問題児たちが異世界から来るそうですよ?~えっ、俺も問題児?~   作:しましまテキスト

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こんにちは、しましまテキストです。

投稿が遅れてしまい申し訳ありません。
風邪で一週間?程度ダウンしていました。
皆様も風邪には十分お気を付けください。

さてお気に入りが150件に到達いたしました!
ありがとうございます!

今話は白、黒のギアスロールが振ってくる裏事情を説明していきます。
つまらない方は読み飛ばしていただいても結構です。

それでも構わないよ~という方は、今作もお付き合いください。


魔王

祖国の目の前に広がる状況。

それはまさに惨劇という言葉が相応しいだろう。

広く開け放たれた闘技場は、いたる所が破壊され原型は見る影もない。

怯える黒ウサギ。

なぜか石化しているルイオス。

身体中から血を流し、地に伏せている逆廻十六夜。

そして、唯一祖国の知らない人物。

その美しい顔や整った身体つきとは到底相容れるとは思えない程の異常な雰囲気を纏った女性。

そして祖国は一瞬にして悟る。

 

”奴がアルゴールか…。”

 

彼女の身体からにじみ出る殺意が、底知れない敵意が、彼女の正体を雄弁に物語っていたのだ。

だが祖国は、あえて断定的な口調で問う。

 

「お前が、魔王アルゴールだな?」

 

そんな祖国の言葉に彼女はフッと笑みを浮かべると…

 

「そうだよ。うちがアルちゃんだし!」

 

とマジでシリアスな空気を一瞬でぶち壊したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は数刻前に遡る。

 

「ヤハハ。こんなもんじゃねえだろ、”元”魔王様!」

 

と高らかに哄笑をあげる十六夜。

彼が見つめる先にはいましがた彼が殴り飛ばし壁にめり込んでいる、おぞましい姿をした怪物メデューサ・アルゴールの姿があった。

 

それは戦闘というよりも蹂躙と言った方が適格かもしれない。

それ程までに十六夜とアルゴールの戦いは一方的だった。

序盤こそ相手の力量を見定めるために十六夜が手を抜いていた事もあり、戦況は拮抗している様に見えた。

だが本気を出した十六夜と、霊格を圧倒的に縮小させた今のアルゴールでは勝負になるはずもない。

地殻変動に比する膂力、第三宇宙速度に迫る速度、そんな反則級の恩恵を惜しみなく駆使する十六夜との勝負において、最早勝敗など明白だった。

最後にして最大の切り札である石化の恩恵も、もちろん十六夜には通用しなかった。

避けるでも、逸らすでもなく、”砕く”。

そんなバカげた方法でアルゴールの切り札を打ち破った十六夜に、敵だけでなく味方の黒ウサギやジンさえ驚愕の色を浮かべていたのだった。

 

「おいおい拍子抜けだぜ。こんなもんなのかよ魔王ってのは。」

 

と軽口を叩く十六夜の胸中には、だがしかし言いようのない不安が渦巻いていた。

 

”どういう事だ?たしかに押してるのは俺のはず…。なのにどうしてルイオスの野郎に焦りの色が見えねえんだ?”

 

そう、十六夜の懸念通りルイオスの表情には驚愕こそあれ動揺はない。

そしてルイオス自身アルゴールが敗れた事はやはり想定の範囲内であった。

いや、そう知らされていたという方が正しいかもしれない。

 

”やはりあの女の言う通りになったか…。”

 

とルイオスは目の前の状況を実に冷静に観ていた。

奥の手があるからか、はたまたこの事態をすでに知っていたせいか、どちらにせよルイオスは自分でも驚くほどに冷静であった。

 

”あの女の思い通りになるのは癪だが、いまはそんな事はどうでもいい。この不愉快なノーネーム奴らを完膚なきまでに叩きつぶす!”

 

そしてルイオスは玉座に鎮座まま十六夜を見下ろすと、軽薄そうな笑みを浮かべながら、だが瞳は真面目な様相のままに口を開いた。

 

「おい、そこのノーネームの小僧。」

 

いきなりの外野からの声に十六夜は怪訝そうな顔をするも、ルイオスの呼びかけに応じる。

 

「なんだよ?ご自慢の魔王様はこの通りのありさまだぜ?次はお前が相手してくれるのかよ?」

 

「馬鹿が。どうして僕がノーネーム風情にわざわざ手を下す必要がある?それより小僧、一つだけ忠告しておいてやる。」

 

「?」

 

「悪い事は言わない、降参しろ。そうすれば黒ウサギだけで手を打ってやるよ。」

 

「ハッ、寝言は寝ていいな!追いつめられて遂に頭までおかしくなっちまったのかよ?」

 

と十六夜はルイオスの突然の勧告をはねつける。

だが十六夜自身、ルイオスの言葉が狂想にとりつかれて出てきた物ではない事を直感的に理解していた。

 

”こいつは本当に何か奥の手を持ってやがる…。だが!”

