婆を止めてきな!」

 

「うん!」

 

 どうやらフェイトちゃんはプレシア討伐メンバーに確定のようだ。

 ならば彼女とプレシアとの戦いを援護できるメンバーが必要だろう。

 

「なら、ひなもおばちゃんの所に行く」

 

「ひな……っ!?」

 

 突如プレシア討伐に立候補したひなちゃんを見たフェイトちゃんだが、彼女の表情を見て息を呑む。

 普段の穏やかでニコニコ笑う彼女とは思えないほどの冷たい目で、プレシアがいるであろう道の先を睨みつけていたからだ。

 

 これはひなちゃんが堪忍袋の緒が切れた……いや、堪忍袋が爆発した際にする表情。

 こうなった彼女は根本的な原因を叩き潰すまで止まらなくなる。

 以前金髪がひなちゃん家のパン屋を荒らした際に状態にして、金髪をボコボコにした事があるのだ。その際アイツは怒り狂って女の子相手だと言うのに無限の剣製なんて使いやがったが、俺と羽鳥さんも参加して三対一でボロ雑巾にした。閑話休題。

 

「ひな、怒る気持ちも分からなくはないが、相手はSS級の大魔導師だ。

 フェイトは当事者だからこそ許可できるが、いくら君といえど流石に危険すぎる!!

 プレシアの捕縛は大魔法を連続で行使できるレオと、元空将で高い実力をもつハトリ元空将の三人で……」

 

「大丈夫よクロ助君。ひなにはまだ奥の手があるから。

 ……ひな、こんな状況だし出し惜しみするべきじゃないわ。

 だから……()()()()()()()()()

 

「うん、セラフィムウィングッ!!」

 

 ひなちゃんがそう唱えると、真紅の翼が三対展開される。だが、フェニックスウィングのそれと違いその翼は痛いほどの熱波を辺りに撒き散らしている。

 

「な、こ、これは……ハトリ元空将のデータは拝見させてもらったが、こんな技はなかったはず……!!」

 

「そりゃあ、これ俺との訓練中になんとなくで開発したらしい技だし」

 

「なんとなく……!?」

 

 セラフィムウィング、フェニックスウィングから癒しの力を抜いたことで、攻撃特化の炎を纏ったひなちゃんの奥の手だ。

 そして普段は一対しか翼を展開しないのだが、彼女の圧倒的な魔力量ならば翼は最大で三対まで展開できる。

 

 三対の炎の翼で戦うその姿がまるで熾天使のようだった為、セラフィムウィングと名付けた。

 

「……よし、分かった。

 それならプレシア・テスタロッサ捕縛は僕と羽鳥元空将、そしてフェイトとレオ、ひなの三人で……っ!?」

 

「きゃああ!!」

 

 直後庭園の揺れが先程以上に酷くなる。

 また、それと同時に足場の崩落が早くなった。

 

 ……こりゃあ今すぐ次元震をなんとかしないと、帰れなくなるな。

 ……本当はプレシア殴り倒したかったけど仕方がないか。

 

「アスカ、次元震食い止めるぞ! いけるな!?」

 

『次元震対策したんでいけますよ!』

 

「オッケー、それじゃ……おらよっと!!」

 

 こんなクソやばい事態に贅沢は言ってやらない為、アスカロンに魔力を貯めて石突きを地面に突き刺す。

 直後、アスカロンを中心に結界が展開し、揺れが完全に停止した。

 

「な……!?」

 

「……次元震は俺が食い止めとく。

 アリシアちゃん、君はひなちゃんかフェイトちゃんに憑き直して!」

 

『わ、分かった!

 ひな、ちょっと取り憑かせてね!!』

 

「うん! あ、れお君、アナライザー貸して!」

 

「オッケー」

 

 ひなちゃんに言われるがままにアナライザーを差し出す。

 恐らく隙を見てプレシアにアナライザーをつけてアリシアちゃんとご対面させるつもりなのだろう。

 怒っていてもなんだかんだ優しい子である。

 

「まさか次元震を止めたのか……!?

