問題児たちが異世界から来るそうですよ?~えっ、俺も問題児?~   作:しましまテキスト

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こんにちは、しましまテキストです。
アップ遅れて本当に申し訳ありませんでした。
そしてこんな駄文を待っていてくれた方、本当にありがとうございます!
今後とも可能な限り早くアップしてきたいとおもいます。

お気に入りがいつの間にか90件を突破していました!
登録して頂いた方、本当にありがとうございます。
皆様のご期待に応えられるように頑張っていきたいです。

さて今回もよろしくお願いします。


覚悟

祖国たちは現在ノーネーム本拠の中庭に来ていた。

ペルセウスのゲームが中止になった件は現状ではどうしようもないと考えた祖国が、とりあえずレティシアの用件だけでも済ませてしまおうと提案したのだ。

時間的余裕がない現状を理解し最前だろう行動を提案した祖国に、レティシアは人知れず感心していた。

だが表情にこそ出していないが、十六夜も黒ウサギも未だにペルセウスの急なゲーム中止に納得していないようだった。

 

”まぁ、分からなくもないがな…”

 

と、祖国も自身の胸の内に存在する言いようのないモヤモヤに眉をひそめる。

そして二人も自分と似たような感情を抱いているであろう事を祖国が推し量るのはさして難しい事ではなかった。

実際、十六夜はちょっとは楽しめそうなゲームがいきなり中止になった事に、黒ウサギは長年待ち続けた同胞を取り戻すチャンスが水泡に帰した事に、それぞれ強い憤りを感じている。

 

しかし、現状を嘆く事に甘んじず、今できる事をやろうという祖国の提案は決して間違ってはいないだろう。

レティシアも祖国の前向きな意見に感化されたのか、十六夜とのゲームのモチベーションが上がってきている。

そしてかく言う十六夜も、ゲームと聞いては我慢できないのか、或は旧ノーネームの主力だったレティシアの実力に期待しているのか、とにかく彼の周りにはゲームが楽しみでならないといった雰囲気が漂っている。

そんな中、突然口を開いたのは祖国だった。

 

「で、いったいどんなゲームをすんだよ?」

 

「ああ、ルールは簡単だ。ランスを互いに投擲しあい、受け止められなかった方が敗北だ。」

 

「ヤハハ、シンプルでいいじゃねえか。こういう真正面からの勝負は嫌いじゃないぜ!」

 

と十六夜が獰猛な笑みを浮かべる。

そしてレティシアは十六夜の準備が整ったのを確認すると、

 

「では、私から行くぞ。」

 

と言い放ち、背中から翼を出現させ空中に跳躍する。

次の瞬間、レティシアの霊格が一気に肥大化した。

その霊格は祖国の様な人間にも視認できるほど濃く、夜空に映えるそのダークブラッドはまさに吸血鬼の姫にふさわしき様相を呈していた。

そしてレティシアは自身の霊格を手に持つランスに纏わせると、

 

「ハァァッ!」

 

と、一切の容赦なく十六夜に投げはなった。

その速度たるや弾丸にも引けをとらず、空気との摩擦でランス全体が熱量で赤く輝いている。

常人ならば受け止める事はおろか、避ける事すら不可能だろう。

ーそう常人ならば。

しかしそんな殺人的な一撃をもってしても十六夜は笑みを止めず、そして飛翔するランスに対して大きく手を振りかざすと、

 

「ハッ、しゃらくせえ!」

 

ー殴りつけた。

 

「「ーは?」」

 

「おいおい、マジかよ…。」

 

黒ウサギも、当事者であるレティシアでさえも瞬間的にだが十六夜のデタラメっぷりに素っ頓狂な声をあげてしまう。

唯一平静を保っている祖国も、十六夜の常識破りな行動に嘆息をもらす。

しかしそうしている間にも、十六夜に殴りつけられ鉄塊となった元ランスはレティシアのそれを遥かに凌駕する速度で対象にむかって進んでいる。

 

”なっ、まさかこれ程とは。だが、これなら…。”

 

といち早く正気に戻ったレティシアは、

 

 

 

ー避ける事を諦め、静かに目を閉じた。

 

一同はまさかのレティシアの行動に十六夜以上の衝撃を受ける。

そして悟った。

そう、レティシアはこのゲームで死ぬつもりなのだと。

 

「レティシア様!」

 

と黒ウサギが必死になって駆け付けようとするが、スタートが遅れたためか

 

”クッ、このままでは間に合わない…。”

 

このままでは、間違いなくレティシアの方が先に鉄塊に打ち抜かれてしまうだろう。

それでも諦める訳にはいかないと黒ウサギは最後まで手を伸ばした。

長年待ち続けた仲間に、共にコミュニティを再興させる同志に、そして何より自身が慕うレティシアに、最後の最後まで黒ウサギは手を伸ばし続けた。

だが無情にも黒ウサギの伸ばした手がレティシアに触れるより先に、十六夜の打ち出した無数の鉄塊がレティシアの身体を打ち抜いた

 

 

 

 

 

はずであった。

だが、いつまで経ってもレティシアに鉄塊は到達しない。

どうした事かとレティシアが目を開けると、

 

「ゲームに手出しするつもりは無かったが…。それはちょっといただけないな、吸血鬼のお姫様。」

 

そこにはレティシアの小さな企てを真正面から叩き潰した男が立っていた。

祖国のしたことは至極簡単。

ギフトでレティシアの前の空間を切り取り、背後の空間に貼り付ける、ただそれだけである。

だが、レティシアは目を閉じていたため何が起こったのか理解できていなかった。

レティシアが何が起きたかを尋ねるよりも早く、眼前の男 大宮祖国が口を開いた。

 

「で、いったいどういうつもりだ?」

 

”どういうつもり、か…”

 

とレティシアは自身の絶望的な状況を黒ウサギに告げなければいけない心苦しさと共に、他人の心を土足で踏み荒らすような祖国の言動にいらだちを感じた。

 

”私の覚悟も知らぬ分際で。そんなに知りたければ教えてやろう!”