 

そう、たとえ奥の手があろうと、それこそどれ程絶望的な状況に陥ろうとも、十六夜の頭に撤退の二文字はなかった。

こんな所で引けるはずが無いと、こんな楽しい事を逃す訳にはいかないと、そして何よりここで引けば…

 

”ここで引いて、後であいつにどんな面さげて会えるってんだよ!”

 

と獰猛な笑みを浮かべていた。

 

かつて金糸雀は言った、

 

ー感動に素直であれ、と。

 

そして彼の目下最大にして最強の好敵手である祖国も同じことをいっていた。

 

ー楽しかったぜ、白夜叉、と。

 

ならば自分も素直になろう。

湧き上がるこの衝動を、本能が求める欲求を、自らの力をいかんなく揮えるこの場所で、全力を持って対峙しようと。

 

「こいよルイオス。てめえがどんな策を持ってようが関係ねえ。俺の全力で叩き潰すだけだ!」

 

その言葉に込められた思いは、今まで真剣という言葉を一度も体現したことがないルイオスですら何か感じる所がある程であった。

そしてルイオスも自らの威厳を、ノーネーム風情に負けられないという意地を、ペルセウスという御旗を、すべてを賭けたこのゲームにふさわしい態度で応じる。

 

「いいだろう。後悔するなよ、名無しの小僧!!!」

 

そしてルイオスはギフトカードを胸元から取り出し天高く掲げると、高らかに宣言する。

 

「さあ覚醒しろアルゴールよ!旧約聖書に記されし原初の悪魔よ!今こそその暴威をもって、立ちふさがる英傑に引導を渡す時だ!!!」

 

瞬間、ルイオスのギフトカードから黒い光が溢れだす。

いや、矛盾した言い方かもしれないが、闇の様な光と言った方がいいだろうか。

それ程までにその光は濃く、黒く、禍々しかった。

そしてその光に呼応するかの様に、アルゴールの身体も劇的なまでに変化していく。

化物の如き巨体は、少し小柄な女性のそれに収縮していき、

浅黒く生理的な嫌悪感さえ抱かせるその肌は、まるでシルクの如き美しい物へと変わり、

そして蛇のように乱れたその髪は、誰が見ても美しいと断じる事が出来る上質な黒髪へと変貌した。

そう、

 

ぶっちゃけ言ってかなりの美少女になっていた。

 

だが、その場にいる誰一人としてその美しい姿に見とれてなどいなかった。

それは単に彼女から発せられる殺気が、敵意が、そして何より絶対的強者としての威圧感が、その場を完全に支配し、誰一人として彼女に警戒せずにはいられなかったからであった。

そんなアルゴールの異常さに、十六夜はまるで白夜叉に挑んだ時と同じ感覚を味わっていた。

絶対的な力の差、幾通りもの敗北のイメージ、そして死。

そして目の前の怪物が、人間の人智の及ばぬ存在である事を直感的に理解した十六夜は、

 

 

 

だがそれでも笑っていた。

逆にその笑みはアルゴールの姿が変化する前に比べて、より一層鮮明になっている。

 

”なるほど、確かにワクワクするな。己の全てを賭してもまだ届かない相手。そしてそれにいかに勝利するかというこの緊迫感。いいぜ、いいぜ、いいなおい!最高に盛り上がってきたぜ!”

 

そんな人生で初めての感覚への歓喜を十六夜が心の中で噛みしめている一方で、ルイオスもまた同様に歓喜に包まれていた。

 

”素晴らしい。これ程までの力とは…。これだけの力があれば、4桁だって夢じゃないぞ!”