 抑えることは出来てもこんな事って……い、いや、それに君の持つそのデバイスは…………!?」

 

 クロノ君がアスカロンをジッと凝視するが今はそれどころじゃないでしょうが。

 これ結構キツイんだから、さっさと済ませてきて欲しい!

 

「……いや、今は後にしよう! すまない助かる!」

 

「どういたしまして。

 ……おい、ヤマト! お前もプレシアのところ行け!!」

 

「……いいのか。オレは一度負けてるぞ?」

 

「馬鹿野郎、そのために鍛え直したんだろうが!!」

 

 確かにヤマトは一度プレシアに敗北している。

 だがなのはちゃんが鍛えてる合間に、俺に儀式魔法を撃ってほしいと頼んできた為、なのはちゃんのついでに虐めてやったのだ。

 今のこいつなら勝てないまでも、ある程度は戦えるはずだ。

 

「それにオリ主は……いや、お前は一度負けたら次はもう負けないタイプだろ!

 フェイトちゃんの好感度上げて来い!!」

 

「レ、レオ!?」

 

「フェイトは関係ない気が……だが分かった!

 クロノ、オレも行かせてもらう!!」

 

「分かった!

 なら、なのは、アリサ、すずか、ユーノの四人はリニスとアルフと一緒に駆動炉の封印を!

 残りの面々でプレシアの捕縛を行おう!!

 レオ、ここは任せた!!」

 

「任された! バッチリ止めといてやるよ!!」

 

「ごめんねレオ君! 行ってくる!!」

 

「すぐ終わらせてくるから待ってなさい!」

 

「頑張ってね!」

 

 グループの組み分けが終了し、早速自らの役割を果たしに行ったみんなを見送ると、こちらも役割を果たすべくアスカロンに魔力を込める。

 

 プレシアと戦えないのは面白くないが、人生なんてそんなもんだ!

 だがせめて次元震を封じてプレシアの目的を邪魔してやるぜ!!

 

 

 ◇

 

 

(なのは視点)

 

 フェイトちゃんのお母さん……プレシアさんを止めに行くフェイトちゃん達と別れ、わたし達はリニスさんに案内され駆動炉へ向かっていた。

 

「チィ、後から後から……」

 

「プレシア……このときの為に傀儡兵を量産していたんですね……」

 

 しかし駆動炉がプレシアさんの作戦の要の一つと言うこともあり、庭園の最上階の近くは兵隊がいっぱい!

 ハッキリ言ってキリがないの!!

 

「ハイペリオンスマッシャーッ!!

 っ!? 御神流、射抜っ!!」

 

「ハァ……ハァ……なのは、大丈夫?」

 

「うん、まだまだ動けるよ……」

 

「無茶はしちゃダメだ。

 ただでさえなのははさっきのフェイトとの戦いで消耗してる」

 

「……でも、ここで怠けちゃったら世界が危ないし、アリシアちゃんも生き返らない。

 みんな頑張ってるんだ……だからわたしも……っ!?」

 

 直後、壁が崩れたと思うとそこからそこから巨大な機械人形が……!

 

「なのは危ない!!」

 

「くぅ! 御神流、「御神流、薙旋・炎ッ!!」あ、アリサちゃん!!」

 

 レイジングハートをセイバーモードに変形させて、迎え打とうとしたらアリサちゃんが腕を斬り落として守ってくれた。

 

「アリサちゃん、ありが「バカちん!」うにゃ!?」

 

 あのまま戦ってたらどうなってたか分からなかった。

 助けてくれたアリサちゃんにお礼を言おうとしたら、急にアリサちゃんはわたしにデコピンしてきたの!!

 

「な、なにするの!?」

 

「全く、一人で無茶するんじゃないわよ!!

