問題児たちが異世界から来るそうですよ?~えっ、俺も問題児?~   作:しましまテキスト

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こんにちは、しましまテキストです。
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ありがとうございます!

ようやく後編をアップすることが出来ました。
バイトのセールも終わり一段落したので、これからできる限り継続してアップしていきたいです


それでは今話もよろしくお願いします。


極夜の終わり 後編

白夜叉は歓喜していた。

己が目の前に立つ英傑に歓喜していた。

自らをいとも簡単に欺き、騙し、計略にハメたその男に心の中で最大の賛辞を送っていた。

しかも、その計略自体が白夜叉に本気を出させるためだけに仕組まれていたのだから最早笑うしか無い。

人智を超えた存在である白夜叉を前に、だが目の前の男 大宮祖国は不敵に笑う。

 

”お前を騙す事など造作もない”

 

とでも言いたげな表情を向けながら。

そしてこの男は分かっているのだ。

白夜叉がー魔王がーここまで挑発されて乗らないはずがないと。

今まで全てが茶番。

今まで全てがこの男の手の平の上。

そうと分かってもなお白夜叉の心は歓喜をやめなかった。

 

”これほどまでに心躍る戦いはいつ以来じゃろうな。”

 

記憶の糸をたどり、白夜叉はかつての戦いを思い出す。

天動説を司る太陽神として数多の宇宙観の中心にいた自分を白夜の地平にまで追いやった英傑たちとの長きにわたる死闘を。

圧倒的な暴力を嘆き、苦しみ、それでも歩みを止めなかった愚かしくも愛しき人間たちを。

そして今、白夜叉は目の前の男にかつての英傑たちと同じ光明を見ていた。

 

”そうだ、これこそが私の愛した人類だ”

 

と、白夜叉は久しく忘れていた感情に笑みをこぼす。

 

”なればこそ妥協はすまい。人類の壁として、越えねばならぬ試練として、おんしの真価をここで見定めようぞ!”

 

そして白夜叉は宣言する。

 

「今こそ白き夜の魔王は大宮祖国を対等な相手と認め、持てる限りの力全てを駆使して汝の前に立ちはだかろうではないか!」

 

途端に白夜叉の霊格が莫大に膨張した。

先程までとは比べ物にならない存在感に白夜叉を除いた全員が息を飲む。

否一人だけ、口元に笑みを絶やさない男がいた。

それどころか白夜叉の霊格が高まるにつれて、その笑みは鮮明になっていく。

そんな不遜な男 大宮祖国は白夜叉を指さし、

 

「来るがいい。その巨峰、この大宮祖国が上りつめてみせよう!」

 

と、傲岸不遜に、だが不退転の覚悟を持って言い返したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

祖国と白夜叉の問答が終わると、二人の間に一瞬沈黙が流れた。

そして次の瞬間、先に仕掛けたのは白夜叉だった。

 

”今までやつが使用したギフトで最も危険なのはあの空間移動のギフト。一瞬で私にも感知されず移動できる性能はまさに脅威。だが、あれほどのギフトなら何か使用条件や制限があるはず。ならば…”

 

白夜叉が右手を上にかざすと、突然白夜叉の上空がまぶしく光り輝いた。

祖国が上空を見上げると、そこには巨大な青白く光る球体が発生していた。

その球体は周囲の空気を巻き込み、さらに膨張し続けている。

問題児と黒ウサギはもはや眼前で何が起こっているか理解できていないが、白夜叉の攻撃の危険性を直感で理解し青ざめていた。

”この攻撃はヤバい”と。

しかしそれ程の攻撃をもってして白夜叉は

 

”この恩恵で奴の限界移動距離を測る!”

