問題児たちが異世界から来るそうですよ?~えっ、俺も問題児?~ 作:しましまテキスト
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ありがとうございます!
さて、前作ではずいぶんとお気にいりの方が入れ替わってしまい複雑な気分です。
まあ結局筆者の実力不足ですので、今後とも精進してまいりたいと思います。
今話なのですが、どうもうまく書けなかった感があります。
けっこう難産だったので、これ以上は今の筆者の文章力では厳しいかと(泣)
読んでいて分からないなどが発生するかもしれませんが、そこは寛大な心とコメント欄を駆使して頂ければと思います。
(後で加筆、修正するかもしれません。)
それでは稚拙な文ですが、今話もお付き合いください。
アルゴールとの審議決議が終わった後、祖国、黒ウサギ、ジンの三人はペルセウス兵に連れられて医務室へと向かっていた。
目的はもちろんアルゴールとの戦闘で負傷した十六夜と、祖国が気絶させた耀のお見舞いである。
十六夜は当然の事ながら、目立った外傷のない耀も念のためにとペルセウス兵が医療室に運び込んでいてくれたらしい。
ペルセウスの予想外の対応に驚きながらも、祖国は道案内として彼らの前を歩く幹部兵士に謝辞を述べる。
「感謝するぜ、ペルセウスの兵士さん。あんたの所の優秀な衛生兵にウチのも奴らもずいぶん世話になったらしいな。」
「なに、気にするな。今は目の前の脅威に一致団結して立ち向かう時。敵だ味方だと小さな事を気にしている場合ではないからな。」
幹部兵士のあっけらかんとした発言の中、祖国は内心その対応の柔軟性に感心していた。
変わりゆく戦況を理解し、臨機応変に対応する能力。
それは戦場で生き残る最も大切な力の一つだ。
本来倒すべき敵である祖国たちを、アルゴールの出現に伴い同じ脅威に立ち向かう味方と判断したその視野の広さは十分賞賛に値するだろう。
祖国が心の中で人知れず幹部兵に賞賛を送っていると、今度はその幹部兵の方が口を開いた。
「しかしあの金髪の少年には此方も驚かされたぞ。あれだけの重症を負いながらも一命をとりとめるとはな。衛生兵も彼の生命力にはずいぶん驚いたそうだ。」
「まあ、あいつはそういう奴だからな。」
兵士の言葉に祖国はクツクツと笑いながら言葉を返す。
後ろの方ではジンが十六夜の規格外っぷりに苦笑いを浮かべている。
まあ、それほどまでに十六夜の傷が酷かったという事だろう。
実際衛生兵によると、担ぎ込まれた時の十六夜は虫の息だったという。
骨折6か所、内臓損傷2か所、筋断裂9か所に加え全身打ち身と切り傷だらけ。
むしろ生きている方が不思議なくらいの重症だったそうだ。
だがそれでも十六夜は助かった。
それが偶然なのか、あるいは祖国の言う通り助かるべくして助かったのか、それを知る方法は無いし、きっとそれでいいのだろう。
結果からあれこれ類推するのは詮無き事。
十六夜は助かったという事実。
今はそれだけで十分であり、それこそが全てなのだ。
祖国が一人そんな取り留めもない事をつらつらと考えているうちに、一向に再び静寂が訪れる。
十六夜のいる医務室は現在彼らが移動している左翼棟にあり、先程までの談話室とはさほど離れていないはずなのだが、そこは流石ペルセウスの宮殿というべきか左翼棟だけでもやはりかなりの広さだ。
移動中の会話がもたないのは何とも居心地の悪い物だが、先程敵として知り合ったばかりの相手と共通の話題が無いのもまた当然の事。
それに現状が現状なだけに相手側も緊張感を拭い去れていないのだろう。
下手な話題を切り出すくらいならまだ無い方がまだマシと判断した祖国も、一人アルゴールとの戦いに備えて脳内で対策を講じていた。
そして…、
「…どうして平然としていられるのですか?」
何の前触れもなく、突然彼らの静寂は破られた。
一向の重苦しい雰囲気を霧散させた人物、それはまさかまさかの黒ウサギであった。
思い返せば彼女は談話室を出てからずっと不安そうな表情のままだった。
祖国も一応は黒ウサギの態度に気づいていたが、何か彼女なりに気負う部分があるのだろうと深く考えてはいなかった。
それゆえ祖国がその言葉が自身に向けて発せられた物だと理解するまでに若干の時間がかかったのもしょうがない事だろう。
ワンテンポ遅れた祖国が口を開くよりも早く、彼女は次々と胸中の気持ちを吐き出していく。
「審議決議で得られた猶予はあと1時間しか無いのですよ!どうしてゲームクリアの為に最善を尽くさないのですか!」
そう、黒ウサギの言う通りアルゴールがゲーム再開までに設けたインターバルはたったの1時間しかない。
あの後、最終的に交渉は、