 あんたは一人じゃないんだから!!」

 

「アリサ、お説教は後にしな!

 デカブツが来てる!!」

 

「大丈夫よ」

 

 アルフさんの声と同時、アリサちゃんが迎撃した機械人形が再び動き出した。

 こっちに攻撃を加えようとしてくるけど、アリサちゃんは一切微動だにしない。

 アリサちゃんの異変に反応が遅れ、攻撃を受けちゃうと目を瞑ったけど攻撃は来ない。

 恐る恐る目を開けると機械人形は氷の檻に閉じ込められて動く事が出来なくなっていた。

 

「そうだよなのはちゃん。

 なのはちゃんだけじゃなくて私たちもいる!」

 

「すずかちゃん!」

 

「一人で無茶するよりも、みんなで力を合わせよう!」

 

「剣が使えるようになったって言っても、そもそもアンタ後衛でしょ!

 斬り込むのはアタシに任せときなさい!!」

 

「私がみんなの盾になる!

 なのはちゃん達に絶対攻撃は通さないから!!」

 

「アリサちゃん……すずかちゃん……。

 そっか、そうだね! 一人じゃ大変でも二人なら、二人でダメでも三人ならなの!!」

 

 フェイトちゃんとの戦いはわたし一人だったから忘れてたみたい。

 わたしには心強い友達がいる!!

 

「アリサやすずかだけじゃない。相手の動きは僕が止めるよ。

 攻撃は自信がないけど、妨害なら得意だから!!」

 

「ならアタシはフェイトの代わりに、周りを撹乱してやるよ!

 いないよりはマシ程度だろうけど、ちょっとは役に立つさ!!」

 

「それでは私は全体的に援護を行いましょう。

 仮にもみんなの先生ですから、少しはカッコ良いところを見せないとですね」

 

「ユーノ君……アルフさん……リニス……うん! うん、うん!!」

 

 直後、すずかちゃんの氷の檻が破れ、巨大な機械人形がゆっくり姿を現す。

 

「まずはアタシから! フレイムウィップッ!!」

 

 アリサちゃんの炎の一閃が攻撃を加えようと動き出した機械人形の体勢を崩す。

 しかし相手は大型だ。さっきまでの並の機械人形よりも防御が固い。

 ……っ! でもよく見たらアリサちゃんの熱で表面が赤くなってる!!

 

「熱伝導性がいい硬い敵……。

 だったらやっぱりこれだよね! ハーベスト・スノウッ!!」

 

 相手の変化にすずかちゃんも気づいてたみたいで、氷を纏った刺突を繰り出す。

 急激な温度の上昇と、その直後の急激な低下……それを意味するのは…………!!

 

「あ、ヒビが……! そうか、あのときの……!!」

 

「うん、フェイトちゃんと出会う前に戦った亀さんと同じ戦い方だよ!!」

 

 でも相手だって簡単には勝たせてくれない。

 ヒビが入ったからか距離を取った機械人形は辺りに大量の魔力弾を撃ち込んでくる!!

 それに対して動いたのはリニス。

 リニスも相手に負けないくらい大量の魔力弾を産み出して、相手の攻撃を打ち消してくれた。

 なんなら、ちょっとだけ当ててもいる!

 

「リニス、アンタやるねぇ!!」

 

「私も日々進歩しているんです。さぁアルフ、今ですよ!!」

 

「あぁ! はぁあああああああっ!!」

 

 リニスが攻撃を相殺した隙にフェイトちゃん並みの速さで、相手の懐へ移動したアルフさん。

 彼女はその勢いも利用して、機械人形のヒビの入った箇所に拳を叩き込んだ。

 炎と氷による消耗と大きな衝撃を受けた機械人形の表面は砕けて、内側の核のような赤い球が露出した。

 それと同時、緑色の鎖が相手の腕や脚を縛り付けて、そこから動かないように、核を防御出来ないように縛り上げる!

