問題児たちが異世界から来るそうですよ?~えっ、俺も問題児?~   作:しましまテキスト

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こんにちは、しましまテキストです。
この場をお借りして、前話の設定補足をさせていただきます。
祖国君の年齢は16歳で、箱庭召喚時の服装は青のジーパン、白いTシャツに黒いパーカーです。
あと、「外面は問題児」という表現は、他人から見ると問題児という安易な意味です。

さて、前話も読んでいただきありがとうございます。
なかなか戦闘やギフト解説の話に入れませんが、もう少しおつきあいして頂ければとおもいます。
それでは、今話もよろしくお願いします。


遭遇と期待

飛鳥がようやく冷静さを取り戻してから、金髪君もとい十六夜は周囲を見渡し、一同が思っているであろう疑問を口にする。

 

「で、どうして呼び出されたのに誰もいないんだよ?こういう場合、手紙に書いてあった箱庭ってのを説明するやつがいるもんじゃねえのか?」

 

「そうだな、逆廻のいう通りだ。このままじゃどうしていいか見当もつかん。」

 

祖国も相づちをうつ。

その発言を聞いた十六夜は、いつも通りの茶化した態度で、

 

「ヤハハ、俺のことは下の名前で十六夜様って呼んでくれてかまわないぜ。」

 

祖国を見て呼び方を変えるようにと暗に告げる。

勿論、祖国は十六夜が本当に”様”をつけて呼んで欲しい訳ではなく、ただ単にフレンドリーに下の名前で呼んで欲しいという意図を汲み取っていた。

だが祖国のポリシー上、そうもいかないのが苦しい所。

内心ほんのりと罪悪感を感じながらも、

 

「悪いな、俺は認めた奴しか下の名前で呼ばない事にしてるんだよ。」

 

彼はまたしても爆弾を投げ込んだ。

しかも飛鳥のケースならばギリギリ正当防衛と言い張れるが、今回は文句なしの先制攻撃である。

完全になめていると勘違いされても致し方ないこの場面。

 

「ハハハ、おもしれえ。まあ、すぐに様付けで呼ばせてやるから覚悟しとけよ。」

 

しかしながら、そこはさすがといった所か十六夜は非常に大人な対応で全面戦争を回避した。

先ほどの祖国と飛鳥の会話で耐性ができていたのか、あるいは最年長者の貫録か、どちらにせよ最悪の事態は避けられたことに、飛鳥と耀は内心ほっと安堵の息をつくのだった。

 

 

 

余談であるが、祖国の発言に悪意は一切込められていない。

祖国の記憶する限り、祖国が箱庭に来るまでいた国‐日本国で、祖国はその強力無比な恩恵のために、その力を利用しようとする多くの国、機関から狙われ続けた。

中には正攻法では難しいと判断し、友人や知人として近づき抱き込もうという者達もいた。

その様な環境で育ってきた祖国は、害意をもって近寄ってくる輩か否かを判別するために一定期間その人物を観察し、害意なしと判断した場合のみ友人となるという特殊な方法を採用していた。

そして、友人となった者のみ、祖国は初めて下の名前で呼んだ。

しかしこの時、祖国の言った”認める”と、十六夜たちが認識した”認める”が同じではないことを祖国は理解していなかった。

つまり、祖国は”友達として認める”という意味で言ったつもりが、十六夜たちは”実力を認める”と認識しているという事に。

後日、祖国がこのことに気づき、内心青ざめてどうしようかと悩んだ挙句、考える事自体を放棄したことは本人以外誰も知らない。

 

 

 

「まあ、このままじゃどうしようもないし、とりあえずそこの草むらに隠れてる奴にでも話を聞くとするか。」

 

十六夜が鋭い眼光を向けると同時に、彼の視線のその先にある草むらがガサゴソと音をたてる。

 

「なんだ、あなたも気づいていたのね。」

 

「当たり前だ、かくれんぼじゃ負けなしだぜ?春日部と祖国も気づいてたんだろ?」

 

「風上に立たれたら嫌でも分かる。」

 

「まあ、あんなお粗末な隠れ方じゃな。」

 

耀は自慢の嗅覚で、祖国は今までの人生で(いやいや)培った索敵技術で不審者の存在に気づいていたことを告げる。

 

「へえ、面白いな、お前ら」

 

十六夜が呟いた数秒後、ついに草むらから不審者が正体を現した。

 

というか、ウサ耳っ子だった。

 

ウサ耳をはやしたその少女は、恐る恐るといった言葉がピッタリあてはまる様子で一同に話しかける。

 

「や、やだなぁ、皆様。そんな怖い目で見られるとウサギは死んでしまうのですよ?出るタイミングを逃したことは謝罪しますが、ここはひとつ私のお話を聞いていただけませんか?」

 

と下手にでるウサ耳っ子のお願いを、4人は

 

「断る。」

 

「嫌よ。」

 

「無理。」

 

「今夜はウサギ鍋か。」

 

と一刀両断したのだった。

 

「あは、取り付く島もないのですね。というより、最後の方!黒ウサギを食べるつもりですかっ?!」

 

若干一名の不穏当な発言にツッコミをかます黒ウサギと名乗る少女。

表面上は彼らに対して下手に出てはいるが、実のところ内心では、

 

”ここでNOと言える肝っ玉は合格ですね。あとは、この方々の実力を…”

 