 

と、祖国をこの一撃では決めきれ無い前提で思考を重ねていた。

そこには祖国に対して微塵の油断もない。

目の前の敵を全身全霊をもって屠る。

その為に己が全てを賭す。

そんな白夜叉の全力の一撃を見て、だが祖国は笑みを絶やす事は無かった。

そして突然祖国が口を開いた。

 

「へぇ、プラズマか。そういや、太陽の中心核はプラズマ体だっけか。」

 

まさか初見で看破されるとは思いもしなかった白夜叉は一瞬たじろぐが、すぐに返答する。

 

「いかにも。これは太陽のプラズマを恩恵として昇華したものだ。名を”第四態光球”という。」

 

「んじゃ、プラズマ爆発でも起こそうってか?俺の移動限界を調べるためにしちゃ派手じゃねーか?」

 

祖国の発言にこちらの意図が見透かされている事を悟った白夜叉は軽口を言い返そうとするが、それよりも早く祖国が口を開いた。

 

「ま、やらせねえけどな。」

 

次の瞬間白夜叉は信じられない光景を目の当たりにする。

先程まで白夜叉の上空にあった超高密度のプラズマ体が一瞬で無くなっていたのだ。

”霧散”ではない。

”移動”などという生易しい物ですらない。

言葉にするならそう、この世界との関係性ごと”切断された”かの如く、”消えた”のだ。

驚く白夜叉を後目に、祖国は不遜に言い放つ。

 

「そんな遅え攻撃が当たるとでも?」

 

「ならば、次は対処できない速度の攻撃でもしてみようかの。」

 

そういうやいなや、祖国の上空を超巨大な爆発が包んだ。

 

それは太陽系最大の爆発 太陽フレア。

 

爆発規模数万キロ、水素爆弾1億個ともいわれるその爆発は数千万℃の熱を発し、余波だけで世界が崩壊するかとさえ思われた。

もちろん、仏門に帰依し神格を落としている今の白夜叉では、完全なる太陽フレアを再現する事は出来ない。

だがそれでも、その一撃はたかだか人間一人風情を屠るには十分すぎる威力を有していた。

数百万℃の熱風が吹き荒れ、衝撃波が大地を砕き、降り注ぐX線、ガンマ線はとうに人間の致死量を超えている。

ゲーム盤は自動修復が始まる度に壊され、最早何度壊されたか分からない。

ようやく爆発が収束し、ゲーム盤が最後の自動修復を終えるが、その光景は見るも無残な物だった。

大地は焼け爛れ、山は溶け、美しかった氷雪は見る影もない。

今回決闘に参加していない問題児たちと黒ウサギはゲームルールによって守られて身体は無事だが、あまりの出来事に頭がオーバーヒート寸前である。

 

余波で発生した砂煙が収まっていくと最初に見えたのは白夜叉だった。

流石に、先程の爆発は相当体力を消耗したらしく、ハアハアと息を切らしている。

だがその白夜叉の目は、勝利を確信したかの様な自信に満ちていた。

爆発直前、祖国に目立った行動は無かった。

仮に転移しても、世界を燃やし尽くさん規模の爆発から逃れられる訳がない。

そう確信し、勝利宣告のギアスロールが下りてくるのを待っていた白夜叉に

 

「おいおい、いまのはちょっと危なかったぞ。死んだらどうしてくれんだよ?」

 

と、腕を組み、まるで何事も無かったの如く気軽に話しかけてくる男 大宮祖国に白夜叉はもはや絶句するしかなかった。

 

「にしても、すげー威力だな。今のはなんだったんだ?」

 

祖国の問にようやく正気を取り戻した白夜叉は、動揺を必死に隠しながら答える。

 

「今のは太陽表面の爆発、太陽フレアを模したギフトだ。」

 

「なるほどな。それならあの威力も納得だ。」

 

「わたしとしては、おんしが無事な理由を知りたいのだがな。」

 

「タネがばれてる手品ほどつまらない物はないだろ?」

 

”手品のような小手先で私の攻撃が防げるものか!”