 

「今だよ、なのは!!」

 

「ありがとうユーノ君!

 それじゃあ行くよ、レイジングハート!!」

 

『イエスマスターッ!』

 

「ディバイーン……バスターッ!!」

 

 核が露出し動けなくなった機械人形にわたしのとっておきの一撃を叩き込むと、機能が停止し、重力に従って建物の下へと落下していった。

 

「ナイスよなのは!」

 

「相変わらずすっごい一撃だね」

 

「にゃはは、みんなもだよ! さ、駆動炉に急ご!!」

 

「うん。さっさと封印してフェイト達の援護に向かおう!」

 

「そうだねぇ、あの鬼婆の顔面を一発殴らなきゃ気が済まないんだ!

 さっさと行くよ!!」

 

「みなさんこっちです! もう直ぐですよ!!」

 

 リニスさん曰く駆動炉まですぐそこみたい!

 待っててフェイトちゃん。すぐに封印してそっちに行くから!!

 

 

 ◇

 

 

(レオ視点)

 

「……お?」

 

 みんなを見送り次元震を抑え込んでいたが、次元震の勢いが急激に落ちて来ている。

 ……これはなのはちゃん達が頑張ってくれたか?

 

「麗央さん!」

 

 直後、なんとこっちにリンディさんがやってきたではないか!!

 いや、なんでいるの? アンタ艦長だろうが!!

 

「リンディさんなぜここに?

 頭が倒れたら指揮取れる人がいなくなるんでアースラに戻って下さい!」

 

「問題ありません。エイミィに指揮官を譲って来ました!」

 

 絶賛仕事モードのリンディさんは直後妖精のような羽を展開したかと思うと、魔法陣を展開。

 直後、俺の負担が急激に減り出した。

 どうやらリンディさんも次元震の抑制処理を行ってくれるようだ。

 

「リニスから連絡がありました。駆動炉の封印を完了したと。

 お陰で次元震の規模も激減。私一人でも充分抑えられます!

 麗央さん、プレシア・テスタロッサの捕縛には一人でも多くの人の力がいります!」

 

「……つまりここは私に任せて先に行けって事ですか」

 

「あの子達にあなたの力が加われば確実に止められる。

 どうかお願いします!!」

 

「……分かりました!」

 

 リンディさんの言う通り、もはや俺が抑えなくてもなんとかなる程度に次元震もマシになった。

 ならばいつまでもこんな殺風景な空間にいる必要はあるまい。

 それに俺もあのクソババアには嫌がらせしておきたいんだ。

 

「分かりました。ならお言葉に甘えて行かせていただきま「邪魔だ踏み台」……え?」

 

 ドスッ‼︎

 

 

 

「…………は?」ゴフッ

 

 此処をリンディさんに任せてひなちゃん達の元へ行こうとした瞬間、俺の腹から金色の剣が生えた。

 血の味がする、腹が痛え。この感覚……ヤマトとの鍛錬の言霊事故以来の…………。

 

 激痛に耐えながらなんとか背後を振り返ると、そこには嫌らしい笑みを浮かべた金髪の姿。

 直後、俺の腹に刺さった金色の剣から声が発せられる。

 

『あ、あぁ……ま、マスター……あなたなんと言う事を……!

 殺傷設定で人を刺すだなんて……!!』

 

「なんだよゴッドセイバー、まるで俺様が悪いみたいな言い方しやがって。

 俺がしたのはただの踏み台退治だ。

 やっぱヒロインを苦しめるクソ野郎は此処で退治しておかねぇと……なぁ!!」

 

「ガハッ!!」

 

 自分のデバイスで俺を刺しやがった金髪は、そのまま剣を引き抜くと更に俺の背中を斬り裂きやがった。

 クソ……アースラの牢屋にぶち込まれたって聞いて完全に油断してた……。

 まさか出て来やがるなんて…………。

 

「な……龍帝院 竜弥あなたなぜここに……いや、それはいい。

 なぜ麗央君にこんな事を……これは立派な殺人未遂です!!」

 

「なぜ此処に来たかって? んなもん抜け出したに決まってんだろ!

