問題児たちが異世界から来るそうですよ?~えっ、俺も問題児?~ 作:しましまテキスト
投稿がかなり遅れてしまい申し訳ありません。
PCが不調で起動できなくなったので、修理に出していました。
連絡も送れず、申し訳ありませんでした。
さて今回の話には、独自設定がてんこ盛りです。
実は筆者、問題児シリーズは第1巻だけ読んでないので、本作と原作に相違があるかもしれません。
致命的なミスの可能性もありますので、気になる事がありましたら、コメント欄までお願いします。
それでは今話もよろしくお願いします。
「ほう、流石はペルセウス。中々いい茶菓子を出すじゃないか。」
「全くだし。アルちゃんは星霊だから本当は食事は必要ないんだけど、こういうのも悪くないし。」
ムシャムシャという擬音語が聞こえそうな勢いで咀嚼を繰り返す祖国とアルゴール。
彼らの目の前にはこれでもかという程に高く積まれた茶菓子の数々。
洋菓子、和菓子、その他もろもろ。
世界のありとあらゆる茶菓子を結集したかの様な光景に、茶菓子好きの祖国はもちろん、本来食事を必要としないアルゴールですら目を輝かせながら茶菓子をむさぼっている。
「もう、いい加減にしてください!これじゃ審議か進まないじゃないですか!」
黒ウサギの悲痛な叫び声がペルセウスの談話室に響きわたる。
そう、祖国達が現在いるのは闘技場ではなくペルセウスの談話室。
メンバーは祖国、アルゴール、黒ウサギ、ジンの四名だ。
どうしてこの四人がこんな仲良く(?)談話室で呑気に休息をとっているのかというと、
「うるせーぞ、黒ウサギ。そもそも俺らの戦いを邪魔したのはお前だろうが。」
「そうだそうだ!ジャッジマスターを持ってるからってあんま調子乗んなし!」
まあ、上の二人のいう事が全てであった。
半刻程前、闘技場にて。
「そうだよ。うちがアルちゃんだし!」
そんな場違い極まりない声が闘技場に響き渡る。
どれくらい場違いかというと、アルゴールの化物っぷりをすぐ目の前で見ていた黒ウサギでさえ思わずズッコケてしまう程場違いである。
さしもの祖国もアルゴールの初見印象があれすぎて苦笑いを浮かべている。
「そこに倒れてる逆廻を倒したのはお前か?」
祖国はあまりの気まずさに見れば分かるはずの事をわざわざ問いただす。
そうしなければ場の雰囲気がぶっ壊れてしまう事を直感的に理解していたのだ。
「ん、こいつ?フッフッフ、こいつを倒したのは何を隠そうこのアルちゃんだし!」
そんな祖国の苦し紛れの質問につつましやかな胸を張って答えるアルゴール。
彼女の態度と殺気のギャップでますます頭が混乱していく祖国に、今度はアルゴールが質問を投げかける。
「それよりお前。お前が逆廻の好敵手か?」
「なんだそりゃ?なんで俺と逆廻がライバルみたいになってんだよ?」
アルゴールの質問にまったく訳が分からないといった表情で祖国は返答する。
実際祖国は天上天下唯我独尊を形にしたようなあの逆廻十六夜が、自分の事をそこまで評価しているとは考えていなかった。
それどころか、十六夜はどちらかと言うと自分の力以外は心からは信頼していない男だとさえ感じていた。
それゆえ、十六夜が祖国に自らの後を託して行くほどに信頼していると気付けなかったのも当然の結果と言えよう。
だが祖国の心当たりがないといった態度にもかかわらず、アルゴールの胸中には確信めいた答えが存在していた。
そう、目の前の男こそが逆廻十六夜の言っていた目標だと。
彼から充溢する強者としてのオーラが、隠しても隠し切れない超越者としての存在感が、そして何より彼の瞳に宿るそれが、彼の力量を雄弁に物語っていたのだ。
「じゃ、質問変えるけど、こいつとお前どっちが強い?」
「あ?そりゃ、そこに転がってる逆廻だろ。」
「ダウト!」
祖国の息でもするかの如く滑らかに出てくる嘘にアルゴールは思わず声を荒げる。
この一触即発の場面におかれても未だ平然と嘘をつこうとする男に、アルゴールの本能は一層警戒の色を示す。
ーこの男は危険だ、と。
だが当の祖国はと言うと、まるで嘘がバレた事など意に介していないかの様に飄々と答える。
「ハァ、分かってんなら最初から聞くなよ。」
「確認の為だし!ていうか、なんで嘘つく訳!?」
「そりゃ、お前とあんまりガチで戦いたくないからな。周りを巻き込まない保障もないし。」
それは祖国の本心からの言葉。
敵が十六夜を倒す程の化物ならば、正攻法で打ち破る第一条件は好ましくない。
ギアスロールに示された第二条件をクリアする方がセオリーである。