 

と内心叫びたくなる気持ちを抑えて、白夜叉は鋼の如き意志で自らを律する。

そして冷静になった頭で全ての状況を把握しようと、持っていた扇子を一仰ぎした。

それだけで砂埃は消え去り、祖国と白夜叉の姿が互いにあらわになる。

すると白夜叉は決定的な、今までの祖国では残さなかっただろう痕跡を目撃した。

 

”奴の足元。あそこ一帯が完全に無傷とは。奴のギフトの影響か?”

 

そう、祖国を中心として一辺約2mほどの正方形が地面に出来上がっており、その内部が全くの無傷だったのだ。

一瞬またミスリードかと考えるが、すぐに心の中でそれは無いと判断する。

 

”本来ミスリードは戦いの主導権を握る者が仕組むトラップ。そして先ほどの攻防の主導権は完全に私だ。ならば、あれはミスリードの為の痕跡ではなく、奴のギフトの副産物と考えるのが妥当。とすれば、あの痕跡は奴のギフトを推し量る有力な材料になるの。普通に考えれば、一定空間を保護する恩恵か何かであろうが…”

 

そして白夜叉は今までの祖国のギフトを考察を交え列挙する。

・空間移動のギフト

・攻撃を消し去るギフト

・一定空間において攻撃を無効化するギフト

 

”こうして考えてみると奴のギフトの真に恐ろしい所はその防御性能だの。第四態光球の様に発動まで時間がかかる攻撃は消され、瞬間的な広範囲攻撃も奴には届かん。”

 

白夜叉は刹那の間に祖国のギフトを考察し、眼前の敵を打倒すべく思考を巡らす。

幾通りもの可能性を想定し、シミュレートし、そしてとうとう一つの結論にたどり着いた。

その結論に辿り着いた白夜叉の顔は

 

”ふふ、小童よ。今度は私がハメさせてもらうぞ”

 

と、まるで悪戯を思いついたかの如く、悪い笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、祖国はどうしたものかと頭を悩ませていた。

先程の太陽フレア時に咄嗟にギフトで身体を守ったのはいいが、決定的な痕跡を足元に残してしまった。

勿論、原理がばれたからと言ってどうにかなる様な物ではないが、祖国のポリシー的にはあまり宜しい事ではなかった。

 

”もし俺がアイツなら次に取る行動は…”

 

そう、この思考方法こそが、祖国が白夜叉の意図を見抜いた単純にして、だが中々バカにできない方法であった。

もし祖国が白夜叉ならば、最後の空間移動のギフトを最も危険視し、その詳細を知ろうとするだろう。

そして、白夜叉が次に使った恩恵はプラズマ爆発を引き起こすギフトだった。

プラズマ爆発は広範囲に及ぶため、恐らく一回の移動距離を調べようとしているのだろう、と祖国はあたりをつけたのだ。

 

”もし俺がアイツなら一手ずつ詰みに行くな。”

 

と祖国は結論を出す。

そして、同時にもう一つの大きな問題に取り組み始める。

”いかにして白夜叉を倒すか”という問題を。

そう、このゲームはいくら攻撃が当たらなかろうとも勝つことは出来ない。

殺害は論外故に、ダメージを与えて屈服、つまり負けを認めさせる以外方法は無い。

だが唯一当たった雷撃ですら、白夜叉に少ししかダメージを与えられいない。

そして祖国は思考を加速させる。

 

”奴にまともにダメージを与えるには、どれくらいの攻撃をすりゃいいんだ?雷もほぼ無傷となると…。いや待てよ。アイツもプラズマ使ってたよな?てことは、俺の雷はそれで防いだのかもしれん。たしかあの時恩恵を使ったって言ってたし。なら、もしかして………”

 

そして祖国は、

 

 

 

 

 

 

 

 

”アイツ本体はそんな強くないんじゃね?”