 こんな大切なイベント、俺だけ欠席というわけには行かねえよ!! なんてったってアリシアを生き返らせて大団円にしなきゃいけねぇんだからな!!

 それに殺人未遂? リンディは変な事言うなぁ。

 踏み台はヒロインを不幸にする。退治してやったことに感謝こそされど、文句を言われる覚えはねぇなぁ?」

 

「あなたは……!!」

 

「この踏み台、どうやらリンディにまで洗脳をかけてやがるみたいだな。

 でもま、この傷じゃもう助からねぇだろうし、もうすぐ洗脳も解けるだろ。洗脳解けたらたっぷりお礼して貰うぜ」

 

 自分勝手な事を宣う金髪は直後、俺の髪を掴むと俺の身体を宙吊りにする。

 

「ぐっ……」

 

「はっ、俺様を怒らせたのが間違いだったな。身の程を知って大人しくしとけば死なずに済んだものを……。

 じゃあな踏み台、俺様がヒロインを侍らせる姿、地獄で指を咥えてみてるんだなぁ!!

 ギャーッハッハッハッ!!!!」

 

 そして心底愉しむかのように吐き捨て俺を乱暴に地面に叩きつけたかと思うと、あのクソ野郎は笑いながら走り去ってしまった。

 

「あの……野郎……!」

 

「麗央君大丈夫!?

 ごめんなさい……まさか脱獄するだなんて……こんな事ならもっと厳重に拘束しておけば……!!」

 

「……いや、あいつの事だからゴリ押しで脱出したに決まってる」

 

「っ!? 麗央君、あなた何を!!」

 

「俺、行きます。

 あいつは絶対状況を悪化させるから……俺が止めないと……」

 

 魔力を炎に変換して傷口を焼く。

 俺自身回復魔法は使えるがこれほどの怪我ではさして効果はない。

 ならいっそ焼いてしまったほうが出血量を抑えられるって寸法だ。

 

「やめなさい! この怪我……命に届いている!! すぐに治療を受けないと手遅れになっちゃうわ!!

 医療班、すぐに麗央君を撤退させて────」

 

「だからなんだ」

 

「っ!?」

 

「あいつのせいでヤマトが、なのはちゃん達が……ひなちゃんが死ぬかもしれない。

 それを止めるのに俺の命が必要ってんなら、安い買い物だ」

 

「麗央君、あなた……」

 

 それにひなちゃんはフェニックスウィングの使い手だ。

 彼女の元まで辿り着けば確実に助かる。

 

 ……いや、仮にひなちゃんがフェニックスウィングを持ってなかったとしても関係はない。

 金髪に対処できるのは俺一人……ならば、俺があいつを止めなければならないんだ。

 

「……行くぞアスカ!」

 

『……一応言っておきますが、リンディさんも言った通りあなた棺桶に片足突っ込んでます。

 このまま激しく動いたら死は避けられません。

 アースラに戻って治療を受けるべきですよ?』

 

「断る」

 

『死にたいんですか?』

 

「死ぬ気はねぇよ。此処で倒れたらアリシアちゃんの蘇生が出来なくなる……。

 生き返らせてあげるって約束したんだ。嘘つきになる気はねぇ……」

 

『……はぁ、仕方ないですねぇ。

 なら、ひなちゃんの元へ辿り着くまで、全力で生命活動をサポートしてあげますよ』

 

「……悪いな」

 

「あ、こら麗央君! 待ちなさい!!」

 

 リンディさんの制止を振り切り、まっすぐプレシアの元へと飛び立つ。

 ……こう言うときこそ冷静に。

 移動の間に金髪がやらかす事態を予想して対策を立てておかなきゃなぁ…………!!

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