それに万が一戦う事になったとしても、黒ウサギやどこかに隠れているであろうジン、宮殿に残っている女子二人やペルセウス兵を巻き込まない保障は無い。
ゆえに祖国の見解としては、本気の戦闘は極力避け、第二条件でゲームクリアを目指すという方法が最有力であった。
だが、現実はそう上手くはいかない物である。
祖国が十六夜よりも強いという言質をとったアルゴールの美しい顔は心底楽しみだといった表情をしている。
これでアルゴールとの戦闘はほぼ不可避になってしまっただろう。
祖国は深い深いため息をつきやれやれといった表情でアルゴールを眺めると、しぶしぶと言った表情で口を開く。
「だがまあ、こうなった以上やるっきゃねえわな。」
そんな祖国の宣戦布告を受け取ったアルゴールは顔を嬉しそうに輝かせると、
「当たり前だし!絶対に逃がさないんだから!」
全く状況を知らない人がいれば勘違いされそうな口上を述べた。
そしてそんな中、黒ウサギの心の中は、
”言えない、言えないのですよ。まさか既に審議決議開催の申請を箱庭中枢部にしてしまったなんて…。”
素晴らしい程にテンパっていた。
それはもう普段の黒ウサギからは考えられないような動揺っぷりだ。
額には大粒の汗がにじみ、目は浮ついて焦点が定まっていない。
傍から見れば完全に変質者である。
”神様、仏様、帝釈天様!いえ、いっそ今なら白夜叉様にすら願い奉ります!どうか空気読んだタイミングで審議決議が受理されてください!”
そう、これこそが黒ウサギの最大の懸念材料。
なんかいい感じにバトルパートに突入しそうな二人に、
「審議決議が受理されました~、戦闘中断してください。」
などと今更言えるほど黒ウサギの心臓は丈夫に出来てはいない。
完全に空気が読めない奴だと勘違いされて、二人から冷やかな目線を送られる事間違いなしだ。
”そんな事になったら、黒ウサギはホントに羞恥死してしまうのですよ!”
黒ウサギは最悪の未来図を頭の中で思い浮かべ身震いする。
戦いにおける矜持という物をよく理解している彼女だからこそ、そんな無粋な真似は望むところでは無かったのだ。
そんな黒ウサギの心の内を知ってか知らずか、祖国はなおも口を開く。
「お前の目的は何だ、アルゴール?」
「目的?そうだなー、最初はそこの逆廻十六夜と戦うため事だったけど、今はお前と戦う事かなー。」
「そうじゃない。」
「へ?」
「そうじゃねえよ、アルゴール。なぜ三千世界の神々に喧嘩をうった?」
祖国は今回のペルセウスのゲームに参加するにあたって白夜叉から魔王アルゴールの概要をある程度伝え聞いていた。
つまりアルゴールの伝承や能力、霊格など様々な内容を事前に知っていたのだ。
そしてその中の一部に、どうしても解せない内容が含まれていた。
”魔王アルゴールは旧約聖書に原初の悪魔として取り込まれた時に覚醒し、三千世界の神々に宣戦布告した。”
文章の前半は全く持って問題ない。
問題は後半である。
なぜアルゴールは三千世界の修羅神仏に無謀な喧嘩を挑んだのか?
いくらアルゴールが星霊として絶大な力を有していたとしても、コスモロジーを形成する程の神群相手に勝てるなど到底考えられない。
現にアルゴールは激闘の末に封印され、ギリシャ神群の預かる所となった。
そんな勝ち目のない戦いを冒してまで彼女の手に入れたかった物は何か?
それが祖国にはどうしても理解できなかったのだ。
「俺も多少はお前について勉強したからな、お前の伝承は大抵知ってる。なぜ勝ち目のない戦いに身を投じたんだ?」
祖国の質問にアルゴールは黙ったままだ。
だが心なしか彼女の様子が会話前よりも剣呑な物になりつつある。
そう、それはまるで憎い敵を目の当たりにしたかの様な、信じていた者に裏切られた様な、そんな負の感情が作り出す雰囲気。
ただでさえ禍々しかった彼女の殺気は、感情の変動によってさらに鋭さを増してきている。
祖国は強まる殺気に危機感を覚えながらも、アルゴールの返答を待ち続けた。
そして数秒間の沈黙の後に、ようやくアルゴールが静寂を破った。
「お前、多少はアルちゃんの事を知ってるっぽいね。だけどわざわざそんな事を教えてやる義理はないし!」
「ま、そうだけどな。だけど一つだけ忠告しといてやるよ。」
「なに?」
「復讐なら止めとけよ。虚しくなるだけだ…。」
「!!」
祖国の言葉に驚愕をあらわにするアルゴール。
自らの心の内を読んでいるかの様な発言に、アルゴールの脳内はアラームを一層強くする。
”あいつ…、他人の心を読むギフトでも持ってんの!?”