『ホストマスター星霊アルゴールはゲーム再開までに1時間の猶予を認め、プレイヤー大宮祖国はゲームに敗れた場合、自身の持つ権利を一部アルゴールに譲渡する。』
という規定が両者間で取り決められる事となったのだが、黒ウサギとジンはこれに猛反対。
ゲーム難易度と猶予として得られる時間がつりあっていないと抗議し、挙句の果てにせっかく決まりかけた交渉がもう少しでおじゃんになりかけた程だ。
結局祖国が他人は引っ込んでいろと言わんばかりの眼光を向けて二人を黙らせ、さっさとギアスロールで交渉締結してしまったのだが、どうやら黒ウサギはそれが未だに納得いかないようだ。
「ただでさえ1時間しか無いのですよ!?十六夜さんたちのお見舞いは私たちに任せて、祖国さんは第二条件の謎を解くために少しでも尽力すべきです!」
そこまで聞いて、ようやく祖国は自分と黒ウサギの見解齟齬の理由に行き着いた。
どうやら黒ウサギは祖国がゲーム再開までに時間を要求した理由を勘違いしているようだ。
その事を諭すために、祖国は黒ウサギに若干気まずそうに説明する。
「あー、黒ウサギ。お前多分勘違いしてるわ。俺が再開までに時間を要求したのは、別に第二条件の謎解きの為じゃないぞ?」
「へ?」
祖国の言葉を聞いた黒ウサギはまるで狸に化かされたかの様な表情を浮かべている。
彼女の中ではアルゴールのゲームクリアは第二条件が前提となっていた。
それゆえ残された時間で特に何もしようとせず、あまつさえ見舞いに行こうなどと言い出した祖国に強い焦燥と憤りを感じていたのだ。
だが、眼前で告げられた事実。
祖国が要求したインターバルは、実は第二条件をクリアするための物ではないという発言は彼女の前提を完全に覆すものだ。
前提が違えは、後の全てが違うのも自明。
祖国の意図が別のところにあると知った黒ウサギは、次々と湧き出る感情を抑え、最も知りたい要所を簡潔に問う。
「そ、それでは祖国さんはいったいこの1時間で何をなさるつもりですか?」
「そりゃ、お前…、いろいろだろ。」
「だからいろいろって何ですか!?」
祖国のあまりにも要領を得ない解答についつい声を荒げる黒ウサギ。
実際彼女の憤りも分からなくもない。
事実これから死闘に赴くにも関わらず全く緊張感のない祖国に、黒ウサギはかなりの不安感を抱いていた。
さらにいつもの事ながら、大切な事ははぐらかして他人に教えようとしない彼の態度が余計に彼女の感情を逆立てていたのだ。
まあ、どれもこれも元をたどれば祖国の身を案じての事なのだが。
黒ウサギが祖国の解答に不信感をつのらせ、祖国を問い詰めようとどこからともなくハリセンを取り出したその時、
「お取込み中悪いが医療室についたぞ。患者の身体に障るから、ここでは大声は控えてくれ。」
だが彼女の目論見は不運にもタイミングを逃してしまう。
この時の祖国の気持ちは推して知るべし。
”兵士の兄さん、マジGJ!”
後ろでどす黒いオーラを纏う黒ウサギに肝を冷やしながら、祖国は人知れずペルセウス兵に感謝するのだった。
ペルセウスの医務室。
宮殿外観の巨大さに違わず、その医務室もまた十二分な大きさを有していた。
清潔感漂う白いベッドは手入れが行き届き、またその量も負傷した兵士を受け入れてもなお余裕があるほどだ。
祖国のいた時代ほどではないが医療機器も十分にそろっており、ペルセウス衛生班のレベルの高さをうかがい知る事が出来る。
そしてそんな医務室の一角に彼らはいた。
一人は目立った外傷はないが念のためにと運び込まれた少女、春日部耀。
衛生兵の話によると見た目通り大したダメージも無いため、もう少しすれば目を覚ますだろうとの事だ。
そしてもう一人、全身に包帯が巻かれ所々から血が滲んでいる重症患者、逆廻十六夜。
こちらはなんとか一命をとり止めたが、未だに予断を許さない状況である事に変わりはなく、いつ危険な状態になってもおかしくないらしい。
「ままならえねえ物だな…。」
そんな仲間の痛々しい惨状を見た祖国は、珍しくやりきれない思いを吐露する。
めったに感情を素直に表さない彼がそうまでしたのは、やはり自責の念が大きいからであろう。
結果的に耀は無傷だったからいいとしても、問題は十六夜の方だ。
アルゴールの危険性を過小評価し、十六夜に無茶な戦いをさせてしまった事に、人知れず祖国は責任を感じていたのだ。
もちろん今回の作戦を立てたのは十六夜であるし、その役割・戦いから逃げなかったのも十六夜自身だ。
だが彼の作戦にゴーサインを出したのは祖国であり、十六夜が戦いから逃げるような性格でない事も重々承知していたはずだ。
にも関わらず、祖国は対策を怠った。
最悪の事態を考慮せずに、大した事はないと高をくくっていた己の慢心が今の惨状を招いたのだ。
”ったく、日本国で戦争が終結してから1~2年しか経ってねえだろ。どこまでポンコツになってんだ、俺は!”
