問題児たちが異世界から来るそうですよ?~えっ、俺も問題児?~   作:しましまテキスト

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こんにちは、しましまテキストです。
お気に入りが60件を突破いたしました!
ありがたいかぎりでごぜーます。
100件を超えたら本格的にヒロインを考えようと思います。
決して後回しでは無い!

今回は祖国君の能力概要をざっと最初にまとめておきたいと思います。
前回の話で要領をえなかった方に目を通して頂ければ幸いです。
それでは今話もお付き合いお願いします。


ノーネーム

<ギフト解説>

ギフトネーム”カット&ペースト” ”黒箱(ブラック・ボックス)~コンフリクター~”

 

・”カット&ペースト”

 知覚した存在を世界から一時的に切り取り、任意の座標、任意の方向ベクトル、任意のタイミングで再び世界に貼り付ける恩恵。切り取られた現象は、時間、空間、劣化、変質などの概念が存在しない祖国の内在世界に完全保存される。(本人はこれをストックと呼ぶ。)内在世界に保存されるため、意識せずとも祖国本人は切り取った現象全てを完全に把握している。また主観的な判断ではあるが、祖国は切り取った存在をその危険度からSランク~Eランクにまで分類している。(作中登場の自然災害はCランク、木星衝突はAランク。) 

 理論上、視認など祖国本人が感じる事の出来る存在は無制限に切り取る事が可能であり、視認できない物(太陽フレアの熱風等)も、切り取る対象をそれが存在する空間に変更すれば付随的に切り取り可能。ただし、空間、時間等の世界構造の根幹をなす存在を切り取るのはかなりの負担がかかる為、あまり本人は好んで使用しない。(作中で祖国が使用した空間転移は、切り取った空間を内在世界に保存せずそのままノータイムで元の世界に貼り付けているので、負担はかなり少ない。)

 悪用すればチート同然の恩恵だが、祖国の良心によりその脅威はかなり引き下げられている。原理的には、対象者の心臓を問答無用で握り潰したり、相手の体内から核爆発を起こすことも可能だが、祖国の常識的思考がそのような物騒な発想をセーブしており、今のところ実行するつもりは本人には無い。

 また、他の問題児たちと同様に祖国のギフトにも伸びしろがあり、使用している祖国本人も能力の一端しか使いこなせていない…らしい。

 

 

 

・”黒箱(ブラック・ボックス)~コンフリクター~”

 祖国が白銀の天使からもらい受けた恩恵。”カット&ペースト”以上に謎が多いギフト。祖国の認識としては昔の自分の病気を治してくれた程度であり、なぜ白銀の天使がそれを所持していたのか、なぜ祖国の病気が治ったのか、その他もろもろは一切不明。魔王ディストピアの遺産であり、箱庭史では”コンフリクター”とは別の種類の黒箱が存在していたという記録もあるが、真偽は定かではない。

 

 

 

とまあ、こんな感じです。

書きもらし、追加設定等があれば随時変更していきます。

それでは本文をどうぞ。

 

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一同が黒ウサギの提案でそろそろ帰ろうという事になり店の暖簾を出た所で、祖国は何かを思い出したかの様に振り返ると白夜叉に尋ねた。

 

「ああそうだ、白夜叉。明日暇か?」

 

「なんだ?明日は特に用事もないが…、まさかデートの誘いかの?」

 

「鏡見て出直して来い。」

 

「なんじゃと!おんしには女子への接し方を教えてやる必要がありそうだの!」

 

「いらねーよ、そんな物。別段モテる訳でもないしな。時間の無駄だ。」

 

という祖国の発言に一同は耳を疑った。

確かに服装はおしゃれとは言い難いが、祖国の素材自体は決して悪くないからだ。

寧ろかっこいいと言っても差し支えないだろう。

東洋人には珍しいスラっと長い足で、スタイルは非常にいい。

髪も扱いは雑であるが、少し長めのストレートの黒髪は女性の物かと思うほど艶やかだ。

そして顔も目つきこそ少し鋭いが、逆にそれが祖国独特のクールな雰囲気を醸し出しており、彼の実力も相まって、言葉ではなく背中で語るという表現がピッタリの切れ長イケメンを作り出している。