もちろん祖国にそんなギフトは無い。
ただ慣れていただけだ。
そう、”慣れて”いただけなのだ。
祖国が元いた世界。
そこは技術が飛躍的に進み、人類が地球の支配者として君臨していた世界。
だが同時に戦争が絶えない世界でもあった。
理由は単純明快、無計画に乱用された残り少ない希少資源の奪い合い。
もちろん祖国がいた日本国も例外ではない。
既に断絶した国交も多く、国境など無いかの様な狼藉が至る所で発生していた。
そしてそんな状況で、祖国の強大な力が武器として注目されないはずもない。
身寄りのない祖国は軍部に身元を引き取られ、兵士として15歳までを過ごした。
当然戦場にも幾度も赴いた。
多くの惨状を目の当たりにしてきた。
仲間が知らない異国の敵を殺しているのを見た。
そして彼自身も直接的に、あるいは間接的に多くの人間を殺めて来た。
けっして幸せな少年期だったとは言えないだろう。
だがそんな祖国だからこそ、悪意に、敵意に、殺気に、殺意に、憎悪に、ありとあらゆる負の感情に敏感に反応出来た。
そうしなければ真っ先に戦場で殺されていたから。
慣れなければ、そうしなければ、すぐに死が迎えに来る。
そんな極限状態に彼の日常はあったのだ。
しかし最近では、祖国はその事に感謝している部分もある。
人の感情に敏感になれたという事は、相手の心理を推し量り、状況を有利に進める材料にもなるからだ。
今が非常に良い例だろう。
祖国の洞察力がアルゴールの感情の変化を感じ取り、その負の感情の要素を推察していく。
怒り、憎しみ、悲しみ、驚き…。
アルゴールを観察して読み取れた主な兆候は上の4つ。
そして祖国の経験上、これが意味する事は…
”…近しい者による裏切り。”
そしてそれに対するアルゴールの予測される行動こそが”復讐”。
”何者かに裏切られたアルゴールは、その復讐の為に必敗の戦いに身を投じた。”
これが祖国の頭の中に導き出された解答であった。
そしてこの解答も、アルゴールの動揺っぷりから察するにはずれではないようだ。
祖国はしてやったりという表情を浮かべると、警戒の色をあらわにするアルゴールに問いかける。
「どうやら当たりみたいだな。」
「だから何?あんたには関係ないし!」
祖国の表情にイラッときたアルゴールは少しムキになって言い返す。
その返答が祖国の推察を正解だと暗に告げているとも気づかずに。
だが祖国はアルゴールの返答にゆっくりと首を横に振り、否定の意を示す。
「そういう訳にはいかないんだよ。戦う理由が出来ちまったからな…。」
そう、祖国は止めなければならない。
アルゴールの復讐という行為を止めなければならない。
その行為の愚かさを、虚しさを、そしてその結末として何が残るのかを、身を持って知っているが故に。
”誰かが受け止めるしかねえんだよ。どんなに理不尽でもな…。”
憎悪の連鎖は誰かが絶ち切らねばならない。
激情に任せて復讐を成せば、それはまた別の復讐を生む。
終わらぬ円環に終止符を打つには、誰かがその恨みを”許す”必要がある。
それがどんなに辛い決断であろうとも。
「だから…、俺がお前を止めてやるよ!」
そして祖国は臨戦態勢に入る。
その構えには微塵の隙も無く、そこに映るは虎視眈々と敵を屠らんとする姿のみ。
祖国が臨戦態勢に入ったことで、アルゴールも雰囲気を豹変させる。
今までの軽い様子はどこへやら、その瞳には最早祖国との戦闘の事しか頭にないような愉悦の色が映る。
スイッチが切り替わったように鋭い威圧感を放つ彼女の姿は、まさしく魔王のそれに相応しいだろう。
翼を広げ、臨戦態勢に入り終えたアルゴールは凛とした面持ちで最後の口上を述べる。
「来るがいい英傑よ!最早言葉に意味は無し!己が信念を貫きたくば、互いを討つより他は無い!」
もとより話し合いで解決できると考えていなかった祖国もアルゴールの提案に頷くと、
「そんじゃ、いくぜ!」
という掛け声と共にアルゴールに接近し…
「本ッ当に申し訳ありません!!!審議決議が受理されましたので、どうかっ、どうか戦いを一時中断してください!!!」
その足は強制的に止められる。
本当に空気を読めないタイミングで割って入ってきた黒ウサギにげんなりとした表情を向ける祖国とアルゴール。
二人は互いに顔を見合わせコクリと頷くと、
「「黒ウサギ、マジKY…。」」
といきピッタリな感想と共に、これまたいきピッタリな程の冷やかな目線を黒ウサギに向けるのだった。
読了ありがとうございます!
結局、話が進まないですね。
もうペースは気にせずゆっくりと更新しようかなw
今後は多分今までくらいの更新速度にもどれるかな~と思います。
本当に今回は更新遅れてすいませんでした!!!