 

といらだちの余り少しやけくそ気味なレティシアは祖国に言葉を投げかける。

 

「ペルセウスのゲームが中止になった理由は知っているか?」

 

「いや。」

 

「そうか、ならば聞け。もともと次のゲームの商品が私だったのは知っているな?だがある時、私の所有元であるペルセウスに私を高く買うという通達が来たのだ。」

 

「そんなにいい値だったのか?」

 

「ああ、それこそペルセウスがゲームを中止してまで取引に応じるほどにな。」

 

「でもそれだけじゃないんだろ?」

 

「もちろんだ。その取引で私は…箱庭から外界へ出品されるのだ。」

 

「なんですって!?」

 

と驚きの声をあげる黒ウサギ。

祖国もレティシアの言葉が何を意味しているか、それは良く分かっていた。

 

「もう箱庭には戻って来れないって事か?」

 

「それだけではありません!吸血鬼は箱庭の天幕の下以外では日光をあびる事が出来ません。もしレティシア様が外界で日光を浴びられたら…」

 

「それにルイオス、現ペルセウスのリーダーが言っていたよ。私の買い手は重度のペドフィリアだそうだ。ま、命に比べれば貞操など安いものか…」

 

「そ、そんな事って…。あんまりでございます!」

 

「おい、お姫様。」

 

悲嘆にくれる黒ウサギを無視して、祖国は更なる言葉を投げかける。

 

「で、それだけか?」

 

「「なっ…」」

 

今回の言葉には今まで平静を装ってきたレティシアも動揺を隠しきれ無い。

 

「祖国さん、それはいくら何でも見過ごせないのですよ。」

 

と黒ウサギも怒りで髪が緋色に変わり、その手にはギフトカードが握られている。

だがそんな黒ウサギの様子を見ても、祖国は表情一つ変えず、

 

「黙ってろ、黒ウサギ。俺はこいつと話してんだよ。」

 

と冷たく言い放った。

 

「それに俺の質問の答えもまだ聞いてないしな。」

 

「答えだと?」

 

「まあ、俺の質問の仕方も悪かったか。じゃあこう言い直そう。」

 

祖国は静かに、だが確かな憤怒の色を持った瞳でレティシアを見つめる。

その瞳の威圧感は百戦錬磨の戦士であるレティシアをもってしても一瞬たじろぐ程のものであった。

そして祖国は厳かに問うた。

 

「なんでお前が諦めてんだ?」

 

「それはさっきも言っただろう!私は「そうじゃねえ。」これから…何だと?」

 

「俺が聞きたいのはそんなんじゃねえ。どうして俺たちがお前を取り戻す事を諦めてねえのに、当の本人が諦めてんのか聞いてんだよ。」

 

その祖国の言葉にレティシアは耳を疑った。

 

「まだ私を取り戻せる気でいるのか?」

 

「当たり前だ。」

 

「ゲームは中止になったのだぞ?」

 

「なら別の方法を探すだけだ。」

 

「不可能だ…。」

 

「そんな事誰が決めた?」

 

まるで現状に絶望していない祖国の様子にレティシアの心の中は疑問でいっぱいだった。

 

”どうして、どうしてお前は最悪の未来を想定しない?どうしてそんなに前ばかり見ていられる?どうしてお前は諦めない?どうして…”

 

そんなレティシアの内心を見透かすかの如く祖国は静かに、だが穏やかに告げた。

 

「信じているからな。」

 

「…え?」

 

「俺は俺を信じている。黒ウサギたちの事も信じている。そしてお前もだ”レティシア”。俺はお前を信じている。だからお前も俺を信じろ。」

 

言外に仲間を頼れと告げる祖国の言葉に、レティシアの口から二度と言うまいと決意したはずの弱音がこぼれる。

 

「…すがってもいいのか?」

 

「ああ。」

 

「…迷惑もかけるぞ?」

 

「承知の上だ。」

 

「…私のせいで傷付くかもしれんぞ?」

 

「くどい。」

 

レティシアの言葉をにべもなく一刀両断すると、祖国は最後の言葉を投げかける。

 

「お前がどんなに絶望しようが、お前の現状がどんなに絶望的だろうが関係ねえ。」

 

祖国はレティシアの瞳を見つめ、迷いない決意と共に宣言した。

 

「俺はお前を(カステラを)絶対に諦めねえ。」

 

もはや頭の中でレティシア=カステラという謎の方程式が完成してしまっている祖国は末期なのだろう。

あながち間違っていないのが腹立たしい所であるが、結局祖国はどこまでいっても祖国なのだった。

 

 

 

 

 

 




読了ありがとうございます。
久しぶりの執筆なので、あまり上手に書けませんでした。
猛省します。

今回も話が進まなかった。
反省します。

祖国君が相変わらず腹ペコだ。
キャラ設定ミスったかなw

とにかく、今後とも精進していきますので、どうか見捨てないでください(泣)
それでは今回はこれにて。
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