などと祖国たち問題児組を値踏みしていたのだった。

が、しかし問題児たちの前で考え事など悪手以外の何物でもない。

彼女は自らの行いの愚かさをすぐに知る事となる。

 

そう、つまり、

 

「えいっ」

 

「フギャ」

 

背後に回り込んでウサ耳を引っ張った春日部耀によって。

それはもう全力で引っ張られた黒ウサギは、断固として拒絶の声を上げる。

 

「ちょ、ちょっとお待ちを。初対面で黒ウサギのステキ耳を引き抜きにかかるとは、一体どんな了見ですか!?」

 

「好奇心のなせる業」

 

「自由にもほどがあります!!」

 

黒ウサギは文字通り脱兎のごとく耀から逃げ出した。

確かに逃げ出したのだが…、

 

「へぇ、このウサ耳って本物なのか」

 

「じゃあ私も」

 

先回りしていた十六夜と飛鳥がそれぞれ左右の耳を引き抜きにかかる。

そして唯一暴挙に参加していない祖国も、

 

「つーか初対面以前の人間をいきなり空中に放り出す方がどういう了見だよ」

 

とどめの一撃にを加え、黒ウサギは身も心もノックダウンされたのだった。

 

 

 

 

 

「あ、あり得ないのですよ。まさか話を聞いてもらうのに小一時間もかかるとは…。学級

崩壊とはこのことを言うに違いないのデスヨ。」

 

「崩壊してんのはお前の服装だろうが。痴女か。つーかさっさと始めろ。」

 

全くもって酷い暴言を投げかけながら、祖国はいらだたしげに話を促した。

 

ちなみに祖国はウサ耳いじりに参加していない。

ゆえにこうして近くの岩に腰かけて小一時間ほど待っていたのだが、一向に止める気配を見せない十六夜たちに痺れをきらし、つい先ほど止めたのであった。

その時の黒ウサギには、祖国がまるで彼女の崇拝する帝釈天にさえ見えたという。

 

 

だが悲しいかな、祖国がウサ耳いじりに参加しなっかた理由が

 

”初対面の人の耳を触るなんて非常識だろ。”

 

などという、いたって常識的な理由だとは助けてもらった黒ウサギですら考えさえしなっかたのだった。

 

 

 

「気を取り直して、ようこそ”箱庭”の世界へ。すでにお気づきかもしれませんが、皆様は特別な才能を持っていらっしゃいます。それは修羅神仏、果ては悪魔から星など様々な人智を超えた存在から与えられたギフトでございます。我々は皆さまのような特別な才能をお持ちの方々のみが参加できる”ギフトゲーム”への参加資格をプレゼントさせて頂こうかと、皆様を招待したしだいです。」

 

「ギフトゲーム?」

 

「はい、皆様がお持ちの才能(ギフト)を用いて競うゲームのことでございます。この箱庭は強大なギフトを持つ方々がオモシロオカシク過ごしていただくためだけに作られた世界なのです。」

 

すると、飛鳥が手を挙げて質問をした。

 

「まず初歩的なことからいいかしら?”我々”という事は、あなたを含めた誰かという事?」

 

「YES!皆様には箱庭で暮らしていくにあたって、数多ある”コミュニティ”に必ず属して頂きます。」

 

「嫌だね」

 

「属して頂きます!ギフトゲームの勝者は”主催者(ホスト)”が提示した賞品を獲得できるというシンプルな構造です。」

 

すると今度は耀が疑問を口にする。

 

「主催者って誰?」

 

「それは様々でございます。修羅神仏が人を試すための試練として行われたり、コミュニ「ちょっと待て。」ティが、ってはい?」

 

突然の祖国の乱入に黒ウサギだけでなく、全員が驚いたようだ。

だが祖国は一向に構わまいといった素振りで、黒ウサギに問いかける。

 

「修羅神仏ってことは、天使やそれに類するものも箱庭には存在するのか?」

 

祖国のあまりにも真剣なまなざしに、黒ウサギは話を中断されたことへの怒りも消え去り祖国の質問に答える。

 

「はい、天使といった高位の生物も箱庭には存在します。勿論、そうそう御目にかかれる存在ではありませんが…。皆様がギフトゲームで名を挙げていけば会える確率もずっと高くなるはずです。」

 

そんな黒ウサギの答えに満足したのか、祖国がそれ以降口を開くことはなっかた。

それどころか、黒ウサギの話も全く聞こえていないようだった。

だが、祖国の隣にいた十六夜はしかと見ていた。

祖国の口元がほんの少しではあるが、釣りあがっていることに。

 

 

 

 

やはり間違ってはいなかった。

この世界-箱庭に来てからずっと考えていたこと。

つまり、これが”転機”なのだと。

一度として忘れたことはなかった。

あの女の顔も、行動も、そして言ったことも。

一字一句覚えてる。

そしてあいつは知っている。

俺が………何者かという事も。

 

必ずお前を見つけ出す。

それが俺の唯一生きる理由なのだから。

 

 

 




今回も最後まで読んで頂きありがとうございます。
次話は十六夜君とランデブーです。
ようやく祖国君のギフトの一端を書くことができそうです。
しかしこうして実際書いてみると、全く文字数が増えないですね。
毎回何万字もかいていらっしゃる方々は、本当にすごいと思います。

疑問、質問、感想など頂けるとすごいうれしいです。
それでは今日はこれにて。

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