自らがいた国での戦争が終結してからは、祖国がまともな戦場に復帰する事は二度となかった。
それゆえ危機管理能力や想定外への保険・対策といった、戦場で必要とされる諸能力の鈍りはある程度覚悟していた。
しかし何事にも限度という物はつきものだ。
レティシアの一件といい今回の十六夜での失態といい、あまりにも酷過ぎる自身の危機管理能力に祖国は心の底から憤慨していたのだ。
ー誰よりも臆病でありなさい。あなたが誰かといる事を望むならね。
かつて耳に胼胝ができるほど聞かされた恩師の言葉が彼の胸をよぎる。
それをなぜ今思い出したのか、それは祖国自身が誰よりも分かっていた。
その事を誰よりも理解し、そしてだからこそ悔いていた。
”ああ、お前の言う通りだよ…、真由。また俺は大切な事を忘れてたみたいだ。”
彼の握る拳は、あまりにも力を入れ過ぎていたせいか血が滲んでいる。
他でもない自分が犯したミスだからこそ、祖国はそれをどうしても許す事が出来なかったのだ。
”結局どこまでいっても俺は…。”
その時、祖国は自らの右手をふわりと何かやわらかい物が包み込む感覚を覚えた。
祖国が驚いてその方向を向くと、そこには悲しげな表情を浮かべ彼の手を優しく握る黒ウサギの姿があった。
祖国のミスを責めるでも、あるいは嘲笑するでもない、ただ純粋な悲しみの表情。
悪意も何もない、ただただ祖国を心配そうに見つめる瞳がそこにはあった。
まさか黒ウサギにそんな顔をされるとは思っておらず上手く思考が働いていない祖国に、彼女は悲し気な面持ちのまま語り掛ける。
「また、何も話して下さらないのですね…。」
その言葉を聞いた瞬間祖国は、だが何も口に出来ないままでいた。
黒ウサギの瞳の真摯さに、その言葉の甘美さに、心が揺らいでしまっていたから。
そしてそれほどまでに彼女という存在が祖国にとって大切なものになっていた事に、彼自身が誰よりも驚いていた。
”ああ、お前の言いたい事は分かっているつもりだ。悩んでいる事があるなら自らに相談して欲しいと、優しいお前はきっとそう言うのだろう…。”
だが、
「…悪い。」
それは出来ない。
自分にはその資格がない。
他者を殺めその上で生きて来た自分が、誰かと苦しみを分け合うなど、ましてや許しを得ようなど、あってはならないのだ。
”そう、これは俺の罰なのだ。”
そんな祖国の言葉を聞いた黒ウサギは、だがこれと言って表情に変化はない。
依然として悲し気な瞳をしたまま、祖国の顔をしっかりと見つめている。
まるで祖国の答えが想定済みであったかの様に。
そしてその予測は、あながち間違いでもなかった。
「ええ、分かっていました。」
そう分かっていた、彼が自分の苦しみを話さないだろう事は。
本当は悩みがあるなら打ち明けて欲しい。
苦しんでいるなら、その苦しみさえも分けて欲しい。
それであなたを少しでも楽にする事ができるなら。
”だけど祖国さんはきっとそれを許さないのでしょう。”
けれども彼はきっと自分を許せない。
だからこそ、
「だから私は待ちます。祖国さんが話してくれるその時まで。」
待ち続けましょう。
あなたが心を開くその時まで。
あなあがあなたを許せるその日まで。
いつまでだって待っていますから。
そして黒ウサギは祖国の手を握ったまま、ゆっくりと微笑んだ。
彼が握る手はいまだ血が滲み、痛々しい様相のままである。
だがその震えに先ほどのような怒りはもうどこにもない。
徐々に祖国の拳から力が抜けていき、数秒後にはいつも通り脱力した状態に戻っていった。
「まったく、世話が焼ける問題児さまですね。」
いつもなら祖国がたたく軽口を、今回は黒ウサギが先んじて口にした。
本来の祖国なら、何かしら軽口を言い返していたに違いない。
だが今日に限ってはそれも許そうと、そんな気持ちに祖国がなっていたのもまた黒ウサギのおかげなのだろう。
そして祖国はまた一つ”心”を知った。
読了ありがとうございます!
もう話が進まないのはデフォです。
諦めましたw
今後はゆっくりやっていこうと思います。
祖国君の過去編が長くなりそうなので、別の作品にしようかな~なんて考えてたんですが、今の作品ですらこんな進まないのにどうして他が作れようかと没になりました。
この話、いつ終わるのかな…。
読む人が少ないなら打ち切りもw
とにかくこんな作品を最後まで読んで頂きありがとうございます!
感想、意見、誤字、脱字、批判はコメント欄までお願いします。
それでは今回はこれにて。