 

そんな俗物的な欲望にまみれながらも、ルイオスは自らの僕と”思い込んでいる”アルゴールに大声で目の前の敵を排除せんと指示を出す。

 

「やれアルゴール!その不遜な小僧を地に這いつくばらせてやれ!」

 

「………。」

 

だがアルゴールはルイオスの言葉など聞こえていないかの様に、サイズが縮んだためにダボダボな服ばかりを気にしている。

一向に反応を示さないアルゴールに対して痺れをきらしたルイオスは、いらだたし気に声を荒げる。

 

「聞いているのかアルゴール!さっさとその小僧をやってしまえ!」

 

その言葉にようやくルイオスの方に振り返るアルゴール。

だがそんな彼女の口から出て来たのは、

 

「うるさい。」

 

という真向からの拒絶の言葉であった。

まさか主人に逆らうとは思っていなかったのかルイオスはアルゴールの言葉に顔を真っ赤にして怒鳴る。

 

「お前、立場が分かってるのか?隷属しているお前が僕に逆らうなんて、あり得ないんだよ!」

 

だがそんなルイオスの言葉を鼻で笑うと、

 

「バーカ。」

 

といって、ルイオスをその魅惑的な瞳で睨みつけた。

その瞬間、ルイオスの身体が足の部分から徐々に石化し始めたではないか。

まさか僕と思っていた者に裏切られるとは思っていなかったルイオスは、必死になって叫ぶ。

 

「おい、どういう事だ、アルゴール!こんなことしてただですm…。」

 

だが残された者たちがルイオスの言葉を全て聞く事はなかった。

アルゴールは心底つまらないといった様子で全身石化したルイオスを見やると、

 

「ほんとバカだし。アルちゃんはもうお前の物じゃないんだつーの。」

 

とさらっととんでもない事を口にする。

十六夜は目の前で起こった謀反に一瞬呆然としかけるが、それよりも大事な事をすぐさま思い出し、黒ウサギに問う。

 

「おい、黒ウサギ。これってゲームクリアって事になるんじゃないか?」

 

「えっ、そうですね。少々お待ちくださいね。」

 

そう言うと黒ウサギは自慢の耳をヒョコヒョコと動かす。

そして数秒後、箱庭中枢からの返答が得られたのか黒ウサギは十六夜の方を向くと、

 

「箱庭の裁定が下されました。本ゲームはゲームマスターが正式な方法で打倒された故、クリア条件を満たしたと判断されました。ここにノーネーム側の勝利を宣言いたします!」

 

と嬉しそうな表情で宣言する。

その瞬間、上空一面にゲームクリアを知らせるギアスロールが舞い散る。

その様子を見て、イレギュラーな事態であったために内心ヒヤヒヤしていた十六夜もほっと安堵する。

 

「ヤハハ、そりゃよかったぜ。正式なクリアじゃないからどうなるかと思ったが。」

 

「はい。これでレティシア様を取り戻す事が「お楽しみの所悪いけど、まだ終わりじゃないし。」出来ま…。」

 

だが、やはり箱庭の問題児と呼ばれていたアルゴールがみすみす彼等を逃がすはずも無かった。

もちろん十六夜はそんな事を知る由もないのだが、だが彼も本能的にアルゴールとの戦いは避けられないと理解していた。

それ程までに、アルゴールという存在はその場において異端だったのだ。

無駄とは知りつつ、十六夜はなんとか穏便に事を済まそうと口を開く。

 

「おいおい、まだ終わりじゃないって言ってもどうすんだよ?俺らはゲームクリアしちまってんだから、お前を構ってやる義理はねえんだぜ?」

 

「お前、さっきアルちゃんを思いっきり殴っただろ!?あれちょー痛かったんだけど?」

 

「お、おう。」

 

アルゴールのいきなりのテンションについて行けない十六夜は、不覚にも少したじろいでしまう。

 

「アルちゃんみたいないたいけな少女の顔を殴るような奴には、キツイお仕置きをしてやるし!」

 

「ハッ、いったいどうするんだよ?」

 

「もちろん、こういう事!」

 

突如上空に黒いギアスロールが降り注ぐ。

それは試練の具現。

天災の襲来を告げる不吉な鴉。

そしてアルちゃんことアルゴールは高らかに告げる。

その姿には先ほどまでの軽い様子など欠片も無かった。

 

「我が名は星霊アルゴール。原初の悪魔の名を冠する、元3桁の魔王。今こそ人類の天敵として、倒すべき悪として、貴様たちに試練を課そう!」

 

そう言い放つ彼女の姿は、まさしく魔王という名に違わぬ圧倒的な存在感を有していたのだった。

 

 

 

 

 




読了ありがとうございます!

寝込んだせいで、またまた腕が落ちた気が…。
執筆も全然速度が上がらないです(泣)
さっさと祖国君の戦闘に入りたいのですが、このペースではまだ少しかかりそうです。
大変申し訳ございません。

批判、意見、質問等ございまいしたら、コメント欄までどうぞ。

それでは今回はこれにて。
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