しかしそんな一同の評価を知ってか知らずか、祖国は我関せずといった口調で続ける。

 

「そんなんじゃなくて、報酬だよ、報酬。決闘の褒美の件だ!」

 

「なんだそんな事か。」

 

「そんな事じゃねーよ。取りあえず報酬の件で明日また来るから店にいろよ!」

 

「うむ、分かった。旨い茶菓子も用意しておこう。」

 

「明日は紅茶がいいな。」

 

「ふむ、たまには趣向を変えてみるのも良いかな。」

 

「じゃ、そういう事で。」

 

という最後の方はふてぶてしさすら感じる祖国の発言に、店員は胃がキリキリと痛むのを感じていた。

そして現在問題児一行は、

 

「くっあああ、マジで疲れたぜ。もう当分戦いは遠慮するわ。」

 

「ヤハハ、そりゃ白夜叉とあんなに派手にドンパチやったら疲れるだろうぜ。」

 

「全くだわ。見ているこっちが疲れてしまったもの。」

 

「祖国、すごかった。」

 

「でも、もう少し威力をわきまえて欲しいのですよ。」

 

と、談笑しながら黒ウサギのコミュニティに向かっていた。

最初は険悪な雰囲気だった飛鳥も、目の前で規格外の力を見せつけた祖国を認め、少しではあるが態度を柔和させていた。

他の面子も先程までの絶対的な存在感を出していた祖国が、打って変わってただの人間の様な雰囲気を醸し出している事に苦笑している。

当の祖国も

 

”こういうのも悪くないな”

 

と、つかの間の談笑を楽しんでいたのだった。

そんなこんなで半刻ほど歩いていると、一同は”ノーネーム”の居住区画の門前に到着した。すると黒ウサギが辛そうな面持ちで告げる。

 

「ここから先が我々のコミュニティの領地です。我々が住む本拠まではもう少し距離があるのでご容赦を。それと、今から見るものは皆様に不快な思いをさせてしまうかもしれません。この近辺は戦いの名残がございますので…」

 

「戦いの名残?噂の魔王って奴とのか?」 

 

「はい」

 

「へぇ、そんなに凄いなら見てみたいわね。」

 

「興味ある。」

 

「なんか白夜叉がありなら、何でもありな気がしてきたぜ。」

 

と遠回しに気にするなと告げる4人の返答を聞くと、黒ウサギは門をあけ放った。

そしてその先の光景に

 

「「「なっ…」」」

 

「こりゃまたエグいこったな。」

 

と絶句する問題児たちと、顔をしかめる祖国の姿があった。

 

「…おい黒ウサギ、魔王との戦いは何百年前だ?」

 

「…わずか3年前のことです…」

 

「…3年前?300年前の間違いじゃないの?」

 

「…いいえ」

 

「…八ッ、こりゃ本格的にいい感じだぜ。この風化した街並みが3年前のだと?断言するぜ。こんな事は自然には絶対にあり得ない。」

 

「ベランダにティーセットがそのまま出ているわ…。まるで人がそのまま消えたみたい…」

 

「…生き物の気配も全くない。土地そのものが死んでるみたい。」

 

「ああ、そこらじゅうに死が溢れてやがる。嫌な空気だ。」

 

「それだけ魔王とのゲームは未知のものだったのでございます。彼等がこの土地を取り上げなかったのは魔王としての力の誇示と、一種の見せしめでしょう。彼らは力を持つ人間が現れると遊び感覚でゲームを挑み、二度と逆らえない様に屈服させます。わずかに残った同志も心を折られ…コミュニティを去りました。」

 

「なるほど、ゲーム盤を用意するだけ白夜叉はマシって事か。」

 

そんな祖国の軽口に反応する者は誰もおらず、一同を沈黙が包む。

だが、そんな中祖国はあえて空気を読まずに続ける。

 

「ま、魔王の努力も結局は無駄だけどな。」

 