 

というとてつもなくアホな結論に行き着いた。

勿論、祖国がそんな極端な結論に行き着いたのには訳がある。

だが今回においてその結論は悪手だった。

 

”とりあえず、アイツ本体に軽く一発攻撃をきめて反応を見よう。もし予想通りなら、あまり強い攻撃だと死んじまうかもしれねえしな。”

 

などと、本人が聞けば激怒しそうな内容を考え、そして祖国はそれを実行に移す事を決め右手を虚空に伸ばす。

するとそこには、いつの間に取り出したのか、祖国の身の丈程もある大剣が握られていた。

白夜叉は祖国のデタラメっぷりにもはや慣れたのか、呆れたような表情さえして尋ねる。

 

「おんし、いったいいくつギフトを持っておるんだ?」

 

「いくつだと思う?」

 

「質問に質問で返す出ないわ。」

 

「まあ、そう怒んなって。」

 

「して、その刀はなんだ?」

 

「ああ、これか?これは人工的にダイヤモンド、カーボン、黒鉛を合成して作ったブレードだ。素材で強度と粘りを再現し、ブレードの薄さで軽量化に成功した逸品だぜ。俺みたいな非力な人間でも片手で振り回せるくらいには軽いな。」

 

「ほう、それはなかなか。流麗なフォルムといい、黒く光るその刀身といい、かなりの名品だの。何なら、良い値で買おうではないか。」

 

「お断りだなっ!」

 

そう言うと、祖国はギフトで一瞬の内に白夜叉に近づき、大剣を振り下ろす。

しかし白夜叉はそれを読んでいたのか軽々と避けると、いったん祖国との距離を開ける。

 

「なるほど、本格的にゲームクリアを狙いに来たな。ならば私も、そろそろおんしを攻略するとしよう!」

 

途端に白夜叉の周りに6本の極太の炎柱が発生した。

そして次の瞬間炎柱がユラユラと揺れたかと思うと、6本の炎はまるで独立した意志を持っているかの如く、”別々”に祖国を襲いかかった。

瞬時に祖国は転移し攻撃を避けるが、あまりにも厄介な攻撃にたまらず白夜叉に問う。

 

「くそが。なんだよそれ?まるで蛇みたいにヌルヌル動きやがって。」

 

「ほお、勘にしてもよく当てたのう。この恩恵の名は”紅炎の六賢蛇”、太陽と蛇をモチーフにした恩恵である。」

 

「紅炎だと!?じゃあ、その炎はプロミネンスか!?」

 

「おんしはつくづく博学だのう。だがこの恩恵の厄介な所はそこではないぞ?」

 

「んじゃ、なんだってんだよ?」

 

「蛇は古来より賢者の象徴として信仰されてきた存在だ。」

 

「だから何だよ?」

 

「まあ、端的に言うと、その炎はおんしの行動パターンを”学習”し、それを踏まえた上で次の攻撃を繰り出す。さらに6匹の蛇の意識、思考、視野は共有されておるから、その学習速度は凄まじいものだぞ。」

 

祖国は絶句した。

詰みに来るとは予想していたが、ここまでとは想定していなかった。

数分もすれば自分は行動パターンを見切られ捕まるだろう。

そうなれば即ジ・エンドである。

唯一の打開策は短期決戦。

時間が経つほど不利になる現状で、その結論に行きつくのは当然であった。

だが

 

”それも想定のうちだろうな。”

 

と忌々しげに白夜叉の思考を予測する。

白夜叉ほどの手練れとなれば二手三手先を読んでいても不思議ではない。

しかし同時に短期決戦しか祖国に勝機が無いのもまた事実。

 

”ならば罠と知りつつ乗るしかねえか。ま、せいぜい足掻いてやるよ。”

 

次の瞬間祖国の動きが豹変した。

今までは必要最低限しか転移を使わず、極力白夜叉に自らのギフトに関する情報を与えてこなかった。

だが今は違う。

まるで特攻にも似た様相で祖国は転移を繰り返し、白夜叉と6匹の蛇の周囲を移動し続けている。

時には平面に、時には上空に、あるいはフェイントを織り交ぜながら白夜叉の超近距離に。

空間のありとあらゆる場所に現れては消える祖国に、賢神たる炎蛇も未だ対応できていない。

 

”まだだ、まだ早い。”