「…どういう事でございますか?」

 

「人類はバカって事だ。」

 

「なっ!」

 

「そしてバカだからこそ”諦めない”。」

 

「えっ?」

 

「どんな理不尽な事があっても、生きる事を諦めない。

 どんなに辛くても、いつか報われると信じて諦めない。

 いくら涙を流そうとも、明日のために諦めない。

 そんな愚直さこそが、唯一人類に与えられた”恩恵”なら、

 

 人類の不屈は、いつか魔王をも殺す。そうだろう?」

 

祖国のそれは、限りなく希望的観測に近い物だった。

だがなぜか祖国の言葉を聞いたものは、それが叶わぬとはとても思えなかった。

それはきっと祖国の目が、それを信じて疑わない強い光を宿していたから。

 

人類こそが魔王を屠る。

 

そんな人間主観の、傲慢な、だがいかにも祖国らしい考えに、他の問題児たちも感化されたのか、

 

「ヤハハ、そうだな。いい感じに魔王様を屠ってやろうじゃねえか!」

 

「ええ、今度は人類が魔王が屈服させて、二度と逆らえなくしてあげるわ!」

 

「絶対に負けない!」

 

と、胸の内に湧き起こる”バカな”感情を口にした。

そして黒ウサギは、そんな大それた、しかし決して夢物語とは思えぬ、そんな未来を想像して

 

「そうですね、皆様方ならきっと実現できるのですよ!」

 

と、彼女もまた”バカな”感想を口にしたのだった。

 

 

 

 

 

黒ウサギたちは居住区を抜けると、水神からのギフトをさっそく利用するために巨大な貯水池にやってきた。

よく見るとその周りにある貯水施設の汚れを、小さな子供たちがせっせと掃除していた。

どうやら長らく使われていなかったため、汚れがたまっていたようだ。

そんな中、こちらをいち早く見つけたジンが声をかけてきた。

 

「あ、皆さん!水路と貯水池の準備は出来てますよ!」

 

「ご苦労様です、ジン坊ちゃん。皆も掃除を手伝っていましたか?」

 

「はい!一生懸命頑張りました!」

 

「黒ウサギのねーちゃんお帰り!」

 

「ねえねえ、新しい人たちって誰?」

 

「強いの?かっこいいの?」

 

「YES!とても強くて、頼りになる方々ですよ。紹介しますから、みんな一列に並んで下さい。」

 

そう黒ウサギが言うと、まるでどこぞの軍隊のごとくキビキビとした動きで子供たちは一列になる。

 

”まじでガキばっかだな。半分ぐらいは人間じゃねえな。”

 

”実際に見てみると本当に多いわね。これで6分の1だなんて。”

 

”私子供苦手だけど大丈夫かな…”

 

”俺がいた世界の北〇鮮の軍隊みたいな動きしてたなw”

 

と一人だけ明らかに場違いな感想を抱いている男がいた。

 

「それでは紹介します。右から、逆廻十六夜さん、久遠飛鳥さん、春日部耀さんです。もう1人お隣の方は大宮祖国様。祖国様は客分としてコミュニティに滞在されます。我々のコミュニティが加入するに値するか見定めるためです。皆様にくれぐれも失礼の無いように気を付けるのですよ!」

 

「「「「はい!」」」」

 

「あら、私はもっとフランクに接してもらっても…」

 

「ダメです!それではこの子たちの為になりません!」

 

と絶対に譲れぬとばかりに言い放つ黒ウサギ。

 

「コミュニティではプレイヤーたちがゲームに参加し、彼らの戦果で初めて生活が成り立つのでございます。これは箱庭にいる以上避けられない掟。子供のうちから甘やかせば、この子たちの為になりません!」

 

「分かった、分かったよ。ただ、あんまり無茶はさせるなよ?」

 

とだけ祖国は釘をさし、その会話は手打ちになった。

 

結局、十六夜が水神から貰った水樹の苗を貯水池に設置し、見事コミュニティの水不足は当分解決、子供たちも大喜びだった。

その後、祖国は客分として本拠の中を黒ウサギに案内されていた。

 