 

と、祖国は”わざと”自らの行動パターンを単調にし蛇たちに”学習”させる。

そして数十秒ほどが経ち、蛇たちが徐々に祖国の行動を学習し始めたとき、祖国は目にした。

蛇たちが一斉に”次の”祖国の移動地点を予測し、白夜叉の”左前方”にすでに移動し始めているのを。

 

”さすが賢神様。思ったより早かったな。”

 

と祖国はほくそ笑むと、次の瞬間”白夜叉の背後”に転移した。

そう、これが祖国の狙っていた一瞬。

蛇たちにわざと単調な行動パターンを見せつけ、”学習”させる事により、祖国の次の転移場所を”理解”したつもりにさせる。

そして、頃合いを見計らって白夜叉から離れた場所にミスリードし、その間に白夜叉に攻撃をしかける。

賢神をも騙した事に、内心してやったと歓喜した祖国は

 

”まあ、死なない程度には手加減してやるよ”

 

と勝利を確信した面持ちで、白夜叉の背後から大剣を振り下ろした。

そして次の瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ!?」

 

と、初めて祖国はこの決闘において明確な驚きの声を上げた。

なぜなら彼の握る大剣がその刃の中央あたりから完全に折れていたのだ。

いや、折れていたというのは正確ではない。

まるで触れた箇所が圧倒的な熱量で溶かされたかの如く蒸発したのだ。

何が起こった?

だが祖国が疑問の原因を突き止める暇もなく

 

「ようやく、おんしに近づく事ができたの。祖国よ。」

 

という白夜叉の満面の笑みと共に、彼女の星をも揺るがす拳が祖国の腹部に深々と突き刺さった。

祖国は苦悶の表情を浮かべ、その勢いに押され吹き飛ばされる。

問題児たちは遂に白夜叉が祖国に一撃をいれた事に、黒ウサギはその威力が到底人間には耐えられる物ではない事に声を上げた。

白夜叉も自身の一撃に手ごたえを感じ、口元に笑みをうかべる。

 

しかし次瞬間、白夜叉の腹部にまるで先程の自分の拳をくらったかのような衝撃がはしった。

 

「がはっ!」

 

と、口から空気を吐き出しながら吹き飛ばされる白夜叉。

正体不明の攻撃に困惑しながらも、白夜叉はその眼でしっかりと見ていた。

白夜叉の拳をくらい吹き飛ばされたはずの男が、口からは血を流し、腹部に手を当てながらも、しかししっかりと両の足で立ち上がったのを。

しかもその顔が、苦悶ではなく心底楽しそうに笑っているのを。

 

”この状況で笑うか。まあ、私も楽しんでおるゆえ、お相子だがな。”

 

と白夜叉は素直に感想をもらす。

そして、

 

”なればこそ、この祭りをこんな所で終わらせる訳にはいかぬ!”

 

と白夜叉は自らの身体に鞭を打ち、吹き飛ぶ勢いを己の脚力だけで止めてみせた。

そして巻き上がる土煙の中からゆっくりと立ち上がると、愉悦に満ちた双眸で祖国を凝視し、

 

「いやはや、まさか今ので決めきれぬとはな。それどころか反撃までされるとは…。」

 

と、決して軽くはないダメージを負った身で軽口を叩いた。

 

「はっ、そうかよ。こっちはお前にハメられて愛用の剣が真っ二つの上、とんでもないボディーブローをくらったんだぜ?つーか、なんで折れたんだ?」

 

「おんしの手品とやらを教えてくれたら、教えてやらん事もないぞ?」

 

「ま、大方の予想はついてるから別にいいんだけどな。」

 

「つれない小童だのう。美女の誘いは断るべきではないぞ?」

 

「幼女は範囲外なんでな。」

 

「それは残念。」

 