「祖国様の部屋はこちらになります。」

 

「へぇ、きれいな部屋じゃん。」

 

「こちらは昔、貴賓室として使われていたのですよ。」

 

「そんないい部屋使っていい訳?」

 

「構いません。祖国様は客分ですから。」

 

「つーかさ、俺の名前を様付けで呼ぶの止めてくんね?背中がムズムズするわ。」

 

「で、ではなんとお呼びすればよいのですか!?」

 

「いや、フツーに祖国でいいだろ。」

 

「そ、そんな呼び捨てだなんてっ!」

 

「じゃあ、”さん”で呼べ。様は禁止な。」

 

「わ、分かりました。祖国…さん?」

 

「なぜに疑問形…」

 

と、髪を緋色にし、上目づかいで恥ずかしそうに祖国の名前を言う黒ウサギ。

そんな黒ウサギを見て

 

”俺の名前って、”さん”付けだと卑猥な意味にでもなるのか?”

 

とアホな事を考えていた祖国に、今度は黒ウサギがお願いをする。

 

「じゃ、じゃあ黒ウサギの事もきちんと”黒ウサギ”と呼んで欲しいのですよ!」

 

「あん、何いってんだ?」

 

「とぼけても無駄です。祖国さんは今までずっと黒ウサギの事を”お前”呼ばわりして、一度も名前で呼んでくれて無いのですよ!」

 

”そりゃ、お前。俺は認めた奴しか名前で呼ばないからな…”

 

と心の中で呟き、そして反芻する。

確かに黒ウサギの初手は、祖国の信頼を失うのに十分だった。

だが祖国の忠告の後、態度を改めて、可能な限り祖国に誠実であろうとしている。

それに黒ウサギのコミュニティが苦しい状況なのも事実だった。

祖国を騙してまで加入させようとしていた理由も分からなくもない。

それに何より、子供たちを思いやり、また慕われる黒ウサギが悪い奴とは思えない。

 

そんな結論に行き着いた祖国は

 

「分かったよ、黒ウサギ。」

 

と、初めて彼女の名を読んだ。

 

ーのだが、祖国が名前を呼ぶと黒ウサギは顔を真っ赤にして俯いてしまい何もしゃべらない。

痺れをきらした祖国が

 

「もしもーし、聞いてる?」

 

と、うつむく黒ウサギを下から覗き込むように聞くと、

 

「ひゃっ、ひゃい。な、な、な、なんでございましゅか?」

 

と、かみ過ぎてなんといっているのかよく分からない返事が返ってきた。

 

「いや、なんだじゃないだろ。大丈夫か?顔真っ赤だけど…」

 

「だ、だ、だ、大丈夫でございます!そ、それより祖国…さん、食事はいかがなさいますか?」

 

「あー、今日はいいや。」

 

「それでは湯殿は?」

 

「パス。疲れたから寝るわ。」

 

「そうでございますか。明日の朝食は何時にされますか?」

 

「起きたら食べる。」

 

「それでは予定が…」

 

「自分で作るからいいよ。取りあえず寝かせてくれ。」

 

「…分かりました。子供たちに一言申して頂ければ、”リリ”という子が食事を用意いたしますので。」

 

「分かったよ。んじゃな。」

 

そう言ってドアを閉めると、祖国は着ていた服を脱ぎ、しわにならない様にハンガーにかける。

 

そしてシャツを脱ぎ上半身裸になると、

 

そこにはあの忌々しい病の兆候ー黒い電流の様な模様ーが祖国の心臓部から右肩にかけて侵食していた。

 

「やっぱりか、まあちょっと今日はやり過ぎたかな…」

 

そんな独り言をつぶやくと、祖国はベッドに倒れこみ、襲い来る眠気に身をゆだねるのだった。




読了ありがとうございます。
ちょっと恋愛描写をいれてみました。
上手く書けたかは…、分からないw

祖国君は客分として滞在する事になりました。
これからは、ちょくちょくやらかしていってもらう予定です。

それでは今回はこれにて。 
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