そして二人に沈黙が流れる。

互いに軽口を言いあっているが、二人とも身体的にも精神にも限界寸前だった。

白夜叉は大規模なギフトの連続使用による体力切れ。

祖国に至っては、最後の白夜叉の攻撃であばらが何本かご臨終していた。

さらに目の前の敵から一瞬たりとも気を抜けない緊張感が二人の精神を著しく削っていた。

そんな中、突然口を開いたのは祖国であった。

 

「はぁ、俺もう限界だわ。」

 

「それは敗北宣言と見なしてよいのかの?」

 

「そうだな、”次の”攻撃で決めきれ無かったら、俺の負けでいい。」

 

「ほう、よほど自信があるのかの?」

 

「やるのは初めてだが、威力は保障するぜ。」

 

「そうか。なら尚更逃げる訳にはいかぬの。」

 

「なぁ、白夜叉。」

 

「なんだ?」

 

「感謝するぜ。」

 

「急にどうしたのだ?」

 

「いやな、俺が元いた世界じゃ俺を傷つけられる奴なんかいなかったからよ。だから本気を出せるお前との決闘はすごく楽しかった。」

 

「そうかそうか。私もこれ程心躍る戦いは久しぶりであったぞ。」

 

「そうかい、そりゃよかった。だがな…、いやだからこそ、俺は最後まで手を抜くつもりはないぜ?」

 

「当たり前だ。ここで手を抜くのは、今までの戦いを無に帰すと同義であろう。」

 

その白夜叉の言葉に、ついに心の中で最後の"何か"を決心した祖国は

 

「ああ…、そうだな。」

 

と返し、そして静かに目を閉じた。

 

「終わりにしよう、白夜叉…」

 

そう呟くと、祖国は両手を広げて大空にかかげ、そして厳かに死刑を宣告する。

 

「下りて来い…。-----Jupiter-----」

 

途端にあたりが暗くなった。

それは奇しくも、太陽が沈んだかの様な暗黒。

何事かと一同が空を見上げ、そして本日最凶の驚愕が白夜叉たちをおそった。

 

そう、星が落ちていた。

 

比喩ではない。

厳然たる事実として、それはそこにあった。

太陽系最大の惑星ー木星ー

それが白夜叉のゲーム盤の空を覆うように、落下してきていたのだ。

 

「ウソ…」

 

「なっ…!?」

 

「おいおい、これはさすがに…」

 

「あり得ないのですよ…」

 

そう絶句する問題児たちと黒ウサギは、規格外の怪物 大宮祖国の”本気”に、本能レベルで畏怖を覚えていた。

 

そんな中、白き夜の魔王 白夜叉は、嬉しそうに眼前に迫る星を眺め、そして瞳を閉じた。

 

”よくぞ、よくぞこの巨峰を登り詰めた!

認めよう…。おんしの勝利だ、大宮祖国よ!”

 

そして白夜叉が心の中で惜しみない勝者への賛辞を送り終えるとほぼ同時に、世界が崩壊を始める。

極光が世界を包み、何もかもが崩れゆく世界のなかで、

 

「終わらぬに極夜に終止符を…。」

 

そんな祖国の手向けの言葉を聞き取れた者が果たしていたのだろうか。

 

 

 

祖国の全力の一撃は白夜叉のゲーム盤に衝突するやいなや、もはや人類の有する言葉では形容できない衝撃で世界を砕き尽くした。

その世界をも屠る一撃は、ゲーム盤の修復速度すら凌駕し、世界の相補性すら破壊し、森羅万象の根源を無に帰し、そしてー

 

 

 

 

ーパリンー

 

 

 

 

ーそんな音と共に、白夜叉のゲーム盤を粉々に粉砕したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

極夜の終わり 後編(完)

 

 

 

 

 

 

 




読了ありがとうございます。
書いてて、白夜叉を強化しすぎたかとも思いましたが、そんな白夜叉を圧倒した祖国君のチートさが分かって頂ければと思います。
ギフト説明は次話にさせてください(泣)
さすがにちょっと疲れました。
ちなみに筆者至上最長です(笑)

感想、意見、批判まってます!
それでは今回はこれにて。
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